ホラクラシーとは?【役割を中心とした組織の在り方】

記事更新日:2020年09月29日 初回公開日:2020年09月17日

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働き方改革が進み、組織のあり方が問われる昨今、「ホラクラシー」という新しい組織運営のしかたが注目を集めています。年功序列や階級制度を全てなくした組織、ホラクラシー。一見、組織運営が立ち行かなくなるように思えますが、実際には生産性が上がったという企業も少なくありません。では、なぜホラクラシー型の組織は成功を収めることが可能なのでしょうか。この記事では、ホラクラシー組織にはどんなメリットやデメリットがあるのか。そして、組織にホラクラシーを取り入れる際にはどんな点に注意すべきかを徹底解説します。

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ホラクラシーとは

「役割」中心の新しいマネジメントの形

ホラクラシーを一言で表現するならば「分散型経営・組織統治の手法」です。ホラクラシー型の経営においては、上下関係がなく、社長や部長といった肩書がありません。組織に関わる一人一人の人を役職や部署ではなく「役割」として認識します。ホラクラシーの対義語となるのが、権力一極集中の「ヒエラルキー」です。現在、多くの組織がヒエラルキー型の経営ではないでしょうか。社員を管理し、トップダウンの指示に従って物事を進めようとするのではなく、全員が同じ立場にたって組織を作り上げていくのが、ホラクラシー型の組織です。

アメリカで2007年に提唱

ホラクラシー(Holacracy)の語源は、イギリス人作家アーサー・ケストラーによる造語「ホラーキー」に由来しています。ギリシャ語で「部分であり、全体でもある」を意味する「ホロン」のつながりである「ホラーキー」は、上下関係のないヒエラルキーを表しています。このホラーキーを経営の仕組みに取り入れたのが「ホラクラシー」です。ホラクラシーは、2007年にTernary社の創業者であるブライアン・ロバートソンが提唱しました。それゆえ、比較的歴史が浅いといえます。そして、現在、ホラクラシー型の経営によって、成果を出し始めた組織も多くあり、新たなマネジメントとして注目を集めています。

ホラクラシーとヒエラルキーの違い

意思決定権がどこにあるか

まず、ヒエラルキー型の組織では、上から下へとトップダウンで意思決定がなされます。ホラクラシー型の組織においては、「取締役会」や「役員会議」は開かれません。意思決定を自律的なチームに分散し、目標達成のために何をするか考えてプロジェクトを進めていきます。ここで必要なのは、社員全員が自分のためではなく、組織を成長させるために責任をもって行動することです。セルフマネジメント能力がある社員が、会社や組織のために働くことが求められるといえるでしょう。

役割分担をどのように行うか

ヒエラルキー型の組織には管理職やリーダーが存在します。ホラクラシー型の組織には、役職も階級もありません。この場合、個人個人が役割を分担して仕事を行えるという充足感や、組織としての一体感は得やすいでしょう。一方で、組織運営に不可欠なマネジメントや人事評価を行う人がいなくなってしまうという課題が残されます。皆が同じ立場に立っているとはいえ、誰かがその負担を担わなければならないというのがホラクラシー型の組織課題です。

ホラクラシーのメリット

風通しの良い組織経営ができる

ヒエラルキー型の組織のデメリットとして、社員が自分の意見を仕事に反映しにくいことが挙げられます。また、激しく変動する世界情勢において、年功序列のトップダウン型では組織改革のタイミングが遅れてしまう場合もあるでしょう。ホラクラシー型の組織においては、年齢や経験に関わりなく、全員が平等に意見を出し合いながら、組織を進化させていくことができます。自律的に、そして柔軟に変化する風通しの良い組織運営ができるのは、ホラクラシーならではの利点です。

個人のポテンシャルを活用できる

そして、個人のポテンシャルを最大限に活用できることも、ホラクラシー型の組織のメリットです。先ほど述べたように、ホラクラシー型の組織では、意思決定が個々の人に、あるいはチームに役割として委ねられます。自主的に活動できる範囲が広がりますから、組織はその人の持っているスキルや経験を存分に発揮できる場になります。それにより、社員一人一人のモチベーションや生産性の向上が見込まれます。それにより、組織全体の利益につながると期待できるでしょう。

上下関係によるストレスがない

近年、セクハラやパワハラが社会問題になっています。法務省の調べによると、全体のうち8%ほどの会社で、パワハラをきっかけに社員が退職したという報告もあるほどです。企業の損失はホラクラシー型の組織には、そもそも階級制度がないので、そのような力関係を悪用した嫌がらせは起こりません。また、上下関係の軋轢からくるストレスも、抱える必要がなくなります。それにより、ホラクラシー型の組織では、被害者を出さないだけではなく、個々の作業効率があげ、人的損失を発生させずに済むという企業にとっても大きなメリットになります。

ホラクラシーのデメリット

情報漏洩の危険性が高い

ヒエラルキー型の組織では、階級によって情報の量や質に差がついています。機密情報や社外秘の情報を手にしているのは、ごく一部の限られた上層部でしょう。それは、組織のリスクマネジメントを考えた時、当然のことです。しかし、ホラクラシー型の組織では、皆が同じ立場で物事を進めていきます。現場で意思決定を行う要素として、詳細な情報は欠かせません。そのため、個人情報などの当然守られるべき情報以外は、基本的にオープンにしなければなりません。その場合、社員一人一人が、組織に関わる機密情報を外部に漏らさないと固く決意しないと、流出するリスクが高くなります。社員への信頼感がどれほどあるのか。さらには外部からのウイルス対策がきちんとできているかを確かめることが必要です。

セルフマネジメント能力が求められる

ヒエラルキー型の組織において社員を指揮、統制し管理するポジションとして管理職が置かれました。しかし、ホラクラシー型の組織には管理職が存在しません。周囲に促されずとも自ら動けるという「セルフマネジメント力」がなければ組織は破たんしてしまいます。自分で定めた目標のため、責任を最後まで果たすことができる人材が求められるということです。一方で、何か問題やトラブルが起こっても、管理職がいなければ、一人で抱えこんでしまう可能性も。社員同士がお互いに信頼関係を築き、何でも相談できるような関係性の構築がホラクラシー型の組織では大切になるでしょう。

リスクマネジメントが難しい

リスクマネジメントがしにくいというのも、ホラクラシーのデメリットです。承認や決裁を自らで行うホラクラシー型の組織では、リスクを組織的に管理することが難しく、結果として損失を出してしまう恐れがあります。さらに、規模が大きい会社では、ホラクラシーを取り入れた場合、最終的には誰が何をしているのか、目が行き届かなくなる可能性も考えられるでしょう。このように、リスクマネジメントが難しいのが、ホラクラシー型の組織において注意すべき点です。

既存の経営体制の変化には時間がかかる

既存の経営体制において、今から新しくホラクラシー型に移行する場合、時間がかかります。そもそもホラクラシーとは何か、権力構造をどのように変化させるかといった問題。さらには、上下関係をなくすことに対する社員の心理的な抵抗感もあります。経営体制を大きく変化させ、社員の理解を得るのには時間がかかることでしょう。そして、社員がホラクラシーのやり方に慣れる時間も必要です。すぐにホラクラシーへと移行できるものではないということを、ぜひ覚えておきましょう。

ホラクラシーの注意点

「すべてが自由」ではない

ホラクラシーにありがちな誤解として、「すべてが自由に決められる」という考えがあります。確かに、ヒエラルキー型の組織よりも自由度はずっと高いですが、一定のルールがなければ、組織は成り立ちません。ホラクラシー組織において定められるルールのことを「ホラクラシー憲法」といいます。この中には、お金の決済や、権利移譲のプロセスが書かれており、組織内ではこの憲法のもとで意思決定されます。ですから、会社の秩序を保つためにも、個々が好きなように、すべてを自由に行うわけではないことを理解しておきましょう。

役割と責任の所在を明らかに

ホラクラシー型の組織で、特に経営陣の頭を悩ませるのが報酬制度だといわれています。報酬は自分で決めたり、あるいは話し合いの上で決定するのがホラクラシー組織においては一般的です。誰がいくらもらっているのかという情報も、互いにオープンなので、納得できる金額の提示が必要となります。そのため、一人一人がどんな役割を持ち、どこまで責任を負うのかを明確にしておかなければなりません。役職が存在しないホラクラシー組織を経営していくうえで、役割と責任の所在を明らかにすることが重要なポイントになります。

組織に合わせた柔軟な対応が必要

ホラクラシーは、アメリカで生まれた西欧の考え方です。当然、アメリカの企業風土と日本とは全く異なっていますから、ホラクラシー型の経営のやり方をそのまま移行しようとするのは危険だといえます。まずは、経営陣がホラクラシーについてよく理解するのがおすすめです。そして、小さなチームやグループから取り入れてみましょう。まずはミクロレベルにおいて試行錯誤を繰り返し、それから社風や業種、業務形態にあったホラクラシー型の組織へと徐々に舵を切るようにしましょう。

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ホラクラシーを導入した企業

Zappos(ザッポス)

アメリカで靴のECサイトを運営しているザッポス社。こちらは、2014年からホラクラシーをいち早く取り入れて成功を収めた会社として有名です。ホラクラシーの導入に当たり、社長も役職をなくし、フラットな会社体制を作りました。それにより、社内での意思疎通のスピードがあがり、明確な役割のもとに各自仕事に打ち込めるようになったようです。その結果、会社の業績があがり、Amazon社が過去最高額で買収したことでも話題になりました。ホラクラシー型の組織へと移行した結果、増収に転じたという成功例です。

ダイヤモンドメディア株式会社

日本では、ホラクラシー型を導入した組織はまだ多くはありません。そんな日本国内で先駆けとなってホラクラシーを導入したのが、「ダイヤモンドメディア株式会社」です。テクノロジーベンチャーを扱う同社は、設立当初よりホラクラシー型の経営を進めてきました。肩書きから働く場所、休みの日まですべて自分で決めるという、徹底したホラクラシー型の組織運営が特徴です。ダイヤモンドメディア社は、日本国内でのホラクラシー組織のモデルとして成長をいまなお続けています。

まとめ

ウィズコロナ時代に注目の経営体制

ホラクラシー型の経営では、組織に関わる全員の声を反映しながら改善を繰り返すような、風通しの良い組織の実現が可能です。そして、一人一人のポテンシャルを引き出し、生産性を挙げることが期待できます。一方で、管理職がないので、リスクマネジメントが難しいのが課題です。さらには、オープンかつ透明な情報が必要となり、情報流出の危険性が高くなることも懸念されます。ウィズコロナの時代、働き方は大きく変わっていくに違いありません。ホラクラシーは、時代の流れに沿って成長しつづける組織運営の型として、今後も注目が高まることでしょう。

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