100人の壁とは【壁に当たる理由や具体例についても解説します】

記事更新日:2024年11月07日 初回公開日:2024年11月07日

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従来とは異なり、昨今では自分で起業する人も増え企業内で独立や起業をサポートする制度などを充実させている企業も増えています。創業当時は少ない人数で業務を行っていますが、事業拡大などと共に従業員の数も増えていきます。組織として拡大していくことは、企業としても必要な過程ですが急激に組織が拡大していくと様々な壁に直面します。事業の発展や組織を拡大していくためには、直面する壁を超えていかなければなりません。今回は100人の壁について解説していきます。人事担当者の方は参考にしてみてください。

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100人の壁とは

組織拡大でぶつかる壁のこと

100人の壁とは、組織拡大でぶつかる壁のことです。ベンチャー企業やスタートアップ企業などで、企業規模を大きくしていくために組織の拡大や統合を図っていくには必要な過程ですが、経営力が試される課題とも言えます。事業が急に拡大すると、必要人材が不足するため人材の採用が必要になりますがマネジメントなどが間に合わないため壁にぶつかってしまう企業が増えます。従業員10人だった企業が100人になった場合、同じマネジメント方法ではうまくいきません。

100人の壁の前段階

30人の壁

100人の壁の前にも、30人の壁があります。30人の壁は、創業した企業が最初にぶつかる壁です。創業時のメンバー以外の従業員が増えて30人程度の規模になると企業は個人の集まりではなく組織という形に変換しなければならなくなります。30人の企業は少数であるため、経営者と従業員の距離が近くスピード感のある意思決定を行うことが可能です。しかし従業員が30人を超え始めると新人と創業メンバーで能力の差が出始め、業務負荷が問題になってきます。

50人の壁

100人の壁の前段階として50人の壁があります。30人の壁を乗り越えられたら、次は50人の壁が待っています。従業員が50人に増えることによって、組織の管理コストが高まるだけでなく法令上遵守しなければならないことも増えていきます。人数が増えることで企業としての安定感は増していきますが、組織が拡大していく中で意思決定に時間がかかるようになります。経営者が全てを管理することが難しくなってくるのも、従業員数が50人を超える頃です。

100人の壁の後段階

300人の壁

100人の壁を越えた後には、300人の壁があります。代表的な100人の壁を乗り越えられたとしても、次は300人の壁が待ち構えています。マネージャーや管理職が問題なくマネジメントを行える人数は、その人材の手腕にもよりますがあまり多くの人を任せてしまうと、きちんとしたマネジメントが行えません。100人規模の企業であれば、経営者と一般社員の間に中間管理職が入り3段階層となっているのが一般的です。300人になるとその階層に更に1段追加され、末端まで情報共有することが難しくなります。

100人の壁に苦労した企業

4割を超える

100人の壁に苦労した企業は4割を超えます。HRproの調査によると、組織が拡大していく中、最も苦労したのはどこかという質問に対して100人の壁と答えた企業が約45%と一番多いことが分かっています。100人の壁に苦労した理由としては、「従来までのやり方では新しい人材が育たない」「業務の多様化を進めることはできたが、関係者が多くなりコミュニケーションコストが増えた」といった内容です。人数が増えるにつれて、管理が難しくなることに頭を抱える企業が多いことがわかります。

100人の壁にあたる理由

人数増加に伴い社内統括が難しくなる

100人の壁にあたってしまう理由は、人数増加に伴い社内統制が難しくなります。従業員が少人数であれば、従業員同士のコミュニケーションも円滑に進めることができ管理しづらいと感じる事は殆どありません。しかし従業員の人数が増えていけば行くほど、組織の管理が複雑になっていきます。人数が増えるほど意思決定に時間がかかり、稟議などの主任に時間がかかることで従業員の不満に繋がる可能性もあります。また面識のない従業員も増えていくため、組織内の一体感も薄れていきます。

100人の壁の例

応募者数が足りない

100人の壁で起こり得る事象は、応募者数が足りなくなることです。100人の壁が発生している企業は、成長中の企業と言えます。組織を拡大していくには、より多くの人材を確保する必要があり求人数は急激に増加します。しかし100人前後になっている企業は、どうしても応募者が集まりにくくなる傾向にあります。能動的に考えながら仕事をしたいと考えている人にとっては、100人前後の企業は少し大きく安定を求める人にとって100人は少ないと感じるからです。

内定が出にくい

100人の壁によって生じる問題は、内定が出にくくなることです。仮に応募者を十分に集めることができたとしても、内定出しの意思決定が難航することによって採用のペースが追いつかないというのもよく起きる事象です。採用市場で100人規模の企業が求めている条件を満たす人は限られています。優秀な人材はどの企業でも採用したいため、採用要件を即戦力にこだわり過ぎてしまうと内定を出しにくくなってしまいます。内定を出すのが遅いと、応募者が遠ざかってしまう可能性もあります。

能力が足りない人材を採用する

100人の壁が問題になっている時は、能力が足りない人材を採用しています。即戦力を採用することが難しいからと言って、採用要件を甘くしすぎてしまうと別の問題が発生します。人数を充足するべく要件を満たしていない人材を採用してしまうと、現場で育成を行う際により工数がかかってしまうため人事に対する不満が蓄積する可能性もあります。そういった確執から新しく採用されたメンバーと現場従業員の間で軋轢が生まれてしまう事も考えられます。

育成に力を入れない

育成に力を入れられない状態も、100人の壁が起こす事象です。大企業とは異なり、100人前後の企業では育成の経験を持っている人や適性を持っている人が少ないため、体系的に教育ができません。「見て覚える」「自分で考える」などという言葉は自律性をうたいもっともらしいことを言っているようですが、それは育成ではありません。受動的に動いてもらうために自律的な学習を促すことは重要ですが、育成に力を入れないと組織として成長することはできません。

早期退職が多い

100人の壁に突き当たっている時は、早期退職者が多くなります。離職率が増加するのも100人の壁に悩む企業によくある現象です。離職してしまう人の多くは、採用要件の緩和による採用や育成不足から始まっていきます。創業当時からの従業員が新メンバーを歓迎しない雰囲気や仕事を教えない姿勢は、新メンバーの成長を阻害しパフォーマンスをあげにくくする原因になります。転職したにも関わらず、歓迎されていないと感じると新しい環境に転職する人が増え、早期退職に繋がります。

意思決定が遅い

意思決定が遅くなっているのも、100人の壁が原因といえます。従業員が増えていくと部署やチームなど組織数も増えていきます。組織が増えていくことは、ステークホルダーも増え更には多様化していくため合意をすることに時間を要するようになります。また部署が増えることによって、部署間の理解にも時間が掛かることから工夫が必要です。組織ごとに取り組む課題が異なることから全体像が見えづらくなり自分の部署を優先してしまうようになります。そういったことが続くと、協力関係が失われやすくなります。

縦割りの組織感が強まる

100人の壁が課題となっている企業では、縦割りの組織間が強まっています。組織内の人数が急激に増えれば増えるほど、縦割り感が強くなっていくのも特徴です。組織はそれぞれ様々な強みを持った人材が集まり、お互いに補い合いながら同じ目標を実現するために作られています。その中で組織を機能で分化・特化していくことは効率的であり悪いことではありません。しかし縦の階層が増えていってしまうと現場の考えが経営陣に伝わりにくくなってしまいます。縦割りが強まることによって、横のつながりが希薄になる可能性もあります。

マネジメントできる人材が少ない

マネジメントできる人材が少ないのも、100人の壁が起こりやすくなる原因です。急激に拡大した企業は即戦力になる人材や新しいメンバーの採用は進めていても、管理職の採用が間に合っていない傾向があります。事業を拡大していくために、従業員を増やしていくことは大切ですが企業理念やビジョンに沿った人材を育成するためには、マネジメント出来る人材が欠かせません。マネジメント出来る人材が少ないと、企業として成長することができないため100人の壁にぶつかりやすくなります。

100人の壁を乗り越えるためには

部長クラスの人材育成に力を入れる

100人の壁を乗り越えるためには、部長クラスの人材育成に力を入れましょう。100人規模の企業には部長や管理職など、各部門を管理するマネージャークラスの存在が求められるようになります。マネージャークラスの人達は、経営層とは違い現場社員と一緒に働きながらリーダーシップを発揮していきます。管理職の人たちには、業務スキルやマネジメントスキル・育成スキルなどが必須です。こういったスキルを持っている部長クラスがいない場合、部下や新入社員が離れていってしまう可能性があります。

100人の壁に直面した事例

iCARE社

100人の壁に直面したのはiCARE社です。iCAREでは30人の壁と50〜100人の壁に直面しました。30人の壁では、いかに良い組織を作っても事業が伸びないとすべてが上手く回りませんでした。50〜100人の壁では外部から部長クラスを採用してきても、思うように活躍できていないという事象が発生していました。採用要件にバラツキがあり、既存社員とハレーションが起こってしまい既存社員も退職が増えていましたが、選考フローを統一したことで短期退職者をゼロにすることに成功しました。

PRONI株式会社

PRONI株式会社も100人の壁に直面した企業です。PRONIは以前は株式会社ユニラボという企業で運営を行っており、1年で50人から100人へ増加するという急激な組織拡大を経験しています。従業員が40人の時点では、経営者と現場の距離も近く接点も合ったため大きな齟齬が起こる事はありませんでした。しかし徐々に従業員が増えていく毎に、経営者から一般社員へ思いなどが伝わらないという事象が発生していきます。100人の壁を超えるためには、言語化やドキュメント化を進め対策を行っています。

まとめ

100人の壁を乗り越えて組織拡大に取り組もう

100人の壁に直面する理由や100人の壁の例えについて解説しました。組織拡大において発生する30人や100人の壁は組織が成長する際に発生する障壁のことです。従業員の数が増えると30人や100人という節目で色々な問題が発生しやすくなります。組織拡大をスムーズに進めていくためには、早い段階から管理体制や従業員に対しての教育体制を整えておくことが大切です。100人の壁に起こり得る事象を考慮しながら、100人の壁を乗り越えて組織拡大に取り組んでいきましょう。

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