記事更新日:2026年02月13日 | 初回公開日:2026年02月13日
用語集 人事・労務お役立ち情報 グローバル用語解説
内部通報制度とは、企業内の不正行為や法令違反を従業員が報告できる制度です。組織内部の問題を早期に発見して、自浄作用を働かせることを目的としています。従業員が安心して情報を提供できるよう、通報者の保護を前提とした運用をしなければなりません。公益通報者保護法においても、事業者は公益通報に適切に対応するための体制整備が求められています。内部通報制度は企業が自ら組織内のリスクを管理し、健全な経営を維持していくための仕組みといえます。
内部通報と内部告発の違いとして、内部告発は企業の不正行為や法令違反を、企業外に対して報告する点があげられます。企業の不正行為や法令違反の情報を、行政機関や報道機関などに対して報告する行為が内部告発です。社内の窓口を利用する内部通報とは、通報先が組織の内部か外部かという点で明確な違いがあります。内部通報制度が適切に機能すれば、問題が外部に漏れる前に組織内で解決できる可能性が高まるでしょう。しかし、制度が形骸化していたり、通報しても対応してもらえないと従業員が判断した場合、内部告発という手段が選択されるリスクが生じます。
内部通報制度のメリットとして、社内の不正を早期に発見し対処できることがあげられます。問題が大きくなる前に、内部からの情報提供によってその芽を摘むことが可能になります。たとえば、品質データの改ざんや経費の不正利用といったコンプライアンス違反は、放置すれば企業の信頼を揺るがしかねません。従業員が声を上げやすい環境を整えることで、現場レベルのリスクを吸い上げられます。早期発見と早期是正のサイクルの確立は、健全な企業運営の基盤を強化します。
内部通報制度のメリットとして、行政機関や報道機関への外部通報を防ぐ点もあげられます。従業員が社内の不正を発見した際、信頼できる相談窓口がなければ、外部の力を頼らざるを得ない状況になります。一度、問題が外部に漏れてしまうと、企業は深刻なレピュテーションの毀損や行政処分、訴訟といったリスクに直面します。実効性のある内部通報制度を整備し、社内で問題を解決できるという信頼を従業員から得られれば、そうした事態を未然に回避できるでしょう。
内部通報制度のメリットとして、自浄作用のある事業者として社会的な評価を得られることがあげられます。内部通報制度が適切に機能していることは、企業が自主的にコンプライアンス違反を是正する能力と意思を持っている証左となります。企業の透明性やガバナンス体制が盤石であることを示すものであり、投資家や金融機関からの評価にもつながるでしょう。法令遵守の意識が高い企業であるというイメージは、企業のブランド価値を高めます。
内部通報制度のメリットとして、取引先からの信頼獲得に役立つこともあげられます。企業間の取引においては、相手企業のコンプライアンス体制が厳しく問われるようになっています。特に、サプライチェーン全体での法令遵守が求められる現代において、内部通報制度の有無や運用実態は、取引を継続するかどうかの判断材料にもなり得ます。健全なガバナンス体制を構築していることを示すことで、取引先は安心して契約を結ぶことが可能になるでしょう。
内部通報制度のデメリットとして、社内への負担があげられます。窓口担当者の設置や通報があった際の調査、是正措置の実施など、一連の対応には人的リソースと時間が必要です。特に、専門の法務部門やコンプライアンス部門を持たない企業にとって、担当者の通常業務に加えて、これらの業務が上乗せされることになります。外部の法律事務所などに窓口を委託する場合は、別途費用が発生し、財務的な負担となるでしょう。通報内容によっては、高度な専門知識を要する調査が必要になるケースもあり、対応コストも考慮に入れなければなりません。
内部通報制度のデメリットとして、制度の形骸化が発生するリスクがあげられます。窓口を設置したものの、社内に存在が十分に認知されていなかったり、「通報しても意味がない」「報復されるかもしれない」といった懸念から利用されないケースがあります。制度がお飾りになると、不正の早期発見という本来の目的を果たせません。形骸化を防ぐためには制度の存在を定期的に周知し、運用実績を積み重ねて、信頼を醸成する必要があります。
内部通報制度の導入の最初のステップは、責任者と窓口設置場所の選定です。まず、制度全体の運営を統括する責任者を定めましょう。そのうえで、従業員が通報しやすい窓口をどこに設置するかを決定します。窓口の選択肢としては、総務部や人事部、コンプライアンス部門といった社内窓口のほか、顧問弁護士や外部の専門機関に委託する社外窓口があります。通報者の心理的ハードルを下げ、利用しやすさを確保して、客観性や秘匿性を担保できる窓口の設計が求められます。
内部通報制度の導入の次のステップは従事者の選定と研修、内部規定やマニュアルの準備です。担当者には法律や社内規定に関する知識だけでなく、高い倫理観と守秘義務を遵守することが求められます。選定後は通報受付時の対応方法や調査の進め方、通報者保護の注意点などに関する専門的な研修を実施し、対応品質の均一化を図ります。並行して、通報の対象となる事案の範囲や調査手続き、是正措置、通報者保護などを定めた内部規定を策定しましょう。担当者が迷わず動けるよう、具体的な対応手順を記したマニュアルの整備が必要です。
内部通報制度の導入方法として、従業員への周知があげられます。制度の目的や利用方法、通報者が法律や社内規定によって保護されることが明確に伝わらなければ、安心して利用してもらえません。周知の方法としては、社内ポータルサイトへの掲載やメールでの一斉通知、ポスターの掲示などが考えられます。入社時研修や階層別研修の際に、内部通報制度に関する説明をするのも効果的です。定期的にリマインドを行い、制度がいつでも利用できる状態にあることを周知しましょう。
通報に関する秘密保持を徹底するために、通報者の特定につながる行為や情報共有を行わないようにしましょう。担当者は、通報があった事実を必要最小限の範囲を超えて口外してはいけません。たとえば、調査の協力を仰ぐ際に「〇〇部からこんな話があって」といった、部署を推測させるような伝え方は絶対に避けるべきです。担当者間での引き継ぎや相談も、セキュリティが確保された環境で、関係者以外に情報が漏れないよう細心の注意を払う必要があります。安易な情報共有は、意図せず通報者を危険に晒す結果を招くので、担当者全員が肝に銘じておくべきです。
"通報に関する秘密保持を徹底するためには、調査が通報をよるものであることを、原則として秘密にしなくてはなりません。調査対象者やその周辺の従業員に対して「内部通報があったので調査します」と伝えると、「犯人探し」を誘発します。調査を実施する際は、「定期監査の一環です」あるいは「社内規定の遵守状況に関する実態確認です」といった、別の目的を理由としましょう。通報の存在を伏せて、通報者を守ると同時に調査対象者の過度な反発や警戒を防いで、円滑な調査の実現が可能になります。
"通報に関する秘密保持を徹底するために、秘密保持が可能な通報窓口の環境整備をしましょう。物理的・システム的に秘密保持が可能な通報窓口の環境整備が不可欠です。たとえば、社内窓口を設ける場合、通報者が他の従業員から隔離された個室で担当者に相談できるよう配慮します。電話やオンラインでの面談においても、会話の内容が周囲に聞こえない環境を確保しなければなりません。通報に関する記録やデータは、アクセス権限を厳格に管理した専用のサーバーやシステムで保管すべきです。誰でも閲覧できる共有フォルダなどへの情報の保管は、情報漏洩のリスクを著しく高めるので、絶対に避けましょう。
内部通報制度を導入する際の注意点として、会社から独立した通報窓口の設置があげられます。社内の人間関係や利害関係から完全に切り離された外部の法律事務所や専門機関が窓口となることで、従業員は安心して相談しやすくなります。特に、経営幹部や人事部門が関与するようなデリケートな事案の場合、社内窓口では通報を躊躇する従業員も少なくありません。社外窓口は、そうした従業員の心理的な障壁を取り除きます。法的な観点から客観的かつ公正な対応が期待できるため、調査プロセス全体の透明性や公平性を高められます。
内部通報制度を導入する際の注意点として、通報者が不利益な扱いを受けないことを運用規定を用いて明確にすることがあります。不利益な扱いとは、解雇や降格、減給、不当な配置転換といった直接的なものに限りません。たとえば、業務上必要な情報を与えない、無視する、仕事を取り上げるといった間接的な嫌がらせや報復行為も含まれます。禁止事項を規定に列挙するとともに、違反した者には懲戒処分を科すことを明示します。通報をためらわせる最大の要因である「報復への恐怖」を払拭することで、制度への信頼性が高まります。
内部通報制度を導入する際の注意点として、通報後の公正な検討・調査を行い適切な対処を行うことがあげられます。通報を受けたら、事実関係を確認するため、客観的な証拠の収集や関係者へのヒアリングを慎重に進めましょう。この際、調査対象者の人権にも配慮し、予断を持たずに話を聞く姿勢が不可欠です。調査の結果、不正行為やハラスメントが事実であると認定された場合は、社内規定に基づき厳正な処分を下します。再発防止策を策定・実施し、必要に応じて内容を通報者へフィードバックすることで、一連のプロセスを完結させます。
内部通報制度を適切に導入し、企業や従業員を守る整備をしましょう。内部通報制度の運用は、企業とそこで働く従業員を守るための基盤整備といえます。一方で内部通報制度は、不正の早期発見や自浄作用の促進といったメリットをもたらす一方で、形骸化や犯人探しなどのリスクもはらんでいます。しかし、そうしたリスクは秘密保持の徹底や独立した窓口の設置、通報者保護の明確化といった対策を講じることで、回避が可能です。本記事で解説した注意点を参考に、自社の体制を見直し、従業員が安心して声を上げられる、内部通報制度の体制を構築してください。
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