交通費支給の際の注意点は【交通費支給の方式や決めておくべき事項について解説します】

記事更新日:2025年01月31日 初回公開日:2025年01月31日

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交通費は従業員の通勤にかかる金額を支給する「通勤手当」や、出張や営業などにかかる費用の「旅費交通費」があります。自家用車を利用した通勤手当や、営業車を利用した旅費交通費など一口に交通費といっても、時と場合によって扱いが違います。どういう風に支給するかや上限額が企業によって様々で、一概にこれが正解だという方法も存在しません。だからこそ、公平性や透明性が確保された就業規則の作成が求められます。そんな交通費の支給の方式や注意点についてまとめました。この記事は交通費の支給を理解し、適切な企業運営をしたいと考えている人に参考になるはずです。

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交通費支給とは

企業が定める福利厚生の1つ

交通費とは、通勤や日々の営業活動にかかる移動費や宿泊費のことです。またそれに付随する日当のことをいいます。法的に義務付けられているわけではなく、企業の福利厚生の一部です。義務付けがないからといって、交通費を支給しなければ従業員にとって魅力的な職場とは言えず、人材獲得の観点からもほとんどの企業が支払っています。企業側の福利厚生なので、支給方法や申請の仕方などを社内規則によって定めなければなりません。

交通費支給の方式

全額支給

全額支給とは従業員が支払う交通費を、全額企業側が負担することです。遠方からの出勤している社員にとっては経済的に恩恵のある方式ですが、企業側にとっては大きな負担となります。全額支給といえどすべての支払いを企業が負担するわけではなく、合理的で最安値といった基本的なことが守られる範囲内においてという企業がほとんどです。一部の企業では高速代やタクシー代は認めないなど細かなルールがあり、企業の事情によってルールを定めましょう。またすべての従業員の申請に対応しなければならないため、事務作業が煩雑になるといった欠点があります。

一部支給

一部支給とは、交通費の上限額を設定しそれを超えた場合は従業員負担とすることです。遠方から出勤する従業員の場合は経済的負担が大きくなりますが、企業はある程度の出費ですむので採用しているところも多いようです。上限額を超える住所の従業員を雇うときは、事前に説明しておく必要があります。これは採用する企業側が、近隣に住む人を採用したい意向を持っているともいえるでしょう。上限額を非課税限度額と同額にしている企業も多いようです。規定内支給とも呼ばれます。

一律支給

一律支給方式は、決まった金額を一律に従業員に支給します。従業員ごとの計算が必要なくなり支給の企業側の負担が少なくなります。費用の見通しが立てやすく、コスト管理にメリットがある方式といえるでしょう。ただし実際の交通費と差額が生じるため、出勤が少なく通勤費が安かった従業員には恩恵がありますが、多く出勤する従業員に負担と不公平感を与えることになりかねません。企業にとっては、手間や出費などコストを抑えることができますが公平感などを、担保することが求められるでしょう。

交通費支給の際に定めておくべき事項

支給要件

社内規程を作成する際は交通費の支給の対象を定めましょう。通勤距離や他に通勤手段がない場合に限るといった支給の対象を決めます。距離の場合が自宅と職場までが1km以上など具体的な距離を決めましょう。また、社用車等の無料で通勤できる手段がある場合は支給の対象外とします。また、特急料金など通常の通勤では認められない例も記載します。限度額があればその金額を記載し、超過分を従業員負担とするなど事前に支給の範囲を記載しましょう。

支給内容

支給の内容ですが対象となる手段を明記しましょう。通常は公共交通機関(電車やバス)やマイカー(バイク)が一般的です。もっとも合理的で経済的なものとして認められるものに、支給します。会社が直接定期券を支給したり、勤務日数に通常の運賃をかけた金額を支給するなど支給方法や計算方法を記載します。また長期の休職や欠勤の場合、支給を停止できることとするなど対象外になりえる事案も明記します。これらを明記することで、交通費支給の公平性や透明性を担保できるでしょう。営業や出張にかかる費用の場合、それが業務に対するもので認められるものに限り交通費の支給が認められるようにしましょう。

申請方法

通常、鉄道会社やバス会社の往復の料金などを記載した通勤経路図を申請書と一緒に提出します。住所の変更などにより通勤手段や距離が変更になった場合も、新たな通勤経路図を申請書と共に提出させます。利用交通機関の運賃の改定も同様です。これを怠り超過分を受け取った場合、返還要求する旨を明記しましょう。また、退職社員の通勤手当に関しては、発行機関に定期券を返還し払い戻し分を会社に返納することにし、意図的な通勤手当の超過分の受給を防ぎます。

確認方法

不正受給を防ぐために、適切な通勤ルートを申請しているかの確認方法を明記しておきます。購入した定期券のコピーや領収書の提出を義務化しましょう。これにより、購入していない定期代を不正に受給する事態を防げます。また定期的に住民票記載事項証明書を提出させます。これにより住所変更により現住所より遠い場所の通勤手当を申請し、不当に過大な金額を受給するといった事案を防げるでしょう。このようにルールを周知することが、適切な交通費の支給には求められます。

交通費の計算方法

公共交通機関を利用する場合

最も合理的で経済的な通勤ルートを選び定期代を計算し、支給するのが一般的です。比較的通勤ルートが限られる地方などは通勤ルートの選定が容易ですが、東京23区など交通機関が充実している都市部は、「合理的」かつ「経済的」な通勤ルートの選定が単純ではなく、申請された通勤ルートを検討する必要があります。遠回りのルートを選定した従業員がいた場合、本人に問いただし通勤ルートを修正させるといった対処が必要になります。

自家用車やバイクを使用する場合

自家用車やバイクを使用する場合は、通勤距離に応じてガソリン代を実費で支払う方式や、通勤にかかる距離と企業が決めた単価を考慮した計算で通勤手当を支給します。燃費や車種によって金額が違うこともあります。またマイカー通勤の場合は申請した車両でしか通勤を認めない企業が多く、前述した交通費支給の際に定めておくべき事項に記載し、周知しておくことが重要です。社用車など無料で通勤できる手段の場合は、支給されないのが一般的なのでこれも従業員に伝えましょう。

駐車場や高速代が必要な場合

従業員個人が借りる駐車場代は、通勤手当の場合所得税の課税対象になるため、企業が従業員に駐車場代を支給することはあまりありません。高速代に関してですが、経済的で合理的なルートであれば認められることがあります。公共交通機関の終電に間に合わないといった理由や、高速道路を使った場合の短縮時間など諸条件をクリアすれば、高速代の支給を認めている企業もあります。このように合理的な理由を、就業規則に明記しておくとスムーズな申請も可能となるでしょう。高速代についても、領収書の提出を義務付け不正受給を防ぎます。

交通費支給の非課税限度額

公共交通機関を利用する場合

公共交通機関での非課税限度額は、最も経済的かつ合理的な経路および方法で、通勤した場合の通勤定期券などの金額で非課税の限度額は15万円です。この金額を超える費用は課税対象となります。マイカーと公共交通機関を併用の場合でも上限は15万円です。平成28年度の税制改正により従来の10万円から15万円に引き上げられました。経済的かつ合理的であれば新幹線での通勤なども認められますが、グリーン車の料金は、最も経済的かつ合理的とは認められないため課税対象となります。

自家用車やバイクを使用する場合

マイカーやバイクなどを使用しての通勤の非課税限度額は、片道の通勤経路にそった長さに応じて決められています。2km以上10km未満の4,200円から55km以上の31,600円までに設定されています。例えば55km以上の通勤距離ならば、31,600円を超えた通勤手当は課税対象です。2km未満は徒歩扱いとなり非課税対象にはなりません。前述の通り、複数の交通手段を使う場合は合計で15万円が非課税限度額です。法改正により金額が変更されることもあるので国税庁のサイトなど最新の金額を確認しましょう。

駐車場や高速代が必要な場合

高速道路など有料道路は、最も経済的かつ合理的であると認められる場合に月15万円まで非課税の対象となります。例えば、距離に応じた限度額に高速道路代を足した金額が非課税の限度額です。時間短縮のための有料道路の使用は認められません。駐車場を従業員個人で借りている場合は、課税対象となります。なお、法人として従業員に貸し出すために駐車場を借りている場合は、非課税対象に含めることができます。ただし、役員など特定の個人の利用も目的としたものは、課税対象となります。

交通費支給の際の注意点

就業規程や賃金規定を明確にする

繰り返しになりますが、交通費の支給は法律上で定められた企業側の義務ではありません。各企業の就業規則でそれらをきちんと定められて、公平性や透明性が担保されていなければなりません。例えば遠回りのルートを申請しそれを受給した従業員がいたとします。発覚した後に就業規則を変えても就業規則の不利益変更となり、企業として対応が難しくなります。こうした事態を避けるためにも就業規則や賃金規程を明確にしましょう。また、定期的に通勤経路を監査することも重要です。

不正受給に注意する

交通費の受給に際し誤ったルートを申請したり、定期券を買っていないのに交通費を不正に受給するなどの行為は、詐欺罪に当たる可能性があります。発覚した際には聞き取りや支払いの超過分の返還を求めるなど、事前に対応を決めておきましょう。このような行為が発覚すると、懲戒処分や法的な処罰をうけるなど従業員に周知徹底します。前述した領収書の提出の義務化など支給前に調査しましょう。事前のこれらの取り組みによって不正受給のリスクを減らせます。また不正受給が発覚した後の再発防止策として、就業規則の遵守を周知することが再発防止に役立ちます。

テレワーク時における交通費支給を考慮する

テレワーク時における交通費の支給は、コロナ禍もあり多くの企業で対応が迫られています。また平時であっても、働き方の多様化などで在宅勤務手当に変更する企業もあるでしょう。テレワークといっても週に何回か出勤するケースもあるでしょうし、その場合は定期代の支給となると実態にあっていない交通費の出費になってしまいます。その場合は就業規則の変更が必要となる場合があります。これまで定期代としていた通勤手当を日割りで計算して支給する、通信費などを考慮した在宅勤務手当にするなど規則を改定しましょう。ただしその場合は、従業員に規則の変更を合理的な理由で説明する必要があります。

まとめ

トラブルのないように交通費支給を行なおう

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交通費の支給について、注意点や支給方法などについてまとめました。法律で定められていない福利厚生の一部の交通費ですが、いたずらに支給すればいいというものでもありません。トラブルが起こらないように、計算方法や支給方法を事前に就業規則で定めておき申請方法を明確にしておくことが重要です。万が一不正受給の疑いのあるときは、当該従業員に通勤ルートを再度確認するなど対応をきめておくといいでしょう。適切に運用しなければ企業側と従業員側と双方に不利益になってしまいます。こういったことを踏まえて交通費を公平に支給しましょう。

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