記事更新日:2021年09月16日 | 初回公開日:2021年03月30日
用語集 外国人採用・雇用 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報プロパー社員の「プロパー」とは、英語のproper(固有の、正確な、適切な)という単語から由来しており、人事の方から経営者に至るまで幅広く使われている言葉です。また、プロパー社員という言葉には、日本の社会でよく見られる「立ち位置の明確化」や「他者との差別化」などの文化が顕著に表れています。様々な業界で使われていますが、定義などはなく、場面や職場によって使われ方やニュアンスが違います。したがって、誤解などを防ぐためにプロパー社員という言葉を社内制度や人事制度の用語として使用しないようにするか、もしくは定義を明確にするなど、注意が必要です。
プロパー社員の主な意味には「新卒」「正社員」「自社社員」の3つがあります。どれも同じ「企業の社員」という捉え方ができますよね。まず中途入社の社員の割合が多い会社で、新卒、いわゆる生え抜きの社員という意味で用いられることがあります。これは中途入社の社員と新卒の社員を区別するといった意味の活用でもあるでしょう。正社員という意味で用いられるのは、契約社員や派遣社員アルバイトと、正社員の区別化をしたいときです。そして、外部スタッフや出向社員、自社社員を区別したい場合には、プロパーという言葉が自社社員という意味で用いられるというのが文字通りわかるでしょう。
基本的には、プロパー社員も中途社員も、昇給の扱いに変わりはありません。しかし、プロパー社員を新卒として捉える場合、プロパー社員は、中途採用で入社した社員よりも昇給しやすくなる場合があります。職務給と呼ばれる役職などによって給与が定められる制度は、中途採用で入社したばかりで役職がない場合は、他の同年代の社員と比較して昇給や給与が少なくなることもあるでしょう。また、年齢給と呼ばれる勤続年数や年齢に伴って昇給する制度は、中途採用で入社すると必然的に勤続年数が浅くなるため、昇給や給与が少なくなります。したがって、プロパー社員の方が中途社員よりも昇給しやすい場合があることが分かります。
プロパー社員と契約社員の意味的な違いは、「雇用期限の有無」です。正社員は、無期雇用なのに対し、契約社員は通常1年で契約が更新されます。給与や福利厚生、キャリアなどの違いもあります。基本的には、契約社員には、賞与や退職金などは与えられません。有給休暇は、労働基準法で定められているため与えられますが、病気休暇などはない場合が多いでしょう。また、企業によっては正社員と契約社員で職種や仕事内容が分けられている場合があります。その場合、契約社員はどうしても正社員のアシスタントのような仕事を任されることが多く、実力を発揮できる機会が少ないこともあるでしょう。キャリアアップを考えている社員を契約社員のままにしておくと、社員の不満につながることもあるので、雇用形態に関しては社員の適性を見て注意が必要ですね。
プロパー社員を自社社員として捉えると、外部からの出向社員や下請け社員と区別しているわけなので、当然決定権はプロパー社員に委ねられることが多いです。自社についてのことならなおさらでしょう。しかし、一つの企業の文化しか知らない生え抜きの社員に任せてしまうと、意見が偏ってしまうこともあるかもしれません。逆に他の企業の文化にも触れたことのある中途社員は、広い視野で物事を考えることができるでしょう。もちろん、外部の社員の意見を取り入れることで、組織自体の視野も広げることができます。決定権を誰に委ねるのかは、慎重に考えなければいけません。
プロパー社員という言葉は、否定的または差別的なニュアンスで使われていることもしばしばあります。プロパー社員は、自社の無期雇用の正社員であるがゆえに、無条件に非プロパー社員よりも待遇がよくなってしまいます。そのため、プロパー社員と非プロパー社員の間に確執が生まれてしまうこともあるでしょう。また、様々な企業や職に触れた経験のある中途社員や契約社員はプロパー社員よりも経験が豊富で、能力的にも勝っている場合があります。下請け社員からしても、同じプロジェクトに携わっているのにも関わらず、自分より待遇の良い人がいると、不満も募ることでしょう。
プロパー社員は経験が浅く、自社以外に詳しくないため世間知らずであることは珍しくありません。そのため、非プロパー社員はプロパー社員に否定的なイメージを持っているケースもあります。当然ながらプロパー社員は、自社の文化についてしか会社というものを知りません。他の企業の組織にも触れた経験のある非プロパー社員からすると、一つの企業しか知らないプロパー社員との知識や経験の差を感じることでしょう。したがって、プロパー社員に対して世間知らずというマイナスなイメージがついてしまっていることも良く見られます。
プロパー社員に対して、視野が狭いというイメージも持たれることがあるのが現状です。プロパー社員は、自社のことについてしか会社というものに具体的なイメージがなく、経験も同じく自社のみでしかありません。当然、中途社員のように知識や経験が豊富な方と比較すると、広い視野で物事を捉え考えることができないでしょう。外部からの出向社員や下請け社員は、二つの企業を同時に見ているわけですから、当然視野も広くなります。これらを踏まえると、プロパー社員の視野が狭いと感じられることも珍しくはないでしょう。
プロパー社員は保守的である傾向があります。自社への愛着が強く、自身の評価を気にして会社や上司に従属的になりがちであるためです。自社の伝統や風習などを重んじて指示にしっかりと従うので、一見とても良い社員であると感じられそうですよね。しかし、かえって対応力や柔軟性に欠けている、チャレンジ精神がないという企業にとってよくない側面も持ち合わせていることもあるでしょう。顧客のニーズはもちろん、時代の変化などにも対応できないと、企業の成長の停滞につながる可能性もあります。
プロパー社員の給料は、実力以上に高価であるというのが事実です。中途社員や契約社員、外部の社員の方が知識も経験も豊富で、能力的にも長けている場合はすくなくありません。それでもプロパー社員は、非プロパー社員より様々な待遇が良いのが現状です。特に中途社員や契約社員は、資格や、能力、実績などに基づいて採用されることが多いため、プロパー社員と比較して自身の待遇に不満を抱くことが多いでしょう。そのため、プロパー社員という言葉は否定的、差別的なニュアンスで使用されることが多いのです。
プロパー社員と非プロパー社員との間に差別が起こってしまう原因として、評価基準が明確でないということが挙げられます。職務給や年齢給を取り入れている場合だと、非プロパー社員はどうしても評価されにくくなってしまいます。プロパー社員は必然的に上司と長い付き合いになるため、特別視されることも否定できません。そうすると、基準が不明確になり評価に不満を抱く社員も出てくるでしょう。また、中途社員の場合は、能力な実績を重要視して採用されているため、評価基準が高く実績をあげても認められにくいという事実もあります。このような評価基準の差から、差別意識が生まれてしまうのです。
非プロパー社員がプロパー社員との差を最も強く感じる面は、給料待遇に対してです。プロパー社員に有利な給料制度が採用されていたり、評価基準が不明確であったり、評価に差があったりなどするように、給与に関しても差が生まれてしまいます。その差をなくすためには、全ての社員にとって平等な人事評価制度や給料制度を導入すべきでしょう。もちろん、プロパー社員の上司からの特別扱いなどもなくなるようにすることも改善には必要です。給料待遇についての不満は様々な要素が絡んで生み出されているといえるでしょう。
プロパー社員同士の場合、長く同じ環境で共に仕事をしているために仲間意識が強くなりがちです。したがって、どうしてもプロパー社員同士で固まってしまうことが多く、必然的に派閥やグループができてしまうことがあるでしょう。このような派閥やグループについて、非プロパー社員は疎外感や居心地の悪さを感じてしまうことが多々あるので、無意識にプロパー社員との間に壁が生じてしまいます。プロパー社員目線だと、非プロパー社員は「よそ者」であるという意識も少なからずあるでしょう。また、自分がプロパー社員であるというプライドから、非プロパー社員の意見を受け入れたがらない傾向もあるようです。
プロパー社員は同じプロパー社員同士で集まってしまうことが多いことから、他とのコミュニケーションが不足してしまう問題が起こってしまいます。非プロパー社員は、プロパー社員のグループに入りにくさを感じていることも多いです。こういったコミュニケーションの不足から職場の雰囲気の悪化も考えられます。さらに悪循環が相まって、コミュニケーションが十分に取れていない環境だと、意見の食い違いや認識の違いが生じ、企業の業績や経営にも関わることがあるでしょう。社員の連携が必要な業務を担っている企業や部署などではなおさら注意すべき点といえますね。
プロパー社員と非プロパー社員の差別をなくすには、評価基準を明確にするべきでしょう。非プロパー社員として働くことへの一番の不安は、プロパー社員と異なり自分がどのように評価され、どのように給与や昇給などにつながるのかがわからないということです。また、中途社員は、評価基準が高く、認められにくいということも大きな問題です。中途社員であっても、同じ正社員ならば平等に評価されるべきでしょう。このような評価の不平等な基準も、不安要素になっていることでしょう。
評価基準を見直すと同時に、非プロパー社員が不満を感じることが多い給料体制も見直すべきです。勤続年数などによって給料が定められる年齢給は、圧倒的に非プロパー社員にとって不利です。役職によって給料が定められる職務給も、プロパー社員と比較して任される役職の地位が低く、仕事量が少ない場合もあるので、不利になることがあります。プロパー社員と非プロパー社員の給料を平等にするには、実績を重要視して給料を定めると良いでしょう。評価基準と給料体制の見直しは、セットで考えられるべきだと考えられます。
プロパー社員とその他の社員に差別が起きないようにするためには、コミュニケーションの場を設けましょう。職場の雰囲気を良くする、また業務を円滑に進めるためにも、社員同士で積極的にコミュニケーションをとることが非常に重要です。壁をなくすために、プロパー社員と非プロパー社員を交えて職場環境に関しての意見を交換する場を作り、食事を共にするなど、気楽にコミュニケーションをとる機会を作ると良いでしょう。近年、社員同士の交流の機会を作るため、ランチ代を経費で負担しプロジェクトメンバーで食事をとることを推奨している企業もあります。仕事の話よりも、食事の場でプライベートの話をした方が、より仲が深まるかもしれません。
プロパー社員と非プロパー社員の間には、様々な差や壁があることが問題となっています。職場環境を良くするためにも、会社の業績にも、すべての社員が平等に扱われ、気持ちよく働ける職場にすべきでしょう。給料体制や評価基準を平等にすることは、やりがいを感じる社員が増えることにも直結します。また、社員同士が壁をなくし積極的にコミュニケーションをとることで、それぞれが持っている知識を交換しあったり、能力面で補いあったりすることができるでしょう。社員にとっても企業にとっても利益がたくさん生まれる会社を目指すために、コミュニケーションの活発な職場作りを進めていくことが大切です。
「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。
グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。
他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。
この記事を読んだ方は次のページも読んでいます。