記事更新日:2020年11月18日 | 初回公開日:2020年10月26日
用語集 人事・労務お役立ち情報 採用・求人のトレンド グローバル用語解説「組織デザイン」とは、個々の能力が最大限に発揮されるように組織をデザインすることです。企業は集団で仕事を行うことで能率を上げています。優秀な人材を獲得しても企業の中で機能しなければ、効率的な組織運営はできません。社員一人ひとりの能力を活かした配属をすることで、生産性が向上し企業として成長できると言えるでしょう。このように、各社員が最大限のパフォーマンスをできるような環境をつくり、企業活動を活性化する仕組みを作る一つの経営戦略、それが「組織デザイン」です。
企業が組織改革を行う際に重要な要素が4つあります。「リーダーシップ」「戦略」「文化」そして「組織デザイン」。他の3要素に比べ組織デザインは一番認知度が低いかもしれませんが、組織改革に必要な要素の一つです。近年では、株式会社日建設計やパークハイヤットホテルズ&リゾーツなどが、組織デザインの見直しを行い、組織改革に成功されています。4要素のうち一つに注力しても組織改革は上手くいかないといわれており、この4要素をバランス良く改革していくことが不可欠です。
ではなぜ組織改革が求められているのか、それは時代の流れに沿って企業も変化していく必要があるからです。時代の急速な変化と同時に、企業が社会に対して求められることは変わってきます。また、競争社会が進むにつれて、経営戦略の陳腐化されるスピードも早まってきました。常に競合他者より優位に立ち続けるためには、常に世の中のニーズに柔軟に対応する必要があります。そのためには、継続的に経営戦略を見直し、組織改革を行っていくことが重要です。
「組織デザイン」が組織改革にあたって重要な1要素だと説明しましたが、他の3つの要素についてご紹介します。1つ目が「リーダーシップ」。いくら優れた戦略や変革プランを作成しても、リーダーが優秀でないと組織改革は難しいでしょう。その意味で「リーダーシップ」は組織変革の要であると言えます。旧態依然の組織文化を見直す意欲や、組織全体をまとめる統率力、そして人材を適切に調整する裁量のあるリーダーの存在は必要不可欠です。
2つ目は「戦略」。組織変革をするにあたって、企業が目指す姿を定め、そのビジョンを形にするための戦略を立てる必要があります。そのためには、「なぜ組織変革が必要なのか」「どうしたら企業競争で優位に立ち、目標を実現できるのか」など、細部に渡って入念に分析しましょう。そして、目標達成のためには、各部門がどのように動き、どのタスクをどれだけの期間で完了させればよいか。ビジネス戦略は、組織変革の軸となり、ビジョンの達成へと導きます。
最後3つ目は「文化」。組織変革において、変えるのが最も難しいのがこの「文化」かもしれません。特に日本には長年社内に根付く文化がある企業が多くあり、古い体制や保守派の意見が組織変革の足かせとなる場合も。時代の変化に合わせて組織も変化していく必要があるのに、過去の事例が組織変革を妨げてしまっては元も子もありません。現状をより良い方向へと変え、ビジョン達成へと社員一人ひとりが意欲的に行動できる「文化」を作ることが大切です。
次は「組織デザイン」についてさらに深ぼっていきます。組織デザインにも効率的に行うための6要素があります。「構造」「業務」「人材」「情報」「報酬」そして「意思決定」。まず「構造」ですが、これは組織構造を意味します。組織にどんな機能をもたせるか、その機能をどの部署で行い何の軸で強化するかなど、組織構造を明確にした上で業務の役割や振り分けを検討する必要があります。具体的には、事業部別組織や機能別組織などがあり、組織の階層や配置を検討する作業を指します。
次に「業務」。組織構造を行うには、必要な業務を定義することから始まります。また、組織変革を進めるにあたって業務も当然変わってきます。これまで行ってきた業務に無駄はないか、業務の中で減らせる工程はないか。改めて業務内容を見直し、効率的なシステムの導入や無駄な業務の削減を試みる努力が必要です。そうすることで、組織改革の目的を見据え、本来注力したい業務に集中できる環境を作り、生産性の高い業務を行うことができるようになるでしょう。
3つ目は「人材」。組織として新たに生まれ変わり成長していくには、人材一人ひとりがパワーアップすることも大切です。戦略に適した優秀な人材を採用し、それぞれの個性や能力を最大限に活かす人材配置を行うこと。そして配属後も、高いパフォーマンスを発揮できる人材を育成すること。社員の提案も取り入れるなど社内環境を良くしつつ、社員一人ひとりの能力を高める人材管理やスキル育成の見直しと改善が必要になってくるでしょう。
4つ目は「情報」。情報システムにより、組織を可視化することができるようになります。具体的には、会社全体の業績評価や各社員の人事評価を行ったり、組織の内部状況や外部環境からの情報を収集したりするシステムを指します。情報システムを用いて組織の傾向や社員のパフォーマンスを可視化することで、組織デザインの今後の戦略やより効率的な組織運営ができるでしょう。また、これにより組織の生産性と効率性の向上が期待できます。
5つ目が「報酬」。自社の描くビジョンに沿って報酬制度の見直しも検討しなければなりません。各社員の業績に合わせて、十分な報酬が支払われているでしょうか。日本では多くの企業が年功序列の報酬形態を今でも取り入れていますが、成果に見合った報酬が支払われていないと、組織のあり方を変えることはできません。それ程、報酬は組織を動かす上で重要な要素だといえます。柔軟で適切な報酬形態を取り入れることで、社員の生産性向上や多様な人材の獲得につながるのです。
最後に説明する要素が「意思決定」。意思決定には主に2つの方法があります。社員一人ひとりの意見が会社全体に反映される「ボトムアップ」と、社長の決定が上から下へ伝達される「トップダウン」です。コンセンサスをどこまで重要視するか、そしてどの程度部下に権限委譲するのか、この2つのバランスを上手く保つことが大切です。スピード感が求められる現代社会においては、スピーディに意思決定を行うことが求められる傾向があると言えるでしょう。
組織デザインで描くことのできる組織パターンにはどのようなものがあるのでしょうか。6要素の1つ目で「構造」について明記しましたが、基本的な3つの組織構造を具体的に紹介していきます。まず「事業部別組織」。事業部別の部署内である程度の経営ができるという組織構造を指し、現在多くの日本企業が取り入れています。利点としては、各事業部門がある程度独立していることで、意思決定をスムーズに遂行できることが挙げられます。製品別・地域別・顧客別の主に3つの切り口で事業部を分けることができ、一つの組織でも幅広い事業に携わっている企業に有効です。
次にご説明するのが「機能別組織」。機能別組織とは、経理・人事・営業・研究など業務内容別に編成された組織を指し、中小企業によく採用されている最も一般的な形態です。各部門別に集約して管理することで、知識やスキルを蓄積し、効率性・生産性・生産性の向上が期待できます。各分野にスペシャリストが集結していると想像していてだければ分かりやすいかもしれません。製品の種類が少ない企業や、機能部門間も調整を行うことができる強力なリーダーのいる組織に向いています。
最後に「マトリクス組織」。マトリクス組織とは、上記の事業部別組織と機能別組織をミックスさせた組織構造です。つまり、事業部と機能部門それぞれのリーダーが存在し、上司が二人いることになります。複雑な組織形態のため採用数は少ないですが、事業別組織と機能別組織両方のメリットが得られるでしょう。専門性を保ちつつ、変化に柔軟に対応できる組織パターンという事です。以上3つの組織パターンをご説明しましたが、組織デザインを考慮した上で最適な組織形態を取り入れることが大切です。
以上組織デザインを見直していく上で、考慮すべき6つの要素をご説明しました。最初に説明した組織改革に必要な他3要素と組み合わせることで、生き生きとした組織へと変革していくことができるでしょう。では、実際に実施していく上でのポイントはあるのでしょうか。まず、組織のメンバー全員に組織変革する目的や価値観を共有すべきだということです。組織デザインを行う前に、なぜ・どうやってプロジェクトを進めていくのかを組織内で共通認識を持つことで、よりスムーズに一体感を持って組織変革できます。
最終的な組織デザインのビジョンを決めたら、効果的に分業すること、これが2つ目のポイントです。似た作業は集結させ機械化できる部分は機械化するなど、社員の能力に合わせて作業を分担することで、全体的な労働コストや時間の節約につながります。そして、その効果を発揮させるためにも、先程ご説明した共通認識は重要になります。細かく分業するほど、効率や個々の習熟度は上がる一方で、全体像を把握した上で自分が何の役割を担いどう貢献するべきなのかを理解しておくことが大切でしょう。
今回は組織改革の重要な1要素である組織デザインについて、多岐にわたる内容をご紹介しました。組織デザインの位置づけや意義についてご理解いただけたでしょうか。少子高齢化や企業のグローバル展開に伴い、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、高い生産性を実現することが重要視されるようになっています。そのためにも、明確な企業戦略や経営理念に基づいた組織デザインの見直しは欠かせません。目まぐるしく変化する現代社会において、定期的に組織を変革することが企業の成長に直結するといえるでしょう。
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