スパン・オブ・コントロールとは【人数ごとに適切なマネジメント手法について解説します】

記事更新日:2025年01月07日 初回公開日:2025年01月07日

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管理職やリーダーには、部下を適切にマネジメントするという仕事があります。しかし、管理職や何かしらのリーダーをしているけれど、部下の人数が多すぎて、業務負担の増加に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、スパン・オブ・コントロールという概念について説明します。併せて、スパン・オブ・コントロールの目安や左右する要因、拡大方法についても解説しますので、部下の管理に悩んでいる方は参考にしてみてください。

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スパン・オブ・コントロールとは

1人の管理者が効果的に管理できる部下の数

スパン・オブ・コントロールとは、1人の管理者が効果的に管理できる部下の数のことです。もとは軍隊組織で使われていた概念ですが、近年ビジネスの世界でも注目されるようになってきています。全体の従業員数が多い場合でも、1人の管理者が管理する部下の数が少ない場合は、スパン・オブ・コントロールが狭いということになります。逆に、1人の管理者が多くの部下を管理している場合には、パン・オブ・コントロールが広いということになるのです。

企業におけるスパン・オブ・コントロール

管理者と従業員の数を調整して組織を運営する指標

企業におけるスパン・オブ・コントロールとは、管理者と従業員の数を調整して組織を運営する指標です。スパン・オブ・コントロールが狭いと、メンバー1人1人のフォローや指導が行いやすくなります。しかしそれと同時に、管理者の業務負担が増えることがデメリットです。反対にスパン・オブ・コントロールが広いと、情報共有や意思決定を効率的に行うことができます。その分、メンバーへのサポートが不十分になる可能性があるということがデメリットです。

人事領域におけるスパン・オブ・コントロール

人材の育成やパフォーマンス管理に必要な指標

人事領域におけるスパン・オブ・コントロールとは、人材の育成やパフォーマンス管理に必要な指標です。効率的に業務を遂行したり、メンバーの満足度を向上したりするために、適切なスパン・オブ・コントロールを設定することが大切です。管理者が多くのメンバーを管理している場合には、個別のフォローアップやフィードバックが行き届かないことがあります。その結果、メンバーの成長や意欲の向上が滞ってしまうい可能性があるため、注意が必要です。

スパン・オブ・コントロール注目の背景

従業員の個別のニーズに応える必要がある

スパン・オブ・コントロール注目の背景には、従業員の個別のニーズに応える必要があるということが挙げられます。現代の組織には、多様な価値観を持ったメンバーやワークスタイルが存在しているからです。また、組織の効率化や生産性向上が求められていることからも、注目されています。スパン・オブ・コントロールが狭すぎても広すぎてもそれぞれにデメリットが発生するため、適切なスパン・オブ・コントロールを設定することを意識しなければなりません。

スパン・オブ・コントロールの目安

管理者1人に対して部下5~8名程度

スパン・オブ・コントロールの目安は、管理者1人に対して部下5~8名程度と言われています。先ほど述べたように、内閣官房内閣人事局のアンケート調査では、管理職の過半数が10名を超える部下をコントロールしています。目安となっている範囲を超えてしまうと、1人1人への十分なサポートが難しくなります。最終的には組織全体の成果にマイナスの影響を与えてしまうことも考えられるため、管理職を増やすなどしてスパン・オブ・コントロールを実行しましょう。

人数はチームの状況で変化する

スパン・オブ・コントロールの人数は、チームの状況で変化することを押さえておきましょう。例えば、メンバー1人当たりのタスク量が少ない場合、管理職のスパン・オブ・コントロールの幅は広がり、1人で多くの部下を管理できます。反対に、チームとして抱えている業務量が多い場合は、スパン・オブ・コントロールの幅が狭まり、部下1人1人に目が行きづらいです。スパン・オブ・コントロール設定の際には、チームの状況を考えながら部下の人数を柔軟に調整する姿勢が欠かせません。

管理者の下にリーダーを置くとコントロールする数が増やせる

スパン・オブ・コントロールでは、管理者の下にリーダーを置くとコントロールする数を増やすことができます。管理者だけでなく、リーダーを配置することで隅々まで目が行き届くようになるからです。その代表的な例が「1-3-9」でチームをつくる方法です。管理者1人に対してリーダーを3人配置し、リーダーも3人ずつの部下を管理します。そうすることで、管理職1人につきリーダーも含めて12人を効果的に管理することが可能となります。

スパン・オブ・コントロールを左右する要因

管理者や部下の能力

スパン・オブ・コントロールを左右する要因として、管理者や部下の能力が挙げられます。管理者の能力が高く、チーム全体を効果的に率いることができる場合には、一度に管理する人数を多くすることができます。しかし部下の能力が低いと、管理者の能力が高い場合でも部下のサポートに時間がかかってしまうため、適切に管理できる人数は減ってしまいます。能力が低いメンバーがいる場合には、先ほど述べた「1-3-9」の方法でチームをつくり、能力が高い部下をリーダーに任命しましょう。

部下に委ねる程度

部下に委ねる程度も、スパン・オブ・コントロールを左右する要因の1つです。部下に多くの権限を譲渡すると、部下は自律的に意思決定をして業務をするため、管理者が本来の業務に専念しやすくなります。反対に、部下に権限をほとんど委譲しない場合は、管理者のより細かな監督が求められます。それによって、管理者が本来の業務に割く時間が減ってしまうのです。そうは言っても、部下に権限を委譲することはトラブルや不正に繋がるリスクもあるため、慎重に判断しましょう。

業務の安定度

業務の安定度が高まることで、管理者が部下を個別にフォローする機会が減り、スパン・オブ・コントロールが広がります。業務がルーティーン化された中でタスクや手順が明確だと、例外的なトラブルが起こることは少ないからです。マニュアルを整備したり、システムを導入したりすることで、業務内容の標準化が図れます。それが、スパン・オブ・コントロールを広げることに繋がるのです。また、業務の効率も向上するため、組織力も強化されるでしょう。

組織の成長力

組織の成長力もスパン・オブ・コントロールを左右します。例えば、組織の成長が速い場合は経験のあまりない従業員も管理職に昇進することになります。そうすると、スパン・オブ・コントロールが小さくなってしまうのです。管理者の経験値が少ないと、組織の業務やプロセスを十分に理解していないこともあり得ます。それでは、部下へのフォロー不足に繋がってしまいます。管理職のマネジメント能力を上げるためにも、トレーニングやメンタリング制度を実施することがおすすめです。

スパン・オブ・コントロールの拡大方法

部下を育成して委譲する権限を増やす

スパン・オブ・コントロールの拡大方法として、部下を育成して委譲する権限を増やすというものがあります。部下を育成することで、管理職は時間やエネルギーをより戦略的な方向に使うことができます。また、部下も権限が自分に振られることによって、効率的な意思決定ができるようになっていくのです。これにより、組織を構成するメンバー全体がリーダーシップを持つことに繋がり、責任感を持つ人が増えるようにもなっていくでしょう。

業務の標準化を行う

業務の標準化を行うことも、スパン・オブ・コントロールの拡大に繋がります。業務を標準化することでチーム全体の効率が向上するため、生産性も高まります。効率的にマネジメントを行うためには、スパン・オブ・コントロールの拡大が必要です。業務の標準化によって、チーム内のタスク管理がしやすくなります。誰が何を担当しているのか明確になると、リーダーシップの強化や意思決定が迅速にできるようになるのです。これは、チーム全体のパフォーマンス向上にも繋がります。

情報共有を円滑にする

スパン・オブ・コントロールの拡大するために、情報共有を円滑に行うことも大切です。情報共有がスムーズになると、部下やチームメンバーとのコミュニケーションも取りやすくなります。そして、業務効率も向上するようになっていくのです。さらに、適切に情報共有されることで組織全体の連携がしやすくなって、一体感も高まるでしょう。マネージャーも必要な情報が得やすくなり、より多くの部下の管轄をすることができるようになります。

チームの連携を強化する

チームの連携を強化することは、スパン・オブ・コントロールの拡大に繋がります。チームの連携の強化には、メンバー間で目標や業務内容を共有することが大切です。目標や業務内容が共有できているチームは、部下へのサポートやお互いのフォローが上手くいきます。それは、協力行動や助け合いが自発的に行われるようになるからです。最終的に、マネージャーが直接サポートする量が減るので、スパン・オブ・コントロールが拡大します。

人数ごとのマネジメント手法

5人未満

個人のパフォーマンスを最大限発揮させる

ここから、人数ごとのマネジメント手法をご紹介します。5人未満の場合は、個人のパフォーマンスを最大限発揮させることが必要です。役割分担をする場合は、専門性を追求することをおすすめします。「お金のことであればこの人、法律のことであればこの人」というように、役割が明確になっているとコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。また、ルールを設け過ぎないようにすることにも気をつけてください。ルールを設定しすぎると個人の判断で業務を遂行することが難しくなるため、一人一人の生産性が減少してしまいます。

5人以上10人未満

生産性の低いメンバーをしっかり対処する

メンバーが5人以上10人未満の場合は、しっかりとしたマネジメントが求められます。5人以上のチームになると責任の所在や役割分担が曖昧になる可能性があるからです。そのため、リーダーは問題が発生した際にスピーディーに対応することが求められるでしょう。さらに、メンバーによって生じる能力の差に対しても策を講じなければなりません。ビジネスでは、組織の20%の人材が低い生産性になる傾向があるとされています。これにどう対処するかがポイントになると言えます。

10人以上

ルールをはっきりと設ける

10人以上のチームの場合は、ルールをはっきりと設けることが必要になってきます。規模が大きくなると従業員の能力の差や価値観の違いが生まれるからです。モチベーションの差も出てくるでしょう。10人以上のチームは1人の管理職でカバーできる範囲とは言えません。管理職を増やすか、チームを分割させる必要があります。管理職を増やす場合は新たに採用して従業員を増やしたり、部下の1人をリーダーに任命するという方法を取ることもできます。

まとめ

スパン・オブ・コントロールを上手く実行しよう

スパン・オブ・コントロールについて解説しました。多様な価値観を持ったメンバーに対応するためには、1人の管理者につき5~8人程度の部下になるよう調節しましょう。もし、それでは足りないという場合は「1-3-9」でチームをつくるなどの対策を取ることも必要です。また、スパン・オブ・コントロールは管理者や部下の能力にも左右されます。スパン・オブ・コントロールを上手く実行し、メンバーを効果的に管理するようにしましょう。

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