日本的雇用慣行とは?種類やメリット、問題点も併せて解説します

記事更新日:2025年12月23日 初回公開日:2025年12月23日

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終身雇用や年功序列といった日本的雇用慣行が機能不全を起こし、組織の将来に不安を感じている経営者や人事担当者は増えています。企業の持続的な成長を願い、変革の必要性を痛感している人にとって、避けて通れない深刻な悩みです。解決策は、過去の仕組みをただ否定することではなく、メリットとデメリットを正しく理解し、自社の状況に合わせて現代的な制度へとソフトランディングさせることです。本記事では、日本的雇用慣行の現状と構造的な問題点やジョブ型雇用への移行する施策など、網羅的に解説します。組織を持続的に成長させるために、本記事で日本的雇用慣行の全体像を把握してください。

日本的雇用慣行とは

会社の理念にあった人物を採用する雇用システム

日本的雇用慣行は、会社の理念にあった人物を採用する雇用システムといえます。特定の職務スキルよりも、会社の理念や風土に合致する人物を優先して採用し、長期的に育成する雇用システムといえるでしょう。「メンバーシップ型雇用」とも呼ばれ、職務内容を限定せずに人材を確保し、入社後に適性を見ながら仕事を割り振るのが特徴です。新卒一括採用でポテンシャルを重視し、定期的な人事異動を通じて社内事情に精通したゼネラリストを育成します。組織への高い忠誠心や一体感を生み出す一方で、専門性が育ちにくい側面を持ち合わせています。

日本で独自に発展した雇用システム

日本的雇用慣行は戦後の労働者と、長期的な経営安定を求める企業のニーズが合致した、日本独自に発展した雇用システムです。企業は優秀な労働者を長く囲い込む必要があり、労働者も生活の安定を求めたため、1950年代以降、職務ごとの契約より「会社の一員」としての地位を優先させました。右肩上がりの経済成長が続く時代には合理的な選択でしたが、バブル崩壊後の低成長期においては、固定費の増大や組織の硬直化を招く要因となりつつあります。歴史的背景と現代のギャップを認識して、今後の人事戦略を見直す必要があります。

ジョブ型雇用とは

仕事に人を割り当てる雇用形態のこと

ジョブ型雇用とは、仕事に人を割り当てる雇用形態のことです。あらかじめ職務内容や責任範囲、必要なスキルを明確にして、ポストに最適な人材を割り当てる雇用形態です。職務経歴書を用いて契約を結ぶため、担当する業務の範囲が限定されており、成果や能力に基づいて評価や報酬が決定されます。メンバーシップ型とは異なり、本人の同意がなければ転勤や異動が発生しません。専門的なスキルを持つ人材が即戦力として活躍しやすく、DX推進やグローバル展開を目指す企業にとって、必要な能力をピンポイントで調達できる雇用システムといえます。

欧米を中心に日本以外の国で多い傾向にある

ジョブ型雇用は、欧米を中心に日本以外の国で多い傾向にあります。欧米では、一部のエリートを除き、特定の職務に対してスキルを持つ人材を採用するのが一般的で、年齢や勤続年数に関わらず、職務の市場価値に応じて報酬が決まります。労働市場における人材の流動性が高く、企業間での人材獲得競争が活発に行われています。海外拠点との連携や外国人材の採用をスムーズに進めたい企業は、ジョブ型の考え方を理解し、自社との適合性を検討する必要があるでしょう。

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日本的雇用慣行の種類

終身雇用

日本的雇用慣行の種類として、終身雇用があげられます。終身雇用とは、企業が正規雇用した従業員を、重大な事由がない限り定年まで雇用し続ける慣行のことです。法的な義務ではありませんが、長らく日本企業の不文律として機能し、従業員の生活安定と引き換えに企業への強い帰属意識を引き出してきました。しかし、製造業の大企業を中心に依然として長期雇用を重視する傾向は残るものの、終身雇用の維持が困難になりつつあります。終身雇用を前提とした雇用慣行が崩れ始めており、いかに従業員の自律的なキャリア形成を促すかという新たな課題に直面しています。

年功賃金

日本的雇用慣行の種類として、年功賃金があります。個人の能力や成果に直接関係なく、年齢や勤続年数が増えるに従って賃金が自動的に上昇していく給与制度です。終身雇用とセットで機能し、若い頃は比較的低い賃金で働き、中高年になってから高い報酬を受け取ることで、生涯を通じた生活設計を支える仕組みでした。しかし、若手社員にとっては「成果を出しても給料が上がらない」という不満の温床となり、優秀な人材の離職を招く原因となっています。

企業別労働組合

日本的雇用慣行の種類として、企業別労働組合があります。産業や職種単位ではなく、企業ごとに組織された労働組合のことを指します。欧米では産業別組合が一般的ですが、日本では「会社の繁栄が従業員の利益」という考えのもと、労使が協調して経営課題に取り組む関係が築かれてきました。過激なストライキを抑制し、柔軟な配置転換や賃金調整を可能にするなど、企業の危機対応力を高める役割を果たしました。一方で、会社の方針に対して異を唱えにくい側面もあり、労働市場全体の賃上げや労働条件の改善に対する交渉力が弱まるという指摘もあります。

日本的雇用慣行のメリット

失業率が低い

日本的雇用慣行のメリットとして、失業率が低いことがあげられます。景気変動の際にも安易な解雇を行わないため、比較的失業率が低い水準に保たれます。企業は業績が悪化した際も、配置転換やワークシェアリング、一時帰休などを通じて雇用維持に努めてきました。労働者は安定した収入を得ることができ、社会全体の治安や経済活動の安定にも寄与しています。雇用の安定は消費意欲を下支えする要素でもあり、マクロ経済の視点から見ても大きな意義があります。

長期的な育成計画が立てられる

日本的雇用慣行のメリットとして、長期的な育成計画が立てられることがあげられます。従業員が長期間雇用することを前提としているため、企業は長期的な視点に立った人材育成計画を立てられます。時間をかけて自社のビジネスや文化を理解させ、将来の幹部候補や熟練技能者を計画的に育てることが可能です。短期的な成果に追われることなく、失敗を許容しながら経験を積ませる環境は、独自の技術やノウハウの継承に役立つでしょう。特に製造業などの現場では、熟練工の技術伝承が競争力の源泉となっており、長期雇用を前提とした育成システムが、高品質な製品やサービスの提供を支えています。

帰属意識が高い

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日本的雇用慣行のメリットとして、従業員の帰属意識が高くなることがあげられます。会社への帰属意識が高まることで、組織全体の一体感が醸成され、部門の壁を越えたチームワークが発揮されるでしょう。ジョブ型雇用では「契約範囲外の仕事はしない」というスタンスが一般的ですが、日本企業では自分の担当領域を超えて周囲をフォローする柔軟な働き方が定着しています。自発的に協力をする労働文化は、業務の隙間や突発的なトラブルにも現場判断で即座に対応するのに役立ちます。社員同士の信頼関係は、企業の危機に際しても団結して乗り越える原動力となります。

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日本的雇用慣行の問題点

デジタル化に知識やスキルが追いつかない

日本的雇用慣行の問題点として、デジタル化に知識やスキルが追いつかないことがあげられます。従来のジェネラリスト育成を主眼とした雇用慣行では、数年ごとのジョブローテーションで部署を異動するため、専門的な知識を深める時間が確保できません。AIやクラウド活用といった高度な専門性が求められる分野に、対応できるプロフェッショナルが、社内で育ちにくい土壌が形成されてしまいます。不足するデジタル人材を外部から採用しようとしても、年功序列を前提とした雇用慣行が足かせとなり、獲得競争に敗北する悪循環に陥ってしまうでしょう。

人件費が高騰する

日本的雇用慣行の問題点として、人件費の高騰があります。個人の成果に関わらず年齢とともに給与が上昇するので、中高年層の人件費が経営を圧迫します。近年は管理職のポスト不足が深刻化しており、部下を持たずに高額な報酬を得る社員が増加して、成果を出しても報われない若手社員のモチベーション低下を招いています。企業は、年齢による賃金カーブと実際の生産性に乖離が生じていないか確認しなければなりません。管理職の平均年齢が上昇し続けていたり、中途入社者の定着率が悪い場合は、制度が限界を迎えている兆候です。貢献度に見合わない人件費は、企業の競争力を削ぐ要因となります。

ワークスタイルの多様化に適していない

日本的雇用慣行の問題点として、ワークスタイルの多様化に適していないことがあげられます。日本的雇用慣行は、男性社員が長時間労働を行い、専業主婦が家庭を守るという昭和的なワークスタイルを前提としてます。長時間労働を受け入れることを「会社への忠誠」とする風潮は、優秀な人材や、プライベートを重視する若手層の離職を引き起こします。柔軟な働き方を認めない硬直的な制度は、人材確保の大きな障壁となるでしょう。画一的な働き方を強いることは、多様な人材の活躍を阻み、組織の活力を低下させる原因になります。

キャリアパスが画一的になる

日本的雇用慣行の問題点として、キャリアパスが画一的になることがあげられます。年功序列の仕組みでは、キャリアパスが画一的になり、個人の志向や能力に応じた自律的なキャリア形成が困難になります。優秀な若手が早期にリーダーシップを発揮したいと望んでも、ポストに空きが出るまで待たなければならず、成長の機会を逃してしまうでしょう。「このまま会社にいても将来が見えている」という閉塞感から、意欲ある人材が見切りをつけて流出してしまうリスクがあります。個人のキャリアオーナーシップが叫ばれる中、年功序列の人事は従業員のモチベーションを低下させるおそれがあります。

日本的雇用慣行の変化

ジョブ型採用への変化

日本的雇用慣行の変化として、ジョブ型採用への変化があります。大企業を中心に、メンバーシップ型からジョブ型雇用へ移行する動きがありますが、完全な移行ではなく、日本的な良さを残したハイブリッド型への変化が見られます。まずは専門性が求められる職種や管理職からジョブ型を導入し、徐々に適用範囲を広げる企業が増えています。日立製作所や富士通などの企業では、職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)を導入し、役割と成果を明確にする取り組みが進められました。全社員一律の制度から、職務特性に応じた柔軟な雇用区分を設けて、専門人材の獲得と定着を図る戦略が主流になりつつあります。

キャリア形成の変化

日本的雇用慣行の変化として、キャリア形成の変化があげられます。かつてのような会社任せのキャリア形成から、従業員が主体的にキャリアをデザインする「自律型キャリア」への変化が顕著になっています。終身雇用の前提が揺らぐ中、働く個人も一つの会社に依存するリスクを認識し、市場価値を高めるためのスキルアップや副業、転職を前向きに捉えるようになりました。企業側も社員の社外での学習や副業を推奨し、多様な経験を積ませることで組織に還元してもらう姿勢へと転換しつつあります。社内公募制度の拡充やキャリア研修の実施など、個人の意思を尊重した施策が優秀な人材を引き留める鍵となります。

賃金体系・報酬システムの変化

日本的雇用慣行の変化として、賃金体系・報酬システムの変化があげられます。年功序列の給与体系を見直し、役割や成果を反映する報酬システムへの変化が進んでいますが、導入には慎重な設計が求められます。単に成果主義を導入したものの、評価基準が曖昧で「結局は上司の好き嫌いで決まる」という失敗事例も散見されます。失敗を防ぐためには、評価者トレーニングを徹底し、納得感のある評価プロセスの構築が不可欠でしょう。プロセスや行動を評価するなど、短期的な成果だけでなく、組織への貢献度を適切に処遇に反映させる工夫も必要です。

まとめ

日本的雇用慣行の崩壊に備えて変化に対応しよう

日本的雇用慣行の崩壊に備えて変化に対応しましょう。かつての成功モデルも現在は制度疲労を起こしており、何もしなければ競争力が低下していくのは避けられませんが、焦って無計画に制度を刷新するのも危険です。人や組織へのつながりを促す日本的雇用の強みを活かしつつ、ジョブ型の要素を段階的に取り入れる現実的な改革を進めましょう。変化を恐れず、自社に最適な人事システムを模索して新たな組織図を描くことが、優秀な人材の流出を食い止め、次世代の成長を掴むことにつながります。

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