記事更新日:2023年04月19日 | 初回公開日:2023年04月19日
用語集 グローバル用語解説 人事・労務お役立ち情報T型人材とは、1つの専門的な知識を軸として持ちながら、専門分野以外の幅広いジャンルに対しても相応の知見を持つ有能な人材のことです。「T」の縦棒は、深く突き刺さるような専門知識を意味し、横棒は幅広い知見を現しています。T型人材は、異なる知識を併せ持つという意味合いからハイブリッド人材と呼ばれることもあり、英語ではシングルメジャーとも呼ばれる貴重な人材です。横棒である知識は広い方が良いが、広く浅くではなく相応の知識が必要と言えます。
T型人材は、日本で重んじられてきた1つの事をつき詰める職人とも呼ばれる「スペシャリスト」と、何でも万能にこなせる幅広い知識を持つ「ゼネラリスト」の2つの要素を兼ね備えた人材です。劇的に変化し続ける現代社会において、一芸に秀でたスペシャリストや万能タイプのゼネラリストだけでは変化に対応しきれず、新しい分野においても取り残されるとして危惧されています。変化と技術新可児も対応できるT型人材が注目されるのは、そういった時代の変遷によるものです。
T型人材の原型ともいえるのが、1つの専門分野に特化したI型人材です。単なるゼネラリストを除いた他の人材タイプもI型人材から進化したものであり、全てI型人材になることからスタートしています。特に日本では1つのことを知り尽くし、やり遂げることが美徳とされました。その名残もあって、現在でもI型人間を目指す人は多くいます。また専門分野をつき詰めることに際限はなく、I型人材として一生を終える人も少なくありません。
π(パイ)型人材は、2種類の専門知識を極めたうえで、他の幅広い分野にも知見を持つ、T型人材の進化系です。2つの軸となる専門知識を持つことから、ダブルメジャーとも呼ばれる、かなり貴重な人材と言えます。日本では「二刀流」などという言葉が流行りのように使われていますが、π型人材は二刀流に横棒の幅広い知見を持つ人材です。同じ分野でさえ2つの知識や技術を習得することは非常に難しく、何をもって専門知識を究めたというのかも大切になります。
△(トライアングル)型人材とは、3つの専門分野を持つ人材です。トリプルメジャーとも呼ばれ、T型やπ型とは違い横棒がないため、幅広い知見は必用ありません。3つの専門知識の融合により、革新的かつ合理的な働きができるため、企業にいたとすれば確実に重宝される人材です。ここまで到達した人は、3つでは飽き足らず4つ5つと専門知識を増やすと考えられます。ただし、I型やT型・π型に比べ、専門性を示す1本ずつの線が短くなるのは否めません。
H型人材とは、I型人材同氏を横軸で繋げる魅力ある人材です。異なる専門知識を究めた人材同氏が語り合うことさえ珍しく、互いに呼応してアイデアを出すことは理にはかなっているものの非常に難しいと言えます。I型人間になるためには、人間的な魅力が必要であり、他者の意見や経験なども自分事として聞けることが大切です。自ら心を開いて惜しみなく知識や経験を披露するとともに、相手方が話してくれる事に真摯になって向き合えなくては、横軸は上手く繋がらないでしょう。
T型人材が重要視される理由として、各企業が革新的なアイデアを欲していることが挙げられます。VUCAと呼ばれる予測不可能な時代に対応するため、今までの企業体質やマンネリ化した生産方法などを見直すとともに、新しいアイデアが必要であると考えられているからです。多様化が進み変化する顧客ニーズに応えるためには、スペシャリストが持つ深い1本の軸に加えて広い知見を持つことにより、最前線のアイデアが生まれることが期待されています。
T型人材が求められるもう1つの理由は、技術革新を実現できる人材が求められていることです。T型人材は1つの専門知識を究めていることもあり、専門の技術を身につけています。求められる技術革新を起こすには、旧来受け継がれた技術と新しいアイデアを融合できるT型人材だからです。そして複数のT型人材がアイデアを出し合うことで最高の技術革新ができると信じられており、T型人材の登用や育成により技術革新が現実のものとなっています。
T型人材は今までは自然に生まれるものでしたが、意図的にT型人材を育てることにより、企業に独創的なアイデアを取り入れることが可能になります。旧来日本で重宝されてきたスペシャリストの考え方では、自分の範疇を超えた分野においては知識がないこともあり、無理だと決めつけることが多くありました。そこに幅広い知識が加わることで、今までは無理だとあきらめていたものが革新的なアイデアと技術により可能となったのです。
異業種とコラボレーションすることでも技術革新や、新しいアイデア商品が生まれることは多くあります。しかし、異業種の専門知識持つ人たちと深く交わっていくためには異業種に対する知識を持ちながら、異業種の技術やアイデアを自社に取り込むための深い知識が必要になります。T型人材こそ適任であり、幅広い関連が全くないと思われていた分野から、思いがけない素晴らしいコラボレーションが可能となり、企業の大きな戦力となるのは間違いないでしょう。
T型人材に必要なスキルとして重要なのが、自主的に成長しようとする能力です。他から強制された学習や技術の取得は、身につきにくく時間がかかります。客観的にT型人材と思える人には、自ら進んで努力する姿勢が見られるのが特徴です。常に自己の成長を求め、いまの自分に満足することなく前進しようという能力が備わっています。T型人材を育成するには、自分にはもっと他にもできることが多くあり、人間とは常に努力し成長しようとしなくてはいけないことを教え込むことが大切です。
T型人材には答えのない問題にも必死に取りくみ、自分なりの答えを出す能力が必要です。スペシャリストとして答えを出さなければいけないという意地と広い視野によって、得意でない分野の問題であっても自分の答えを導き出さなくてはいけません。そうすることで後の行動にむすびつけることが可能になります。T型人材は、そのような意味においてリーダーとしての能力も備わっていると言えるでしょう。T型人材が積極的に取り組んで答えを見つけることは、答えを出せないで躊躇する仲間を行動へ移させる誘発剤になります。
T型人材は自分が持つ経験や知識を、他の分野に上手く応用することができます。このような能力をアナロジー思考と言いますが、T型人材は1つを知ることで多数に応用できる魅力的な人材です。応用するということは簡単なようで気付きにくく、生まれ持ってのセンスとも言われます。しかし普段から何かに応用することを心がけることで、応用する力は身につくものです。ただし、狭い視野しかないと異なる2つを結びつけることが難しく、T型人材の要旨である広い知見が必要になります。
T型人材を育成するには2つの方法が考えられます。まず縦棒である専門知識を身につけたうえで、横棒にあたる広い知見を持つ方法です。もう1つは広い領域を学習したうえで、最も自分が興味を持った分野を掘り下げていく方法になります。一般的な方法としては、先に挙げた専門領域を身につけることが多いようです。つまり、I型人材として育てたあとに、横棒となる広い知見を持たせるという流れになります。企業としても大きな戦力となるため、先に専門領域に特化した研修を十分に行うことは非常に有効です。
広い知見を持たせるためには、ジョブローテーションを短いスパンで行い、いろんな業種に挑戦させることが効果的です。また前述のように、最初に定期的なジョブローテーションで多様な業種の経験をさせたうえで、自分がこれだと思う仕事を選ばせてから深く学ばせるという方法もあります。ジョブローテーションは若くて覚える能力が高いうちに行う方が効果的です。また、どの程度を学ばせて動かしていくのかも大きな課題になります。基準を定めていないと浅知恵しか持たない人材ばかりが育つことにもなり兼ねないので注意が必要です。
T型人材の育成には、経営者的な視点から企業の動きを見させる場を設けると大きな効果があらわれることがあります。いろんな仕事を転々とすることで自分を見失いそうになったとき、経営者目線で全体を見渡すことで自分の役割が理解できてくるでしょう。自分が経営者だったらどのような行動をとるか、ということを常に考えるだけでも個々に差はありますが必ず効果はあります。邪魔でなければ経営者の会合に出席させるのも良く、録画した会議を見せた後に討論させることも貴重な経験になり、ステップアップするチャンスとなるでしょう。
人材の多様化は企業の必須の課題となっていますが、T型人材を育成するうえでも有効な手段となります。同じタイプの人材同士では、学習の幅や考え方などに偏りと限界ができてしまうでしょう。全く異なる人材が加わることが大きな刺激となります。違う分野で専門知識を身につけた人材や、自分とは全く異なる考え方の人材の意見などを素直に受け止めることができれば、思考能力をアップさせるとともに広い視野で物事を見られるようになります。異文化で育った国境を越えた人材との交流も検討し、より幅広い知見を持つT型人材を育成しましょう。
T型人材は企業にとって有用な人材であるとされ、とくに事業革新をおこすためには欠かせない存在とも言われています。T型人材は、1つの分野に深く精通するとともに、異業種などにも広い知識を持つ人材です。これは他者が客観的に見て判断するものであり、自分がT型人材であると言っても実力が伴わなければ意味がありません。T型人材の育成には、はっきりとした目標と個々が自分の実力が分かる仕組みが必要です。上級資格を取得させるなど、客観的にも個人にも1つの分野へ精通したことを理解させるとともに、どの程度の広い知見を持たせるかも十分に検討し、企業の革新に繋げてください。
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