記事更新日:2026年02月13日 | 初回公開日:2026年02月13日
用語集 人事・労務お役立ち情報
マミートラックとは、育児をしながら働く女性が自分の意思に反して出世コースから外れてしまう状態です。典型的な例として出産・育児を機に、時短勤務や負荷の軽い部署への異動があげられるでしょう。会社側からの「配慮」や「支援」が、結果的に本人のキャリアアップを停滞させてしまいます。本人の意欲や能力とは無関係なため、多くの女性社員がキャリア形成において悔しい思いをする原因となっています。マミートラックは仕事と育児の両立を目指す女性が直面する、根深い課題の一つといえます。
マミートラックは、元はワーキングマザーへの支援制度を指す意味合いで使用されていました。この言葉は1980年代のアメリカで生まれたとされています。当時、育児と両立できる柔軟な働き方を設けるという考え方は、ビジネス界からは人材確保の観点で歓迎されました。一方で、女性を主要なキャリアコースから隔離する「二級の道」であるとして、フェミニストからは強い批判も受けたという複雑な背景があります。結果的に後者の懸念が現実のものとなり、次第に「出世コースから外れる状況」という否定的な意味合いで定着していきました。
マミートラックの原因として、支援制度の不足があげられます。育児休業や時短勤務といった制度は多くの企業で導入されていますが、復職後のキャリアパスまで見据えた仕組みが整っていないケースが散見されます。たとえば、一度時短勤務を選ぶとフルタイムに戻るための条件や時期が曖昧で、キャリア復帰の見通しが立たないケースがあります。また、評価基準が労働時間の長さに偏っている場合、限られた時間で成果を出す社員を正当に評価できません。復帰後を見据えた効果的な支援の不足が、マミートラックを生む大きな要因となっています。
マミートラックの原因として、会社全体の理解不足があげられます。プロジェクトのリーダーを選ぶ際に、上司が「子供が小さいから大変だろう」と配慮したつもりになり、本人に打診することなく候補から外してしまうことがあります。会社側は良かれと思って判断していても、社員の側から見れば、成長する機会を一方的に奪われたことになります。こうしたすれ違いは社員の働く意欲を削ぎ、能力を正当に評価する機会を失わせる大きな要因となるでしょう。
マミートラックの原因として、コミュニケーション不足があります。企業側が本人のキャリアに対する意向を確かめないまま、一方的に業務内容や役割を決定してしまうケースが後を絶ちません。特に、育休からの復職時やその後のキャリアプランについて、上司と本人が話し合う機会が欠けている場合、問題となります。本人は「やりがいのある仕事がしたい」と思っていても、会社側は「負担の少ない仕事が良いだろう」と判断し、ミスマッチが生じます。対話の不足が社員のモチベーション低下を招き、不本意なキャリア停滞につながります。
長時間労働を前提とした職場環境は、マミートラックの原因の一つです。多くの職場では、成果そのものよりも「どれだけ長く会社にいたか」が評価されがちです。重要な情報交換や意思決定が、定時後の雑談や飲み会といった非公式な場で行われるケースがあります。こうした場に参加できない時短勤務の社員は、本人の知らないところで物事が決まっていく「情報の格差」に直面するでしょう。能力とは無関係に早く帰るというだけで評価が下がり、キャリアアップに必要な機会から遠ざけられてしまいます。
マミートラックの問題点として、求職者に対する企業イメージの低下があげられます。若い世代は、企業の働きやすさや公正性への取り組みを注視しています。マミートラックの問題を放置している企業は、「女性が長期的なキャリアを築きにくい」「公正な機会を与えない」といった評価をうけるでしょう。SNSや口コミサイトを通じてすぐに評価が広がるため、優れた人材の採用競争において不利を招きます。結果として人材獲得は困難になり、企業の持続的な成長を阻害する要因となります。
マミートラックの問題点として、女性の管理職への昇進の遅滞があります。出産・育児のタイミングでキャリアコースから外れてしまう女性が増えると、管理職候補となる人材プールが小さくなってしまいます。組織全体の意思決定層から女性が減ってしまい、若手の女性社員が将来のキャリアパスを描きにくくなり、早期離職につながる可能性もあるでしょう。女性の活躍が企業の成長に欠かせないとされる中、マミートラックは昇進を滞らせ、組織の活力を削いでしまいます。
マミートラックの問題点として、モチベーション低下があげられます。培ってきた経験やスキルが活かせない補助的な業務ばかりでは、仕事へのやりがいを維持することはできません。自分の能力が正当に評価されない不満は、次第に「会社に必要とされていない」という疎外感に変わります。かつての同僚が新しいプロジェクトで活躍する姿を見るたびに、自分のキャリアだけ停滞しているという焦燥感も生まれるでしょう。結果として、会社は有能な人材の働く意欲を失わせるという損失を被ります。
マミートラックを防ぐためにさまざまな働き方を可能にする制度として、時短勤務やフレックスタイム制があります。時短勤務やフレックスタイム制を導入するうえで肝心なのは、制度を利用してもキャリアで不利にならない職場風土を醸成することです。たとえば、時短勤務者も成果次第で昇進・昇格できる評価制度を整えたり、フレックスタイムを活用して主要な会議に参加できるよう配慮することがあげられるでしょう。社員が安心して利用できる環境が、マミートラックの防止につながります。
マミートラックを防ぐためにさまざまな働き方を可能にする制度として、リモートワーク制度があります。リモートワークは通勤時間を削減し、働く場所の自由度を高めて、育児や介護をする社員の負担を軽くします。子供の急な発熱など、突発的な事態にも対応しやすくなるでしょう。リモートワークを効果的に活用するには、時間ではなく成果で評価する文化へ移行し、円滑なオンラインでのコミュニケーションや業務の進捗を可視化する仕組みが不可欠です。社員は場所に縛られず能力を発揮し、企業は有能な人材の離職を防げるでしょう。
マミートラックを防ぐために企業が取るべき対策として、面談やカウンセリング、ヒアリングの実施があります。特に育休からの復職前後のタイミングで、本人のキャリアに対する意向を聞きましょう。たとえば、「今後どのようなキャリアを築きたいか」「どの程度の責任範囲の業務を希望するか」といった点を具体的にヒアリングします。ヒアリングは社員の意欲や状況を会社が正確に把握し、一方的な「配慮」によるミスマッチを防ぐことにつながります。社員の側に寄り添う姿勢はエンゲージメントを高め、信頼関係の構築に結びつきます。
マミートラックを防ぐために企業が取るべき対策として、人事評価制度の修正・改善があります。多くの日本企業で根強い「時間」を基準とした評価から、時間や場所の制約を受けない「成果」を基準とした評価への転換が求められます。評価項目から「残業時間」や「勤務態度」といった曖昧なものをなくし、「目標達成度」や「業務改善への貢献」といった客観的な指標の比重を高めることが考えられます。公平な評価制度を構築することで、時短勤務の社員もフルタイムの社員と同じ基準で評価できるようになるでしょう。
マミートラックを防ぐために企業が取るべき対策として、女性社員のコミュニティ形成を支援することも有効です。同じような境遇にある女性社員同士が、キャリアや育児の悩みを共有し、情報交換できる場は当事者の孤独感を和らげるうえで役立ちます。コミュニティ内でマミートラックを乗り越えた先輩社員がロールモデルとなり、後輩にアドバイスすることも有効でしょう。女性社員同士の横のつながりは個人のキャリア意識を高めるだけでなく、組織全体の活性化にも貢献します。
大塚製薬株式会社のマミートラックを防ぐための取り組みとして、女性MRの採用があげられます。医薬情報担当者(MR)はかつては長時間労働や出張が多いため、女性が働き続けるのは難しいとされた職種でした。同社はこの固定観念を覆し、幅広い人材が活躍できると考え、女性の採用を積極的に推進しています。男性中心だった職場に新たな視点や価値観がもたらされました。着目すべきは単に採用人数を増やすだけでなく、入社した女性社員が長期的にキャリアを形成していけるよう、働きがいのある環境をセットで提供しようとしている点です。
大塚製薬株式会社の取り組みには、子育て中にも働ける環境づくりもあります。同社は社員が育児と仕事を両立できるよう、法定を上回る手厚い支援制度を整備しました。たとえば、子供が小学校に就学する前まで取得できる育児短時間勤務制度や、事業所内保育所の設置などがあります。急な休みにも対応できるチーム体制の構築や、上司による定期的なキャリア面談の実施など、子育て中の社員が孤立せず、安心して働ける環境を実現しています。ハードとソフト両面からのサポートが、社員の継続就労とモチベーション維持を実現しています。
大塚製薬株式会社は、女性リーダーの育成に力を入れています。同社では将来の管理職や経営幹部候補となる女性社員を対象とした、体系的な育成プログラムを導入しています。プログラムではリーダーシップ研修や役員とのメンタリングを提供し、キャリアアップへの意欲を高める支援を行っています。明確な育成方針を示すことで、女性社員は将来のキャリアパスを具体的に描きやすくなるでしょう。ロールモデルとなる女性リーダーが若い世代の目標となり、組織全体の公正性向上にも貢献しています。
マミートラックを防ぎ女性にとって働きやすい環境を作るためには、企業と個人の双方からのアプローチが欠かせません。企業は制度を整えるだけでなく、時間ではなく成果で評価する人事制度への改革や、管理職の意識改革といった組織文化の変革に取り組む必要があります。一方で、キャリアの停滞に悩む当事者も「仕方ない」と諦める必要はなく、自身のキャリアプランを上司や会社に伝えることが、状況を打開する第一歩になります。あらゆる価値観が尊重され、誰もが望むキャリアを選択できる社会の実現が求められます。
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