業績給とは【導入するメリットやデメリット、注意点について解説します】

記事更新日:2024年01月18日 初回公開日:2024年01月18日

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業績給とは、社員が挙げた仕事の成果に応じて賃金の内容を決定する制度です。業績給は従来の年功序列制とは異なり、勤続年数に関係無く社員をより公平に評価できるという点から現在多くの企業から注目を集めています。また、業績給の導入は、優秀な人材を自社で確保するためのアピールポイントとしても有効と言われています。そんな業績給ですが、実際に導入するとどのようなメリットがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。今回は業績給のメリット・デメリットや導入の注意点についてご紹介していきます。業績給の導入を検討している方は是非ご参考にしてみてください。

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業績給とは

実績や成果を仕事の評価とする賃金制度

業績給とは別名成果給とも呼ばれており、社員の実績や成果に応じて賃金が決まる賃金制度の一種です。業績給は事前に設定された目標を基準として、社員がどの程度目標を達成しているかによって給与額が変動します。ただし、業績給は一か月の賃金の全てが社員の業績で決まるわけではなく、実際にはベースとなる固定賃金に上乗せされる形で成果報酬がプラスされます。そのため、全ての賃金が成果によって決まるわけではないことを留意しておきましょう。

業績給を導入するメリット

社員の成長が期待できる

業績給は、社員の目標達成度によって報酬が決まります。そのため、もっと多くの賃金を稼ぎたいと考えた場合には、目標を達成するための努力が必要です。このような特徴から、業績給を導入すると向上心のある社員は成果を上げるために、自主的な努力を行うことが予想されます。また、頑張れば頑張るほど収入が上がるという事実があれば、仕事へのモチベーションも向上します。そのため、企業の業績アップだけでなく、社員全体の成長が期待できる点が業績給を導入するメリットの一つと言えるでしょう。

評価基準が明確になる

業績給を導入すると、定期的に行う人事考課の評価基準が明確になるのもメリットの一つです。人事考課で社員1人1人を評価していくためには、明確な評価基準が必要です。人事考課では評価すべき点が多岐に渡ることから、評価者はどのように社員を評価すべきか悩むケースも少なくありません。業績給の結果は、評価対象の社員が今までどのように仕事に取り組んできたのかを図る一つの指針にもなります。そのため、導入すれば社員の評価にかかる労力が削減できる効果も期待できます。

優秀な社員が集まりやすい

業績給は導入すると、優秀な社員が集まりやすいというメリットも発生します。業績給は会社への貢献度が高ければ高いほど、高額な報酬が期待できる賃金制度です。企業に勤める社員の離職には「頑張って仕事をしても相応の賃金がもらえない」という理由もあるので、この点は労働者にとっても大きなメリットと言えるでしょう。そのため、業績給の導入は高収入を求める優秀な人材へのアピールポイントにもなり、人材獲得と維持に繋がります。

人件費を適正に配分できる

業績給には人件費を適正に配分できるという特徴があります。通常、年功序列制で社員の賃金を決定した場合、社員は自社への貢献度に関係無く、勤続年数の高い人から順に高収入を得られます。この制度は長く務めるほど高収入が期待できる反面、勤続年数は短いけど業績向上に貢献している社員にとっては不公平に捉えられかねません。しかし、業績給を導入すれば、勤続年数に関係無く社員を正当に評価しやすくなり、人件費を適正に配分できます。

業績給を導入するデメリット

アンダーマイニング現象によってモチベーションが低下する

業績給を導入すると、アンダーマイニング現象が起きる可能性があります。アンダーマイニング現象とは賃金などの外的動機づけを行うと、逆に社員のモチベーションが低下してしまう現象のことです。社員のモチベーションが仕事のやりがいではなく報酬に集中してしまうと、思うように成果を挙げられない社員は苦痛を感じやすくなり意欲低下の可能性が高まります。そのため、業績給を導入する際には、このような事態を防ぐためにも上司から評価やアドバイスなどを行い賃金以外で意欲を維持する対策を行う必要があります。

成果に関連する業務以外に注力しなくなる

業績給を導入すると、社員が目先の報酬に囚われてしまい、成果に関連する業務以外に注力しなくなる可能性があります。例えば業績給の基準とした目標が商品の契約数に限定されると、社員は契約獲得のみに集中してしまいアフターフォローがおろそかになってしまいます。これを放置していると、一時的に企業の業績が上がっても、解約やクレームの数が増えてしまい業績低下の原因になります。そのため、業績給を導入する際にはこの点にも留意して、社員が満遍なく業務に集中できる環境を整えなくてはなりません。

職種によっては評価しにくい

業績給は、営業や開発など目に見える数字で成果を評価できる職種に向いています。その反面、事務や労務など企業を影から支える職種に関しては明確な目標や評価基準を設定しにくいという特徴があります。このような事情から職種によっては評価しにくい場合もあるので、導入時には該当する職種が業績給に適しているかどうかを改めて検討していかなくてはなりません。また、導入の際には成果が短期間では判断できない職種をどのように評価していくかも慎重に考えていく必要があります。

中長期的な視点が欠ける

業績給は目標達成の可否を判断材料にする賃金制度です。そのため、短期間で成果を挙げる場合には絶大な効力を発揮しますが、反面短期的な目標に注力しすぎて中長期的な視点に欠ける手法でもあります。企業が他社との競合で生き残っていくためには、一時的な成果だけでなく長期的に業績を維持するための戦略を練らなくてはなりません。このような理由から業績給を導入する際には、成果数などの短期的な目標だけに拘らず、長期的な目標を設けるなどの対処を考えていくことが重要です。

ハイリスクハイリターンである

業績給は労働者にとっては、ハイリスクハイリターンな賃金制度でもあります。業績給で定められた評価基準に基づき、仕事での成果を挙げるためには、社員はどのようにして業績向上を図るか考えなくてはなりません。しかし、考えついた手段が成功すれば高い報酬が期待できる反面、失敗すればリスクだけが残ります。そのため、できるだけ失敗を回避したい社員は挑戦することを避け、保守的な行為に走りやすくなり企業や社員の成長に繋がらない可能性もあります。

チームワーク低下の可能性がある

業績給には、社員のチームワークの低下を促進してしまう可能性があります。業績給は基本的に個人が挙げた成果を評価する賃金制度です。そのため、チームで連携して仕事をすべき場面でも個人の成果を重視して、身勝手な行動を繰り返す社員が現れる可能性も否定できません。また、社員同士が双方をライバル視して上手く協力できなくなってしまう場合もあるので、結果的に集団の結束力が弱まる可能性が危惧されます。このような理由から、企業は優秀な人材同士が協力体制を取れるように、配慮する姿勢も必要です。

業績給が向いている会社の特徴

成果主義を重んじている

業績給が向いている会社は、成果主義を重んじる社員が多い傾向にあります。成果主義を重んじる傾向の強い人は、仕事に対する努力を惜しまない性格の人が多く、成果を得るために負うリスクに関しても寛容です。そのため、成果主義の考え方が根付いている社員が多く在籍する会社は、ハイリターンハイリスクの業績給を導入しても社員に受け入れられやすいと言えるでしょう。このような理由から、成果主義を重んじる会社は業績給の賃金制度ともマッチしており、導入するとより良い結果に繋がることが予想されます。

マネジメント層が優秀である

業績給が向いている会社は、マネジメント層が優秀である場合が多いと言われています。業績給の導入を成功させるには、適切な目標設定が必要です。この目標設定は高すぎると社員の意欲が低下し、低すぎると達成者が多く発生してしまうので、現状のレベルに適したものにしなくてはなりません。また、業績給は報酬を提示するだけでなく、社員が実際に目標を達成できるように上層部がフォローする体制を築く必要もあります。そのため、導入を成功させるためには、必然的にマネジメント層の高いスキルが重要になります。

業績給の事例

サイバーエージェント

インターネットサービスで有名なサイバーエージェントは業績給を導入している企業の一つです。サイバーエージェントは、半年に一度ある評価のタイミングに応じて報酬が変動するグレード制を採用しています。この企業では上記のように半年に一度昇給査定があるので、賃金決定の判断材料に勤続年数の長短は関係無く、全ての社員が同条件で評価を受けられるメリットがあります。そのため、若手社員でも努力によっては高い報酬を得られる可能性が高く、業績給の導入が成功している企業と言えるでしょう。

ホンダ

自動車メーカーのホンダは、管理職の報酬が年俸制です。この年俸制賃金の決定基準は成果主義で、管理職は自社への貢献度によって賃金が変動する仕組みになっています。この制度は従来の年功序列制で黙っていても賃金が上がる状態を廃止することにより、社員の意識改革を行う狙いがあります。ただし、この制度は育児や介護による休業は評価に組み込まないなど、社員が個人の境遇によって不利にならない配慮がなされている点が重要です。このように社員の努力だけでは改善できない点についても考慮しておくのが業績給導入のポイントと言えるでしょう。

業績給を導入する際の注意点

賃金支払いの原則を守る

業績給を導入する際の注意点として重要なのは、賃金支払いの原則を守ることです。現状、日本の法律では労働者の賃金を完全出来高制にすることは禁止されています。また、社員の賃金を全て成果主義にしてしまうと、その時によって収入の波が大きくなるだけでなく、思うように成果を挙げられない社員は生活が困窮してしまいます。そのため、業績給を導入する際には、社員の生活に大きな支障が出ないよう、ベースとなる賃金を十分に生活できる金額に設定しなくてはなりません。

職務給との配分に気をつける

職務給とは、社員が受け持っている職務に応じて加算される賃金のことです。職務給は同じ業務を受け持っている社員であれば、勤続年数や役職に関係無く加算されるものです。職務給と業績給が同時に存在している場合、同じ立場の社員でも受け持つ仕事によって賃金格差が生まれてしまいます。また、職務給は人事異動によって、社員が今まで得ていた収入が大幅に減少する可能性もあるものです。そのため、業績給を導入する際には、社員の不満が出ないように職務給との配分を検討し、納得感を得られる内容にするよう注意しましょう。

まとめ

業績給の特徴を理解して導入を検討しよう

業績給は、成果を挙げなければ収入アップに繋がりにくいという特徴から導入が難しい賃金制度でもあります。さらに、導入時には社員のモチベーション維持や中長期的な目標の設定などについても考慮する必要があります。しかし、頑張れば頑張るほど目に見える成果に繋がるという特徴は、企業だけでなく社員の成長にも繋がります。そのため、業績給はその特徴を理解して、しっかりとリスク対策を行えば、より良い職場環境を構築する上で高い効果が期待できると言えるでしょう。

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