年次有給休暇管理簿とは?作成方法や必要項目、保管期間などについて解説

記事更新日:2025年12月19日 初回公開日:2025年12月19日

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2019年4月から年次有給休暇管理簿の作成と保存が義務化されましたが、有給休暇の管理は容易ではありません。しかし、従業員ごとに異なる基準日の管理や、煩雑な日数計算は多くの労務担当者を悩ませる課題となっています。不適切な管理は、日々の業務負担を増大させるだけでなく、年5日の取得義務違反といった法令違反や、従業員との信頼関係を損なうリスクもはらんでいます。本記事では、記載すべき必須項目や保存期間といった基礎知識から、基準日の統一といった業務を効率化する手法まで網羅的に解説しました。煩雑な有給管理業務を、効率的なものに変えるために本記事を参考にしてください。

年次有給休暇とは

労働基準法で認められた労働者の正当な権利の1つ

年次有給休暇とは、労働基準法で認められた労働者の正当な権利の一つです。原則として、労働者が6ヵ月間継続して勤務し、期間の全労働日の8割以上出勤した場合、法律で定められた日数の有給休暇を取得する権利が発生します。企業は対象となる労働者からの申請があった場合、原則としてこれを拒否できません。権利は正社員だけでなく、パートタイム労働者やアルバイトなど、雇用形態に関わらずすべての労働者が対象です。年次有給休暇は、法律によって労働者に保障された権利であると理解する必要があります。

年次有給休暇管理簿とは

従業員の有休取得状況を把握するための帳簿

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年次有給休暇管理簿とは、従業員の有休取得状況を把握するための帳簿です。帳簿には各従業員に対して年次有給休暇をいつ、何日間付与したのか、何日間取得したのかを記録します。管理簿を作成する目的は従業員の休暇取得状況を把握し、法律の定めに従い、従業員の有給休暇を適切に管理することが目的です。特に、年間で10日以上の有給休暇が付与される従業員に対しては、年5日の時季指定義務が課せられているので注意しましょう。

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作成が義務付けられている

年次有給休暇管理簿の作成は、労働基準法の改正により、2019年4月1日からすべての企業に対して義務付けられました。働き方改革関連法案の一環で、以前は作成が推奨されるにとどまっていました。法改正以降は企業の規模や業種に関わらず、対象となる労働者を雇用するすべての使用者に作成と保存が義務づけられています。義務化の背景には、有給休暇の取得率を向上させ、労働者が休みやすい環境を社会全体で構築する狙いがあります。管理簿を作成していない場合、法令違反と見なされるので、社内体制を整備して対応しなければなりません。

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年次有給休暇管理簿が作られた背景

働き方改革が進んでいる

年次有給休暇管理簿の作成が義務化された背景として、働き方改革が進んでいることがあげられます。長時間労働の是正や多様な働き方の実現を目指す中で、年次有給休暇の取得促進が大きな柱として位置づけられました。しかし、職場への配慮などから、労働者自身が有給休暇の取得をためらう人もいます。こうした状況を是正するため、企業側が主体的に労働者の休暇取得を管理し、有給休暇の取得を確実に履行させるために、管理簿の作成が義務化されました。

年次有給休暇管理簿の作成対象

有給が年10日以上付与される労働者

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年次有給休暇管理簿の作成対象となるのは、有給が年10日以上付与される労働者です。条件に該当する従業員を一人でも雇用している場合、企業はその従業員に関する管理簿を作成しなければなりません。対象者には正社員はもちろん、所定労働日数などの条件を満たすパートタイム労働者やアルバイトも含まれます。管理監督者や有期雇用労働者であっても、年10日以上の有給休暇が発生する限りは管理対象となります。一方で、年間の付与日数が10日未満の労働者については、管理簿作成の法的義務はありません。

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年次有給休暇管理簿の作成方法

紙に記入する

年次有給休暇管理簿の作成方法として、紙に記入する方法があります。紙に記入するメリットは、パソコン操作が苦手な担当者でもすぐに始められ、導入コストがかからない点です。厚生労働省が公開している様式を印刷して使用するか、自社で作成したフォーマットを使用しましょう。ただし、従業員数が増えるにつれて、記入や管理の手間が大きくなる点がデメリットです。手書きによる記入漏れや計算ミスのリスクも高まります。書類の保管場所を確保する必要があり、過去の記録を探す際に時間がかかるケースも考えられます。ごく少数の従業員を管理する場合には有効ですが、効率化の観点からは別の方法を検討しましょう。

エクセルで作成する

年次有給休暇管理簿の作成方法として、エクセルでの作成があります。コストをかけずに始められ、計算式や関数を活用することで一定の自動化が図れる点が大きなメリットといえるでしょう。たとえば、取得日数を入力すれば残日数が自動で更新されるように設定できます。一方で、便利な自動計算の仕組みを自社で構築するには、関数や数式に関する専門的な知識と設定の手間が必要です。また、日々の運用においては、ファイルの誤操作や数式のエラー、更新漏れといった人的ミスが起こりやすいというリスクにも注意しなければなりません。

勤怠管理システムを使う

年次有給休暇管理簿の作成方法として、勤怠管理システムを使う方法があります。多くの勤怠管理システムには、有給休暇の管理機能が標準で搭載されており、最も効率的で正確な管理ができるでしょう。従業員の勤怠データと連携し、付与から取得、残日数の計算までを自動で行うため、担当者の手作業が大幅に削減され、人的なミスを防止します。法改正があった際にも、システムがアップデートで対応してくれるため安心です。デメリットとしては、導入や運用にコストがかかる点があげられます。従業員数や自社の業務フローを考慮し、費用対効果を見極めた上で導入を検討しましょう。

年次有給休暇管理簿の必要項目

基準日

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年次有給休暇管理簿の必要項目の一つが、基準日です。基準日とは、従業員に対して年次有給休暇を付与した日付を指し、労働基準法では原則として、雇い入れの日から起算して6ヵ月が経過した日としています。その後は1年ごとに新たな有給休暇を付与すると定められており、4月1日入社の従業員であれば、最初の基準日は10月1日となります。翌年以降も毎年10月1日が基準日となるので、管理簿に記録しましょう。基準日は、従業員一人ひとりの入社日に応じて異なるため、管理が煩雑になる原因の一つです。

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日数

年次有給休暇管理簿には、付与した「日数」と取得した「日数」の両方を正確に記載する必要があります。まず、基準日に従業員へ何日間の有給休暇を付与したのかを記録します。付与日数は、従業員の勤続年数や所定労働日数に応じて変動するため、個別に正しく計算しなければなりません。次に、従業員が実際に有給休暇を取得した際に、取得日数を記録していきます。たとえば、「7月10日に1日」「9月5日に半日(0.5日)」のように、取得した事実を日付とともに記載します。時間単位での取得を認めている場合は、「10月20日に2時間」といった形で記録しましょう。

取得時期

年次有給休暇管理簿の必要項目として、取得時期があげられます。ここで言う「時期」とは、具体的な取得年月日を指します。たとえば、「2025年8月15日」のように、従業員が休暇を取得した日付を記録します。年5日の時季指定義務が適切に履行されているかを、確認するための根拠資料となるでしょう。連続して休暇を取得した場合は、「2025年9月8日〜9月10日」のように期間を記載します。取得時期の記録によって、企業は法令を遵守していることを客観的に証明できます。

年次有給休暇管理簿の保管期間

3年間

年次有給休暇管理簿の保管期間は、3年間と定められています。労働基準法第109条に基づくもので、法改正で他の労働関係書類と同様に5年へ延長されましたが、現在は厚生労働省の経過処置として、当分の間は3年間の保存が適用されています。3年間の期間は、管理簿に記載された有給休暇の有効期間が満了した時点から起算します。たとえば、2025年4月1日に付与した記録の場合、有効期間(2年間)が満了する2027年3月31日から2030年3月31日まで、3年間保管しなければなりません。

年次有給休暇管理簿の管理のポイント

基準日を一つにまとめる

年次有給休暇管理簿の管理のポイントとして、全従業員の基準日を一つにまとめましょう。従業員ごとに入社日が異なると、有給休暇の付与日もバラバラになり、管理業務が煩雑になります。たとえば、毎年4月1日を全社一斉の基準日(付与日)と定めることで、管理対象の発生時期を一本化できます。有給の付与漏れを防ぎ、年間の管理スケジュールを立てやすくなるでしょう。ただし、基準日を統一する際には、法定の付与条件を下回らないよう十分に注意する必要があります。切り替え時に本来の付与日よりも遅くなる従業員には、前倒しで付与するなどの調整が必要となります。

基準日を月初めにまとめる

年次有給休暇管理簿の管理のポイントとして、各従業員の基準日を月初めにまとめる方法も効率化に貢献します。たとえば、8月20日に入社した従業員の法定基準日は翌年2月20日ですが、前倒しして翌年2月1日に統一して付与するルールです。従業員ごとに基準月は異なりますが、日付が「1日」に固定されると次回の付与日の管理がしやすくなるでしょう。付与日が法定の基準日より遅くなることがなく、労働者の不利益になる心配もありません。ただし、この運用を導入する際は就業規則にその旨を規定し、従業員へ事前に周知することが不可欠です。

年次有給休暇管理簿の罰則

特にない

年次有給休暇管理簿の作成義務を怠ったこと自体には、特に罰則はありません。「管理簿を作成しなかった」というだけで直ちに罰金が科されることはないのが現状です。しかし、罰則がないから対応しなくて良いという意味ではありません。管理簿を作成していないと、年5日の有給休暇取得義務を果たしているかどうかの客観的な証明が困難になります。年5日の取得義務に違反した場合は、労働基準法第120条に基づき、対象となる労働者一人あたり30万円以下の罰金が科される可能性があります。

おすすめの年次有給休暇管理ソフト

有給ノート

おすすめの年次有給休暇管理ソフトの一つに、有給ノートがあります。クラウドベースで利用できる勤怠管理ソフトの一つで、特に有給休暇の管理機能に定評があります。データはクラウド上に保存されるため、書類の保管場所に困ることもありません。ソフトを導入すると、従業員の入社日に基づいて次回の有給付与日や付与日数が自動で計算されます。従業員はスマートフォンやPCから簡単に有給休暇の申請ができ、管理者はリアルタイムで取得状況を把握できます。年5日の取得義務を満たしていない従業員をアラートで通知し、管理漏れを防止する機能も搭載されています。

有給ママ

おすすめの年次有給休暇管理ソフトの一つに、有給ママがあります。中小企業の労務担当者向けに設計された、シンプルで使いやすい有給休暇管理ソフトです。従業員情報と入社日を登録するだけで、法令に沿った付与日数の自動計算や残日数の管理が可能です。直感的なインターフェースで、パソコン操作に不慣れな担当者でもすぐに運用を始められるでしょう。従業員数が比較的少なく、低コストで管理業務のシステム化を図りたいと考える企業に適しています。有給休暇管理特化型ソフトの導入で、管理業務の負担を軽減して、より正確な運用体制を構築できます。

まとめ

年次有給休暇管理簿の管理を徹底し労働者の働きやすい環境をつくろう

年次有給休暇管理簿の管理を徹底し労働者の働きやすい環境をつくりましょう。管理簿の作成は、単に企業の法的義務を果たすだけでなく、労働者が心身をリフレッシュさせ、安心して働ける環境づくりにつながります。紙やエクセル、勤怠管理システムなど、自社の規模や状況に合わせた最適な方法を選択し、管理体制を整備しましょう。業務の効率化によって、労務担当者は本来注力すべき業務により多くの時間を使えるようになります。適切な有給休暇の管理運用は、従業員の満足度を高め、ひいては企業全体の生産性向上を実現します。

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