記事更新日:2022年02月16日 | 初回公開日:2022年02月14日
採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 グローバル経済ブロックチェーンとは、分散型データベース技術のことです。「ブロック」と呼ばれるデータ単位で管理し、複数のブロックを鎖状(チェーン)のように連結して保管する技術です。同一のデータを複数のブロックに分けて分散して管理していることから、「分散型台帳技術」とも呼ばれています。一つのデータを分散して管理することから、データ連携も容易な上、改ざんなどの攻撃にも強く、セキュリティが向上するという利点があります。以上のことから、ブロックチェーンはさまざまな金融分野や契約・取引の自動化(スマートコントラクト)など、幅広く利用されるトレンド技術として注目されています。
ブロックチェーンは、ビットコインの基幹技術として開発されました。いわゆる仮想通貨(暗号資産)での取引履歴を記録するための基幹技術として開発されたのがブロックチェーンの始まりです。現在のブロックチェーンの利用用途としては、決済・証明・契約や、業務の自動化、トレーサビリティなどがあり、私たちの身近なサービスにも多く活用されています。ブロックチェーンにはパブリック型、コンソーシアム型、プライベート型の三種類があり、利用規模や分野において適切なものが選択されます。
"ブロックチェーン技術を扱うエンジニアのことをその名の通りブロックチェーンエンジニアと言います。ブロックチェーンの技術を用いて、新しいサービスやアプリケーションを開発し、顧客の要望を叶える仕事です。ブロックチェーン自体の歴史がまだ浅いため、他の技術に比べるとブロックチェーンエンジニアはまだ多くいません。そのため、ブロックチェーンエンジニアの市場価値はかなり高い傾向があります。まだまだ研究が進んでいる分野のため、研究者として活躍するエンジニアもいます。
ブロックチェーンは、仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術として用いられていますが、仮想通貨自体は2009年からの発行されたため、その歴史は10年弱とまだ浅いです。しかし、その安全性の高さから、さまざまな分野で注目を集めています。また、ブロックチェーンは、複数のコンピュータで暗号を用いながら管理しており、大規模なコンピュータを必要としません。そのためコストも抑えることが可能です。低コストで安全性の高いシステム構築ができることから、多くの分野で利用価値のある技術となっています。
ブロックチェーンを活用した主なサービスとして代表例をご紹介します。まず一つ目は、キャッシュレス決済サービス。現金を必要とせず、電子的に決済を行う非接触型決済は、新型コロナウイルスの流行でますます需要が高まりました。ブロックチェーンのキャッシュレス決済サービスの活用事例としては、1円、数円などの少額な金額でも手数料がかからず電子決済できる「マイクロペイメント」での利用価値があるとして注目が高まっています。
ブロックチェーンの活用例の二つ目は、スマートコントラクトです。スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で、契約を自動で行う仕組みのことです。仮想通貨の取引でもスマートコントラクトが用いられています。スマートコントラクトは、利用者が代金を投入し、希望の商品のボタンを押せば商品の購入が完了する、いわば自動販売機のような仕組みです。仮想通貨のように、ユーザー同士で直接取引が行われるサービスにおいては、契約書の締結など、多くの事務作業がカットできます。契約や証明などのように、正確な情報を記録するべき分野で多く利用されているのがスマートコントラクトなのです。
ブロックチェーンの活用例の三つ目は、トレーサビリティシステムです。トレーサビリティは、「追跡可能性」といい、商品の生産から消費者の手に渡るまでの工程(サプライチェーン)において、商品の状態が追跡可能な仕組みのことです。食品、自動車業界など、製造と流通に関わる業界において広く利用されています。サプライチェーン上における多くの人的コストの削減や、情報を正確に連携し合うシステムとしてブロックチェーン技術が応用されています。さらに、不正取引の防止や盗難品の追跡、偽造品の真贋証明、欠陥品のリコール対応にも利用できます。
ブロックチェーンエンジニアの主な仕事は、ブロックチェーン技術を活用して、顧客の要望に合ったアプリやサービスを開発することです。ブロックチェーン技術は注目が高まっている技術であるため、ブロックチェーンを活用したサービスやアプリケーションの導入事例が増えています。前述のように代表的なサービスを開発したり、顧客ごとにカスタマイズしたパッケージを開発することもあります。ブロックチェーンの仕組み自体を新たに開発することもあるため、当然高い技術力と専門性が求められます。
ブロックチェーン自体が新しい技術であるため、ブロックチェーンの研究開発を行うこともあります。既存のブロックチェーン技術だけでなく、新しい仕組み自体を開発したり、ブロックチェーン技術の用途などを研究していきます。また、顧客ごとにカスタマイズしたブロックチェーン開発なども行います。ブロックチェーン技術はまだまだ発展途上であるため、現在も研究が続いている技術の一つです。現状、ブロックチェーンの研究開発は、研究機関や、大企業のみが行っているため、ブロックチェーンエンジニアの数はまだまだ少ない傾向にあります。
ブロックチェーンエンジニアに必要な技術は、言わずもがなですが、ブロックチェーン技術を持っていることが大前提です。ブロックチェーンの仕組みやセキュリティ、性質などを理解し、適切な分野で技術を発揮することが求められます。まだまだ研究が進んでいる技術であるため、常に最新情報や、市場の動向にアンテナを張っておくことも必要です。ブロックチェーン技術の研究が進めば、より高度な技術が求められるようになるでしょう。
ブロックチェーンエンジニアには、暗号化技術に対する理解も欠かせません。暗号技術の中でも、ハッシュ値や公開鍵暗号、電子署名などはブロックチェーンには切り離せない暗号技術です。ブロックチェーンのセキュリティの高さは、暗号技術によって裏付けられています。既存のものだけでなく、最新の暗号技術についても理解しておくことが必要です。ハッシュ値においては古くからある暗号技術であるため、まずはここから理解しておきましょう。
ブロックチェーンエンジニアにも、他のエンジニアと同じくプログラミングスキルが必要です。ブロックチェーンはC、C⁺⁺、Java、JavaScriptなど様々な言語で実装されてきたのが特徴です。今後は各言語にブロックチェーン実装用の開発環境が適応されていくとも言われています。ブロックチェーンと言えばこの言語と言われるものは確立されておらず、ブロックチェーンの使用用途によって言語を決定していくことはあまりないでしょう。それゆえに、開発においても、利用価値においても応用の幅が広い技術と言えます。
ブロックチェーン導入のメリットは、不正取引やデータ改ざんを防げるセキュリティの高さです。ブロックチェーンが不正改ざんに強い理由は、データ構造にあります。データ単位であるブロックはネットワークで連結されており、ブロックごとにハッシュ関数が組まれ暗号化されています。ブロックの一部が改ざんされたとき、後続のブロックは一つ前のブロックのハッシュ値の影響を受け、次々と暗号化されていきます。一つのブロックが改ざんされると、後続のハッシュ値との整合性が取れなくなり、不正に気付けるのです。ブロックチェーンが長く続くほど改ざんしにくい構造になっていることが不正に強く、高い安全性の仕組みなのです。
ブロックチェーン導入には、システムの維持費が安いという面もあります。ブロックチェーンは、従来のように一カ所でデータを保管するのではなく複数のコンピュータで分散させてデータを保管しています。一カ所にデータが集中しないため、データセンターなどのように大規模なコンピュータを何千台と有する必要はありません。そのため、コンピュータ自体のコストをカットすることができます。また、データが一カ所に集中しないため、システムダウンしにくいというメリットがあります。そのため、メンテナンスや監視にかかる人的コストも大幅にカットすることができるのです。
非常に利用価値の高いブロックチェーン技術ですが、デメリットもあります。ブロックチェーン導入のデメリットは、保存した内容の変更や削除が難しいことにあります。これは、改ざんが難しいことと表裏一体ですが、その構造上、データの削除や変更も難しいのです。間違えて入力してしまったデータでも書き換えが困難であり、ブロックチェーンでつながっている参加者には間違った情報も共有されてしまいます。また、情報の保管場所が一カ所ではなく複数に渡ることから、個人情報の管理には向いていないという性質があります。
ここで、チェーンエンジニアを目指す人に役立つ書籍をご紹介します。まずは、「ブロックチェーンアプリケーション開発の教科書」。こちらは、ブロックチェーンの歴史や特徴、基本知識や実践スキルまでバランスよく学べる書籍となっています。最新のブロックチェーン事情や活用事例を織り交ぜて解説しており、ブロックチェーンの理解を深めることができます。しかし、エンジニア向けの書籍であるため、専門用語も多く内容も深いため、プロのエンジニアでもすべての理解には時間がかかるでしょう。プロのエンジニアがブロックチェーンについて読む2~3冊目としての位置づけになります。
次に、「暗号技術入門-不思議の国のアリス-」をご紹介します。本書は、ブロックチェーン技術の理解の前提となる暗号化技術を解説する入門書です。非エンジニアの読者にも分かりやすいように、数式や専門用語を可能な限り使わない説明と図解が多く使われています。ユーザーレビューでも読者から絶賛されている書籍です。一つ目で紹介した書籍にも、暗号化技術の内容は記載されていますが、入門書というだけあって本書から始めてみるのが良いでしょう。
今回は、ブロックチェーン導入の第一歩として、ブロックチェーンの概要や利用価値を知るということにフォーカスを当ててご紹介しました。ブロックチェーンはとても複雑で、非常に深い分野であることから、一朝一夕の導入は難しいかもしれません。エンジニアの数は少なく、市場価値も高いことから採用や育成においても難易度は高いでしょう。しかし、導入することができれば企業の成長を大きく促進してくれる仕組みとなることは間違いありません。貴社の成長のためにも、ブロックチェーンエンジニアの育成や採用を検討してみてはいかがでしょうか。
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