記事更新日:2025年01月29日 | 初回公開日:2025年01月29日
用語集 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報 派遣社員派遣3年ルールとは、派遣労働者が同一の企業で働ける期間に関する規定で、最大で3年間とされています。このルールは、2015年の労働者派遣法改正によって導入され、派遣社員が同じ企業で長期間働き続けることを防ぎ、派遣社員の待遇改善や雇用の安定を目的としています。3年間を経過した後、派遣先企業が派遣労働者を直接雇用するか、別の企業に派遣する必要があります。この期間制限により、派遣社員のキャリアパスの見直しや、正規雇用への転換を促進することが期待されています。
「派遣3年ルールで同じ職場かつ同じ部署では3年を超えて働くことができない」という規定は、労働者派遣法に基づき、派遣社員が同じ企業内で同一の職場または部署で働ける期間を最大3年に制限するものです。3年を超える場合、派遣社員は別の職場に転任するか、派遣先企業が直接雇用するか、別の企業に派遣される必要があります。これにより、派遣社員が契約更新に依存する状態を避け、キャリアパスの選択肢を広げることが期待されています。
派遣3年ルールが導入された背景として、働く人の待遇改善やキャリアアップがあります。それまで、派遣社員は同一企業で長期間働いても正規雇用に転換されることが少なく、キャリアの積み上げが難しい状況でした。これに対し、3年を超えた場合に転職や正規雇用への転換を促進することで、派遣社員のキャリアアップを支援し、より安定した働き方を実現することが狙いです。さらに、長期間の同一部署勤務による業務の固定化を避け、派遣社員に新たな成長機会を提供することも重要な目的となっています。
派遣3年ルールと似た言葉に5年ルールというものがあります。5年ルールは、無期転換ルールとも言われており、「有期雇用の労働者が5年を超えて更新された場合、労働者が申込みをすれば無期雇用に転換できる」というものです。労働者が申込みをすれば、企業は拒否できません。5年ルールは無期転換が可能となる有期雇用期間を定めたルールであるのに対し、3年ルールは派遣期間の制限に関するものであるため、別物となっています。5年ルールは有期雇用労働者全員が対象であるのに対し、3年ルールは派遣社員に限定されます。
派遣3年ルールの対象外となる例として、有期プロジェクト業務に従事している場合が挙げられます。有期プロジェクト業務とは、一定期間内にプロジェクトの終了が確定している業務のことを指します。これには、特定の期限内に完了が見込まれる業務が含まれ、大規模な建物建設やシステムの構築、特定の研究開発プロジェクトなど、3年を超えるような長期プロジェクトが対象となります。このような業務は、派遣社員が3年以上同じ職場で働くことができる例外として認められています。
派遣元の事業主と無期雇用の契約を締結している労働者は、派遣3年ルールの対象となりません。無期雇用契約とは期間の定めのない労働契約のことをいい、労働者は派遣元の企業に常時雇用されている状態です。そのため派遣3年ルールで対象となっている有期雇用派遣契約の労働者とは異なるため、派遣3年ルールの対象外となっています。無期雇用の派遣社員は安定した雇用が見込めるということから、派遣3年ルールの対象となりません。
休業による欠員のための代替として従事している場合も、派遣3年ルールの対象外となっています。具体的には、産前産後休業や育児休業、介護休業を取得した社員の代替要員として働いている場合が該当します。この場合、休業中の社員が業務に復帰することが確定しており、そのため派遣社員の契約も復帰時点で終了することになります。代替要員としての雇用期間が限られているため、派遣社員は3年を超えて同じ業務に従事することが認められ、派遣3年ルールの適用を受けません。
事業所単位の3年ルールは、同一の事業所として3年を超えて派遣労働者を受け入れることができないという制限を指します。ここでの事業所とは、雇用保険の適用事業所に関する考え方と同様です。例えば、別の派遣労働者が1年前から働いている店舗で働き始める場合にはその2年後が派遣として働くことのできるラインとなります。後から勤務を開始した労働者は3年より短い派遣期間で勤務が終了します。ただし、派遣先の労働組合から意見を聴取する手続きを取ることで、受け入れ期間を上限である3年まで延長することも可能です。
個人単位での3年ルールは、同じ派遣社員を同一事業所の同一組織単位に派遣可能な機関が最長3年までという制限です。仮に、事業所単位の制限の派遣可能期間を延長したばあいでも、同一組織単位では3年を超えて受け入れることができません。この場合においては、組織単位が変わることで継続派遣が可能となります。例えば、営業として2年半働いている場合には、営業課としてはあと半年しか働くことができませんが、途中で事務課に異動した場合には異動した日から3年働くことができます。
派遣3年ルールでの派遣社員にとってのメリットの一つは、3年経過後に直接雇用や無期雇用につながる可能性があることです。派遣先企業は、派遣社員が3年間同じ業務を担当することで、そのスキルや適性をよく理解することができ、社員として採用する判断がしやすくなります。直接雇用や無期雇用に転換されることで、派遣社員は雇用の安定性が得られ、福利厚生や昇進、キャリアアップの機会も増えるため、長期的な視点での働き方が可能になります。
派遣3年ルールの派遣先企業にとってのメリットの一つは、雇用のチャンスが増えることです。3年間の派遣契約期間を経た後、企業はその派遣社員を直接雇用する選択肢を持つことができます。このため、企業は長期間にわたり業務に従事した派遣社員を、自社の文化や業務に慣れ親しんだ即戦力として正社員として迎え入れることができ、採用プロセスを効率化することが可能です。これにより、企業は人材確保が可能となるメリットがあります。
派遣3年ルールの派遣社員にとってのデメリットの一つは、次の派遣先が見つからない場合、収入が途絶える点です。3年間同じ派遣先で働いた後、派遣先企業が直接雇用しない場合や、次の派遣先が見つからない場合、派遣社員は収入源を失うリスクがあります。特に、派遣社員は契約が終了すると新たな仕事を探す必要があり、次の仕事が決まるまでの間、収入が途絶える可能性があります。このような不安定さは、派遣社員の生活に大きな影響を及ぼすため、キャリアの切り替え時に慎重に計画を立てることが求められます。
また、派遣3年ルールにより、3年で雇用が終了し仕事が変わることがあるため、専門的な知識が身につきにくい可能性があることもデメリットとして挙げられます。長期間同じ職場で働けないため、特定の業務において深い専門知識やスキルを積むことが難しくなります。特に、専門性の高い職種においては、一定期間同じ業務に従事することでスキルを磨くことが求められますが、その機会が失われることがあります。このような環境では、キャリアの成長が停滞し、将来的により高度な職務への移行が難しくなる可能性もあります。
派遣3年ルールの派遣先企業にとってのデメリットとして、採用コストや教育機関を要する点が挙げられます。派遣社員が3年を超えて同一の職場で働けない場合、企業は新たに派遣社員を雇用する必要があります。その際、採用活動にかかるコストや、社員を一から教育する手間が増えることになります。特に、派遣社員が一定の業務スキルを身につけた後に雇用が終了すると、企業は新しい派遣社員に対して再度同じトレーニングを行う必要があり、時間やリソースの投入が求められます。
派遣3年ルールによる派遣期間が経過した後でも同じ職場で働く方法として、派遣先が直接雇用を行う方法があります。具体的には、派遣元企業と派遣先企業の双方が合意の上で、派遣社員を直接雇用する形に切り替えることになります。この場合、派遣元企業と派遣先企業の間で契約内容や条件を調整し、双方が納得した上で、直接雇用契約を結ぶことが必要です。直接雇用に切り替えることで、派遣先で引き続き働くことは可能になりますが、直接雇用で働くことは正社員で働くことではないため注意しましょう。
派遣社員が同一の派遣先で3年以上働く方法の一つに、部署移動があります。派遣3年ルールは、同一の職場での派遣期間を3年までと制限していますが、同じ派遣先企業内であっても部署が異なれば、別の職場として扱われるため、再び3年間の派遣期間が適用されます。これにより、派遣社員は異なる部署に異動することで、引き続き同じ派遣先企業で働き続けることが可能になります。ただし、部署移動を希望する場合は、派遣先企業との調整が必要であり、派遣元企業とも連携して新しい業務内容や役割を確認することが求められます。
無期雇用の派遣労働者として働くことも派遣3年ルールの適用除外となることがあります。無期雇用派遣は、派遣元の事業者との間に締結するもので、労働契約の更新の必要がない雇用形態となっており、3年ルールが適用されません。ただし、現状の有期雇用派遣契約を変更するため、派遣元企業と労働者の合意が必要です。無期雇用の派遣社員になるということは、3年ルールの対象外となるため、直接雇用契約を結べるという可能性が少なくなります。その先の働き方にも影響を及ぼす可能性がありますので、検討することが重要です。
派遣3年ルールは、有期雇用派遣に適用され、同一の職場で派遣労働者として働ける期間に3年という上限を設けています。このルールを遵守することは、企業にとって法的な責任を果たすだけでなく、労働環境の安定にもつながります。企業側は、派遣労働者との契約期間の管理をしっかり行い、適切な雇用形態への転換を提案することが求められます。これにより、労働者のモチベーション向上や、業務の継続性を保つことができ、企業全体の運営にも好影響を与えることができるでしょう。
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