記事更新日:2021年01月18日 | 初回公開日:2020年12月01日
用語集 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報育児短時間勤務制度とは、3歳未満の子どもを養育する従業員が受けられる勤務時間を短縮できる制度です。2009年の「育児・介護休業法改正」により義務付けられ、従業員が希望した場合、企業側は1日の勤務時間を6時間(原則として)とする措置を行わなければいけません。法改正前の短時間勤務では、選択的措置義務のひとつだったため強制力はありませんでした。しかし、今回の改正において措置義務となり、育児・介護休業法により定められたため企業は対応を求められることになります。
介護短時間勤務制度とは、身内の介護を理由に勤務時間を短縮できる制度です。事業主は、要介護状態にある家族を介護する労働者が短時間勤務を希望すれば、勤務時間の考慮を講じなければなりません。短時間勤務以外にもフレックスタイム制度や始業・終業時刻の繰り上げ(繰り下げ)、時差出勤制度など時間を考慮した働き方は挙げられます。この制度は、要介護状態にある家族1人につき、少なくとも93日間(介護休業をした日数と合わせて)は利用することができるようになっています。
短時間正社員制度とは、名称から想像できるとおりあらかじめ業務時間を短く設定したうえで正社員として雇用される制度になります。正社員は1日8時間(休憩時間1時間含む)、週5日勤務するフルタイム制度が一般的ですが、短時間正社員は最初から短い業務時間で働けます。また、無期労働契約を行う雇用形態のため、近年多くの企業がこの制度を取り入れられてきました。育児や介護をしながら安定して働けるため、労働者にとって安心して働ける労働環境になり定着率が高くなっています。
短時間勤務制度は、育児や介護に限らず仕事もプライベートも充実させたい人など、誰にでも適用される制度でもあります。働き方改革に代表されるように、仕事以外で個人の自己実現をするのも大切なことです。これから短時間勤務制度を利用して生活の安定を図りつつ、時間を有効活用してライフワークに取り組む人がますます増えるでしょう。短時間正社員制度は、家庭とライフワークバランスを取る方法として多くの人に役立っています。
短時間正社員の雇用形態は正社員として扱われますが、労働条件は期間に定めがない無期労働契約になります。つまり、フルタイム正社員より短い業務時間であり、フルタイム正社員と同等の時間賃率となり、賞与・退職金の算定方法なども同じです。また、社会保険もしっかりと適用されるのが大きなメリットと言えるでしょう。短時間勤務においても社会保険が適用されることで安心感も生まれ、企業側にとっても続けてほしい人が短時間でも働いてくれる状況が生まれます。
育児や介護をしながら仕事を続けることは想像以上に難しく、離職してしまう人も少なくありません。短時間勤務制度を導入することで仕事と家庭の両立がしやすくなり、時間や気持ちの余裕が生まれるということが、短時間勤務制度を利用する一番のメリットでしょう。労働時間や勤務日数を減らすことにより、仕事を続けながら、子供の成長を見守ったり家事をしたりすることが可能になります。これまでは難しかった出産後の継続的なキャリア形成も、短時間勤務制度があれば視野に入れることができ、就業継続に対する意欲を高めることにもつながります。
企業によっては不妊治療を行う家庭に対して、休職(最長1年)と最大で30万円の補助が行うなど妊治療サポートを導入し、少子化対策に取り組むところもあります。しかし、そのような企業はほんの一部で金銭的負担や子育てとの両立が難しく、妊活や子供を持つことを諦める夫婦も少なくありません。短時間勤務制度が充実することで子供を持つことへの負担やハードルが減り、少子化問題にも繋がるでしょう。そのため、政府としても不妊治療の助成金、短時間労働勤務の推進に力を入れています。
短時間勤務を導入すると、従業員と企業の双方にメリットがあります。まず、従業員にとってのメリットは、出産を機に離職をする必要がなくなるという点。継続した雇用が保証されることにより、出産した後も安定した収入が確保できます。また、出産後もキャリアを諦めることなく、継続してキャリア形成ができるため、キャリアアップを希望する女性にとっては大きなメリットでしょう。企業にとってのメリットとしては、実績や経験、スキルのある従業員を継続して確保できることです。
朝晩の保育園への送り迎えに加え、子供の体調不良により急に仕事を休んだり早退したりと、予測不能なことでことがあるのが子育てしながら働く家庭の悩みでしょう。短時間勤務制度にすると、例えば出勤時刻を繰り上げることで保育園に送り届けてから出勤できる、またはベビーカーでの通勤ラッシュ負担を緩和できるなどのメリットがあります。このようなメリットは、優秀な人材の退職を防ぎ、従業員の定着率を上げることにも繋がるでしょう。
育児短時間勤務制度には、メリットだけではなくデメリットもあります。良く挙げられるのが給料、収入に対する不安でしょう。やはり、フルタイム勤務に比べて短時間勤務制度を利用すると給与や賞与が減額されます。「育児・介護休業法」には、従業員にとって不利益な取り扱いを禁ずる条例はありますが、就労時間が短くなった分、給料が減額することは法律違反ではありません。時間を短くした分の給料が差し引かれることを念頭に入れておかなければなりません。
短時間勤務で働く従業員の業務は、フルタイム勤務の従業員に引き継がれます。そのため、他の従業員への仕事負担が増え、社内で不公平感が生じやすくなることもあるでしょう。企業側は、不足分の労働力を社内で補ったり外注したりするなどの策を求められます。また、コロナ渦で浸透しつつあるリモートワークなど柔軟な働き方を取り入れていく必要もあるでしょう。フルタイム勤務の従業員と短時間勤務の従業員が良い関係性で働けるためにも、多くの職種において業務の配分バランスを見直すなどの配慮を考えなければなりません。
短時間勤務の従業員は増えれば増えるほど、企業はその分の仕事を割り振る必要が出てきます。また、不足分を派遣やアルバイトを雇って業務分担する場合も手間やコストがかかるため、企業側の負担が増えることが想定されるでしょう。しかし、優秀な人材の確保や定着率を上げて企業として躍進するという意味においてはデメリットのみではありません。従業員の数が増えると分担表を組み直すなどの手間はかかりますが、中長期的に考えれば人材不足の解消にも繋がりメリットと言えるでしょう。
時短勤務を利用することで、どうしても周囲の人の負担は増えてしまいます。このようなトラブルは、どの企業でも起こり得るものでしょう。とくに短時間勤務を行なっている従業員の態度が横柄だと、周りの人は不公平感を抱いてしまうことも。派遣やアルバイトと違い、正社員で短時間勤務の場合は、ほんの少しの思い違いが大きなトラブルに繋がってしまうことも少なくありません。短時間勤務の従業員だけでなく、その周りの人も気持ちよく働ける環境作りを意識するようにしましょう。
多くの企業で従業員に対して、柔軟な勤務を認めるようになりました。とくに育児・介護休業法で定められた短時間勤務においては、法律で定められたものであり、適用したからと言って昇格や減給などに不当な扱いをすることは禁じられています。不当な扱いがあった場合は従業員から訴えられる可能性もあるので注意しなければなりません。専門職の場合、代わりの人材を探すまでの時間を有することがありますが、それを理由に不当な扱いをすることもできません。短時間勤務により給与が減額する以外、役職を落とすことや減給などで申請者にとって不利益となる要素がないよう務める必要があります。
日本を代表するグローバル企業であるトヨタ自動車では、他の企業に先駆けて働き方について柔軟な対応を取り入れてきました。なかでも育児家庭に対する制度は手厚く、子供が2歳になるまでは4時間、10歳までは6.7時間と設定できる短時間勤務制度を導入しています。労働時間を子供の年齢で区切って補助する企業は珍しく、交替制勤務(夜勤含む)の職場では子どもが10歳までは6時半から15時の勤務シフトとすることが可能です。夜勤や深夜勤務がないのは、子育て世帯にとっては大きいサポートと言えるでしょう。
半導体機器メーカー大手のソニーでは、仕事と家庭の両立を支援するため多くの取り組みが実施されてきました。リモートワークのような在宅勤務を可能とする制度に加え、柔軟な勤務を可能とするための「育児期フレックスタイム勤務」も実施しています。また、男女ともに取得可能な育児休暇を含む両立支援制度の導入など、取得者が働きやすい職場の環境整備にも取り組んできました。その他にもベビーシッターを利用した際の費用補助制度、会社に籍を置きながらでも可能な配偶者の赴任同行、修学支援のために休職制度などもあります。
日本の主要航空会社の全日本空輸(ANA)では、子どもが9歳になる年まで、1日の労働時間を5時間(or6時間)にする制度を導入しています。国際線などの長期フライト、国内線の泊まりを含む業務などについても柔軟に対応。また、1日の労働時間は通常通りのままで月の勤務日数を少なくできる短日数勤務制度も導入。そのほか、妊娠が判明したときから一定期間休業することできる懐妊・育児休業制度も用意。機内サービスという特殊な業務に対する充実したサポート体制を整えています。
少子高齢化により人材不足に頭を抱え、人材を獲得することに苦戦している企業が多くあります。短時間勤務などの制度を整えることで、日本政府を含め人材確保に繋げたいという狙いもあります。柔軟な働き方を進めることは、優秀な人材の離職を防ぎ、従業員の定着率を上げることにも繋がるでしょう。継続した雇用が実現すれば、労働意欲が高い人材が集まりやすくなり、企業としての生産性向上も期待できます。ワークバランスのとれた働き方が可能な環境を整えて、企業も労働者も双方にとって良い社会に繋げていきましょう。
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