計画年休の導入で注意すべきポイントとは【デメリットや付与方式について解説します】

記事更新日:2022年09月30日 初回公開日:2022年09月30日

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2019年4月から「働き方改革法案」により年次有給休暇の付与数が10日以上ある従業員に対して、年5日の有給休暇取得が義務化されました。消化義務があるのは正社員だけに留まらず、パートタイムやアルバイト従業員も対象です。従業員が年5日有給休暇を消化できなかった場合は、企業に30万円の罰則が設けられています。しかし有給休暇を取り辛い風潮に未だ存在しているため、改善すべく導入されるようになったのが計画年休制度です。今回は計画年休制度について解説していきます。従業員の有休消化等に悩んでいる人事担当者の方は是非参考にしてみてください。

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計画年休とは

企業側が有給休暇取得日を決められる制度

計画年休とは、企業側が有給休暇取得日を決められる制度です。付与されている有給休暇日数の内、5日間を除いた日数を休むように企業側から従業員に指定することが出来ます。15日有給休暇が付与されている従業員には、10日間分を企業が指定して休んでもらうことが可能です。但し有給休暇を取得している従業員が対象となる為、入社後6ヶ月未満の有給休暇を付与されていない人に対しては対象となりません。有給休暇の付与数から5日を除いた日数に限定されているため、それ以上の日数を付与することは違反となるので注意が必要です。

労使協定を締結する必要がある

計画年休は労使協定を締結する必要があります。計画年休制度を活用するためには、労働基準法第39条第6項において労使協定を締結していなければなりません。労使協定では計画年休の対象となる人や利用する日数・付与する方法などを書面で締結する必要があります。一度決めた計画年休の日は会社の都合で変更することが出来ず、どうしても変更しなければならない場合は再度労使協定を締結する必要があります。計画年休の導入には手続きが必要になることを認識しておきましょう。

計画年休が生まれた背景

有給休暇取得が義務化された

有休休暇取得の義務化が法律により制定されたことにより、計画年休制度が生まれました。日本でもワークライフバランスや生産性向上などを目的として、有給休暇取得率アップを目指す企業が増えました。しかし未だに企業によっては休みを取り辛い風潮がある等休みを取らないことが美徳であるような社風の企業が多く存在しています。そのため従業員の有休消化を企業に義務化させるために罰則が設けられました。罰則による罰金を防ぐために企業は必ず従業員に取得してもらう必要があり、計画年休制度が導入されました。

計画年休と有給休暇の違い

有給休暇は社員が自主的に取得する

計画年休と有給休暇の違いとして、有給休暇は従業員が自主的に取得する休暇のことを指しています。計画年休も有給休暇もどちらも有給休暇であることに違いはありません。有給休暇の中に計画年休という選択肢が存在します。計画年休は企業が従業員に有給休暇取得を促進するために作られた制度です。有給休暇は従業員が休む日を決められますが従業員の自主性に任せるしかないため、取得が必要な5日の有給休暇取得が難しそうな従業員に対して計画年休を使うと良いでしょう。

計画年休を導入する目的

有給休暇の取得率を上げる

計画年休を導入する目的は、有給休暇の取得率を上げるためです。日本の有給休暇取得率は他の先進国と比べるとまだまだ低い水準にあります。日本政府としても有給休暇取得率を高めるために、計画的に有給休暇を取得出来る制度の作成に取り組みました。企業側が有給取得日を決めることによって、従業員も抵抗なく休むことが可能となります。企業側としても法令遵守に繋がり、労働者の満足度が上がり生産性の向上や従業員の定着率安定化にも繋がっていきます。

有給休暇によるスケジュールを調整しやすくする

有給休暇によるスケジュール調整をしやすくするために、計画年休が導入されました。計画年休制度は取得率を上げるだけではなく有給取得を管理する手間を減らすことが出来ます。有給休暇を取得しない従業員が居た場合には、管理している側は残りの取得日数を気にしつつ繁忙期は避けるなど管理しなければなりません。これは手間になってしまうため、計画年休制度を導入することにより管理する手間が減ります。シフト勤務の場合なども休む場合の人材確保などが難しく休みづらいと感じる人も出てきますが、交代制にするなどすれば公平に休むことが出来ます。

計画年休のメリット

有給取得率が改善される

計画年休は有給取得率が改善されるというメリットがあります。有給取得率とは、従業員が付与された年次有給休暇に対して「どれだけの日数を消化しているか」を明示している指針です。法律で取得が義務化されている5日間は必ず消化しないといけないため、年間で5日は休んでいてもそれ以上の日数を休むことは難しいという人も少なくないのではないでしょうか。原因は人材不足だけではなく、長年日本の企業内に社風として残っている「休みづらい環境」も影響しているはずです。会社から半ば強制的に休む日を決められることで、休みづらいと思うことなく休むことができ、企業としても取得率を上げられるメリットがあります。

有給休暇の日数管理が楽になる

計画年休のメリットは有給休暇の日数管理がしやすくなるという点です。従業員それぞれに有給休暇取得を任せている場合、残りの日数を気にしなければなりません。計画年休を導入すると、1年毎に付与される有給休暇の内数日を事前に決定して休ませることが出来ます。業務内容や部署によって繁忙期が異なるため、計画年休を活用する場合は部署の繁忙期などを避け従業員の負担にならないようスケジュールを組む必要があります。従業員から不満が出ないよう、しっかりと計画を立てて双方にメリットがある様なスケジュールにしましょう。

生産性が向上する

生産性が向上するのも計画年休のメリットです。有給休暇を毎年付与されていても、義務である5日間を除き取得し辛いと感じている従業員は少なくありません。特に会社に入ったばかりの新入社員等の若年層にあたる従業員は上司や先輩社員の手前休むことに抵抗を感じている従業員もいます。休み辛いと感じる職場ではストレスや不満を感じやすくなり、早期退職に繋がってしまう恐れもあります。計画年休は会社から指定される休みの為罪悪感などが減り休暇を取りやすくなります。しっかりと休みを取れることでリフレッシュ出来て、生産性の向上が見込めます。

従業員満足度が向上する

計画年休を行うことで、従業員の満足度が向上するというメリットもあります。従業員の満足度向上のためには、働きやすさを提供するのもひとつの方法です。労働時間の短縮なども環境整備には欠かせません。しかし働き方改革が行われてワークライフバランスを重視する人が増えプライベートを大事にする人が増えたため、しっかりと休みを取れる環境づくりも大切です。事前に休める日が決まっていることで、予定を立てることが可能となりプライベートも充実させることが出来ます。従業員にリフレッシュ出来る時間を与えることで仕事のモチベーションアップにも繋がり、満足度を向上することが可能です。

計画年休のデメリット

手続きが必要となる

計画年休は手続きが必要となるのがデメリットと言えます。計画年休は労使協定を結ぶことで成り立つ制度のため、導入する際にはいくつかの手続きが必要です。具体的には「労働者の過半数で組織する労働組合」あるいは「労働者の過半数を代表する者」と書面上で締結しなければなりません。労使協定で定める内容は企業や職種によって異なりますが、対象者や日数など決めなければいけない項目がいくつかあります。また事前に取り決めていた計画年休の日程を企業側の都合として変更する場合は再度労使協定を締結しなおす必要があり、企業として手間がかかります。

計画年休の付与方式

一斉付与方式

計画年休の付与方式は、一斉付与方式があります。一斉付与方式は、会社全体で同じ日に従業員全員が有給休暇を取得する方法です。従業員にとっては有給休暇日となりますが、社外から見た場合には会社の休業日として認識されます。一斉付与方式は製造業など、稼働を1日完全にストップさせることにより従業員全員を休ませることが可能な会社などで活用されています。一斉付与方式を活用すれば休日の間に平日が1日だけ挟まっている場合などに会社単位で計画年休を活用することによって連休として取り扱うことが出来ます。

交代制付与方式

交代制付与方式も、計画年休の付与方式です。交代制付与方式は部門やグループ・班等の単位で交代に計画年休を取得する方法です。会社全体で一斉に休業することが難しい企業にとっては、業務への影響を最小限に抑えることが出来る付与方法です。チーム毎など小規模で行うことで、部門の繁忙期を避けて計画年休を取得するスケジュールを調整することが出来ます。繁忙期と閑散期の差が大きい業種での活用の為、従業員の希望通りに計画することは難しいですが、長期連休等の予定は立てやすくなるので不安の解消に繋がります。

個人付与方式

計画年休には個人付与方式もあります。従業員数が少ない企業において、従業員の誕生日や記念日などを考慮して従業員の希望を元に個別で計画年休を付与するのが個人付与方式です。個事前に計画を立て有給休暇の取得日に関して会社とあらかじめ共有しておくことで、従業員にとっては有給休暇の取得が心理的に容易になるというメリットがあります。人付与方式では各従業員が取得する有給休暇の日程を事前に把握することが出来るため、業務のスケジュール管理なども行いやすくなります。

計画年休を導入する際の注意点

有給取得率の現状を把握する

計画年休を導入する際は、有給取得率の現状を把握を忘れずに行いましょう。計画年休制度は従業員の有給取得率向上のために活用すべき制度です。その為全体を通して従業員が有給取得出来ていないのか、部署によって有給取得率が異なるのか等状況を把握する必要があります。状況に応じて交代付与方式や個人付与方式を活用し、従業員の有給取得に偏りが出ないように気を付けましょう。社内の有給取得状況をしっかりと把握し、効果的に計画年休を活用することで従業員の満足度向上が図れます。

対象外の社員にも配慮する

計画年休を導入する場合は、対象外の従業員にも配慮するようにしましょう。計画年休制度は年次有給休暇を持っている従業員を対象とした制度ですが、所有している年休が5日未満の従業員もいます。対象となる従業員ばかりに休みを取らせて、有給休暇所有数が少ない従業員の負担が増えると会社への不満に繋がります。また一斉年休などを行う場合に有給休暇がない従業員に対しては「特別休暇」を付与するなどして他の従業員と同様に有給休暇を取得したものとして処理する必要があります。対象となる従業員に有給取得を優先させることも大切ですが、対象外となる従業員にも配慮をしっかりと行いましょう。

無理なスケジュール設定をしない

無理なスケジュール設定をしないことも、計画年休を導入する際の注意点です。法律により年次有給休暇の5日間は取得が義務図けられ、もし必要日数を従業員が取得していない場合は企業へ罰則が設けられるようになりました。30万円以下の科料が課される恐れがあるため、計画年休制度を取り入れる企業が増えましたが、有給休暇の消化だけに重点を置き業務内容改善などが行われなければ従業員への負荷は大きくなります。有給休暇で休みを与えるだけではなく業務スケジュールに余裕を持たせて、無理なスケジュールを設定しないようにしましょう。

まとめ

計画年休で働きやすい職場にしましょう

計画年休制度のメリットや付与方式について解説しました。計画年休の付与方法はいくつかあるため、自社に合った方法で取り入れましょう。計画年休を導入することで、企業内の有休休暇取得率を上げることが可能です。有給取得率が上がることにより、従業員のワークライフバランスや生産性の向上など企業にとっても大きなメリットがあります。しかし運用の仕方によっては従業員の負担になる場合や、業務に支障をきたすケースも考えられます。活用する際はきちんと労使協定を締結し、従業員に説明した上で適切な運用を行い働きやすい職場にしていきましょう。

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