現地採用とは?【海外駐在との違いやメリットなどについて解説】

記事更新日:2021年02月05日 初回公開日:2020年12月07日

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海外進出企業で働く日本人の多くは、海外駐在者といえるでしょう。海外現地法人(子会社)の経営を任され、海外の第一線で活躍するには、本社側の経験を十分に積む必要があります。その国内での実績が評価され、駐在を任ぜられるのです。経済成長期には、海外現地法人は経営陣は駐在者と雇用された現地人(外国人)で機能していました。それが今では、現地採用された日本人という雇用者も増えてきています。駐在員でもなく現地人でもない現地採用者をどのように雇用し、機能させれば良いのか、その方法に注目してみます。

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現地採用とは

その国の法人に雇用契約した社員

広い意味では、本社ではなく国内外問わず本社を離れた支店や、子会社で採用されることを現地採用と呼ぶことがあります。ここでは、海外の法人で採用される現地採用に特化して、その特徴をまとめてみました。以下、現地採用者とは、海外子会社や支店で採用された会社員のことを指すこととします。つまり、日系企業で、場所は欧米やアジア、その他の国々の支店や支社、その国の法人に正社員雇用契約を結んでいる会社員のことを現地採用者と呼びます。

現地でのリクルート

現地採用は、予め海外に出て何らかの活動をしていて、就職したいと考えるようになるケースが多いといえます。たとえば、学生、ボランティア活動者の就職、あるいは駐在員の転職というケースもあるでしょう。それまでの活動のコネや縁故がない場合、求職者は、求人を確認するためにまずは人材紹介会社に登録します。どういったポジションでのお仕事があるのかを確認して、転職への意欲を高め、具体的なイメージを持つことになります。

現地採用のメリット

現地マインドの理解促進

海外現地で暮らし日系企業に就職しようとする日本人には、様々なビジネスバックグランドが考えられます。何らかの理由で駐在からの転職や、海外起業を目論んだ者、海外でのバイトやボランティアなどから就職を決意した者など多種多様といえます。語学力と現地人マインドの理解度の高さなどが彼らの有利な点といえるでしょう。個人差はあるものの、これらの現地での対応能力に関しては本社でキャリアを積んだ駐在員よりも優秀な可能性が高いです。

経費削減

一般的に本社から派遣された駐在員には駐在手当や危険手当が支給されます。環境の異なる異国で、可能な限り日本国内と同等な環境で、安全に仕事を遂行させるためです。海外法人の場合は、現地人採用を目的とした採用基準が作られているため、駐在手当てや危険地手当てを含む本社での給与は、現地採用者には発生しません。雇用保険や年金等の支払いも発生しないため、本社側は手間を省くことができ、かつコストも抑えることが可能になります。

現地採用のデメリット

教育計画の刷新が必要

一般的に現地法人での採用にも、ほとんどのケースで面接等には本社が絡むことになるはずです。とはいえ、内定確定後は、受け入れ用意、研修等からすべて現地法人で対応することになります。言語やマインドで、海外の現地人より優位な日本人現地採用者ですが、本社での仕事の経験蓄積はありません。そのためローカルスタッフに任せておくだけでは足りない部分も出てくるため、駐在員のほうでも分担し、全員で育成していく必要があります。

待遇面の格差

駐在員は、日本側の会社都合で、海外に出ています。そのため、日本の給与や社会保険は維持されたまま、海外赴任手当や住宅補助などが支給されます。子どもの学費も会社が負担してくれる場合や、ドライバー付き社有車を標準支給ということもあるでしょう。それに対して現地採用は自分の意思で海外へ来ているため、日本の厚生年金からは外れ、自分で国民年金の任意加入に申し込まなければなりません。また給与も現地通貨での支給のみとなるため、駐在員に比べると大幅に見劣りします。

現地採用と海外駐在の違い

雇用契約上の違い

海外駐在とは、日本企業や外資系企業の日本法人に雇用されて、会社命令で海外拠点に赴任している人のことを指します。海外駐在は日本国内で雇用され、海外へ派遣されるため、たとえ働いている場所は海外であっても雇用主は日本の国内企業になります。一方現地採用は、求職者は現地の企業に直接雇用されることになるため、現地の企業が日系どうかは関係なく、雇用主はその国の企業になります。この雇用主が日本側になるか現地側になるかによって、給料などの待遇や自由度、仕事内容などは大きく異なってきます。

給与や待遇面での違い

給与や待遇面については圧倒的に「海外駐在員」が有利です。「駐在員」は日本での給与に加えて海外赴任手当、さらには高級コンドミニアムを会社経費で賃貸してもらえるケースも多いでしょう。さらには日本の社会保険及び雇用保険などの間接的なものを考慮すると「現地採用」の2倍から3倍程度の報酬の違いが出てくる場合もあります。確かに額面でみると事実なのですが、駐在員は多くの場合、日本の生活コストを抱えています。現地採用者は、生活基盤がローカルにありコスト負担は少ないのです。

現地採用の目的

人件費の削減

いままでも述べてきましたが、給与面や各種手当に違いがあり、国内本社側の福利厚生や給与基準よりも、海外現地法人に採用される現地の日系人コストの方が安価です。注意すべき点としては、採用に関して企業に有利になる要素を持つ求職者を選ぶことです。現地でのフットワークが良く、かつ言語とマインドで本社側の日本人と連携が取れる現地採用者を雇うことで、コミュニケーション品質を維持向上させながら人件費の削減が実現できるのです。

現地法人の仕事の効率化

一般的に現地に生活する日本人は現地語の能力に長け、現地文化、常識、商習慣など現地マインドの理解度が高いといえます。それらの能力に加えて日本の商習慣や常識を兼ね備えているとなれば、現地採用者はかなり有効な人材です。日本の文化を解しにくい現地の人と本社の指令を受けた駐在員の間に立って、マインドの通訳も含めた効率的なビジネス展開が期待できます。現地採用者を活用することで、現地法人の仕事の効率化が図れるのです。

現地採用の進め方

本社と現地法人の連携で計画

企業の経営計画の中で海外事業についての基本的な骨子は、一般的に本社で策定され、現地で具体化されます。基本的な人員配置も、本社で決められるはず。とはいえ、具体的な遂行部隊はやはり現地法人の役割です。経営計画の中で本社は大枠決める役割を担います。現地法人は採用を含めた人員計画を担い、現場を熟知する立場から、現場に見合った具体的な遂行計画を決めます。現地採用を進めるにも、やはり本社と現地の連携が重要なのです。

対象国のリクルート会社を利用

ネットで手続きが完結する転職サイトは、国内に多数あります。中には国内の転職だけでなく海外転職を重視した転職サイトも存在します。また、海外転職を考えている求職者は、国内同様、人材紹介会社に登録して求人情報を得る方法もあります。意図する対象国が決まっていれば、その対象国のリクルート会社を利用する方法もあるでしょう。さらには得意とする言語を武器にして、海外転職サイトに直接アクセスして、リモート面接に漕ぎつけることも出来ます。

現地採用の注意点

現地採用者は使いにくいといわれがち

現地採用の日本人は使いにくいという話をよく耳にします。この問題には日本人特有の気質が絡んでいます。対日本人のビジネスシーンで求めれる、もしくは期待されている特性に、「気遣い」「気配り」「時間厳守」「自分の仕事に責任を持つ」などがあります。現地育ちの日本人には、教育の影響で、これらの特性にあまり力点をおけない場合もあり、そのように評価されがちでしょう。一方で現地採用者はその国の現地人マインドをよく理解できる特性もあります。管理者はそれらの特性を理解すべきです。

雇用主側も意識のグローバル化が必要

企業のグローバル化に伴い、生活習慣や教育の異なる外国人や外国育ちの日本人も関わってくるようになります。国内で評価されてきた日本人気質は、どこでも通用するわけではなく、海外の文化を取り入れなければなりません。そこで、日本人と外国人の双方のマインドを理解できる現地採用者は独自の優位性を持つ存在になりえます。管理者は、この特性を上手に活用することで、駐在員とローカル現地人の間を取り持つ現地採用者を有効活用すべきでしょう。雇用主側も意識のグローバル化が必要なのです。

現地採用を導入している企業

住友商事

住友商事では、独自の海外現地採用社員の育成プログラムを推進しています。それは海外ナショナルスタッフ研修といい、海外拠点や事業会社の現地社員の育成をサポートするため海外ナショナルスタッフ研修を階層別に英語で実施しています。世界各地の現地採用社員を東京本社に集め、住友商事グループの理念・戦略に関する講義や、クロスカルチャー・リーダーシップなどのビジネススキル研修を行います。そうすることで住友商事グループの一員としての一体感の向上とスキルアップを図っています。

サントリー

サントリーグループは、「Growing for Good」の標語のもと、国籍・性別・年齢・障がいなどによる差別をしない「人物本位の採用」を進めています。従業員一人ひとりがいきいきと、やりがいをもって働き、もてる力を最大限発揮している状態が目標。この目標実現を目指し、従業員の多様さを前提とした「ダイバーシティ経営」を、人事の基本的な考え方としています。サントリーは地域社会とともに持続的に成長を続けるため、各拠点で現地採用を積極的に行っています。

KDDI

KDDIグループ 海外現地法人のSI(システムインテグレーション)事業では、日系企業向けビジネスをメインとしています。5G世代での成功を狙うKDDIグループのグローバル成長戦略のためには、即戦力となる日本人の人材確保が急務とし国内外で応募をかけています。海外勤務経験者、IT技術者、海外で働いてみたい方でやる気のある求職者を応募中。欧米、アジア8か国の海外の各ブロックの社名が公開され、各海外現地法人HPにアクセスして、直接応募も可能です。

まとめ

現地採用の促進でより効率の良い経営を目指そう

高度成長期後のバブル崩壊、リーマンショックのサバイバル期を経て、日本企業は反省しつつ、グローバル化は加速しています。本社経営陣、駐在員、ローカル現地人というポジショニングに、新たに現地採用者が加わりました。現地採用者はバイリンガル、かつローカルの外国人マインドや習慣を理解する一方で、滅私奉公や終身雇用などの古来の日本企業的考え方になじみにくい存在です。この違いをよく理解し、現地採用の促進でより効率の良い経営を目指すべきといえるでしょう。

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