リバースメンタリングとは【導入するメリットや資生堂・住友化学の導入事例について紹介します】

記事更新日:2024年01月17日 初回公開日:2024年01月17日

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一般的な職業では、上司が指南役のメンターとなって教え、教えを乞うメンティーが部下となって業務を行うのが普通です。しかし近年において、部下がメンターとなり上司がメンティーとなって、部下から上司に指導を行う「リバースメンタリング」が注目されています。ここでは、指導者と指導を受ける側の上司と部下を入れ替えることで企業の変革を狙う「リバースメンタリング」について解説いたします。上司と部下が得るメリットや、リバースメンタリング導入の注意事項まで詳しく説明しますので、参考にしていただければ幸いです。

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リバースメンタリングとは

部下がメンターとして上司へ教育する制度のこと

リバースメンタリングとは、部下が指南役であるメンターとして上司へ教育する制度のことです。上司がメンターとなり部下に教育するのが通常のメンタリングであるため、「逆メンター制度」と呼ばれることもあります。リバースメンタリングは、上司と部下が立場を逆転(リバース)して教育を行うことで、若い世代の価値観も知ることができる画期的な教育制度です。また、上司が苦手とするパソコン操作などのデジタルスキルを身に付けられることも大きな利点になります。

リバースメンタリングの始まり

部下からインターネットの知識を学んだCEOの成功事例より広まる

リバースメンタリングの始まりは、部下からインターネットの知識を学んだCEOの成功事例により世界中に広まりました。当時アメリカのゼネラル・エレクトリック社でCEOを務めていたジャック・ウェルチ氏が導入したとして有名です。ジャック・ウェルチ氏が突然、先輩社員に対し若手社員をメンターにして最先端の情報通信技術について学ぶようにと通達しました。これが功を奏し、当時は普及間もないインターネットについて先輩社員も深く学べたことがきっかけとなり、リバースメンタリングが広まったのです。

リバースメンタリングのメリット

上司の視点や視野が広がる

リバースメンタリングの大きなメリットとして、上司の視点や視野が広がることが挙げられます。ベテラン社員を含む上司は、仕事のこなし方や順序を熟知しているため、わざわざ新しい技術や手法を変えようとしない傾向があります。対する若手社員は新しい技術や最先端の物事に関心を持ち、積極的に使ってみようという意思が見られるのは、どの国においても同じです。変革を好まないベテランに対し若手社員から新しい知識や価値観を注入することで、上司の視野が広がり新しいアイデアや発想の転換に繋がります。

部下と上司のコミュニケーションが活性化する

リバースメンタリングには、部下と上司のコミュニケーションが活性化するメリットもあります。通常であれば上下関係がハッキリした仕事内容の企業も多く、部下と上司が交わす言葉は同様なものに限定され、言葉を交わすことも少なくなるでしょう。しかしリバースメンタリングでは、否が応でも上司に技術を伝えなければいけないため、部下からの言葉は必然的に多くなります。それに対する上司の質問も増えるため、お互いのコミュニケーションが活性化することは間違いなく、企業にとって大きな財産になるでしょう。

マネジメントスキルが向上する

リバースメンタリングを行ったあと、逆転した関係性が戻ったときに、上司は新たな視点でチームおよび部下をマネージメントできる可能性が高くなるでしょう。視野や視点が広がることは、マネジメントスキルが向上することを意味します。一方向からしか評価できなかった部下の姿やチームの協力体制を、別の視点で評価できるようになることで、部下からの信頼は厚いものになるでしょう。それこそが企業が求める本来のマネージメントです。

部下のエンゲージメントが高まる

リバースメンタリングによって活躍の場が広がるとともに、適正な評価が得られるようになった若手社員は、会社との連帯感が強くなります。また、会社に貢献しているという実感と上司から信頼されているという感情から、仕事に対するモチベーションは必然的に高まるでしょう。会社との一体感とモチベーションアップが相まって部下のエンゲージメントは向上します。それに加えて、社員同士の立場を超えたコミュニケーションが活性化することで、企業が抱える離職防止の効果も期待できるでしょう。

リバースメンタリングの導入すべき組織

平均年齢の高い組織

平均年齢の高い組織では、リバースメンタリング導入による効果が大いに期待できます。従業員の平均年齢が高い組織では、多くの世代が均等に存在せず偏りが大きいため、意見や考え方にも偏りが出やすい状況です。こういう組織ほどリバースメンタリングを導入すべきであり、凝り固まった考え方を変えていくのに有効と言えるでしょう。変化が求められる時代に突入し、企業も変化することを求められています。柔軟に変化に対応するためにも、古い体質や考え方に固執するのは慎むようにしましょう。

多様性を推進していきたい組織

多様性を推進していきたい組織も、リバースメンタリングを積極的に導入すべきだと考えられます。近年の企業経営において叫ばれている「多様化」は、年齢や国籍・性別・人種などを認め、お互いの違いを個性として捉え尊重するものです。多様化は、新たな気付きや発見および発想を求めるものであり、日本が抱える人材不足の解消法になります。それゆえに異なる立場の人材との交流および意見交換が重要だとされており、リバースメンタリングの導入によって、立場を超えた信頼関係が築けるでしょう。

リバースメンタリングの導入方法

目的を設定し周知させる

リバースメンタリングを導入する際に最初に行うのが、目的を設定し周知させることです。リバースメンタリングをすることで、どんな課題を解決したいのか、どのような効果を得たいのかを明確にしましょう。次に、実施部門や関係するステークホルダーとも目的を共有し、理解してもらうとともに同意してもらってください。周囲の理解が得られなければ、上手くいくこともスムーズに進行しなくなることが予測されますので、必ず同意してもらいましょう。

人員選定を行う

つぎは直接参加するメンターおよびメンティーとなる人員の選定です。ペアの相性などを考慮して人員を選定しますが、メンティーが直属の上司であると部下は指導およびアドバイスがしにくく遠慮がちになってしまいます。そこで、メンターとメンティーは別部署にすることが多いようです。また、部署が違っても利害関係がある場合には、制度実施に悪影響を与えることもあるので配慮しましょう。そしてメンターおよびメンティーにも、リバースメンタリングを導入する目的は確実に伝えてください。

オリエンテーションを行う

参加者および関係者にリバースメンタリングの導入の目的が共有できたら、オリエンテーションを行いましょう。とくにメンターとなる若手社員の中には、目上の人に指導やアドバイスすることに抵抗を感じる人もいるはずです。不安を感じたままで実行に移らないように、オリエンテーションを実施して詳細なルールなどを事前に伝えて理解してもらってください。また必要であれば、メンターとしてのスキルを学ぶ勉強会などを用意しても良いでしょう。まずは安心して参加できる雰囲気を作ることが大事です。

関係部署からの同意を得て実施する

リバースメンタリングを導入するには、会社全体でバックアップする体制が必要です。関係する部署には趣旨を伝えるとともに同意を得て協力してもらえるようにしましょう。また、関係部署以外にもリバースメンタリングが波及することもあります。できれば、社員全員にリバースメンタリングの実施目的を理解してもらい、全社を挙げて取り組むように協力を仰ぐことが重要です。リバースメンタリングは他人事ではなく、自分も社員の一人として関与していることを認識してもらいましょう。

フォローアップを行う

リバースメンタリングの運用を開始したら、定期的に話し合う場を設けてフォローアップを行うようにしましょう。ルールの変更や発生した問題点なども参加者が共有することで、安心できるとともに仲間意識も芽生えます。また、フォローアップは毎回参加者全員を集める必要はなく、フォローが必要だと考える対象者だけに助言を行っても良いでしょう。ペアによって抱える問題点なども異なるでしょうから、個別に指導することも大事です。個々が抱えている悩みなどには注意深く耳を傾けてください。

リバースメンタリング実施の注意点

メンターの負担をかけすぎない

リバースメンタリングを実施する際には、メンターである若手社員に大きな負担となりがちなので、注意が必要です。とくに心理的な負担が最も心配されますが、不安を表面に出さないメンターも多いため、人事担当者は聞き取りなどを欠かさないよう気を付けましょう。やはり、上司を指導するという行為と役割には、誰もが抵抗を感じるものです。期間を限定してペアを変えるなど、心理的な負担を軽減するようなルール作りや、参加者に寄り添うような細かい配慮が必要になるでしょう。

メンターとメンティーがお互いの価値観を尊重する

メンターとメンティーがお互いの価値観を尊重することが、リバースメンタリングの成否を決めると言っても過言ではありません。価値観の違いによって結婚が破綻するように、お互いの考え方や価値の見出し方が異なることは大きな問題です。とくにメンターとメンティーは上司と部下の関係にあるため、年齢差が大きいことも珍しくありません。そこで、リバースメンタリングのルールとして、相手の価値観を否定せず、受け入れて尊重することを掲げましょう。価値観の違いを学ぶことは両者にとって、実務を覚える以上に有効な機会となるはずです。

リバースメンタリングの実施例

株式会社資生堂

株式会社資生堂では、2017年よりリバースメンタリング制度を導入しています。当初の目的は「役員のITスキル・意識の向上」と「社内コミュニケーションの活性化」でした。社内の提案制度から社員の提案があり、受ける経営者側も「自分もやってみたい」という積極的な返答があったため、制度導入に踏み切っています。リバースメンタリング制度の導入により、役員のITスキルを含むデジタル知識が向上し、年齢の差がある社員同士のコミュニケーションも活性化した成功例です。

住友化学株式会社

住友化学株式会社は、試行的に2020年よりリバースメンタリング制度を導入しています。目的はメンターである若手社員は会社に対するロイヤリティやモチベーションアップで、メンティーとなる経営陣は知識のリニューアルや視野を広げることでした。経営陣は若手社員が持つ新しい知識や感性に触れることで、経営に生かそうと努力しています。若手社員は経営の考え方を身近に学ぶとともに、経営参加への自覚が生まれ、愛社精神にも繋がっているようです。また、住友化学株式会社では、3ヵ月程度でペアを変える工夫がなされ、マンネリ化対策としています。

まとめ

リバースメンタリングについて理解し組織へ導入してみよう

日本では既に崩壊したと言われる年功序列型の雇用形態が抜けきれないこともあり、リバースメンタリングの広がりは遅いようです。経営陣も変革を望んではいるものの、若手社員の価値観まで受け入れようとする気概は感じられません。しかし刻々と市場や顧客ニーズが変化する中で、企業の変革も喫緊の課題となっています。変革の起爆剤としてリバースメンタリングを導入することも視野に入れるのも良い考えです。時代のニーズにあった組織へかわるためにも、リバースメンタリングについて良く理解し導入することを積極的に考えてみましょう。

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