記事更新日:2024年12月26日 | 初回公開日:2024年12月26日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報反芻思考とは、過去のことを考え続ける思考習慣のことです。過去に起こったことについて、ネガティブな思考を繰り返してくよくよと考え続ける習慣と言い換えることもできます。単に「反芻」もしくは「抑うつ的反芻」とも呼ばれ、うつ病や不安障害などを引き起こすリスクになるとも考えられています。アメリカ心理学会は、反芻を「他の精神活動を妨げるような、過剰で反復的な思考やテーマを含む強迫思考」と定義しているようです。
反芻と省察の違いとして、省察は反芻と対照的な状態を指します。省察は知的好奇心や自己探求心によって、自分自身に注意を向けやすい思考習慣のことです。省察は抑うつとは無関係であると考えられています。過去に囚われて一歩も前に進むことのない思考である反芻に対し、現在や未来に良い影響を与えるであろう思考の省察は建設的であると言えるでしょう。しかし、反芻と省察はどちらも自己の内面と向き合う時間になることから、もとは省察として始まった思考が反芻に流れていってしまう可能性もあるのです。
反芻思考の原因は、デフォルトモードネットワークの影響があると考えられています。デフォルトモードネットワークとは、ぼんやりとしているつもりでも何かしら考えているという脳の仕組みです。このネットワークは脳で使われるエネルギーのうち60~70%を消費します。つまり、脳は意識して活動していない時にも、大きなエネルギーを消費しているということです。そこにストレスがかかり続けてしまうと、脳疲労を起こすと言われています。そのため、反芻思考を放置するとうつ病になってしまうリスクがあります。
目標と現実の大きな差があることも、反芻思考の原因になります。目標と現実の状態に差がある場合「目標を達成するのは難しい」と考えてしまうからです。目標と現実に差を感じ、ネガティブな感情から反芻思考を起こしてしまっても、対策を取ることが大切です。まず、目標が達成できないと悩み続けるのではなく、何かしらの行動を起こしてみましょう。それでも上手くいかない時には目標の見直しをして、現実と目標を少しでも近づけるように工夫することも解決に繋がります。
注意資源の枯渇が、反芻思考の原因になることもあります。注意資源の枯渇とは、注意の抑制が効かなくなることです。つまり、ストレスや抑うつ状態によって注意の抑制が弱まってしまい、反芻思考を促進させるということになります。反芻思考を持続させないためにも、対策を取る必要があります。ポジティブな感情を増やそうと努めることで、立ち直る力が強化されたり、対処能力が高まったりします。反芻思考を止めるためのレパートリーを増やせるように行動してみましょう。
反芻思考で受診が必要なラインは、ネガティブなところにばかり注目してしまっている状態です。辛いことや悔しいことがあると、くよくよと考え続けてしまうことは誰でもあり得ることだと言えます。その過程でネガティブな思考も出てきてしまうのは、疾患ではなく自然なことだと考えてください。ただ、ネガティブなところにばかり注目している状態は、反芻思考かもしれません。反芻思考そのものは精神疾患ではなくとも、それによって日常生活に支障が出る場合は医療機関を受診することをおすすめします。
反芻思考に関係する病気として、社交不安障害が挙げられます。社交不安障害とは、他人からどう思われているかを過剰に気にしてしまう病気です。それによって強い不安や緊張、恐怖に襲われ、苦手な場面を避けるような行動を取るようになっていきます。そのため社交不安障害は、社会生活にも影響を及ぼす可能性があるのです。苦手な場面の後にひとり反省会をすることで、次もまた同じことが起こるのではないかと不安や苦痛を大きくします。それが悪循環に繋がることがあります。
うつ病も反芻思考に関係する病気の一つです。うつ病とは、気分の落ち込みや憂鬱な状態が長く続き、日常生活に支障をきたす病気です。気分が沈んで何もやる気になれなかったり、何も楽しくなかったりするという精神症状があります。他にも不眠や食欲不振、頭痛などの身体症状が現れることもあり、人によって様々です。うつ病になることで、物事の捉え方が否定的になって反芻思考を繰り返す悪循環が生まれやすくなります。ひとり反省会を繰り返してしまう人は、うつ病に発展する可能性もあるので、注意が必要です。
反芻思考がもたらす悪影響として、気分がさらに落ち込むことが考えられます。気分が下がっている時に反芻思考が始まると、直接の原因だけでなく過去のネガティブな経験も思い出しやすくなってしまうからです。上手くいかないことがあった時、一時的な感情であれば時間が経つとイライラする感情は治まっていきます。しかし反芻思考に陥ると、上手くいかなかった原因だけでなく「あの時もこの時も」と過去のことばかり考えるようになってしまうのです。その結果、気分がさらに落ち込むことになります。
反芻思考を止めるためにはまず、反芻思考に陥りやすい時間帯を知ることが大切です。多くの場合、反芻思考が起こりやすい時間帯や状況は決まっています。自分が反芻思考を始めやすいタイミングを振り返り、対策を立てる際に役立てましょう。あなたが反芻思考が起こりやすいのは入浴中や食事中、寝る前や通勤中などの中でもいつでしょうか。「この時間帯に反芻思考をしやすい」と気づくことができたら、その時間に注意して無意識に反芻思考を始めないように心がけてみてください。
反芻思考をしている時に、無理やり考えないようにすることは難しいです。「考えないようにしよう」と思うのではなく、考える内容を変えてみたり、別の行動を取ってみたりしてください。ヨガや筋トレなどの運動をする・友達と気楽に雑談する・パズルやゲームで頭を使う・映画や音楽を楽しむなど、気分転換になることをするのがおすすめです。何か集中できることを見つけられれば、反芻思考を止めることができる可能性があります。自分に合った運動や趣味を探してみましょう。
反芻思考から離れることができたら、解決思考を意識するようにしましょう。問題解決に繋がる思考ができるよう、心がけることが大切です。この時のコツは、「なぜこんな風になってしまったのだろう」などと漠然とした原因を考えるのではなく、より具体的な問いを自分にかけてあげることです。「解決に向けた第一歩として何ができるだろうか」「別のやり方で取り組めないだろうか」などの質問が効果的でしょう。一人では解決が難しい場合は「誰だったら問題解決の手助けをしてくれるだろうか」と考えることも良いとされています。
反芻思考の対処法として、自然に触れる方法があります。2015年にスタンフォード大学は「自然環境と都市環境で90分間散歩する」という調査を行いました。その結果、自然環境での散歩は都市環境での散歩と比べて、反芻思考の回数が減少するという結果が出ています。2019年のミシガン大学の研究では、自然の中で20分を過ごすだけでもストレスホルモンレベルが大幅に下げ得ることが報告されています。20分の過ごし方はガーデニングや庭仕事、裏庭で静かに座っているだけでも良いという結果でした。
自己否定を辞めることも、反芻思考を対処する上で大切なことです。反芻思考をして自分自身を否定しても、苦痛が大きくなってしまいます。自分の行動を思い出して悔やんだところで、過去を変えることはできません。ただし、過去を変えることができなくとも、過去の見方を変えることはできます。そして、今この瞬間から新しい現在を始めることができると、視点を変えることもできるでしょう。過去のあなたも、自分で考えた上でその行動を起こしたはずです。未来のために、自己否定は辞めるようにしてみてください。
反芻思考によって抑うつなどの症状がひどい場合は、精神科で治療を受けることも考えましょう。認知行動療法は「自動思考」と呼ばれる思考の癖を見つけ出して、何かが起こった際に瞬間的にネガティブな気持ちになる考え方を変えていく治療方法です。多くの精神疾患で使われている治療方法で、個人差がありながらも効果が高いとされています。しかし、医師やカウンセラーとの面談時だけでなく、自宅でも自分で意識して治療に取り組む必要があります。そのため、家族や職場の人にも協力してもらうという場合が出てきます。
マインドフルネスは、「今の自分」に意識が集中している状態のことです。マインドフルネスの実践によって、反芻思考をしている自分に気づくことができます。そして、考えすぎている自分と距離を置くトレーニングをします。反芻思考によるネガティブな気持ちが起こる頻度を徐々に減らしていき、精神的に余裕を持った状態を保つことを可能にしていきます。マインドフルネスは、いつでもどこでも実践できることが特徴です。しかし、習得するには一定の時間が必要になるため、最初は専門家に教えてもらいながら実践しましょう。
TMS治療は欧米で導入が進んでいる最新の治療法で、日本でも一部の医療機関で導入が進んでいます。脳の特定部位を磁気刺激で直接刺激し、脳の状態を正常に戻すことで脳機能を改善するという仕組みです。TMSはアメリカ食品医薬品局(FDA)に認可を受けています。この治療法は、精神疾患全体に効果があるとされています。その中でも、特にうつ病に効果的な治療法です。思い悩んだり、ネガティブな気持ちが続いてしまったりする状態を改善する効果があるとされています。
反芻思考について紹介し、対処法などを解説しました。上手くいかないことがあった時などにネガティブな考えが続くと、反芻思考に陥ることがあります。しかしこの思考が癖になってしまうと、社交不安障害やうつ病になっていくリスクもあります。反芻思考をしている自分に気がついたら、陥りやすい時間帯を考え、他に集中できることを探してみるようにしましょう。そして、解決思考を意識できるようになるとさらに良いです。どうしても自力で解決できないという場合は、医療機関を受診するという方法もあるため、自分にあったやり方で反芻思考を対処しましょう。
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