新卒一括採用とは【通年採用との違いやメリット、成功させるポイントなどを解説します】

記事更新日:2023年01月18日 初回公開日:2023年01月18日

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社員の採用を始めるとき、どのようなシステムで採用活動が最適か迷うことがあると思います。採用活動として一般的に浸透しているのは、新卒一括採用ではないでしょうか。新卒一括採用は長年、日本企業で主流とされてきた採用システムです。しかし、少子化などの社会情勢や雇用に対する価値観の変化により、新卒一括採用の見直しの動きがみられています。この記事では、新卒一括採用の現状や通年採用との違い、それぞれの採用方法のメリットやデメリットを説明します。会社の課題に合わせて採用方法を検討するときの参考にしてみてください。

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新卒一括採用とは

新卒の学生を対象に毎年同じ時期に行う選考

新卒一括採用とは、新卒の学生を対象として毎年同じ時期に行い、卒業後はすぐに入社する日本独自の選考システムです。新卒一括採用は、日本経団連により広報活動から採用活動、正式内定の時期などのスケジュールがルールとして明確に定められています。ほとんどの日本企業は新卒一括採用を取り入れており、スケジュールに従って採用活動を行っています。合同説明会や採用イベントなど複数の企業が集まって開催されることが多いのは、新卒一括採用の特徴です。

1895年に誕生した

新卒一括採用は明治時代である1895年に誕生し、日本郵船や三井銀行といった旧財閥系企業を中心に導入されました。第一次世界大戦後の企業の人手不足により、学生の卒業を待たずして採用活動を行うようになりました。その後の第二次世界大戦や高度経済成長期を経て、大学の数が増えるとともに学生が増えます。安定して多くの大卒生をを採用活動をする仕組みとして中小企業にも浸透していきました。転職者が多く、価値観が変化している現在は、新卒一括採用のあり方が見直されつつあります。

新卒一括採用と通年採用の違い

通年採用は企業のタイミングで採用を行う

通年採用は、企業が採用時期を決めずに一年を通して企業のタイミングで行われる採用活動です。新卒や中途にこだわらず採用するシステムで、海外や外資系企業では主流の採用方法です。近年は企業の海外事業の展開により、海外の大学を卒業した学生や留学生を受け入れるために秋の採用も行われています。また、新卒社員が採用予定人数に届かない場合や内定辞退者が出た場合の対策として、継続的な採用活動を行う企業も増えています。

新卒一括採用の現状

採用の早期化が進んでいる

近年は、経団連が定める就活の解禁日より前に選考を受けている学生がほとんどで、内々定を貰った学生もいるなど採用の早期化が進んでいます。就活の解禁日より前にインターンシップ等で学生と接点を持ち、採用に繋げる企業が増えているためです。インターンシップに来た学生に早期の説明会や選考をするため、従来より採用は早まります。新卒一括採用を導入している企業も長期的な採用活動を行うため、通年採用と変わらない状態になっています。

新卒一括採用の課題

一人一人に合わせた採用活動ができない

新卒一括採用の課題として、一人ひとりに合わせた採用活動ができないことが挙げられます。海外留学をしている学生や海外の大学に通っている学生は、採用のスケジュールや入社の時期を合わせられず、応募できないことがあります。体調を崩すなどのやむを得ない事情でタイミングを逃がす学生もいるでしょう。年に一度しか採用機会のない新卒一括採用では、タイミングが合わないことで知らないうちに優秀な人材を逃す可能性が高いです。

ルールは存在するが形骸化している

新卒一括採用には経団連の定めたルールが存在しますが、形骸化していることが課題です。経団連は、選考開始の時期を遅らせることや選考を解禁する時期をそろえるなどのルールを定めてはいるものの、罰則などはありません。そのため、採用につながるインターンシップや、面談を通してスカウトするリクルーター制度を解禁前に行う企業が増えています。新卒一括採用のルールが形骸化される中、これまでの採用のあり方を見直すべきではないかと言われています。

ベースとなる終身雇用や年功序列が崩れ始めている

新卒一括採用と関連の深い終身雇用や年功序列は、年々崩れ始めています。新卒一括採用は終身雇用や年功序列など、日本独自の雇用制度に合わせた長期的な雇用を前提とした採用方法です。しかし近年は、キャリアアップのための転職者が増加しているため、長期的に一社に雇用されていることが少なくなりました。また、IT技術により業務スピードが加速したことで必要とされる人材は限られ、年功序列が崩れ始めています。そのため、新卒一括採用のあり方が問われています。

新卒一括採用のメリット

採用コストが削減できる

新卒一括採用はまとまった時期に行うため、一年を通して行う採用活動に比べてかかるコストを削減できます。説明会や選考を多くの学生でまとめて同時期に行うと、そのぶん説明会やイベントの運営費や人件費はかかりません。新卒一括採用は毎年定められたスケジュールの中で動くため、予算の見通しが立てやすくなるでしょう。また、新卒社員が同時期で一斉に入社することで研修もまとめて行えるため、研修などの教育にかかる費用も抑えられます。

同期がいる安心感を与えられる

新卒一括採用は、新入社員に同期がいるという安心感を与えられるメリットがあります。新卒社員は社会人経験がなく不安を抱えるため、同じ時期に入社して悩みの相談や共有ができる同期は貴重な存在となります。新入社員が感じる安心感は、帰属意識が高まるため企業への定着を促進するでしょう。また、同期の存在によって自分自身の成長度合いを知ることにもなるため、切磋琢磨し合えるライバルができてモチベーションへと繋がります。

新卒一括採用のデメリット

採用機会が少ない

新卒一括採用のデメリットは、採用機会が少ないため人材を取り逃がすことにあります。新卒一括採用で採用の対象になるのは新卒者のみで、採用活動は年に一度しか行われません。少子化や就職の選択肢が海外企業にも広がる現代は、新卒で日本企業に入社する学生自体が減少傾向にあります。採用人口の減少と採用機会の少なさにより、十分な人材の確保が難しい状況になるでしょう。また、採用機会が少ないことにより内定辞退者が出ても新たな人材を採用できないために、人材が不足する可能性もあります。

負担が集中する

新卒一括採用は、会社と学生の双方に負担が集中するという問題点があります。採用スケジュールは、一定期間に集中して組まれるためまとめて進められる一方、業務量も一時に集中します。人事担当や採用担当などの採用活動に関わる社員の業務負担は大きくなるでしょう。学生は選考の期間が集中して異なる企業の選考を一気に受けるため、限られた中での就職活動で負荷のかかる状態になります。定められたスケジュールに従って採用活動を行うことで負荷が生まれることも、新卒一括採用の懸念点です。

即戦力や多様な強みを持つ人を採用しづらい

新卒一括採用は、対象となる人材が限られているため、即戦力や多様な強みを持つ人を採用しづらいデメリットがあります。新卒で採用する社員は知識や経験の少ない学生が対象となるため、即戦力や専門性の高いスキルを持つ人材を求める企業には向きません。同じ条件を持つ新卒者を多く採用したいときには向いていますが、留学などの事情で採用スケジュールが合わない学生などターゲットとなる人材は絞られます。必然的に採用される人材の幅が限定されるため、多様性に欠けることになるでしょう。

新卒一括採用で中小企業が成功するポイント

選考時期を後ろ倒しにする

中小企業が新卒一括採用で成功するには、選考を後ろ倒しにして大手企業と被らないようにすることが一つの手段です。後ろ倒しのスケジュールであれば、大手企業の選考で不採用とされた学生の中で、自社が理想とする学生を採用できる可能性が広がります。また、入社までの期間が短いことで採用担当者への負担は軽くなるでしょう。早期の人材確保のために大手企業より前倒しの採用活動を行うと、その後大手企業に採用されたことで内定辞退者が増え、人材不足になる可能性があります。

積極的に学生に声をかける

企業から積極的に学生に声をかけて深くコミュニケーションを取ることで、新卒一括採用が成功する可能性が高くなります。企業は紹介会社を通して学生がエントリーすることを待つような姿勢が一般的ですが、「攻め」の採用も注目されています。例えば、SNSで学生を検索してコンタクトを取ることや、合同説明会などで採用したい学生に声をかけることから始め、自社に入りたいと思ってもらえるように仲を深めることです。採用活動に多くのリソースを割けない場合は、大手とは違ったアプローチ方法で新卒一括採用を成功させましょう。

新卒一括採用の廃止について

廃止になることは明言されていない

2018年、経団連は21年卒の学生で就活のルールの適用を廃止したため、新卒一括採用がなくなると噂されていますが、廃止になるとは名言されていません。しかし、一部で通年採用が実施されて採用スケジュールが多様化することもあり、新卒一括採用が徐々に廃止されていく可能性はあると言われています。もともと経団連に加盟していな企業は例年と変わらない採用活動になりますが、新卒一括採用が廃止されれば日本の雇用形態に大きな変化が訪れることも考えられるでしょう。

新卒一括採用廃止のメリット

採用活動時期を自由に選択でき多様な人材と出会える

自由に採用活動時期を選べることや多様な人材との出会いは、新卒一括採用廃止の大きなメリットです。人材が必要な時期や採用活動をしたい時期に、自社で調整して採用活動を行うことができます。繁忙期を避けられるため、採用活動に集中することも可能です。また、通年採用になることによって海外留学をしていた学生や既卒者など、新卒一括採用では出会う機会のなかった人材を発見できます。多様な経験やスキルを持った人材を採用することで、企業にとって新しい視点やアイデアを取り入れるきっかけとなるでしょう。

新卒一括採用のデメリット

採用活動時期が定まらない可能性がある

採用活動時期が定まらず、結果として長期化する可能性が出てくるのが新卒一括採用を廃止した際のデメリットです。他社より早い段階で人材を採用するために、廃止前以上に早く採用活動を始める企業が増えることが予想されます。採用活動が早期化すると、内定者のフォローを含めて新卒一括採用より長期化することもあります。また、企業の採用スケジュールがバラバラであることによって学生の動向を把握しづらく、適切な採用活動時期が分からずスケジュールを定まらなくなります。

まとめ

新卒一括採用について理解して今後の採用に活かそう

新卒一括採用の現状や課題、それぞれのメリットやデメリット等をご紹介しました。社会情勢が変わる中で雇用に対する価値観も変化し、採用方法のあり方が見直されています。新卒一括採用の廃止が懸念される中で、各企業は採用活動の方針を改める必要が出てくると予想されます。新卒一括採用のメリットやデメリットを理解することで、今後の採用方法を検討する際に何を取り入れるべきか考えやすくなります。自社に最適な採用方法を考え、ふさわしい人材の採用に活かしましょう。

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