記事更新日:2023年10月23日 | 初回公開日:2023年10月23日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報ギグワーカーとはインターネット上のプラットフォームなどを経由して、単発の仕事を請け負う労働者のことを指す言葉です。具体的には、業務委託の労働者に配達業務を委託しているウーバーイーツの配達員などが例として挙げられます。ギグワーカーは近年、従業員の副業を許可する企業の増加に伴い増えつつあります。労働者側は時間の拘束を受けず任意のスケジュールで働くことができ、依頼主は不足している人員を一時的に補充できるため現在注目されつつある働き方の一つです。
ギグワーカーの言葉の由来は音楽用語から来ています。ギグとは、ライブ等で演奏者が即興で行う一度限りのセッションのことを指す言葉です。ギグワーカーは、企業と雇用関係を結ぶこと無く、短期的または単発の仕事を請け負うのが特徴の一つです。そのため、ギグワーカーは上記の特徴である「一度限り」という点を音楽用語のギグになぞらえていて、労働者という意味のワーカーと組み合わせています。このような理由からギグワーカーの定義はあくまで、単発の仕事を請け負っている労働者という枠組みになります。
ギグワーカーが多くの人に注目されているのには、不景気により雇用に対する不安が増加したことが背景にあります。特に2020年以降から流行したコロナウイルスは世界経済に大きな打撃を与え、中には経営不振に追い込まれた企業も少なくありません。このような現状から企業側は積極的な人材の雇用を避け、労働者は一つの雇用先からの収入に依存することへ不安感を感じやすくなりました。そして、企業側は必要な人材を一時的に利用する目的で、労働者は副収入を得るために利用する機会が多くなったと考えられます。
ギグワーカーが普及したきっかけには2017年の「働き方改革」も影響しています。「働き方改革」には労働者の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現する目標があります。これに伴い2018年には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が発表され、同時に「モデル就業規則」からは副業禁止規則が削除されました。このように、政府は労働者の副業や兼業を推進しているので、上記のタイミングで従業員の副業を認める企業も増え、労働者はより積極的に副業に取り組みやすくなりました。
ギグワーカーが請け負う業種には様々な種類があり、現在では企業とワーカーを繋ぐプラットフォームも普及しています。例えば自分のスキルに合わせた仕事を募集できるココナラや、携わりたい業種を選択して仕事に応募できるクラウドワークスなどが具体例の一つです。このように現在ではスマートフォンやPCから一般人でも簡単に副業を募集・応募できるサービスが豊富に提供されています。そのため、副業にアクセスしやすい環境が整っているという点も、ギグワーカーが普及した原因の一つと言えるでしょう。
ギグワーカーは企業と業務委託契約を結ぶことが多いという点がアルバイトとは異なります。アルバイトは期間の定めの有無に掛からず、雇用時には雇い主と雇用契約を結びます。そのため、業務にあたる際には雇用契約に基づいて、決められた時間に決められた日数働かなくてはなりません。これに対してギグワーカーは業務内容にもよりますが、業務に携わる時間帯を任意で決めることが可能です。そのため、様々な制約のあるアルバイトとは働き方が異なります。
日雇い労働者は短期的な就業という点ではギグワーカーと似ている点もありますが、アルバイトと同じく直接雇い主と雇用契約を結ぶ就業形態です。日雇い労働者とは日々雇用される者かつ、30日以内の期間を定めて雇用される労働者と定義されます。日雇い労働者はこの定義に則り一日単位で雇用主と契約を結んでいるので、ギグワーカーとは異なる存在です。また、日雇い労働者は専用の手続きをすれば雇用保険に加入できるのに対して、ギグワーカーにはこのような制度が無いという点も相違点として挙げられます。
派遣労働者が派遣先で働くには雇用主と雇用契約を結ぶ必要があります。さらに、派遣事業では、人材派遣の際に派遣元管理台帳や個別契約書など法律で定められた書類を作成しなければなりません。しかし、ギグワーカーは特定の会社に属している人材ではないので、このような書類の作成義務がありません。また、就業時間に関してもギグワーカーは一時間単位で契約を結ぶ形式がスタンダードなのに対して、派遣では一日単位の契約が主流となっています。
フリーランスは個々人の働き方にもよりますが、基本的に案件ごとの単位で継続性のある仕事を受注している場合が大半です。そのため、実労働時間が長くても短くても報酬に変化はありません。これに対してギグワーカーには上記の報酬形態の他にも、一時間単位で報酬が発生する労働形態など多様な働き方があります。また、フリーランスは主に専門性の高い仕事を請け負うのに対して、ギグワーカーは難易度の低い仕事を請け負う場面も多く存在します。
企業がギグワーカーを利用すると採用コストが削減できるというメリットが発生します。通常、企業が人材募集を行い、採用から就業させるまでに至るには、金銭的なコストだけでなく採用や教育に関わる時間的なコストもかかります。しかし、単発で仕事を請け負えるギグワーカーを利用すれば、上記のコストをなるべく抑えて業務を遂行できます。さらに、採用から労働に移るまでの様々な手続きを簡略化できるため、即戦力としての効果も期待可能です。
ギグワーカーを利用することで現場の人材の幅が広がるという点も、企業側がギグワーカーを利用するメリットの一つです。通常の人材採用では基本的に一日8時間働ける人材を募集するため、集まる人材には限りがあります。しかし、上記の条件を満たせなくても、優れた能力を持っている人は大勢存在します。ギグワーカーは時間に融通の利く働き方のため、積極的に活用すれば上記のような優秀な人材を発掘できる可能性があります。このような点からも、ギグワーカーの活用は企業にとって良い効果をもたらします。
ギグワーカーは個々に必要な分だけ仕事を依頼できるメリットもあります。企業は業種によって事情が異なりますが、繁忙期や閑散期など時期によって業務量が変動するケースも少なくありません。そのため、人材を正規雇用で雇ってしまうと繁忙期には助かる反面、閑散期になると人手が余ってしまい、売り上げに対して人件費が大きくなってしまうケースもあります。このような場合にも、企業は必要な時に必要な分だけギグワーカーに仕事を依頼すれば、人件費の削減にも繋がります。
ギグワーカーは必要な時だけ人材を補充できるという反面、多用すると社内にスキルが蓄積されません。ギグワーカーの活用はあくまで外部委託です。その場限りの労働者に頼りすぎていると、本来社員が仕事を経て得られるはずの知識や経験を蓄える機会を奪うことになりかねません。このような理由から、ギグワーカーの活用は手軽で便利な反面、人材育成や会社そのものの成長という観点から考えるとデメリットになることもあります。そのため、利用の際には上記の点も十分考慮して任せる仕事を選ぶ必要があります。
ギグワーカーを企業が利用する場合、情報漏洩のリスクがあることも覚えておきましょう。外部の人材に仕事を任せると、雇った人材が業務で知り得た社外秘の情報を外部に漏らす可能性が発生します。特にギグワーカーは通常通り雇用される社員と異なり、全ての人が情報管理に関する教育を受けているとは限りません。本人に悪意が無くても、SNSなどで本来外部に漏らすべきではない情報を含んだ内容を書き込んでしまうことも有り得ます。そのため、ギグワーカーを利用する際には、情報管理についてもしっかりと留意しておかなくてはなりません。
ギグワーカーは幅広い人材が多数見つかる反面、人によって能力にバラつきがあるという難点があります。ギグワーカーを見つけるにはインターネットのプラットフォームを利用する場合が殆どです。募集時には応募者の実績や経験を確認することになりますが、記載されている内容が必ずしも十分な信頼に値するものとは限りません。そのため、依頼した成果物が期待通りの水準に達していない場合もあります。そのため、ギグワーカーを取り入れる際には事前に業務マニュアルを用意するなどの対策を取らなければ、一定水準の成果を保つのが難しくなります。
ギグワーカーとして働く際に得られるメリットはストレスを感じにくいという点です。一つの会社や職場で継続的に働き続けるには、円滑に仕事を進めるためにも同僚や上司などの職場の人間とも良好な人間関係を保つ必要があります。そのため、大抵の人は職場でも良好な人間関係を築こうと努力するので、その分ストレスを感じやすくなります。しかし、ギグワーカーが務めるのはその場限りの職場なので、上記のように無理に良好な人間関係を築く努力は必要ありません。このような理由から、人間関係に気を配るのが苦手な方もストレスを感じずに働くことができます。
ギグワーカーは労働者側が自分の空いている時間やスケジュールに合わせて仕事ができるため、より自由度の高い働き方を実現できるメリットがあります。従来の就労体勢では、決められた時間帯にまとまった時間を確保できない人は、就労が難しいという問題がありました。しかし、ギグワーカーであれば、曜日や時間帯など自分の都合に合わせて働く時間を選べます。そのため、現状『働きたいけど働けない』という問題を抱えている人も自分のライフスタイルに合った就労方法を見つけやすい点が大きなメリットと言えるでしょう。
従来の就労体勢では、労働者は企業の提示した労働条件から仕事を選ぶしかありませんでしたが、ギグワーカーは労働者が自分で労働条件を選べます。そして、企業側は必要な時に求める人材を一時的に補充できる点に高い利便性が存在します。そのため、ギグワーカーの存在は労働者と企業のどちらにもメリットがあると言えるでしょう。しかし、その反面、継続性の無い仕事は今後のキャリアアップや人材教育をする上では却ってデメリットが生じるリスクも孕んでいます。そのため、ギグワーカーの導入の際にはリスクについても十分考慮した上で、社内の発展に活かしましょう。
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