リテンションとは【人事における意味や具体的な施策について解説します】

記事更新日:2023年03月03日 初回公開日:2023年03月03日

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採用市場が売り手市場ということだけでなく、日本では少子高齢化が進み労働人口は益々減少してきています。また働き方改革により、終身雇用制は崩壊し転職を行うのが当たり前の時代となりつつあります。そういった事から、企業では働いている優秀な人材が他所に流出してしまわないように、従業員の満足度を高める対策などが必要です。そこで注目されているのが、リテンションです。リテンションを実施した際の効果やポイントについて解説していきます。人材流出を防ぎたいと考えている人事の方は、是非参考にしてみてください。

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リテンションとは

人材流出を防止するための施策

リテンションとは、人材流出を防止するための施策です。マーケティングの世界で耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。マーケティングでのリテンションは「既存顧客の流出防止策」として用いられています。人事におけるリテンションは、人材の確保を指しており従業員が離職せず長く定着している状態を維持し、強いては優秀な人材だけでなく中堅社員を流出させない為の取り組みの事です。人事におけるリテンションは「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」に分けられ、流出を防ぐために様々な施策を行います。

リテンションが注目される背景

人材不足が課題となっている

リテンションが注目されているのは、人材不足が課題となっていることが原因です。少子高齢化が進み、労働人口は減少傾向です。企業規模や知名度に関わらず、慢性的な人材不足に陥っている企業が多く存在しています。働き方改革などにより、働き方が多様化しており1つの企業で長く働くと考える人が少なくなってきています。また新しく人材を確保することが難しく、1人を採用するのに多くのコストが発生してしまうため、今働いている従業員がなるべく離職しないような対策が重要です。

転職を考える人材が増えている

転職を考える人材が増えていることから、リテンションが注目されています。今までの日本では、年功序列や終身雇用制度により、新卒で入社した企業に退職まで勤める人が殆どでした。しかし転職をポジティブに考える人が増えたことで、キャリアアップの為に転職する人が年々増えています。採用市場は売り手市場が続き、求職者優位の状況になっており転職がしやすい環境になっているのも理由の一つと言えます。更に優秀な人材程より良い環境を求めて転職がしやすい事から、優秀な人材を確保するためにリテンションが注目されています。

リテンションの実施による効果

採用コストを削減できる

リテンションを実施する事で、採用コストを削減できます。リテンションを行い離職率を下げることによって、人員補充に掛かる採用コストを抑えることが可能です。離職率が高い企業では、人材を採用するための費用や採用に掛かるコスト、教育を行うための費用や事務コスト等様々な費用が掛かります。コストだけでなく時間や労力を要し、人材確保は企業にとっても大きな負担です。リテンション施策を実施する事で、離職率の低下になるだけではなく採用活動の時にもメリットとなり人材が確保しやすくなります。

社内のノウハウが蓄積される

リテンションを実施することにより、社内ノウハウが蓄積される効果があります。人材の流出はそれまでに培ってきたノウハウも失ってしまうことになります。採用費用などと違い、ノウハウが流出していることは可視化できませんが、人材の入れ替わりが多い企業はしっかりとノウハウを蓄積することが簡単ではありません。リテンションを行い従業員の定着率を上げることにより、従業員同士でノウハウの共有を行うことが出来、生産性の向上や組織の安定性などにも繋がっていきます。

社員のモチベーションが向上する

社員のモチベーションが向上する効果が見込めるのも、リテンションのメリットです。リテンションを導入し従業員が働きやすい環境を提供することによって、従業員は企業から大事にされていると感じることが出来ます。企業への愛着度などが高まることによって、エンゲージメントが向上していき、従業員のモチベーションを高められる効果も期待出来ます。従業員のエンゲージメントが高い企業では、離職率が低くなり更なるエンゲージメントの向上とモチベーションの高い水準を維持することが可能になります。

リテンションの実施におけるポイント

企業理念を浸透させる

リテンションを実施する際のポイントは、企業理念を浸透させることです。企業理念やビジョンがしっかりと従業員に浸透していない場合、従業員は企業の目標などを理解していないため愛社精神なども芽生えず転職してしまうかもしれません。従業員が働いている企業の企業理念などをしっかり理解出来ていれば、一丸となって目標達成するために業務を行い離職率も低下するはずです。企業理念を浸透させるためには、情報開示を積極的に行い経営陣が説明する場を設けるなど行っていきましょう。

ワークライフバランスを重視する

ワークライフバランスを重視することも、リテンションを実施する際のポイントです。従業員にとって、企業が働きやすい環境かどうかは転職を判断する上で重要な問題です。夫婦共働きの人達は子育てや家事などの両立が出来るかどうかなどが判断材料となります。働き方改革により、長時間労働や休日出勤などは敬遠される傾向にあります。社会の状況に合わせた在宅勤務などを活用することで、働きやすい環境の提供が可能となりリテンションの強化へと繋がり、従業員のモチベーションにもいい影響を与えます。

リテンションの具体例

評価制度の見直しを行う

リテンションを行うには、評価制度の見直しを行いましょう。リテンションは金銭的報酬と非金銭的報酬で構成されており、金銭的報酬には給与やストックオプション等が含まれています。年功序列から成果主義に移行しつつありますが、高い給料に魅力を感じずワークライフバランスを重視する人も増えています。直接部門に重きを置いた評価ではなく成果に直結しない間接部門から不満が上がらないよう考慮することも大切です。間接部門ではサンクスカードを活用するなどして部署に応じた評価制度を整備していきましょう。

スキルアップ支援を行う

リテンションはスキルアップ支援を行うことも大切です。効果の高いリテンションを行うためには、従業員がキャリアパスに関して相談出来る窓口の設置や、専門スキルを身に付ける為のサポート体制などが欠かせません。業務スキルをどのようにして向上していくのか、専門性の高い業務を行ってもらう為にはどういったサポートが必要なのかを検討することはリテンションを行う上で大切です。従業員一人ひとりに合わせたスキルアップ支援を行いリテンションを高めていきましょう。

適切な人事異動を行う

リテンションを効果的に行う為には、適切な人事異動も欠かせません。前提として、従業員の適性に合わせて人事異動を行う事が重要ですが、希望者にヒアリングを行い定期的な異動を実施する事で新しい場所でのチャレンジを提供することが可能です。人事異動に合わせ、活躍できるように個人の能力に合わせたスキルや知識を身に付ける為の研修制度なども整備しましょう。働きがいや成長できるかといった事は、離職にも繋がり従業員にとって大きな要因です。ジョブローテーションなどを行い従業員が継続的に活躍できる場所を提供しましょう。

社内のコミュニケーションを促進する

社内のコミュニケーションを促進する施策を行い、リテンションを実行していきましょう。社内でコミュニケーションを円滑に行えている企業は、お互いの理解をしっかりと行い企業理念も浸透している為企業全体の一体感が高まっています。そういった企業は従業員の愛着度も高く、従業員のモチベーションも維持され生産性の向上なども見込めます。社内のコミュニケーションを活性化させるためには、懇親会や社内イベントなどを定期的に実施し部署間の壁をなくせるような取り組みが大切です。

福利厚生を見直す

福利厚生の見直しを行い、リテンションを効果的に行っていきましょう。福利厚生を充実させることによって、従業員の満足度を高めることも出来ます。家賃補助制度やリフレッシュ休暇の導入など、従業員がワークライフバランスをしっかりと行えるような制度設備をおこないましょう。また金銭的な補助だけでなく、リモートワークの導入や時短勤務など従業員が家庭の状況に応じて勤務形態を選べるのも従業員満足度を高める方法です。どういった福利厚生を従業員が求めているのかは、アンケート等を取って従業員の意見を確認し見直しを行いましょう。

リテンションを実施している企業の例

三幸グループ

リテンションを実施しているのは、三幸グループです。三幸グループは、学校法人を中心に福祉施設や人材サービスなどを行っている企業です。三幸グループでは、「キャリアチャレンジ制度」と「三幸プロデュース制度」を行っています。キャリアチャレンジ制度は、2年間同じ部署に所属していた従業員がチャレンジを行うために、新しい部署へ異動申請を行える制度です。三幸プロデュース制度は、年に1度新規事業発案や業務改善提案を会社に対して行える制度です。三幸グループには様々なポジションがあるため、希望すればチャレンジできるという点が従業員のエンゲージメントを高めています。

サイボウズ株式会社

リテンションを導入している企業は、サイボウズ株式会社です。サイボウズ株式会社は、企業向けのソフトウェアを開発しているIT企業です。サイボウズは、副業解禁をいち早く導入するなど働き方改革を行っている企業としても知られています。リテンションとして「社内部活」を推奨しており、横の繋がりを広げる為の活動を行っています。部活動には、「複数の部署から5人以上参加すること」「年数回の活動記録を提出すること」と決まりがあり、この2つを満たしていればどのような部活でも行うことが可能です。部活動を推奨したことにより離職率も4%にまで低下しています。

レオパレス21

レオパレス21もリテンションを実施している企業です。レオパレス21は不動産賃貸や、アパート建設請負・老人ホーム運営などを行っている不動産会社です。レオパレス21では管理職の離職率が高かったことからリテンションの導入を行いました。管理職の離職率が高かった原因は、マネジメント知識や能力の違いだったことからリテンションの施策として、支店長クラスの意識改革を実行します。意識改革を行ったことにより、有給休暇の取得倍増や実施後3年で離職率が業界の水準を下回ることに成功しました。

まとめ

リテンションで人材の流出を防ぎましょう

リテンションを行う場合の具体例などについて解説しました。人材の流出が企業の大きな課題になっている今では、新しく入社した人材だけでなく既に働いている従業員のエンゲージメントを高め離職率を低下させるための施策が重要です。転職を考える理由として一番多いのが、人間関係です。社内でしっかりとコミュニケーションを取れる場を設け、従業員が働きやすいと感じる職場環境を提供することで離職率を下げることが出来ます。企業や従業員に合ったリテンション施策を行い、従業員満足度を高めて人材の流出を防ぎましょう。

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