インボイス制度とは?これまでの請求書との違いや減税措置などについて説明します

記事更新日:2026年01月29日 初回公開日:2026年01月28日

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インボイス制度の導入に伴い、経理現場では日々の伝票処理における負担の増大や、社内ルールの周知徹底といった課題に直面しています。法改正への適応は必要ですが、同時に実務担当者の実務負担の増加が懸念されます。本記事では制度の基礎知識はもちろん、免税事業者への対応方針やシステム連携による現場の負担軽減など、課題を解決するための具体的な手法を解説します。また、登録申請の手順から社内勉強会のポイントまで、実務に必要な情報を網羅しました。現状の業務フローを見直し、効率的な体制を築くために、本記事を活用してください。

インボイス制度とは

消費税の仕入税額控除の方式の1つ

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除の方式の1つです。仕入税額控除の適用を受けるために導入された新たな方式で、正式名称を「適格請求書等保存方式」といいます。消費税は、事業者が預かった税額から支払った税額を差し引いて納付します。差し引く計算(仕入税額控除)を行うために、一定の要件を満たした「適格請求書(インボイス)」の保存が義務付けられました。2023年10月以降、売り手は取引相手の求めに応じてインボイスを交付する義務を負い、買い手はそれを受領・保存しなければ原則として税額控除が認められません。

インボイスが必要となる背景

正しい消費税の税額を算出するため

インボイス制度が必要とされた背景に、正しい消費税の税額を算出するという目的があります。きっかけは消費税増税時に軽減税率が導入され、8%と10%の2つの税率が混在するようになりました。各取引の適用税率を明確に区分しなければ、正確な納税額の計算が困難になります。さらに、消費者が負担した税金が事業者の手元に残る「益税」を解消し、税の公平性を確保することも重要な狙いです。インボイスによって税額の内訳を証明することが、適正な申告納税制度の基盤となります。

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インボイスとこれまでの請求書との違い

区分記載請求書に記載事項が追加される

インボイスとこれまでの請求書との違いは、区分記載請求書に記載事項が追加される点にあります。従来使われてきた請求書では、発行者名や取引年月日、対価の額といった基本情報に加え、軽減税率対象である旨や税率ごとの合計額が記されていました。新制度下の適格請求書(インボイス)は、これらだけでは不十分です。新たに、「適格請求書発行事業者の登録番号(T+13桁)」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」の3つを明記しなければなりません。特に登録番号は、仕入税額控除の可否を決める要素となるため、実務において最も確認すべきポイントです。

インボイス制度の登録方法

登録申請に必要な書類

インボイス制度の登録申請をするには、まず必要な書類を準備する必要があります。郵送で申請を行う場合、国税庁が指定する「適格請求書発行事業者の登録申請書」を用意しましょう。法人は法人番号や代表者名などの基本情報を記入し、個人事業主の場合はマイナンバーや本人確認書類の写しが求められます。以前に比べ申請様式は簡素化されましたが、記載漏れや誤りがあると税務署からの問合せや再提出の手間が発生し、登録完了までの時間が長引いてしまいます。国税庁のWebサイトから最新の様式をダウンロードし、記載要領をよく確認したうえで準備を進めましょう。

インターネットでの登録方法

インボイス制度をインターネットで登録申請する場合、国税庁が提供する「e-Tax」を通じて行うのが効率的です。WEB版やスマートフォン版を利用すれば、画面の案内に沿って入力するだけで手続きが完了します。最大の利点は、申請から登録までの期間が郵送に比べて大幅に短縮される点で、2025年現在、e-Taxなら約2週間から1ヶ月半程度で通知が届く傾向にあります。登録通知書をデータで受領でき、紛失リスクがないのもメリットといえるでしょう。マイナンバーカードが必要ですが、迅速に手続きを済ませたい事業者にはオンライン申請がおすすめです。

書面での登録方法

インボイス制度を書面で登録申請する場合、各地域のインボイス登録センターへ郵送する必要があります。書面申請はデータ化や審査に人手を要するため、インターネットでの申請と比較して登録完了までの期間が長くなる傾向にあります。申請書の送付から登録通知の受領までに1ヵ月から3ヵ月かかると想定しておきましょう。万が一内容に不備があれば郵送でのやり取りが発生し、さらに時間がかかります。特定の希望日に間に合わせるためには、余裕を持って投函するか、処理の早いe-Taxを利用しましょう。

インボイス制度の減税措置とは

課税売上高が1000万以下の事業者である場合

インボイス制度の減税措置として、課税売上高が1,000万円以下の事業者である場合に利用できるのが、通称「2割特例」と呼ばれる仕組みです。インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になったケースを対象としており、納付税額を売上税額の2割に抑えることができます。本来の計算方法である本則課税や簡易課税は事務処理が煩雑ですが、特例を利用すれば業種にかかわらず一律20%の納付で済むため、実務負担を大幅に減らせるでしょう。適用期間は2026年(令和8年)9月30日までに属する課税期間です。事前の届出は必要なく、確定申告書に適用する旨を付記するだけで利用できるため、対象事業者は積極的に活用すべきでしょう。

免税事業者が登録申請をしインボイス発行事業者となった場合

免税事業者が登録申請をしインボイス発行事業者となった場合、前述の「2割特例」を活用することで急激な負担増を回避できます。免税事業者がインボイス登録を行うと、自動的に課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。しかし、課税転換が「インボイス対応のため」であれば、前述の2割特例が適用され、税負担を軽減可能です。注意すべきは、もともと売上高1,000万円超の事業者や自ら選択した課税事業者は、減税処置の対象外となるので注意しましょう。特例期間の終了後は通常の課税方式へ移行するため、将来の税務計画の検討が必要です。

インボイス制度で変更されること

適格請求書がないと仕入税額控除ができなくなる

インボイス制度で変更されることとして、適格請求書がないと仕入税額控除ができなくなる点があげられます。登録番号を持たない相手からの仕入れでは消費税分を控除できず、自社のコスト負担が増えます。ただし、急激な変化を緩和するため、一定の経過措置が設けられました。2026年9月までは免税事業者からの仕入れでも仕入税額相当額の80%を、その後2029年9月までは50%を控除できます。経理担当者は請求書の種類や経過措置の適用など、会計ソフトで適切な税区分を選択しなければなりません。

適格請求書の発行は適格請求書事業者しかできない

インボイス制度で変更されることとして、適格請求書の発行は適格請求書事業者しかできないことがあげられます。適格請求書事業者とは、税務署長に申請を行い、正式に登録を受けた課税事業者のことです。登録を受けるには、消費税の課税事業者になることが必須条件です。これまで免税事業者だった企業や個人事業主も、取引先からインボイスを求められた際は、課税転換を検討しましょう。未登録のまま、誤って登録番号に類似した番号を記載したり、誤認される書類を交付することは法律で禁じられています。発行側となる場合は確実に手続きを完了させ、正規の要件を満たす請求書を作成できる体制を整えましょう。

適格請求書は写しを保存しなくてはならない

インボイス制度で変更されることとして、適格請求書の写しを保存しなくてはならない点があげられます。保存期間は、確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。電子データ(電子インボイス)として提供した場合も同様であり、電子帳簿保存法の要件に則って保存しなければなりません。発行側だけでなく、受け取る側も同様に7年間の保存が必要です。膨大な書類を登録番号や日付順に整理し、長期間保管するのは従来のアナログ管理では限界があるでしょう。スキャナ保存や電子データ保存に対応した会計システムを導入し、検索可能なデジタル管理へ移行する企業が増加しています。

インボイス制度導入に対してすべきこと

インボイスを受け取る側

社内勉強会を開く

インボイスを受け取る側が制度導入に対してすべきこととして、社内勉強会があります。経理部門だけでなく、営業担当者や一般社員を含めた全社的な知識の共有が欠かせません。特に伝えるべきは、「なぜ登録番号付きの領収書が必要なのか」という点です。「登録番号がないと会社が消費税分の損失を負う」「経費利用時は可能な限り登録店を選んでほしい」といった運用ルールの周知をしましょう。併せて、電子帳簿保存法に対応した領収書の撮影やスキャンルールも周知すれば、経理担当者の確認作業を削減できます。

取引先に免税事業者がいる場合の対応を確認

インボイスを受け取る側は、取引先に免税事業者がいる場合の対応を確認しましょう。未登録業者からの仕入れは税額控除ができず、自社のコスト増につながります。しかし、これを理由にした一方的な取引停止や値下げ強要は、下請法や独占禁止法違反のリスクがあるため注意が必要です。まずは相手の登録意向を確認することから始めます。そのうえで、経過措置(80%控除等)も考慮しつつ、価格改定や条件据え置きについて協議をしましょう。法的な問題を避け、双方が納得できる着地点を見つける調整が担当者には求められます。

インボイスを発行する側

課税事業者の場合適格請求書発行事業者へ事前に登録

インボイスを発行する側が課税事業者の場合、適格請求書発行事業者へ事前に登録しましょう。既に課税事業者であっても、自動的に発行事業者になれるわけではありません。未登録の場合は速やかに申請を行い、登録番号を取得する必要があります。登録後は、取引先へ「適用開始日」や「登録番号」を通知しましょう。特に継続取引がある相手には、請求書フォーマットの変更を事前に案内しておくとスムーズです。また、登録日は決算期やシステム改修に合わせて指定することも可能です。通知までのタイムラグを考慮し、余裕を持ったスケジュールが求められます。

免税事業者が適格請求書発行事業者になるか選択

免税事業者が、適格請求書発行事業者になるかの選択は重大な経営判断となります。登録して課税事業者になれば取引継続が円滑になりますが、同時に消費税の納税と申告義務が生じます。逆に登録を見送れば事務や税の負担は回避できる反面、取引先から敬遠されたり、価格交渉を受ける可能性があるでしょう。判断の鍵は、主要な顧客が課税事業者か消費者かという点です。BtoB取引が中心なら登録のメリットが大きく、BtoCが主であれば免税のままでも影響は限定的といえるでしょう。2割特例などの軽減措置も考慮に入れ、自社の事業環境に最適な道を選ぶことが求められます。

請求書の項目変更

適格請求書発行事業者の登録後は、請求書の項目変更が必要です。既存の様式に、「登録番号」「適用税率」「税率ごとの消費税額」を追記しなければなりません。注意を要するのが、消費税の端数処理に関するルールです。新制度では「1つの請求書につき税率ごとに1回」しか端数処理が認められず、明細行ごとに計算して合計する方法は禁止されました。そのため、従来の計算ロジックを見直すことが不可欠です。自社システムがルールに準拠しているか確認し、必要なら設定を修正しましょう。不備のある請求書は取引先に迷惑をかけることになるため、対応が求められます。

適格請求書の発行が可能なシステムかどうかの確認

インボイスを発行する側は、適格請求書の発行が可能なシステムかどうかの確認が不可欠です。チェックすべきは、登録番号の印字機能だけではありません。厳格化された端数処理ルールへの適合や、返品時に必要な「返還インボイス」の発行機能が備わっているかを確認する必要があります。電子インボイスの送付機能や会計システムとのデータ連携も、業務効率化の観点から重要な要素といえるでしょう。データ連携により手入力の手間を省き、ミスを削減できるからです。制度対応を機に、アナログ管理からシステム中心のフローへ切り替えることで、生産性向上が期待できます。

まとめ

インボイス制度を理解し適切な処理を行おう

インボイス制度を理解し、適切な処理を行いましょう。この制度は単なる税法改正にとどまらず、経理の実務フローやシステム、取引先との関係性など広範な影響を及ぼします。経過措置や登録の損得を把握することは、企業の利益を守り、コンプライアンスを維持するための前提条件といえるでしょう。実務担当者の負担は小さくありませんが、デジタルツールの活用や業務標準化を進めれば、効率化の好機に変えることも可能です。自社の課題を再確認し、正確な知識とツールを用いて、新たな環境へ適応していきましょう。

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