シェアードサービスとは【シェアードサービスの効果やデメリットについて解説します】

記事更新日:2024年10月02日 初回公開日:2024年10月02日

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労働者人口の減少などにより、企業では長年人材不足が大きな課題となっています。限られた人材の中で組織の生産性を高めていくために、従業員の能力最大化などを促せるような施策を導入する企業も増えてきています。そういった限られた人材の中で効率的に人材配置を行うために、シェアードサービスの導入を行っている企業もあります。シェアードサービスを導入することによって、企業にとって様々なメリットがあります。今回はシェアードサービスについて解説していきますので、経営者の方は参考にしてみてください。

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シェアードサービスとは

グループ企業がコーポレート業務を一か所に集約させる企業改革のこと

シェアードサービスとはグループ企業がコーポレート業務を一箇所に集約させる企業改革のことです。グループ企業や関連企業で共通する間接業務を集約して組織を変革していくための手法です。BPOなどの外部に委託するのとは異なり、シェアードサービスは内部で完結します。間接部門の業務を一箇所に集中させることによって、グループ経営を円滑に進めることが可能です。人手不足の深刻化や働き方改革の推進などによって導入する企業が増えています。

起源はアメリカのGE社

シェアードサービスの起源はアメリカのGE社です。経営手法としてのシェアードサービスは、他の経営手法と比べて比較的新しいことも特徴の一つです。シェアードサービスはアメリカのGE(ジェネラル・エレクトリック)社が導入したことが始まりとされています。各部門にあった伝票処理などの経理業務を一つの部署に集約し各部門で業務を簡素化することを目的に導入されました。その後アメリカ企業でも導入されたことによってシェアードサービスの活用が広がっていきました。

シェアードサービスが注目される理由

人手不足が問題となっているため

シェアードサービスが注目されているのは、人手不足が問題となっているからです。少子高齢化や労働人口の減少により、人手不足の中で企業は限られた労働力で効率的に働くことが求められるようになっています。シェアードサービスを導入することによって、少人数で間接業務や管理業務を行うことができ、余剰の人材を他の事業部門に配置することが可能です。シェアードサービスを導入することによって、人材をより効率的に活用し、企業全体の生産性向上にも繋がります。

業務効率化が話題になっているため

シェアードサービスは、業務効率が話題になっているため注目されています。働き方改革によって多くの企業で業務時間の短縮や柔軟な働き方が推進されています。業務改革を通して作業や処理時間の短縮を目指すことによって労働者の働き方を改善することが可能です。業務時間などの短縮を行うことによって、業務を効率的に行うための時間を作ることが出来ます。各部署で重複していた業務を一箇所に集約することによって無駄なく間接業務をまとめて、企業として業務の無駄を省くことに繋がります。

シェアードサービスの目的

企業の経営力を強化すること

シェアードサービスを実施する目的は、企業の経営力を強化することです。シェアードサービスを行うことによって、業務効率化やコストの削減など様々なメリットがあります。共通する業務をシェアードサービスで集約することによって業務の効率化をより図ることが出来ます。業務の効率化だけでなく人事や設備コストを抑えられるなどの効果も期待できるため、企業の経営力を強化するためにシェアードサービスを導入する企業が増えています。

シェアードサービスの対象となる業務

人事業務

シェアードサービスの対象となる業務は、人事業務です。人事業務は、企業の人材管理を行う業務で採用から退職まで一連の流れを担っています。採用業務などは、子会社や関連会社によって求める人材や条件などが異なるため一元管理することは難しいといえます。しかし毎月一定の時期に実施している給与や賞与計算はシェアードサービスとして一元管理することが可能です。他にも法律や会社の規則に沿って行う社会保険の手続や福利厚生などもシェアードサービスの対象です。

経理業務

シェアードサービスを行う対象になる業務は、経理業務です。経理業務もシェアードサービスを導入しやすい業務です。経理業務は日々の支出管理を行う一般会計や債務管理などを行っています。売掛金や買掛金の管理・入出金の仕分けなどは明確なルールが定められているためシステム化しやすい業務といえます。ただし管理会計や内部監査業務などは専門知識が求められるため、シェアードサービスには向いていません。経理業務でシェアードサービスを行う際には、見極めが必要です。

総務業務

総務業務もシェアードサービスの対象となります。総務業務は、従業員が円滑に働けるようにサポートすることが主な業務です。それだけでなく業務で使用する備品の管理やオフィスの衛生管理・設備管理などを行います。代表番号を使っている企業では、総務につながる場合が多く窓口業務も総務業務の一つです。こういった業務も各拠点などで対応するのではなく、一箇所に集約することによって企業としての無駄を省くことにも繋がります。

IT業務

シェアードサービスはIT業務でも実施されます。IT業務は多岐にわたりますが、IT業務の中でシェアードサービスの対象となるのはハードウェア・ソフトウェアの管理やヘルプデスクなどです。特にハードウェアやソフトウェアの管理やセキュリティ管理などは事業部が変わっても行う業務の内容は殆ど変わりません。そのため、一箇所に集約することができれば業務効率も図ることが可能です。また各事業部にヘルプデスクを置くよりも、一元管理するほうが情報共有や指導を効率化することが出来ます。

シェアードサービスの効果

コストの削減が可能になる

シェアードサービスはコストの削減を行える効果があります。シェアードサービスを行い業務を一箇所にまとめることで、グループ企業が独自に実施していた要員や設備が共有されて業務の効率化や標準化を行えます。結果として作業工程の無駄を省き、間接部門の作業効率も向上させることが可能です。またシェアードサービスを実施する場所を国内外でコストを下げて高品質な労働力が確保できる場所で行うことができれば、更にコストを抑えることが出来ます。

業務品質が上がる

シェアードサービスを行うことによって、業務品質が上がります。シェアードサービスを行うと各事業部で行っていた業務を一元化することができ、一箇所にノウハウやナレッジを集約することが可能です。結果として業務効率化ができるだけでなく、専門性も高めることが出来ます。業務の質も保てるようになるため、品質の高い業務を提供できるようになります。間接部門が一元管理されることによって、営業やマーケティングといった直接部門に注力することができ、企業全体の経営力向上にも繋がっていきます。

従業員の業務への意識が上がる

シェアードサービスの効果は、従業員の業務への意識向上も見込めます。シェアードサービスは別会社としてサービスを提供する形になるため、なれ合いの関係性からスケジュールをしっかりと遵守しようという意識を持つようになります。業務のプロセスが一箇所に集約され統一されることで業務の透明性が高まり内部牽制が強化されるのもメリットと言えます。一元化で専門性が高まるだけでなくミスや不正などを防止しやすくなることで責任の範囲も明確になり、ガバナンスの意識向上にも繋げることが出来ます。

業務工数が削減される

業務工数が削減されるのも、シェアードサービスの効果です。シェアードサービスの導入に伴い、業務の集約や標準化を行っていく過程で業務プロセスはスリム化されて行くため業務にかかる工数も削減できます。アビームコンサルティングが2007年に発表したレポートによると、シェアードサービスを導入した企業の内の1割弱が約4割の業務工数削減に成功していることが分かっています。一方未回答を含む9割の企業は業務工数の削減効果を得られていないと回答しているため、上手く機能させることが大切です。

シェアードサービスのデメリット

人員整理が必要となる

シェアードサービスのデメリットは、人員整理が必要となる点です。シェアードサービスは間接部門の業務を一箇所に集中することで業務やコストの効率化を図ります。一元化することによって、各事業部で間接部門に携わっている人の中には異動や転籍を好まない人も勿論います。シェアードサービスを導入することによって従業員のモチベーション低下に繋がる可能性もあります。シェアードサービスはたくさんのメリットがありますが、人員整理を行うなど従業員の理解が必要な施策であるためしっかりと理解を勧めておきましょう。

アウトソーシングの費用がかかる

シェアードサービスはアウトソーシングの費用がかかる点がデメリットです。シェアードサービスは導入してしまえば、業務工数やコスト削減など企業にとって様々なメリットが多い制度です。しかし導入するタイミングで一番コストが掛かる点が最大のデメリットです。内部で完結する場合も、各事業部でのやり方の洗い出しや統一化が必要なため時間やコストが掛かります。更に外部に委託する場合には、外部に委託する費用がかかります。企業の間接部門の業務を委託するため、費用面で導入を諦める企業もあります。

シェアードサービスの類型

本社の一部門として設立する

シェアードサービスは、本社の一部門として設立する方法があります。本社の一部門として設立する場合は、本社内にシェアードサービスを請け負う部門を設立します。シェアードサービスを導入している企業のうち本社の一部門として設立し運用している企業は、約3割と少なめです。社内のいち部門として設立した場合は、大きな組織変更を行う必要がないため導入時に混乱を避けられるメリットがあります。しかし切り替えが分かりづらい部分があるため、従来の慣習に囚われてしまうおそれがあります。

子会社として設置する

子会社として設置するのも、シェアードサービスの類型の一つです。社内で実施する場合と異なり、シェアードサービスを行う部門を独立させて子会社化する方法もあります。シェアードサービスを導入している企業の7割が、子会社として設置しています。シェアードサービスを子会社化することで、本社とは異なる水準で給与体系を組めるため人件費を抑えることが出来ます。子会社化すると業績が数字で計れるため親会社としてもパフォーマンスを管理しやすくなるというメリットもあります。

まとめ

シェアードサービスの利点を考え活用を検討しよう

シェアードサービスが注目されている理由や、導入できる業務・導入した際の効果などについて解説しました。シェアードサービスはコスト削減や業務の品質向上など様々な効果を期待出来ます。しかし全ての企業に適している訳ではないため、導入する際はまず社内の課題を洗い出す必要があります。人員整理や従業員のモチベーション低下などの恐れもあるため、シェアードサービスが向いているかどうかしっかりと見極めることが大切です。シェアードサービスのメリットを考え、自社にあっているか判断した上で活用を検討しましょう。

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