記事更新日:2025年01月09日 | 初回公開日:2025年01月09日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報社員名簿とは、企業が従業員を雇用する際に作成して管理する書類のことです。従業員の氏名、生年月日、住所、連絡先、雇用形態、職種などの基本情報を一覧にまとめたもののことを言います。労働基準法で定めている「法定三帳簿」のひとつに該当しており、作成が義務付けられています。従業員名簿、労働者名簿など似た名前のものがありますが、社員名簿は正社員のみを対象とした名簿のことを指しています。労働基準法で義務付けられているのは正確には労働者名簿ですが、一般的に従業員名簿と呼ばれることが多いです。
社員名簿に記載する従業員の対象者には、日雇い労働者以外のすべての従業員が当てはまります。しかし、派遣労働者は派遣元と雇用契約を結ぶため、対象外になることに注意してください。会社代表や役員については労働者には該当しないことから対象ではないものの、社会保険上では会社役員も被保険者にあたるので、社会保険事務所の調査も踏まえて作成しておくことがおすすめです。つまり、基本的には雇用契約を結んでいる従業員はすべて対象になると認識しておきましょう。
社員名簿を作成する理由は、法律で義務付けられているからです。労働基準監督署などの監査で求められる場合があり、作成していないことが発覚した際には、30万円の罰則を受ける可能性があります。加えて、社員名簿に記載されている個人情報は、交通費算出や緊急連絡でも活用することがあります。そのため、社員名簿を作成するのは法律違反にならないようにするためだけではありません。自社の従業員の情報を把握するために必要な書類であるという認識をして、常に最新の情報を保っておきましょう。
社員名簿が必要な場面として、会社の人事管理や労務管理が挙げられます。従業員の氏名、生年月日、住所、連絡先などの基本情報を管理したり、入社日、退職日、異動歴などの雇用履歴を記録したりするのは個人情報管理に当たります。労働時間管理、休暇管理、給与計算などに必要な情報を提供したり、社会保険や労働保険の手続きに活用したりするのは労務管理です。その他、従業員の職歴やスキルを見る際や人材育成計画や配置転換の検討に役立てることもあります。
社員名簿が必要な場面には、行政調査などもあります。定期的な調査や社員からの申告に基づく監督の際に提出を求められることや、雇用関係助成金や各種補助金の申請時に、社員名簿の提出が必要となる場合があります。また、年金事務所や労働基準監督署による調査の際に提出を求められることがあったり、加入状況や保険料の適正な納付を確認するために使用されることがあったりするのです。調査が行われる際に速やかな提出ができるよう、適切に保管しておくようにしましょう。
社員名簿に記載する項目としてまず挙げられるのが氏名です。ここでは、戸籍上の氏名をしっかりと確認しておくことが重要になってきます。例えば、戸籍上の氏名が旧字体で記載されている場合、普段は新字体を使用していても旧字体で記載したほうが良いと言えます。公的な手続きでは正確な字体が求められやすいためです。また、記載の義務はありませんが、健康保険などの手続きの際に読み仮名も必要な場合があります。さらに、近年は読みづらい氏名が増加傾向にあるため、氏名には読み仮名も記載しておくと安心です。
社員名簿には住所・性別・生年月日も正確に記載しましょう。住所は、社員が現在住んでいる住所を記載します。住民票を確認しますが、社員が現在住んでいる住所が異なる場合もあるため、記載前に本人に確認しましょう。もちろん住所が変更された時には、記載している内容も変更する必要があるので注意してください。この記載をもとに、社員に交通費を支給することになります。性別や生年月日は戸籍に登録されている内容と同一でなければならないため、間違えないようにしましょう。
社員名簿に、社員が従事する業務の種類と履歴も記載しましょう。「経理事務」や「技能工」というように、業務内容が分かるように記載することがポイントです。例として建設業における現場作業員の場合は、「大工」「配管工」などと記載しておいてください。しかしこれは必須ではありません。労働者が30人未満などの場合は、1人で複数の業務を受け持つこともあるからです。履歴は、労働基準法においてどこまで記載するか定められていませんが、異動や昇進などの社内での履歴を記載します。
社員名簿を作る際には、雇入の年月日・退職年月日と事由・死亡年月日と事由も記載します。雇入の年月日は、社員の採用が決定した日ではなく、雇用した日を指しています。これによって、年次有給休暇の発生日が明確になります。退職年月日は最終出社日ではなく、社員が会社に在籍していた最後の日を記載するよう、注意してください。事由は「退職の理由」に当たりますが、これは会社都合退職の場合に必要な項目です。社員が就業中に死亡した場合には、死亡が労災に当たるか判断するためにも原因を記載します。
社員名簿の書き方のポイントは、業務の種類を分かりやすく記載することです。経理や総務などの所属する部門名、フィールドセールスやインサイドセールスなどの職種名、部長や課長などの役職名を組み合わせて記載すると良いでしょう。詳細に残しておく方が分かりやすくなります。配属先が未定の新入社員は先に業務の種類を書かずに、配属先が決まってから記載します。社内外の就業状況、通勤方法や時間、就業場所の移動、車両運転の有無、危険物の取り扱いの有無も併せて記載することで、労災の判断材料になります。
履歴には、入社前と後のことを記載することもポイントです。新卒社員であれば最終学歴、中途社員の場合には最終学歴から入社までの職歴を記載しておいてください。履歴に保有資格も併せて記載すると、確認する際に便利でしょう。入社後の履歴については、人事異動が発生するたびに、いつ移動したのか、どの部署へ異動したのかを時系列で記載するようにしてください。社員の家族情報については必要最低限にしておき、適切な管理が求められます。
社員名簿の課題は、作成や更新に手間がかかることだと言えるでしょう。社員が入退社したり勤務状況が変化したりすることに合わせて、頻繁に作成して更新する必要があります。変更があった際には速やかな更新が求められるため、管理が紙媒体の場合は、修正や更新に時間を要します。担当者の負担を少しでも軽くするためには、システム上での管理に移行すると良いでしょう。管理作業の効率化によって、作成や更新の手間を軽減できます。
紙ベースで保管するとリスクが高いことも、社員名簿の課題の大きな課題です。紙媒体による保管でも、ある程度までリスク対策をすることは可能です。しかしそれでは、最低限の対策になってしまう可能性が高いと言えます。紛失することもあり得るため、紙ベースで保管することにはリスクを伴います。社員名簿をシステム上での管理に切り替えることができれば、閲覧制限をつけることができます。そのため、より強力なセキュリティ対策を取ることができるのです。
社員名簿の課題として、保存場所を確保する必要があるということが挙げられます。社員名簿の作成をする際、会社の規模が大きく社員数も多い場合は、社員名簿の数が膨大になって管理が大変になってしまいます。紙で管理していると保管場所が必要になったり、紛失などのリスクに備えた適切な保管が求められたりします。こういった課題に対しても、社員名簿は紙での管理からシステム上の管理に移行することで、解決に繋げることが出来るでしょう。
社員名簿の保存期限は、従業員が死亡もしくは退職や解雇の日から5年間です。保存の義務が発生する起算日は、入社日や事業場へ異動してきた日ではないことを頭に入れておきましょう。しかし、社員名簿を作成した日から保存の義務が発生する日までの期間も、保存しておかなければなりません。また、退職者について行政機関から問い合わせがくる可能性もあるため、退職者の名簿は他の社員と別で保管しておきましょう。名簿に管理番号などを振っておくことで、管理がしやすくなります。
社員名簿の保管方法は、一定の要件を満たす必要があります。社員名簿の作成や保存の形式は、法律で規定されていません。しかし、即座に提出できることや誤って消去されないこと、長期にわたって保存できることなどの要件を満たすようにしておきましょう。社員名簿に記載されている内容は個人情報であるため、誰でも閲覧できる場所に保存しないことや、施錠可能な書庫に格納するなど、厳重に管理してください。また、社員名簿にある情報は他の従業員や第三者に開示することは禁止です。
社員名簿を管理する上での注意点は、個人情報の取り扱いに十分気をつけることです。社員名簿は個人情報が含まれている重要な文書であるため、取り扱いには注意しましょう。個人情報保護法や関連する規制にのっとり、適切な管理が大切です。データで管理している場合は、情報漏えいや不正アクセスを防ぐ対策が必要です。アクセス制限やセキュリティ対策を強化することで、適切な管理体制を築きましょう。そして、社員の勤務状況が変化した場合には、速やかな更新を行ってください。
セキュリティ対策をしっかりとして、不要な共有は避けることも大切です。データで管理している場合には、アクセス制限やパスワード保護などの対策を講じて、情報の機密性を確保しましょう。紙媒体での保存は、安全な場所に保管しておくことはもちろん、廃棄する際にも注意して、情報漏えいを防がなければなりません。個人情報を含む社員名簿は、不必要な共有は避けてください。外部へ情報提供する際には、慎重に検討した上で適切な手続きを踏む必要があります。
社員名簿について解説しました。社員名簿を作成する理由や必要な場面をしっかりと理解し、記載する項目も今一度確認するようにしましょう。社員名簿は提出が求められた際に速やかに対応するためにも大切ですが、確認したいことがある場合にも理解しやすいように整えておくことを心がけてください。紙媒体でもデータで管理する場合でも、セキュリティ対策は万全にしておき、個人情報の漏えいなどの危険が起こらないようにしておくことが重要です。
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