求人詐欺とは【多い事例や求人詐欺を防ぐ方法を解説します】

記事更新日:2021年12月17日 初回公開日:2021年12月16日

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求人をかける場合、なんとしても採用を成功させたいですよね。最近では、自社で求人票を作成できるサービスも登場し、ますます便利になりました。採用を成功させたいと思うあまり、求人票の記載内容を曖昧な表現にしたり、実際の条件よりも好条件を記載していませんか。求職者に魅力を感じてもらえるような文章表現をすることは大切ですが、行き過ぎてしまうと「求人詐欺」になってしまう可能性があります。求人詐欺はトラブルが起きやすく、被害にあった求職者は会社への不信感を募らせ早期に退職してしまうこともあり、双方にとってメリットはありません。今回は、求人詐欺防止を目的に、求人票作成時の注意点について事例を交えて解説しています。求人詐欺を防止するために、ぜひご一読ください。

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求人詐欺とは

求人票に記載している内容と実態が異なること

「求人詐欺」とは、求人票に記載している内容と実態が異なることです。労働条件や業務内容などを偽ったり、あたかも好条件かのような言い回しで求職者を誤解させてしまうことが求人詐欺と言われています。また、入社日直前で、全く異なる労働条件を提示し、契約を結ばざるを得ないような状況にするといった悪質なものまであります。これらは、入社した後に発覚するため、求職者にとっては非常に苦しい問題です。求人詐欺の被害に遭い、劣悪な環境で仕事をしている人がいるのが現状です。

求人票に書かれていることは法的な拘束力を持たない

労働条件における契約は、原則雇用契約書の内容や説明に準じます。雇用契約書は法的な効力を発揮しますが、求人票に書かれている内容は必ずしも法的な拘束力を持ちません。求人票はあくまでエントリーの勧誘を目的としているため、求人票の内容と実際の労働条件は、必ずしも一致している必要がないからです。そのため、企業側は採用数を増やすために自由に内容を書くことができます。故意に実際と異なる内容を書くのはもちろん悪質ですが、求職者に良い印象を与えようとするあまり、意図せず求人詐欺になってしまうケースもあります。

求人詐欺が起こる原因

自社で求人を出稿できるようになったため

求人詐欺が起こる原因は、主に2つあります。一つは、自社で求人を出稿できるようになったことにあります。自社の求人票を無料で登録できたり、採用管理ができるサービスが登場し、コストをかけずに求人を出すことが容易になりました。求人票は、企業が自由に書き換えでき、審査がなくそのまま掲載ができます。審査があったとしても、求人票の内容と実態の比較はできないため、詐欺であるかどうかの取り締りが困難なのです。コストをかけずに求人票を出せることは良いことですが、求人詐欺の起こりやすい状況になっているのが現状です。

正しい知識のない社員が求人広告を書いているため

もう一つは、正しい知識のない社員が求人広告を書いているケースです。求人票には、雇用形態、給与、業務内容など記載すべき項目が多数あります。記載すべき項目の正しい知識がない社員が求人票を書くと、記載漏れや、好条件に見せるために偽りの条件を記載してしまうことがあります。面接時に本当のことを話せばよいとして、記載内容は好条件に見せるために曖昧な表現にしてしまうと、面接後に求職者との認識の齟齬が生まれやすくなります。そのようなケースでは、求人詐欺のトラブルに発展する危険性が高まりますので、求人広告を書く社員は正しい知識をつけておく必要があります。

求人詐欺に多い事例

給与や残業代が求人内容と異なる

求人詐欺に多い事例は以下の通りです。一つは、給与や残業代が求人内容と異なる場合。例えば、求人票の月給は25万なのに雇用契約の締結時に20万と通知したケース。月給25万は残業代込みの金額で、実際の基本給は18万だったというケースは求人詐欺となります。ほかにも、残業代を〇〇手当という名目で、実際は必要な残業代を支給しないケース。裁量労働制を名目として長時間労働をさせ、残業代を支給しないケースなども発生しています。賃金に関する求人詐欺は非常にトラブルになりやすいです。求人票の文言と、面接時での説明を分かりやすく行い、求職者との認識を合わせておくことが重要です。

求人採用より休日が少ない

求人票に書かれている休日よりも実際の休日日数が少ない場合も求人詐欺にあたります。例えば、求人票には「週休2日」や「土日祝」休みと記載があったにもかかわらず、実際には月1回必ず休日出勤をしたり、休日出勤を月に複数回命じられるといったケースです。企業によって休日の日数は違いますが、法律では、年間休日は最低でも105日となっており、多くの企業は週休2日制で120日以上の休日日数を設定しています。求人詐欺である場合、休日においては求職者のQOL低下による早期退職も考えられるため、休日日数を実際よりも多く記載することはやめましょう。

雇用形態が募集条件と違う

雇用形態が募集条件と違う場合も、求人詐欺にあたります。例えば、求人票には正社員と記載があったが、試用期間は契約社員からスタートするといった説明がなかったり、いざ入社してみたらアルバイト契約だったというケース。雇用形態の詐欺があった場合、勤務日数や業務内容によっては、社会保険などその人が受けられる待遇が大きく異なります。そのため、雇用形態においては試用期間中も含めて雇用形態を正しく記載してトラブルを防止しましょう。

募集条件と実際の仕事内容が違う

求人票の募集条件と実際の仕事内容が違う場合も求人詐欺となる可能性があります。例えば、求人票ではITエンジニアだったが、実際はケータイ販売のショップ店員というケースや、事務職と記載があったのに営業だったというケースがあります。求職者は、求人票に書かれた職種で就業することを希望していることが多いため、実際の業務が求人票の内容と違う場合は不信感が強くなってしまいます。求人票に記載された業務内容と違う業務を任せる場合、その業務を任せる背景や、いつまでその業務を任せるのかといった説明が必要です。

求人票に記載すべきポイント

雇用形態や雇用期間

求人票に記載すべきポイントは以下の通りです。まずは、雇用形態や雇用期間です。雇用形態が内定承諾の基準になっている求職者も多いため、必ず明記しておきましょう。雇用形態にはさまざまなものがあり、雇用形態によって一般的に解釈される雇用期間に違いがあります。「正社員」と記載のある場合には、無期雇用と解釈されるのが一般的です。正社員雇用で試用期間を設ける場合には、試用期間の長さも記載します。逆に、有期雇用と記載されている場合には、派遣や契約社員と解釈されるのが一般的です。このように、雇用形態と雇用期間は密接な関係を持っていますので、必ず詳細を明記しておきましょう。

業務内容

次に、業務内容です。業務内容は一つのポジションでも多岐に渡るため、意図的に曖昧な表記にすることも容易です。曖昧な表記にしてしまうと入社後にトラブルになる可能性もありますので、できるだけ詳細かつ求職者がイメージしやすい表現で記載しましょう。業務内容が変わったり、配置替えをする可能性がある場合は、その旨も必ず記載することでトラブルを防ぐこともできます。試用期間や研修で行う業務、1~2年目で行う業務など、勤続年数に応じた業務内容も記載しておくと、貴社に入社したあとの成長イメージがつきやすくなります。嘘の内容を書くことは厳禁ですが、自社でロールモデルとなるような優秀な社員がいれば記載してみましょう。

勤務地

求職者が仕事を選ぶ上で、優先度の高い選考基準に入るのが勤務地です。求人票には本社勤務と書かれていたのに別の勤務地に配属された。求人票には転勤なしと書かれていたのに転勤を言い渡されたという事例も求人詐欺のトラブルに発展しやすいです。求人票には、勤務地を正しく記載することが大切です。本社以外に支店への配属がある場合にはその旨を記載します。客先へのプロジェクト配属で、プロジェクト変更による勤務地の変更が想定される場合には、勤務エリアや自宅からの通勤時間範囲などを記載しておきましょう。そのほか、出張や転勤の有無なども必ず記載しておきましょう。

賃金形態

賃金についても、求職者の選考基準では上位に入るポイントです。賃金においては、日給・時給・月給などの賃金形態を記載します。そのほか基本給、残業や夜勤手当、交通費など給料の内訳についても記載します。給与額を記載する場合、幅を持たせて記載することが一般的です。たとえば、月給18万~25万など幅を持たせて記載することで、求職者の能力により給料が決定するということが分かります。昇給のタイミングなどについても記載があるとイメージしやすいでしょう。月給に残業代が含まれる場合や、試用期間中の給与条件が正社員と異なる場合は、その旨も必ず記載しましょう。

休暇

休日の日数は企業によって自由に設定できますが、休日日数は労働基準法で「少なくとも毎週1日の休日、あるいは4週間を通じて4日以上の休日」と定められています。年間では、最低105日以上の休みが必要になり、これを破ると労働基準法違反となります。週休二日制の企業では、年間休日は120日以上です。休暇の求人票記載に関しては、「週休二日制」「完全週休二日制」など表現によって求職者の受ける印象が変わることを理解して適切な表現で記載します。また、休日出勤があれば代休を取れるなどの記載があると、求職者は安心できます。そのほか、有給や産休、育休についても記載し、できれば取得率や実績なども記載しておくとよいでしょう。

やむを得ず求人票と異なる条件で採用するとき

求人票の労働条件と変更された労働条件を対照する

企業によっては、内定を出した求職者をやむを得ず求人票と異なる条件で採用するケースもあります。しかし、労働条件の変更は企業側が一方的に行えるものではありません。そのため、求人票の労働条件との変更点を対照して、求職者には条件変更の背景も含めて説明する必要があります。ここで説明や条件の提示を怠ると、入社後に求人票の内容と実際の内容が違うことから、求人詐欺のトラブルに発展しやすくなります。労働条件を提示し、求職者からの同意をもって採用することは企業としての義務です。条件の変更においても必ず条件提示と同意確認を行ってください。

求職者が内容を検討するための時間を設ける

求職者を採用する場合、労働条件の提示と求職者からの同意を得ることは企業としての義務になります。条件変更は企業側が一方的に行ってよいものではなく、いかなる場合いおいても説明は必要になります。条件変更は決定事項であるというような言い回しをしたりしてしまうと、内定者に不信感を抱かせてしまいます。入社前の内定者の条件変更においては、内容を検討するための時間を設けるようにしましょう。検討する時間を設けないと、求職者は無理やり条件変更させられたと感じてしまいます。求職者の立場になって検討時間を設けて同意を得ることで、条件変更においてもトラブルを回避することができます。

求職者に早く伝える

前述の通り、労働条件の変更を提示する際には、求職者に内容を検討する時間を設けてから同意を得ることが大切です。しかし、条件変更の通知が入社直前になってしまうと、自ずと検討する時間も短くなってしまい、トラブルを未然に防ぐことができない場合があります。そのため、条件変更の通知は、できるだけ早く求職者に通知を行ってください。労働条件の変更をする対象者が複数にわたる場合、内定者が検討する時間を社内で定めておき、計画的に通知を行うようにしましょう。

変更した手続きを証明できるものを残しておく

労働条件の変更において、早めに通知をして、条件変更の理由や変更点について説明をすることが必要です。口頭のみで説明を行った場合、求職者との認識の齟齬が生まれる可能性が高く、言った言わないのトラブルに発展しやすくなります。したがって、説明をする際は、条件変更したことや内定者が変更に同意したことを証明するエビデンスを残しておきましょう。既存社員における労働条件の変更通知は必ずしも必要ではありませんが、入社前の内定者の場合は、変更された条件で雇用契約を結ぶことになります。そのため、しっかりとエビデンスを残しておいた方がトラブルを防止しやすくなります。

まとめ

求人詐欺になってしまわないように注意しよう

今回は求人票を自社で作成する場合の注意点や、求人詐欺に多いポイントなどを解説しました。求人票は、求職者に自社を選んでもらうためのメッセージです。求職者にとって、どの会社に入社するかという選択は人生を大きく左右するものです。人生をかけた選択で入社したら、求人詐欺の被害に遭ったとなれば、求職者に大きな傷を負わせてしまうことにもなりかねないのです。嘘や曖昧な表現は、求職者を傷つけるだけでなく双方にとってデメリットしか生まないということを認識してください。自社で求人票作成をする際には、今回の記事の内容を参考にし、求人詐欺にならないよう注意してください。

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