記事更新日:2024年07月04日 | 初回公開日:2024年07月04日
用語集 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド経営層とは、経営責任があり経営資源を配分する権限のある人のことを言い会社のマネジメントを行ないます。経営資源は人材・経営資金・モノ・情報・時間・知的財産などが含まれ、これらをコントロールするのが経営層です。具体的には、代表取締役や社長、常務、専務といった役員を指すことが多いです。また、会社によっては業務執行を行なう執行役員を含めて経営層という場合があります。
経営層と似た意味をもつ言葉として、経営者があります。経営者とは、最高意思決定者として、業務執行の指揮監督をする人を指します。経営層であれ経営者であれ会社の方針を決めていく立場である点は変わりません。しかし、その範囲に違いがあります。経営層は、最高意思決定者や業務の執行役員なども含まれこれらをまとめて経営層と呼びます。対して、経営者は経営責任を持つ特定の人のことを指します。社長が経営者と呼ばれることが多いでしょう。
経営層と似た意味をもつ言葉として、管理職という言葉があります。管理職とは、組織やチームの目標達成のために内部でメンバーをまとめる人を指します。一方で、経営層とは未来に向けて事業をどのように運営していくかの方針を決定し、事業全体での経営判断を行なう人たちのことです。つまり、管理職と経営層は管理する対象が異なり、経営層の方が組織全体を大きく管轄していると言えます。
経営層に求められる役割について、ピーター・ドラッガーが提唱をしています。ピーター・ドラッガーとは、マネジメントの父とも呼ばれる経済学者であり、経営に関して様々な著書を出しています。彼の述べる経営層の役割は、①事業策定②資金配分③人材配置の3つです。事業策定はいわゆる事業方針の決定を指します。資金配分は、資金の調達と投下を決定します。人材配置は、組織全体の人事方針を決定します。具体的な人事の方針や主要な人事については各部門が決定をするので、あくまで大枠を決定する役割を担います。
経営層に求められる役割について、ヘンリー・ミンツバーグも提唱をしています。ヘンリー・ミンツバーグも世界中で注目を集める経営学者であり、多くの著書があります。彼は、組織の経営者は大きな3つの役割を持ち、細かく分けると10の分類されると論じています。大きな3つの役割とは、①対人関係の役割②情報伝達の役割③意思決定の役割です。対人関係では儀式代表者とリーダー。情報伝達ではモニターと周知伝達役とスポークマン。意思決定では変革を起こす起業家・障害処理者・組織配分者・交渉者の役割があると述べています。
経営層のする仕事として、企業のMVVを決めることが挙げられます。MVVとは、Mission(ミッション)・Vision(ビジョン)・Value(バリュー)の頭文字のことで、経営理念とも同義です。MVVは組織が何故存在するのか、どのような価値観をもつのかを示すものであり、会社の根幹の部分にあたるものです。これを決定できるのは経営層のみです。MVVは決めるだけでなく浸透させることも重要であり、経営層に求められます。
経営層のする仕事として、事業を拡大させることが挙げられます。計画を立ててそれを遂行し、事業拡大をすることは経営層の重要な仕事の1つです。例えば、中長期経営計画や経営方針の立案によって基本方針を決めます。それに沿ってM&Aや投資の決定など事業を動かしていきます。つまり、事業の意思決定をするだけでなく実際に進めていく上での手腕も必要になります。そしてそれを繰り返すことで会社の規模を大きくしていき、利益を組織に還元していきます。
経営層のする仕事として、経営資源を適切に配分することが挙げられます。経営資源は、前述しましたが簡単にまとめると「ヒト・モノ・カネ」の3つです。従業員の工数管理や生産コスト、予算などをどのように振り分けていくかを決定することは経営層の重要な役割の1つです。また、今ある経営資源を配分することはもちろん重要ですが、それらを守り調達することも大切です。資源の維持がないと安定した会社を作り上げていくことは難しいです。
経営層のする仕事として、組織を維持発展させることが挙げられます。業務のIT化が進んできたとはいえ、事業計画を実際に遂行していくのは人です。したがって、人材の確保や育成などの組織マネジメントは重要な仕事と言えます。例えば、新卒採用の採用計画や研修制度などの策定もこれに含まれます。また、評価制度や福利厚生など社員の満足度につながる制度を考えることも経営層の仕事です。いかに人材が組織に定着し生産性を高められるかが重要なポイントです。
経営層のする仕事として、働きやすい職場をつくることが挙げられます。職場環境を整備することで仕事のモチベーションの向上や離職率の低下につなげることが可能です。例えば、テレワーク制度の導入やフレックスタイム制の導入など環境ではなく働き方に関する整備などもそれに該当します。また、メンター制度や相談窓口など、社員の心理的安全性の確保の取り組みも人間関係の構築の上で重要な整備であると言えます。
経営層のする仕事として、アライアンスを構築することが挙げられます。アライアンスとは、ビジネスにおける信頼できるパートナーの構築を意味します。簡単に言えば、協力会社を見つけることです。短期的な外注などであれば現場が行う仕事であると言えますが、長期的に関係を築いていく上では、経営層が経営上のパートナーを見つけ、業務提携を行なっていくことが重要です。また、その際にアライアンスが信頼できる相手かどうかや自社と相性を見極めることが重要です。
経営層に求められるスキルとして、会計知識が挙げられます。前提として、会計の実務を行っていくのは経営者ではなく会計担当者です。しかし、決算書を正しく理解し経営状況を把握することは正しい経営判断の上で重要であるため、経営層にも会計知識は必要であると言えます。特に、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書は財務3表ともいわれる重要な資料であるため読み方を理解しておく必要があります。
経営層に求められるスキルとして、ヒューマンスキルが挙げられます。ヒューマンスキルとは、ビジネスを円滑に進めるために必要な能力のことです。例えば、交渉スキルやヒアリング能力など取引先や社内で人と接する上で必要な能力です。経営をするにあたっては、経営者が1人で進められません。従業員や取引先、顧客といった関係者を巻き込みながら、企業を成長させていく必要があります。多様な関係者と信頼関係を構築するためには、高いレベルのヒューマンスキルが求められます。
経営層に求められるスキルとして、戦略的思考力が挙げられます。戦略的思考力とは、戦略作りの考え方やプロセスを活用する思考法です。戦略的思考の教科書としてクラウゼウィッツの戦争論が有名です。この本では、戦略とは目的を達成するために手持ちの資源をどのように配分するか決めることと述べられています。ビジネスで言えば、企業の目標達成に向かって経営資源をどのように分配して競合で勝つかを考える力となります。また、ビジネスの戦略においては、副次的にマーケティングの知識なども必要となります。
経営層に求められるスキルとして、決断力が挙げられます。先述の通り経営層は経営方針を策定し、事業を計画を決めるなど決定を多く行なっていきます。経営層の判断力なしには社内は業務を遂行できません。実際にどのような専門性や論理的思考力があってもビジネスに唯一の正解があるわけではありません。だからこそ、大きな意思決定をできる高い決断力やリーダーシップが経営層には求められるのです。
経営層に求められるスキルとして、先見力が挙げられます。先見力とは時代の流れを読んで先手先手を打つことのできる能力です。現代はこれまでにない速度で技術革新やIT化・働き方改革・グローバル化などが進んでいます。このような状況の中で企業を維持し発展させていくためには、やはり先見力が大事でしょう。とはいえ、先見力は戦略的思考や論理的思考力などをかけ合わせて生まれてくるものです。総合的に能力のある人物が経営層にふさわしいと言えるでしょう。
経営層に求められるスキルとして、人を巻き込む力が挙げられます。経営層にとって経営判断を行なっていくことはたしかに重要でありそのために決断力が必要です。しかし、経営にはそれを実行していく力も同時に必要です。そして、意思決定によって業務を遂行する人は社内の不特定多数の人間です。経営層は、彼らを巻き込んで事業を実行していく力が求められます。組織やメンバーを巻き込んでいくには、プレゼンテーション・ヒアリング・コーチング・ファシリテーション・人間性なども必要です。こうした信頼関係作りもあいまって人を巻き込んでいくのです。
このように、経営層には求められる役割や仕事、そして資質はかなり多くあります。それだけ経営層という立場は責任が大きく会社の運命を左右するキーパーソンであるということです。特に重要な能力は、コミュニケーション能力です。経営層は様々な人との関わりが必要な立場であるので、人と接する際の振る舞いや話し方は非常に重要です。経営層や経営層を目指されている方は、是非本記事でご紹介した内容を参考にして理想の経営層を目指して下さい。最後までお読みいただきありがとうございます。
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