記事更新日:2023年08月30日 | 初回公開日:2023年08月30日
用語集 グローバル用語解説 採用・求人のトレンド 人事・労務お役立ち情報ボトムアップとは、上層部が現場の従業員からの意見や提案を把握した上で意思決定する経営のスタイルです。現場にいる従業員だからこそできる提案やリアルな意見を反映することで、従業員の職場環境の改善だけではなくサービスや商品の質の向上も期待できます。また、従業員の意見に寄り添いやすく、風通しの良い組織風土を築くことも可能です。従業員が当事者意識を持ちやすくなるため、主体性が醸成できる環境とも言えるでしょう。
トップダウンは、上層部で意思決定した内容を現場の従業員に指示するスタイルです。従業員は上層部から指示された内容どおりに行動すれば良いため、現場での混乱が少なくスムーズな業務に繋げやすいです。また、意思決定の人数が限られているため、意思決定までのスピードが早いというメリットもあります。ただ、トップダウンの形式ばかりでは現場の状況が分からず、従業員が不満に感じていることに気が付きにくいため注意が必要です。
ボトムアップのメリットとして、現場の声を上層部の届けられるメリットがあります。現場にいるからこそわかる課題があり、意思決定に反映させることで環境を改善できるためです。逆に現場の抱える課題に目を向けないまま経営判断を続ければ、従業員の不満や生産性の低下に繋がるでしょう。現場のリアルな意見を拾うためには、ワークショップやアンケートなどを用いた意見の調査を行うなど、意見収集ができる機会を定期的に設けることが大切です。
ボトムアップは、従業員に当事者意識を持たせることができるメリットがあります。現場の意見を反映されることで、業務の目的や問題点などを考えながら仕事に取り組むことができるためです。若手社員であっても、自ら問題意識をもって業務に取り組むことができるでしょう。従業員それぞれが当事者意識を持っていると、万が一トラブルが発生した際にも、自ら考えて必要な行動をとることが可能です。組織が活性化することも期待できます。
ボトムアップは、従業員のマネジメントスキルを身につけることに繋がります。特に現場の意見を取りまとめて上層部に伝える役割は、上層部と現場との間を取り持つ重要なポジションです。上層部との調整や現場従業員の適切な管理は、マネジメントスキルの向上に繋がるでしょう。マネジメントスキルが向上すると、人材の育成や現場の指揮など様々な場面で活かすことができます。自然とマネジメントスキルが身に付く環境に従業員を置くことで、質の高い人材の育成に繋がるでしょう。
ボトムアップのデメリットとして、現場の声を取りまとめるのに時間を要することがあります。上層部に比べて人数が多い現場で一人一人の意見を聞くのには時間がかかるためです。全員が同じ意見であればスムーズに話が進みますが、それぞれの従業員で感じ方が異なるため、落としどころを見つけるのが困難な場合もあります。そうなると、トップダウンに比べてどうしても時間がかかると言えるでしょう。チームごとに意見をまとめておくなどの工夫が必要になります。
意見がうまくまとめられないと、ボトムアップは機能しなくなります。人数の多い現場の意見は、一つ一つを上層部に伝えることができないため、取りまとめて伝えることがカギとなるためです。とりまとめ役が現場の従業員の意見を拾うことが求められます。まとめ役がボトムアップについて理解し、上手くマネジメントできるように育成することが必要不可欠です。マネジメントに慣れた人材を取りまとめ役としてアサインし、慣れたら現場の従業員に任せるなど工夫が必要です。
ボトムアップに適した組織は、スケジュールや予算に余裕がある組織です。ボトムアップのためには、意思決定までに時間を要します。緊急性の高い業務やタイトなスケジュールで動いている組織では、迅速な意思決定が求められるでしょう。その中では、トップダウン方式ですぐに現場が動ける状況が望ましいと言えます。また、従業員の意見を反映させるためには、上層部が考える以上にコストが発生する場合もあります。そのため、時間的にも予算面でも余裕のある企業がボトムアップに適切です。
複数の事業を展開している組織は、ボトムアップが有効に働きやすいです。上層部が現場の状況を把握しづらく、適切な意思決定を下せないことがあるためです。従業員が納得できない指示を続けると、現場に不満がたまりモチベーションの低下に繋がる可能性もあります。そのため、事業を複数展開している場合は、ボトムアップで組織が上手く機能するでしょう。それぞれの現場の状況を把握できる従業員が意見を収集し、上層部に伝えることで現場の環境を改善しやすくなります。
高い専門性を必要とする組織にも、ボトムアップが効果的です。上層部と現場の間で認識の違いが生じやすいためです。上層部と現場の間で認識のズレや専門知識に差があると、適切な指示が行えなくなります。上層部が現場の専門性なしに判断していると感じ、現場には不満が溜まります。そのような場合、双方の間でトラブルが生じやすく、組織力の低下に繋がるでしょう。ボトムアップにより現場の理解を深めながら意思決定につなげることが求められます。
現場から次世代の経営陣となる従業員を輩出したい場合は、ボトムアップが効果的です。ボトムアップは従業員自身が働く現場への問題意識を持ち、責任をもって意見を出すためです。従業員の主体性や責任感が磨かれ、発言力も増すでしょう。また、現場の意見を取りまとめる従業員は、現場全体を幅広く捉える視野も身に付きます。経営層になるにあたり、ボトムアップで磨かれるスキルは必要不可欠です。人材育成の場を設けることに加え、ボトムアップという環境に従業員の身を置くことで様々な能力が身に付くことが期待できます。
経営者や上層部が豊富な経験や実績を持ち、現場と同等かそれ以上の高い専門性がある場合はボトムアップよりトップダウン効果的です。上層部がリーダーシップを発揮し、現場もそれに従いやすいためです。しかし社会は変化を続けるため、現場はずっと同じ環境が適切ではない場合もあります。現場に新しいアイデアを取り入れないと、企業の成長が止まることもあるでしょう。従業員の意見を収集し、新しい定期的に新しい視点を取り入れることは、企業が柔軟であるために必要です。
意思決定までのスピードを重視している企業は、ボトムアップが適していないと言えます。ボトムアップは、現場従業員の意見を収集してから上層部に届けるまでに時間を要するためです。トップダウンの場合に比べ、反映する意見の数が多くなります。それぞれ内容の異なる意見をまとめるのには、時間がかかります。ボトムアップも仕組みが整っていないと、取りまとめる従業員も混乱することが多いです。そのため、スピード感を求める場合は、上層部が決定するトップダウンが適切と言えるでしょう。
ボトムアップを実施する際には、意見を出しやすい雰囲気づくりをすることが大切です。従業員が意見を出せる環境でなければ、意思決定に従業員の意見を反映させることが難しいためです。そうなると、ボトムアップとして機能することは困難になるでしょう。意見の出しやすい雰囲気を作るには、日常的に闊達な意見交換ができるようマネジメント層が意識することや、意見を出せる場を設けることが必要です。マネジメント層は現場従業員の声に耳を傾けることを怠らず、従業員が気兼ねなく意見を話せる環境を整備することが求められます。
現場従業員が挑戦しやすい組織風土を育て上げることも、ボトムアップには必要不可欠な要素です。従業員が自主的に成長することで、仕事や現場環境への当事者意識を持ち、適切な意見を出しやすくなるためです。現場を理解していないと、どんな意見を出すべきか分からないことがあります。そのため、従業員の主体性を育てる必要があります。ただ挑戦と言っても、従業員の能力や力量によっては任せるべき仕事とそうでない仕事があります。従業員が達成できそうなことを見極めた上で業務への挑戦を促すことが大切です。
ボトムアップを成功させるためには、効率の良い意見収集方法を確立しましょう。意思決定までに時間がかかりがちなボトムアップを、スピーディに機能させるためです。迅速な意思決定のためには、効率よく意見を収集することが必要不可欠です。例えば、チャットツールでの取りまとめや現場社員の中でいくつかのグループに分かれて意見を取りまとめるなど、方法は様々です。自社の組織体制にマッチした仕組みを確立することで、現場の声を効率よく取りまとめ、スピーディな意思決定が期待できます。
ボトムアップを効果的に行うためには、ミドルマネジメントができる人材の育成が求められます。ミドルマネジメントとは、経営層と現場従業員の双方に理解があり、橋渡し役となるような人材です。現場視点のみの意見では、経営層に理解してもらえない場合や受け入れてもらえないことがあるでしょう。そんなとき、経営層の視点で現場にアドバイスし、意見の精度を高めていけるのがミドルマネジメントです。従業員からの信頼があり、冷静に状況判断ができる人材が適切と言えます。
ボトムアップのメリットやデメリット、ボトムアップが適した組織などについて詳しく解説しました。現場の意見を反映できるボトムアップは、従業員が闊達に意見交換できる環境に繋がるため、組織の活性化が期待できます。企業によってはトップダウンが最適なこともありますが、ボトムアップも理解して時には従業員の声に耳を傾けることも必要なことは押さえておきましょう。ボトムアップは挑戦しやすい企業運営に繋がるため、経営スタイルを見直す際の参考にしてみましょう。
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