官僚主義の意味とは【官僚主義に企業が陥る理由や問題点を身近な例を用いて簡単に解説します】

記事更新日:2024年01月26日 初回公開日:2024年01月26日

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官僚主義とは良く聞く言葉ですが、明確かつ簡単に言い表すことは難しいことです。文書主義・慣例主義・階層主義・硬直組織などと様々な言い方をされますが、本来は国民のためを思って多くのルールを策定し、それに従うようになったことが始まりです。しかしルールを守ることばかりを優先してしまい、本来の目的が何であったのかを忘れてしまったがゆえに、大きく道を外れることになりました。ここでは官僚主義の意味や官僚主義が企業へ広まった理由を始め、官僚主義企業から脱却する方法までを詳しく紹介致します。ぜひ今後の経営に活かしていただければ幸いです。

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官僚主義とは

新しい事柄を好まず古くからの慣習を尊重する集団や様式

官僚主義とは、新しい事柄を好まず古くからの慣習などを尊重する集団や様式を指す言葉で、その慣習から抜けきれない組織を官僚主義的組織などと揶揄されることもあります。因みに、官僚および官僚主義を「bureaucracy・ビューロクラシー」と呼ぶように、海外でも取り上げられる組織の在り方です。階層的な運営方法の中でも上層部に権力が集中しており、古い考え方を踏襲して新しいものを排除する組織や組織の運営方法を言います。

似た意味の言葉

大企業病

官僚主義に似た言葉で、大企業病と呼ばれるものがあります。その名の通りに古くからある大企業に見られる病的な状態を示すものですが、中小企業をはじめベンチャー企業や個人レベルでも起きうる問題です。官僚主義とほぼ同義として使われ、古い考え方や運営方法に固執し、内部にばかり目が行ってしまうことで市場の動向などを読み切れない企業の多くが罹患する企業の病です。大企業病に冒されている企業の殆どが、官僚主義的な組織と言えます。企業内の風通しが悪く、簡単な意思決定さえも多大な時間とプロセスを要する状態を指す言葉です。

官僚主義に組織が陥る理由

経路依存性が生じるため

官僚主義に組織が陥る要因の一つに、経路依存性が生じることが挙げられます。具体的には、既存の方法によって運営などが上手く進行しているため、その成功体験に固執して新たな変化を求めない姿勢のことです。ですから、現状が上手くいっている組織ほど陥りやすいとも言えるため、気付かないうちに官僚主義的な組織となっていることも多くあります。変化する時代に取り残されないように、一度の成功や失敗にとらわれず、周囲を良く見て変化に合わせて自らも変わっていこうとする企業精神が大切です。

権力が集中し固定化するため

権力が一部に集中し固定化することも、官僚主義に組織が陥る要因の一つです。実績を挙げている部署に強い発言力や決定権などが集中してしまうと、立場の弱い部署やメンバーが意見を述べることや、権利力のある人に異を唱えることが難しくなるでしょう。こうした企業では権力による階層ができてしまい、トップダウン式の指示系統や意思決定スタイルが常態化してしまいます。このようになると、部門をはさんでの議論は愚か、部門内でさえも権力を持つ人に権力がさらに集中するようになり、官僚主義的な状況から脱却するのは難しくなるでしょう。

業務が固定化するため

業務を固定化することは、その業務のプロフェッショナルを育成するのに良い方法のようにも思えますが、固定した業務を繰り返し続けることも組織が官僚主義に陥る要因です。変化のない環境の中において固定された業務を繰り返すと、その業務の熟練となっていきます。しかし変化のない感興ではそれ以上の進歩も期待されないため、要所は押さえるものの手を抜いた作業をするようになるのです。たとえ市場が変化していることに気付いても、主体的に情報をキャッチしようという意欲も薄れ、目の前の変化を見過ごして楽な作業を優先するようになってしまいます。

官僚主義が批判される理由

逆機能が生じるため

官僚制組織とは、組織や個人が守るルールがある中で、個々の命令と責任の範囲を明確に限定しているときは、職務遂行に感情をはさむべきではないというものです。これは、感情的な議論を避けることで合理性かつ能率的な自部処理などに有効で、規律や形式に沿うことで不公平が生じにくいというメリットがあります。しかし、ルールや規則に従うことが目的にすり替わることで本来の目的を達成できなくなり、機能が逆転することから「逆機能」と呼んでいます。逆機能は成功し続けているときには不都合を感じないものの、失敗から企業を立て直すには、重い足かせとなるため批判されているのです。

官僚主義の問題点

チャレンジを避けてしまう

官僚主義は、組織における管理や支配を「安定的」に行うためのシステムと言われることから、安定主義などと揶揄されることもあります。いまの状況に満足し新しいことへのチャレンジはリスクを負うことにもなるため、現状維持を良いとしてチャレンジを避けてしまうのが大きな問題です。組織の中に波風を立てずリスクあるチャレンジをやりたがる人材は皆無となり、企業が大きく飛躍するチャンスを失うことになるでしょう。最も大きな問題は、変化やチャレンジを考える人材がいなくなってしまうことです。

組織が硬直してしまう

組織が新しいものを受け入れない環境が続くと、組織が硬直化してしまう恐れがあります。組織が硬直化してしまえば、刻々と変化する市場や顧客ニーズに対応できません。長期間で形成された制度や慣習および価値観が、組織の柔軟性を阻害してしまい、凝り固まった考えとルールに縛られた企業が形成されてしまうのです。トップダウンの命令系統は全く変わらず、部下は忠実に業務をこなすことだけに集中するため、企業の硬直化はどんどんと進行していきます。

イノベーションが生まれない

官僚主義では、果敢に新しいアイデアを発想しチャレンジするよりも、作業をミスなくこなし上司の指示に忠実であることが出世の条件とも言われています。つまり、組織のために敢えて冒険を試みようという人は、リスクを持ち込む厄介者として嫌われる社風となっているのが官僚主義です。このような環境の中で、競合他社に打ち勝つようなアイデアやイノベーションが生まれることは皆無と言って良いでしょう。変化を求められる時代において、イノベーションが生まれない社風は、既に競争力を失っている証拠と言えます。

事なかれ主義が生じる

官僚主義では、何もないことを良いとする「事なかれ主義」が生じます。前述のように、ミスしないことや上司に言われたことを忠実にこなすことばかりに集中することが、事実上の「事なかれ主義」です。普通の仕事を普通にしていれば良く、他を非難することもなく他から批判を受けることもない状態に陥っています。自分では非常に居心地が良く、全く危険から遠ざかっているつもりになりますが、客観的に見れば非常に危険な状態です。いまや何が起きてもおかしくないというBUKAの時代に安穏とあぐらをかいているようでは、自分の立場だけでなく、企業の存続自体も危ぶまれます。

官僚主義を防ぐ方法

社内制度を改革する

多様な働き方を認める

コロナ過によって多くの企業に広まった、フレックスタイムやテレワーク、時短勤務などの新しい働き方は社内制度を変更するのに有効です。個人の自主性や自律性が発揮できる多様な働き方を積極的に取り入れていくことで、社風は大きく変わり官僚主義から脱却することにもつながるでしょう。長期間をかけて構築された強固な階層型組織や凝り固まった考え方を変えるには、相応の時間と労力が必要です。何から手をつけていいのか考えるところですが、思いつく限りのことを試してみましょう。まずは、古い会社の体質の中に、新しい風を送り込むことが大切です。

評価制度を見直す

社内の評価性を見直すことも官僚主義を防ぐために有効な方法です。官僚主義では総じて年功序列型の給与形態ができあがっています。大きなミスなく最低限の仕事をしていればいいというのが、官僚主義企業で働く多くの社員の考え方です。評価制度を大きく変革するために、「成果主義」をとる方法も考えられます。ただし、成果主義は年功序列型に相反する評価方法であり、多くの社員に反対されることは間違いないでしょう。しかし将来的には成果主義的な評価方法に移行するのが企業のためであり、社員の声を聞きながら、徐々に評価制度を変えていくような仕組みを考えてみましょう。

ペーパーレス化を進める

コロナ過でも問題になったように、全ての決裁が紙ベースで行われるため、立案者から最終権限者まで全員の了承印を得なければ、一つの決裁もできないのが官僚主義です。この慣例により、いち早く決議して救済しなければならない弱者を無視し、形式やルールが優先されることに多くの国民が腹を立てたことは当然のことと言えます。いますぐにでもペーパーレス化を推進することが、官僚主義企業および官僚主義社会を改善することに繋がるでしょう。デジタル化が進む中で、稟議書など日本古来の制度がまかり通っていることは、意思決定までの時間をただ引き延ばすことになり、緊急事態での大きな弊害となるだけです。

非効率な会議を減らす

官僚主義には非効率な会議が多い特徴があり、このような無駄な時間や費用を削減することで、官僚主義を防ぐとともに有意義な時間とお金を使えるようになるでしょう。官僚主義では会議のための準部会議などが用意されることもあり、そのためにかかる時間と労力は相当なものです。しかし、それらの手段を踏んでさえも結論の出ない会議も多くあります。事前に書類を準備し参加者のスケジュール合わせに奔走し、会議ではトップの言葉のみが会場に響き、参加者のほとんどが発言沈黙して頷くのみです。このような会議を繰り返していても、企業の成長は見込めません。会議を行うのであれば、目的をはっきりと持って行いましょう。

個人の仕事の貢献を称える

個人の仕事の貢献を称えることは、トップダウンの階層主義である官僚主義に風穴を開けてくれるでしょう。ぜひ、個々の仕事を存分に評価して、評価に値することは大いに称えるべきです。それでこそ、事なかれ主義を脱して自らが企業のトップに立って変革しようとする有能な人材を育むことに繋がります。そうした気風が企業に定着すれば、企業は活性化して柔軟な発想ができる組織に変わることができるでしょう。個人のモチベーションが高まるとともに企業全体の士気も向上し、組織全体の変革が現実のものになるはずです。

別組織や別会社を作り事業を推進する

あまりにも官僚主義が深刻化した組織は段階を踏んで組織改革をすることが難しいこともあり、思い切って別組織や別会社を作って事業をすることも良い方法と言えます。全く別の組織として立ち上げることにより、いままでの企業にはびこっていた古い慣例やルールを一度取り払ってしまいましょう。全てがゼロからスタートするとすれば、皆で知恵を出し合って考えなければいけません。この姿勢が変化する現代において求められているのです。全員で考えて全員で会社を牽引するような意識が大事であり、そこで皆の知恵を出し合って柔軟に議論し、最良の道を選ぶことが重要です。

企業理念を考え直す

官僚主義を防ぐ方法として最も重要なのが、企業の柱とも言える「企業理念」を刷新し、新しい企業風土や組織文化を考え直すことです。企業が求める将来のビジョンをはっきりと打ち出すことにより、社員も新しい一歩を踏み出せるでしょう。また、企業の求める価値観なども共有することで、より強固な変化に対応できる企業変革が可能になります。もう一度企業としてあるべき姿を見つめ直して、どこに向かっていくかを皆で考えてみましょう。企業および社員全員が同じ方向を目指していくことでこそ、馴れ合いや慣例などに流されない新しい企業文化が生まれるはずです。

まとめ

官僚主義を防ぎ職場環境を良くしよう

官僚主義企業は始めからあったものではなく、他社から良きものを学ぶことなどによって自社にて醸成され、それが成功したことでルールとなり凝り固まって進行するものです。その良い例が「大企業病」であり、ルールや規則がある会社ではいつ陥ってもおかしくないものになります。しかし、官僚主義や大企業病に侵された組織では、いつの間にか上下関係が確立し決められた仕事しかしなくなって、本来持っていた目的を忘れてしまう怖いものです。これを防ぐには常に変化に対応することを想定し、柔軟に対応できる組織作りが重要になります。理念経営に努め、官僚主義を防いで、職場環境を良くするように努力しましょう。

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