女性活躍推進法とは?【メリットや4つの実施義務について徹底解説します!】

記事更新日:2021年04月12日 初回公開日:2021年04月11日

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女性活躍推進法とは、職場における女性の活躍を推進すべく制定された法律です。近年、世界の女性管理職比率に対する日本の同比率が低いことから、男女平等や女性が活躍できる社会の創造が叫ばれてきました。また、政府が「働き方改革」を国の重要政策の一つとして掲げたことで、育児休暇の取得率向上や女性の社会進出が進んできています。このような状況を受け、2016年に制定された法律が「女性活躍推進法」です。本稿では、女性活躍推進法の目的や義務対応のステップから、えるぼし認定の説明に至るまで、初心者の方にも分かりやすく説明していきます。会社での職場制度が女性にも働きやすいものに整えられているか、是非この機会に一度見直して見て下さい。

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女性活躍推進法とは

女性が働きやすい社会を推進する法律

女性活躍推進法は2019年6月に改正されています。改正前の条文では、実施義務の対象が「常時雇用する労働者が301人以上の企業」とされ、101人以上の中小企業は努力義務と位置づけられていました。その後、2019年の法改正を経て対象企業が拡大され、常時雇用する労働者101人以上の企業も対象になることが定められました。また、一般事業主行動計画の策定義務や、自社の女性活躍に関する情報公表の内容が強化され、法内容が見直されました。

女性活躍推進法の具体的な内容

女性活躍推進法の改正内容

女性活躍推進法は2019年6月に改正されています。改正前の条文では、実施義務の対象が「常時雇用する労働者が301人以上の企業」とされ、101人以上の中小企業は努力義務と位置づけられていました。その後、2019年の法改正を経て対象企業が拡大され、常時雇用する労働者101人以上の企業も対象になることが定められました。また、一般事業主行動計画の策定義務や、自社の女性活躍に関する情報公表の内容が強化され、法内容が見直されました。

義務付けられている4つの対応

301人以上の従業員を抱える大企業では、以下の4つの対応が義務付けられています。①女性活躍に関する自社の状況把握と課題分析。②行動計画の策定と情報公開。③都道府県労働局への届け出。④計画実施と効果測定。これらの実施義務を行わなかった場合、罰則はないものの、厚生労働省から勧告を受けたり企業イメージを損なったりする可能性があります。④の効果測定を次の課題分析に反映させることで、PDCAサイクルを確立させることが大切です。

企業に対し義務づけられている4つのステップ

1.女性活躍に関する自社の状況把握と課題分析

では、前の項目で軽く触れた4つの実施義務について詳しくご説明していきます。まず行うべきステップは、「女性活躍に関する自社の状況把握と課題分析」です。自社の現状を把握することで、課題点を洗い出します。チェックすべき必須項目としては、①採用者に占める女性比率、②管理職に占める女性比率、③勤続年数の男女比、④労働時間の状況、の4項目があります。上記4項目を確認することで、男性優位のキャリアアップや長時間労働になっていないかを把握し課題分析を行います。

2.行動計画の策定と情報公開

2番目のステップでは、「行動計画の策定と情報公開」を行います。1番目のステップで洗い出した調査結果や課題を踏まえて、具体的な行動計画を策定します。手順としてはまず、具体的な数字を入れた「目標」「取り組み内容」「実施時期」「計画期間」の4つを明確にします。次に、上記の4つを記載した策定内容を、厚生労働省の「女性の活躍・両立支援総合サイト」にある「女性の活躍推進企業データベース」を通じて外部に公表します。

3.都道府県労働局への届け出

3番目のステップは、「都道府県労働局への届け出」を行うことです。2番目のステップで策定した行動計画を、管轄の都道府県労働局へ届け出る必要があります。届け出の方法としては、郵送・電子申請・持参で行うことができます。また、パートやアルバイトを含む労働者への周知も義務付けられています。外部や自社内で公表・届け出をした際、誰が見てもわかりやすいように、2番目のステップで女性の活躍状況が改善されたかを定量的に示した行動計画を策定することが重要です。

4.計画実施と効果測定

最後4番目のステップは、「計画実施と効果測定」です。策定した行動計画に則って、取り組みを実行していきます。さらに、設定した目標数値の達成状況を定期的に確認し、どれほどの効果が得られているのか、また順調に効果を得られているのかを評価します。加えて、一回の計画策定と実施で終わることなく、周期的にこれら4つのステップを繰り返し、現状を見直すことで、以降の施策に向けて行動計画を改善して行くことが大切です(PDCAサイクルの確立)。

女性活躍推進法の目的

女性のキャリアアップを推進

女性活躍推進法が制定された目的は大きく2つあります。1つ目は、女性のキャリアアップを推進するためです。これは、日本の職場における男女格差が大きいという背景があります。経済分野におけるジェンダー・ギャップ指数は、2020年時点で153カ国中121位と非常に低い水準にあります。とりわけ、課長級以上の女性管理職の割合は1割程度にとどまっており、4割程度が一般程度である欧米諸国や、3割程度のアジア諸国にも大きく引き離されています。

将来の労働人口減少を解消

2つ目の目的としては、将来的な労働人口減少を解消することが挙げられます。日本国内での少子高齢化が急速に進む中で、将来の労働力不足が懸念されています。これまで、出産・育児による休暇や離職を経ると、再就職する際に非正規雇用者として雇用されたり、子育てしながら仕事をする環境が整っていなかったり、という理由から女性の職場復帰率が低い傾向にありました。出産・育児後も働きやすいような職場環境を整えることで、労働力不足問題を軽減できるでしょう。

女性活躍推進法のメリット

社員のワークライフバランス向上

女性活躍推進法を実施することにより、企業側にも様々なメリットがあります。1つ目は、社員のワークライフバランスが向上するという利点です。女性活躍推進法の実施義務に従って社内環境をチェックし制度を整備することによって、女性だけでなく男女問わず働きやすい環境を整えることができます。また、社員がより働きやすい職場環境を創ることで、社員のモチベーションが向上したり、生産性や企業文化が向上したりするといった利点もあります。

業務の改善が期待できる

2つ目のメリットは、会社経営にとって金銭的にプラスの効果が得られることです。女性活躍推進法に基づく認定「えるぼし認定」(次の項目で詳しく説明します)を獲得すると、国から助成金を得ることができます。具体的には、公共調達や低金利融資において優遇処置が受けられたり、両立支援助成金を受給したりすることができます。さらに、ESG投資(社会や環境、企業統治を重視する企業へ行う投資)が世界的に拡大している背景から、女性活躍推進に取り組む企業は投資を受けやすくなっている傾向があります。

採用の競争力向上

3つ目のメリットとして、採用活動での競争力が上がることが挙げられます。就職先を選ぶ際に、働きやすい環境であるかといった福利厚生面は重要なポイントです。女性であればなおさら、育児休暇の取得率や女性の離職率は重視する項目でしょう。女性の活躍を推進しようと取り組んでいる企業は、社員を想い、働きやすい職場環境を創るために努力しているという証明にもなります。また、「えるぼし認定」(次の項目で詳しく説明します)を受けた企業は、国から認定されたマークを広告等に掲載することが可能なので、企業ブランドの向上に繋がります。

女性活躍推進に関連する制度

えるぼし認定とは

では、先程の項目でふれた「えるぼし認定」について軽くご説明します。えるぼし認定とは、女性活躍推進法に基づいて、女性の活躍に関する状況や取り組み等が優良な企業を認定する制度です。評価項目としては、採用状況・継続就業年数・女性の管理職比率・柔軟な労働環境制度・多様なキャリアコースという5つから、女性が能力を発揮しやすい企業であるか判断されます。えるぼし認定企業のうち、より厳しい規定を満たしている企業は「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。因みに、2020年9月時点で、えるぼし認定企業は1,134社、プラチナえるぼし認定企業は3社あります。

なでしこ銘柄とは

また補足として、「なでしこ銘柄」も女性活躍推進に優れた企業を選定する取組みです。具体的には、経済産業省が東京証券取引所と共同で2012年に始動した取り組みで、投資家にとって魅力ある企業として女性活躍推進に優れた上場企業を紹介することで、企業の女性活躍を加速化させていくことを狙いとしています。毎年経済産業省ニュースリリースでなでしこ銘柄の選定が発表されており、令和2年度には、キリンホールディングスや凸版印刷を含む45社がなでしこ銘柄、19社が準なでしことして選定されました。

女性活躍推進法を導入している企業

味の素グループ

女性の活躍を推進する企業は年々増えています。その中で今回は味の素グループを取り上げてご紹介します。2017年度のなでしこ銘柄に選定された味の素グループ。味の素株式会社には、育児や介護で忙しい社員でも合間を縫って働くことのできる「どこでもオフィス」という制度が導入されています。自宅でのテレワークだけでなく、子供を送り迎えする合間のパソコン作業や早めの夕食を済ませた後の資料作成も業務として扱われます。この制度の導入により、柔軟な働き方が可能になったとともに、時間外労働時間が10%削減されたそうです。また、ブレンディコーヒーで有名な味の素AGFは、えるぼしとプラチナくるみんの認定を共に取得しています。

まとめ

女性活躍推進法を通して多様で柔軟な働き方が推進されている

今回は女性活躍推進法について、その4つの実施義務から目的・メリットまで、多岐にわたる内容をご紹介しました。女性活躍推進法は、より柔軟で働きやすい社会を創るための第一歩です。えるぼし認定やなでしこ銘柄、くるみん認定等を含め、今後女性活躍推進法に基づく職場での制度や環境が益々整備されていくと予想されます。女性だけでなく男性も育児や介護をしながらでも働きやすい社会を創ることで、企業の生産性が向上するだけでなく、企業イメージや優秀な人材の確保にも繋がります。世界基準だとまだまだ遅れを取っている日本の職場制度ですが、今後さらに女性の活躍を推進する企業が増えていくことは間違いないでしょう。

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