記事更新日:2024年11月15日 | 初回公開日:2024年11月14日
とるだけ育休とは、育休をとって育児に参加しないことです。とるだけ育休とは父親側が育休を取得したにも関わらず、取得日数が短い・育児休暇をとっても育児や家事に関わる時間が短いというような育児をする本来の目的が果たされていない状況を指します。とるだけ育休の他に、名ばかり育休と呼ばれることもあります。育休を取りづらい職場の雰囲気や風潮などが変化したことは大きな一歩です。しかし育休を取れるようになっても、育児に参加しない人もいるため新たな問題が発生しています。
厚生労働省による男性育児休暇の取得率は令和4年度で17.13%であることが分かっています。令和元年には男性の育休取得率は7.3%だったため、順調に増えていると言えます。厚生労働省が令和元年から育休取得率を調べた結果、取得している人は年々増えており右肩上がりであることがわかります。働き方への意識の変化やプライベートを充実させたいという考えを持った人が増えていることから、男性が育児休暇を取れるように制度を推進している企業も増えています。
育児休暇を取っている男性の内、とるだけ育休の人が3割もいます。積水ハウスが行っている男性育休白書によると、夫が育休を取得した場合の女性の約4割がとるだけ育休になっていると感じていることが分かっています。また育休を取得した男性の約3割がとるだけ育休になっていると感じていることがわかりました。男性は普段より家事や育児に関わっていると思っていても、女性からすると全く育児や家事をしてくれないという意見も多く、男女の間に差があることも分かっています。
とるだけ育休とは、一日に育児に参加する時間が3時間以下であることを指します。母親向けアプリのママリを運営しているコネヒト株式会社の調査によると、男性が育休を取った508人に対して調査を行った際、夫が家事や育児に欠ける時間が1時間以下の人が約2割いることが分かっています。2時間以下が約15%、3時間以下が15%と取得している人の約半数が3時間以下です。取得率ばかりに注目されており、育休の中身が伴っていないことが殆どです。
とるだけ育休の実態として、夫に育休を取ってほしくない妻が約半数います。コネヒト株式会社は今後夫に育児休暇を取得してほしいかどうかと質問したところ、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した人が約半数でした。男性の育休は取得したとしても2週間以内が多い傾向にあります。短期間で家事育児も1日辺り参加する時間が少ないのであれば、家に居るより仕事に行っていたほうがいいと考えている妻が多いことがわかります。
とるだけ育休になる原因は、以前に比べて育休が取りやすくなったことが考えられます。従来であれば、子育ては女性の仕事という意識が企業内の管理職に深く根付いていたため、男性が育児休暇を取れるような雰囲気ではなかった企業が多かったはずです。しかし働き方改革やワークライフバランスを重視する人が増えたことによって、男性も育児休暇を取れる企業が最近では増えています。育休を取得するハードルが低くなったことによって、とるだけ育休の人も増えてきています。
取得できる日数が少ないのも、とるだけ育休になる原因です。男性の育児休暇は最長1年とることができます。最近では企業内でも男性の育児休暇取得を推奨している企業は増えていますが、数ヶ月単位で取っている人はごく僅かです。育児休暇をとることによって、同僚への業務負荷が増えることや育休明け後のキャリアなど様々な要因から2週間以上育休を取っている人はあまりいません。取得できる日数が少ないことで、育児や家事をする時間がなくとるだけ育休になっています。
家事の仕方がわからないと、とるだけ育休になってしまいます。普段から家事分担などを行っている家庭であれば、育休を取っても家事の仕方がわからないということはありません。しかし普段から妻に家事を任せきりにしている人は、育休を取ったとしても普段の家事の仕方がわからないため名ばかりの育休になってしまう人もいます。とるだけ育休にならないようにするためには、普段から家事の分担などをしっかりしておく必要があります。
休みであることから、自分のために時間を使ってしまいとるだけ育休になっている場合もあります。短期的だからと行っても、育休は家事や育児をするための休暇です。それにも関わらず、単なる休みであると考え自分のための時間として使ってしまう人も少なくありません。手助けが必要な時期に一人で旅行に行く・好きなことをするなどの身勝手な行為をすることによって、妻の立場からするととるだけ育休を取るくらいであれば、仕事に行ってほしいと思われてしまいます。
とるだけ育休のデメリットは、妻の負担が増えることです。産後は身体への負担が大きいだけでなくホルモンバランスも乱れているため、産後うつに罹ってしまう女性も少なくありません。そういった状況下で育児だけでなく家事もしなければいけないのは心身ともに大きな負担になります。更に家事や育児を言わなければやらない・何もしないような夫の世話までしなければならない状況では、仕事に行ってもらっている方がマシと考える人も少なくありません。
とるだけ育休によって、夫婦仲が悪化する可能性があります。女性は子どもを生むことで、子どもが第一優先になりますが男性はそうではありません。ダイバーシティ&WLBコンサルタントの渥美さんの調査によれば、女性の愛情曲線は夫が一緒に子育てをするかどうかでその先の関係性が決まるとされています。大変な時期に一緒に乗り越えられた人であれば、愛情は変わりません。産後の恨みは一生という言葉があるように、とるだけ育休になってしまうことで夫婦関係が悪化してしまう可能性があります。
とるだけ育休は、仕事におけるパフォーマンスが低下するデメリットがあります。男性の育休は女性のように数ヶ月単位で取得する人は現状多くありません。長期的な育休を取りたいと考えていても所属している企業で短期的な日数しか取得ができなかった場合、育休復帰後に育児に参加できない不満が募る人もいるはずです。短い育休は自社に対してネガティブな感情が湧くこともあります。そういった事から日々の仕事に集中できなくなってしまう人も出てくる可能性があります。結果的にパフォーマンスに影響を及ぼすことも考えられます。
企業イメージが低下するのも、とるだけ育休のデメリットです。企業側の育児休暇制度がしっかりと整備されておらず、取得できる期間も短い場合、もっと育児をしたい人にとっては自社への愛着度や信頼度に影響を及ぼします。他にも、就職先や転職先を決める時に、男性の育児休暇取得率に注目している人も少なくありません。育休を整備し高い取得率だと示していても、内容が伴っていなければ不満を覚える可能性もあります。またそういった内容がSNSで広がると採用力が低下し企業イメージも低下します。
とるだけ育休にならないためには、十分な期間の育休を取得しましょう。大企業でなければ、限りある人材で業務を回しているため一人抜けてしまうと業務が回らないというような状況に陥ってしまうかもしれません。しかしとるだけ育休のままにしてしまうと、新しい人材を確保することも難しくなる可能性が高まります。時代の流れに合わせて人材を確保するためにも、育児休暇は十分な期間を設けることが大切です。育児休暇制度を整備することで、人材確保にも繋げることができます。
とるだけ育休にしないための対策は、育休を取得する目的を明確にすることが大切です。育児休暇を取得し用途考えている男性は、とるだけ育休にしないためにも取得する前に「産後ケアを行う」「妻と家事や育児をシェアする」といった明確な目的を設定しておくことが重要です。目的を明確にすることで取得期間も目処をつけることができ、自分の役割も把握することが可能です。初めて取得する場合は、何をすべきか想像が難しい際はサポートツールなどを活用するようにしましょう。
とるだけ育休にならないために出来ることは、夫婦でしっかりと家事を分担しましょう。とるだけ育休になってしまい育児休暇を取ったパートナー(女性)が不満に感じるのが多いのは、夫が家事や育児に関わる時間が少ないことや、普段とやってくれることが変わらないというところにあります。とるだけ育休を防ぐためには、取得する前からしっかりと家事分担をしておくことで育休に入った時にしっかりとサポートが出来るため、不満が出ることもなくなります。しっかりと分担することで、妻の負担を減らすことができます。
育休に関するセミナーを企業として開催することも、とるだけ育休にならないために行える対策です。企業としては、育休制度を十分に整備しておくことも大切ですが育休を取る人だけでなく取らない人にも理解をしてもらうことが必要です。育休に関するセミナーは様々ありますが、育休をとるためには同僚の理解が必要不可欠です。いくら制度を整備していても、取りづらい雰囲気の職場であれば短期間のとるだけ育休になってしまいます。とるだけ育休を防ぐためには、周りの理解を深めることも大切です。
とるだけ育休になってしまう原因・防ぐための対策などについて解説しました。男性の育児休暇はしっかりとした目的や役割を担えていれば、産後の奥さんをしっかりとサポート出来る心強い味方です。しかし期間も短く家事や育児に積極的に参加してくれないにも関わらず、家にいる場合はかえって妻の負担を増やすだけになってしまいます。とるだけ育休は、企業にもイメージ悪化などの影響を与える可能性もあるため企業としても男性の育児休暇に対してしっかりと工夫や対策を行う必要があります。とるだけ育休を理解して育休を有効活用していきましょう。
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