労務管理とは【目的や仕事内容、関連する資格についてお伝えします】

記事更新日:2023年06月30日 初回公開日:2023年06月30日

用語集 人事・労務お役立ち情報
企業の運営管理に欠かせない構成要素の一つとして、労務管理という業務があります。労務管理と一口に言ってもその内容は勤怠管理や給与計算など多岐に渡ります。業務内容が似ていることから人事と混同してしまいがちでもあり、具体的に何をすることが労務管理と言えるのか明確に説明できないという方も多いのではないでしょうか。今回はそんな労務管理の本来の目的や業務内容、関連する資格についてご紹介していきます。労務管理は人事の仕事に関わる業務でもあるので、企業の人事担当の方は是非ご参考にしてみてください。

就労ビザ取得のためのチェックリストをダウンロードする

労務管理とは

労働に関する管理を行うこと

労務管理とは自社に既に在籍している社員の労働環境を整える役割を担う業務のことです。具体的には社員の勤怠や就業規則の管理などが挙げられます。また、社会保険に関する手続きや給与計算なども労務管理の1つです。身近な例では社員が結婚した際に配偶者を不要に入れたい場合や、妊娠出産した際の各種給付金の手続きなどを行う場合労務管理に携わる社員が手続きを行います。このように労務管理は社員個人の生活にも関わる役割を持っているため、会社そのものの働きやすさを左右する存在とも言えます。

労務管理の目的

人材の生産性を向上させる

労務管理には社員の健康維持や働きやすさを管理することで個人のモチベーションを上げ、人材の生産性を向上させるという目的があります。そのためには、先述した通り社員が働きやすい職場環境を作り、健康管理にも留意しなければなりません。この課題をクリアしていくためにも労務管理は企業で必要とされています。また、働きやすい環境を会社側が率先して整備していくことで、優秀な人材を確保しやすくなるので結果的に会社全体の利益を向上することにも繋がります。

労務管理と勤怠管理の違い

管理するのが労務全般か一部かの違い

労務管理と混同されがちなのが勤怠管理です。勤怠管理は社員の勤務状況についての管理を行うことに対して、労務管理は福利厚生や雇用契約書の作成など勤怠管理を含めた労務に関する業務全体のことを指します。つまり、勤怠管理とは労務管理の役割を担う役職の人が行う業務の一つということになります。また、人事管理も労務管理と同一視されがちですが、こちらは社員の評価や採用と退職に加えて労務管理を含めた業務を表わす言葉です。労務管理よりも大規模な業務の分類として覚えておきましょう。

労務管理の仕事内容

雇用契約書を作成する

労務管理の代表的な仕事内容の1つが雇用契約書の作成です。雇用契約書は雇用主と社員の間で雇用関係を結ぶ際、労働条件に関する認識の齟齬が発生しないよう作成します。内容は主に賃金や休日の日数、就業時間や契約期間などの労働条件についての事柄です。労務管理では、この雇用契約書を雇用主の指示に従い作成します。作成した書類は雇用主と社員双方の署名捺印を施し、1枚ずつ保管しておくのが主流です。そのため、会社によっては署名捺印済みの雇用契約書を管理しておくのも労務の仕事として数えられます。

勤怠管理を行う

勤怠管理とは毎日の出勤退勤時間や遅刻欠勤の有無と有休の数など、社員1人1人の勤務状況を把握するため行う一連の業務のことです。日本の労働基準法では企業は労働者ごとに、労働日数や時間数及び休日や深夜労働などの時間外労働の数を適正に記録しなければいけないと定められています。守らなかった場合には罰金も科せられてしまいます。更に、社員の正確な労働時間のデータは時間外労働に対する賃金の計算にも必要です。そのため、勤怠管理は労務管理の中でも基礎的かつ重要な業務と言えるでしょう。

安全衛生管理を行う

労務管理では社内の安全衛生管理を行う場合もあります。安全衛生管理と言うと業務内容が想像しにくいですが、具体的には社員の健康診断の手配や産業医との連携しつつ社員の精神面と健康面でのサポートをしていきます。そのため、感染症の予防対策や災害時の備蓄の準備なども行わなければなりません。さらに、相談窓口の設置や定期的なアンケートの実施など社内でのハラスメントへの対策を講じるのも安全衛生管理の役割の1つです。また、厚生労働省が発表している4S活動に則った社内整備も必要です。

福利厚生の管理を行う

福利厚生とは社員の賃金やボーナスなどとは別に与えられる報酬のことで、代表的なものとして会社が社員の社会保険を負担する行為がこれにあたります。更に福利厚生には通勤手当や住宅手当など企業が個々に整備している法定外福利という制度も存在します。労務理管理ではこれらの各種福利厚生の管理や手続きも業務のうちに入ります。具体的には社員の住所変更や扶養者の追加などがある場合、実際保険組合や年金事務所とやりとりをして手続きをするのは労務管理の役割です。

退職手続きを行う

労務管理では社員の退職に付随する様々な業務を行わなければならない場合もあります。社員の退職は通常退職届を受け取り終了というわけではなく、当該社員の社会保険と雇用保険の脱退手続きや各種税金の手続きなどが発生します。この一連の流れに関わる手続きを行うのも労務管理の役目です。特に税金に関しては必要に応じて源泉徴収票の発行や徴税に関わる書類を市町村に提出しなければなりません。また離職票の送付や健康保険証の回収なども並行して行う必要があります。

法定三帳薄を作成する

労務管理では法定三帳簿と呼ばれる3種類の帳簿を作成し、管理しておくことも重要な業務の1つとして数えられています。法定三帳簿とは、労働者名簿と賃金台帳と出勤簿の3つの帳簿のことです。これらの帳簿は労働基準法では、企業は必ずこの3つを整備し管理保管することを義務付けられていて、違反した場合は罰則を科せられることもあります。そのため、労務管理に従事している人は上記の3種の帳簿をいつ、誰が見ても問題が無いよう管理しておく必要があります。

労務管理の基本項目である法定三帳薄の内容

労働者名簿

労働者名簿とはその会社の業務に従事している労働者の名前と生年月日や住所など、労務管理に必要な情報を記載したものです。また、労働者名簿には労働者の個人情報だけでなく、1人1人の入社日や退職日などの情報も記載する義務があります。労働者の退職後は当日から数えて5年間は保存しておくことが法令で定められています。そのため、労働者名簿は社員や従業員にとって重要な個人情報が記載されている点や法律を守るという点でも重要な帳簿なので厳格な管理が求められます。

賃金台帳

賃金台帳は基本給と手当や税金の控除額など会社から労働者への賃金の支払い状況を主に記載します。さらに、労働時間や深夜労働と休日労働などの時間外労働の時間数も記載の義務があり、の労働者の月ごとの労働時間や給与額を明確に記録しておかなければなりません。また、労働者の最後の賃金について記入した日から5年間の保管も必要です。また、労働者が退職した場合離職票の交付が必要になりますが、確認書類として「離職前2年間分」の賃金台帳を提出しなければならないので速やかな手続きも求められます。

出勤簿

出勤簿は出勤日や労働日数などの労働者の労働時間に関する事柄を記録した帳簿で、労働者の労働時間を適切に管理することを目的に作られます。出勤簿の作成は他の2つの帳簿と同じく労働基準法で作成が義務付けられていますが、形式に特に決まりはありません。そのため、企業によっては紙面に従業員が1日ずつ判を押す場合や、勤怠管理システムなどのツールを使う場合など様々な形式が取られています。また、出勤簿の場合も労働者の最終出勤日から3年間の保管が必要になります。

労務管理に関連する資格

労務管理士

労務管理士とは一般社団法人日本人材育成協会と一般社団法人日本経営管理協会が運営する民間資格です。この資格は労働基準法などの労務管理に必要な専門的な知識を身に着けているということを証明するための資格です。社会保険労務士のような国家資格ではありませんが、会社に所属している人が労務の仕事に関わる場合には所持していると業務遂行に役立てることができます。また、転職の際にも労務管理士の資格を持っていることで、重要なアピールポイントの1つにもなります。

衛星管理士

衛生管理者とは労務管理の中でも安全衛生管理に関わる業務を行う際に必要な資格です。この資格は法律により定められた国家資格で、取得すると名前の通り企業の衛生管理者になることができます。企業は50人以上の労働者が常時働いている場合、必ず労働者の中から衛生管理者を選任しなくてはいけません。そのため、衛生管理者の資格は一定数の需要が見込まれるというメリットがあります。また、この資格には第一種と第二種があり、第一種は全ての業種に対応可能ですが第二種は対応できない業種があるので、取得する際にはどちらが必要か確認しておきましょう。

ビジネス・キャリア検定試験

ビジネス・キャリア検定試験は主に企業で働く際に必要な基礎知識から専門的な知識までが、どのくらい自分に備わっているかを評価する検定です。この検定は4段階の等級に分かれていて、その等級によって出題分野も変わります。特に労務管理に関わる問題が出題されるのは2~3級になります。この検定は労務管理だけでなく経理や営業など幅広い分野について学習できるので初学者向けの試験とも言えます。労務管理について学びたい人はモチベーションを維持するという意味でも受験を目指してみるのもお勧めです。

社会保険労務士

社会保険労務士は社会保険労務士法に定められた国家資格です。社会保険労務士は主に労働基準法から雇用保険法などの専門知識や法律を網羅した資格であり、資格保有者は労務管理のエキスパートと言っても過言ではありません。社会保険労務士の資格は所持していると独占業務として行政への提出義務がある申請書や届出書などを作成し提出することが可能になります。さらに、労働者名簿や賃金台帳の作成なども企業の代理で行えるので、将来的に自分で事務所を持つこともできます。ただし、合格率は毎年6~7%と低めで、難易度は高い傾向にあります。

おすすめの労務管理システム

jinjer人事労務

労務管理では三帳簿だけでなく様々な書類の取り扱いがあり、作成や保管も業務の一環として求められます。そのため、業務量が多く負担が重くなりがちです。そんな場合におすすめなのがジンジャーの人事労務管理システムです。ジンジャー人事労務では社員の入社から各種労務関係の手続きをPCで行えるので、保管義務のある書類もペーパーレス化できるというメリットがあります。このように、クラウドサービスを利用して労務管理を行うことで作業の負担を軽減することができます。

まとめ

適切な労務管理で働きやすい職場作りをしよう

労務管理は労働者が企業で安心して働く上でとても重要な役割を担う業務です。その分、行わなければいけない仕事の種類も多く、従事する場合様々な分野への専門知識が必要になる場合もありますが、労務を通じて得られる貴重な経験は今後のキャリアアップに活かせます。また、昨今では書類のペーパーレス化が進みPCで重要書類を管理できるようになりつつあります。一見すると難しそうな業務内容ですが利用できるツールを賢く使って効率的に作業していくことで、自分も他の社員も働きやすい職場づくりをしていきましょう。

外国人・グローバル人材の採用をお考えの企業様へ

事例

「日本語+英語+さらに語学が堪能な社員の採用」「海外の展示会でプレゼンが出来る人材」「海外向けサービスのローカライズ出来る人材」「海外向けWebサイト構築・集客」など、日本語も堪能で優秀な人材へのお問い合わせが当社に相次いでいます。

他社の外国人採用成功事例はこちらからご覧ください。

【無料】就労ビザ取得のためのチェックリストがダウンロードできます!

就労ビザ取得のためのチェックリストダウンロードバナー

グローバル採用ナビ編集部では外国人の採用や今後雇い入れをご検討されている皆様にとって便利な「就労ビザ取得のためのチェックリスト」をご用意いたしました。また、在留資格認定申請書のファイル(EXCEL形式)もこちらよりダウンロード可能です。

こちらのチェックリストはこのような方におススメです!


  1. 外国人採用を考えているがビザの申請が心配。
  2. 高卒の外国人は就労ビザの申請できるの?
  3. どのような外国人を採用すれば就労ビザが下りるの?
  4. ビザ申請のために何を気を付ければいいの?
  5. 過去に外国人のビザ申請をしたが不受理になってしまった…
  6. 外国人材を活用して企業の業績アップを図りたい方。
  7. 一目で分かるこんな就労ビザ取得のチェックリストが欲しかった!


他社での事例やビザ申請の際に不受理にならないようにまずは押さえておきたい就労ビザ取得のためのポイントを5つにまとめた解説付きの資料です。

就労ビザ取得のためのチェックリスト(無料)のダウンロードはこちらから!

ページトップへ戻る
ダウンロードはこちら
ダウンロードはこちら