記事更新日:2023年03月23日 | 初回公開日:2023年03月22日
人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド 用語集キャリアアンカーとは、キャリアを形成する上で最も譲れない価値観や欲求のことを言います。簡単に言いかえれば、仕事および職業選びで自分が最も重視する要素で、これだけは妥協できないと主張する部分です。キャリアアンカーは30歳ぐらいで形成されると言われ、一度形成されると年齢や環境の変化などにも左右されにくく、キャリアの方向性を決める要因となります。キャリアアンカーとは、あくまで自分の価値観に基づいて主張するものであり、大きく8つのタイプに分類されています。
管理職に就く事で大きな価値を見出すタイプの人は、マネージメントや問題解決を好む傾向があります。個人の職業能力を高めることよりも、部門や企業全体の改善や収益向上に努めることで満足感が得られます。このようなタイプの人がマネージメント職に就けば、自ら責任ある行動をとり社員の見本にもなるでしょう。また、部門や企業の経営状態などにも興味を持つため、経営に関わる数値の意味や言葉の意味も積極的に覚えるはずです。管理能力型の人が、金銭経営と同時に人材に関するマネージメントも学べれば、良き経営者となるでしょう。
専門能力に価値を見出すやタイプの人は職人気質などとも呼ばれるプロ意識が高い傾向を持ちます。広く浅く勉強するよりも自分が好む1つのことにだけ集中し、深く知ることに努力を惜しみません。頑固なタイプの人も多く、企業では十分な経験を積んでいるため管理職に推薦しても、現場にこだわって断ることさえあります。また、近年における多くの起業では何でもこなせる万能タイプを好む傾向にあるため、企業から離れて独立する人も多く見られます。企業側では個人の考えを尊重し、専門分野に留めおくことも戦略の一つです。
安全や安定に価値を見出すタイプの人は、自分だけでなく家族などの安全も優先し、安定した暮らしを望みます。人間がもともと持っている重要な価値観であるため、他のタイプのキャリアアンカーと、どちらが優位か分からなくなることもあるでしょう。序章では、キャリアアンカーは一度形成されると変わらないと書きましたが、人間の基本的な欲求である安全および安定は何事にも優先することがあります。また、公務員などが安定した職業とされていましたが、激動する昨今ではそうした固定的な考え方も変わってきています。
新しいことを発見したり生み出したりする事に価値観を見出す起業家的創造性タイプの人は、起業の中では新しい事業の立ち上げなどで活躍します。起業家的創造性タイプの人は、新しいアイデアを考えることが好きな傾向にあり、今まで経験しなことのない仕事や事業であっても柔軟に対応するでしょう。このタイプの人は既存の仕事では物足りなさを感じ、誰も挑戦したことのない仕事などに自分の居場所を見つけて、生き生きと仕事をします。経営や運営よりも、新しい発見やアイデアの方に大きな関心を持ち、先を見るタイプの人です。
自立と独立を求めるタイプの人は、人から支持された仕事をすることを好まず、自分のペースと自分のやり方で仕事をしたい傾向があります。このタイプの人は、いつか独立する日を目標に、キャリアを積むまでは我慢しながら教える人の指示に従います。しかし、秘めたる胸中には夢見た独立があるため、指示に従いながらも独自の仕事の仕方なども研究も忘れません。ただし、仕事を覚えるとともに会社として運営しなければいけないので、両方を並行して学ぶことが大切になります。
奉仕や社会貢献に価値を見出す人は比較的に多いといえます。特に年齢を重ねるごとに、社会に貢献したいという気持ちは強くなっていくでしょう。他のタイプの人であっても達成感のあとには、社会や誰か一人のためにでも役に立ちたいという気持ちが芽生えます。奉仕や社会貢献に価値を見出す人は、正義感の強い傾向が多く見られるためです。ただし、強い正義感を持って社会貢献や奉仕のために選んだ名目が人々の安全を守ることや治安維持であっても、実態は大きく違うことも多いので注意しましょう。
チャレンジタイプは、難しいことに挑戦することで満足感が得られます。とくに好きな仕事や興味のある職業でなくても、なかなかできない事に挑戦することに価値を見出します。チャレンジタイプの人が挑戦に成功した場合には、難しいことが目標だっただけに仕事にやりがいを見つけることも多くあります。順番は変わってしまいますが、チャレンジ精神から自分に合う適切な仕事が見つかることも多くあるでしょう。また、チャレンジ精神は一生続くので、目標を失わず諦めないようにしましょう。
生活様式に価値観を見出す人は、仕事だけでなくプライベートも両立することで満足感を得ます。どちらか一方に比重を置くのではなく、両方をそつなくこなすことに価値があると考えます。在宅ワークなどが進む現代では、生活様式タイプの人が活躍できる場所が多くなるはずです。ただし、2つを完全にフィフティフィフティに両立することは難しく、困難な場面に突き当たることもあるでしょう。生活での重要な場面なのか、それとも会社の岐路となる重要なときなのかを、十分に考慮する瞬間に備えておきましょう。
キャリアという言葉には多くの意味があるため、簡単に分かるように「仕事」「職業選び」「就職および転職」などに置き換えてみましょう。就職や転職の際の仕事や職場選びに、最も重視することが分かることで、意思決定は容易になるでしょう。若い時期にはやりたい事が見つからず、とりあえずアルバイトなどでつなぐ人も多くいます。自分のキャリアアンカーが何なのか、自分で気づいていないことも多くあります。そんな時には自己診断をして、自分の心の中にあるキャリアアンカーを知ることが大きな役に立つでしょう。
キャリアアンカーは、あくまで自己が主張する主観的なものですが、企業側が社員のキャリアアンカーを知ることで会社と社員の関係を良好にできます。例えば、専門タイプの人が適職部門にいてやりがいを感じているにもかかわらず、他の部門に異動を命じることは本人のやる気を阻害します。逆に、単純な作業部門にいた人が希望の専門部門に異動となれば、水を得た魚のように隠れた本領を発揮して会社に大きく貢献してくれるでしょう。社員のキャリアアンカーを知ることには、双方のミスマッチを防ぐメリットがあります。
社員のキャリアアンカーは社員が仕事に求める最も重要な部分であり、そこを充足してあげることで社員のモチベーションは上がり生産性も向上します。多くの社員のキャリアアンカーをアンケートなどで調査し最適と思える職場に配置することで、企業全体のモチベーションも上がるでしょう。高い意識とモチベーションを備えた企業は強く、変化し続ける現代社会でも柔軟かつ目標は見失うことなく躍進を続けられます。社員のモチベーションを上げることは、企業の収益アップのために必要な絶対条件です。
社員自身が考えるキャリアアンカーと企業側が考える社員の理想の姿にはギャップが生じることも多くあります。社員自身は専門知識を極めたいと思っていても、企業側では別の能力を高く評価していることもあります。企業評価により単純に専門職からマネージメント職への異動を命じたならば、会社に不満を抱くだけでなく最悪の場合には退職されることも避けられません。社員と面談の際にキャリアアンカーを把握してアドバイスすることで、本人が納得するケースも多くあるでしょう。
キャリアアンカーは社員育成や研修などにも役立ちます。入社間もない社員には、まだ何が重要でこれからどんなキャリア形成をしていくかなど考えていない人も多いでしょう。しかし、前述のようにキャリアアンカーは30歳ぐらいまでに形成され、それまでの成長過程もあるはずです。社員のキャリアアンカーが形成されるために、企業側が積極的に関わることも可能です。社員を育成するための研修カリキュラムにキャリアアンカーの項目を加えることで、企業が求める人材に育てることもできるでしょう。
自分や社員のキャリアアンカーを知る上で、専用の質問票は非常に有効です。自分が知らなかった心の奥底にあるキャリアアンカーが少しでも見えてきたら、特に若い人は将来に役立つでしょう。何をしていいのか、何をしたいのかが、自分の中でいつの間にか育っているのです。企業でも定期的に専門の質問票に記入してもらうことで、社員全員のキャリアアンカーを概ね把握できます。社員の希望を充足することだけが良いとは言い切れませんが、間違いなく社員のモチベーションは上がります。
キャリアアンカーは自己評価に基づくキャリア形成で譲れない要素です。上記ではキャリアアンカーを8種のタイプに分類しましたが、複数に当てはまる人も多いでしょう。若い方々は、「自分が何をしたいのか」「自分は何ができるのか」「自分は何をすべきなのか」が分からず、フリーランスなどとして働いている人も多いかと思います。キャリアアンカーを知ることは自分を知る良い機会ではありますが、第3者が客観的に見た評価と診断を見較べて、複数あるアンカータイプから自分を再度診断することも重要だと言えます。
キャリアアンカーは仕事選びなどにも重要ですが、仕事を継続することや仕事の中にやりがいを見出すことに役立つものです。社員はやりがいを感じ、充実感も味わうことができます。企業では社員のキャリアアンカーを専用の質問票やアンケートなどにより、個人のタイプを知ることができます。またキャリアアンカーが未成熟である若手社員の方々には、キャリアアンカーの大切さを教育するとともに、キャリアアンカー形成を手伝うことも可能です。ぜひ個人のキャリアアンカーを会社で活用し、活気あふれる社内環境を目指すとともに、企業全体のレベルアップを図ってください。
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