採用稟議書とは【作成する目的や内容についてお伝えします】

記事更新日:2023年01月13日 初回公開日:2023年01月13日

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稟議書とは日本独自のオフィスカルチャーであり、会社の意思決定を迅速に行うための書面による重要提案事項の決定方法です。日本の企業では会議を必要とせずに重要事項が迅速に決定できることから、現在においても稟議書システムを有効な決裁手段として採用する会社は多くあります。今回は会社でも重要な人事に関わる採用稟議書の書き方や、目的などについて分かりやすく解説します。採用稟議書のメリットとデメリット、採用稟議書を作成する順序やポイントまで詳しく説明しますので、人事担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

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採用稟議書とは

社内の意思決定手段の一つとして使われる書面のこと

稟議書は会社の重要事項を書面で承認を得ることで、会議と同様の会社決定事項にする有効な手段です。提案事項に関わる関係者全員の承認を得ることにより、会社決裁と同じ効力が発生します。採用稟議書は名前の通りに採用に係る稟議書であり、いままでにない採用人事や会社の上位者決定などに関わる事項に使われることが一般的です。採用稟議書の内容は関係者が複数に及ぶため、簡潔かつ不足のないように書く必要があります。誰もが理解できるように書くことで承認までのスピードアップをはかることができます。

採用稟議書を作成する目的

独断の決定によるミスを防ぐ

採用稟議書を作成する目的は、提案者の独断の決定によるミスを防ぐという重要なものです。とくに提案者が上層部であればトップダウンで他部門にて不都合なことが生じることが予測できても、押し切られて決定されることがあります。しかし稟議書では全関係部署が十分に吟味して決裁することで不十分な事項が指摘されるため、起こり得るミスを未然に防ぎやすい画期的な決裁システムといえるでしょう。採用人事においては大きな費用がかかることもあり、採用稟議書は会議での決定よりも有効な決裁方法です。

採用稟議書が必要なタイミング

募集開始時

採用コストに対する稟議

今までになかった海外からの人材などを募集する場合には、採用コストが特に重要になるため採用に関わる費用負担を決裁してもらいます。稟議書にて決裁されることによって採用の作業に移ることになり、募集前の費用負担の稟議書は非常に重要になります。その人物を採用することで会社にどのようなメリットがあるのか、採用にかかる費用に対する効果を明記しなければいけません。また募集後に費用負担の決裁を仰ぐことになれば費用を持ち出す事務方からの抵抗は避けられないため、くれぐれも作成の順序を間違えないようにしましょう。

採用決定時

人材受け入れに対する稟議

人材受け入れに対する稟議書は採用決定時に作成しますが、採用となった人物の名前や簡単な経歴を書いて承認を得ることになります。募集に至るまでの経緯などは、採用コストに対する稟議書で既に説明しているため省略しましょう。採用決定後の稟議書で重要なことは、募集時の稟議書との整合性です。決裁された募集要項に見合う人材が登用されていることを書けばよいので、その部分だけをクリアしていれば募集前の採用稟議書よりも簡単で決裁も早く下ります。採用後の稟議書では当初の考え方と相違がないようにだけ注意しましょう。

採用稟議のメリット

会議を行う手間を省くことができる

採用稟議書の最大のメリットは、会議を行わずに重要な採用案件を決定できることです。会議を行うためには関係者の時間調整や会議場の手配など、多大な労力と時間が必要です。採用稟議書ではそれらの手間を省くとともにお互いの感情がぶつかることもないため、冷静な判断で承認を得られるという大きなメリットもあります。とくに承認される可能性が高い案件に対して会議を設定することは無駄であり、稟議書はこういう事案にも大きな効果を発揮します。

認識の統一を図ることができる

採用稟議書のもう1つの大きなメリットは、会社全体が新しい提案事項に対し共通の認識を持てることです。会議などでは言った言わないなどと後で揉めることも多くありますが、書面にして決裁を仰ぐことによりそのような行き違いは無くなります。採用稟議書を作成することにより部門や上下関係の組織の垣根を超えて共通の意識を持ち、会社全体で目的達成に邁進することができます。関係者の意思統一がはかられることで、新しいプロジェクトを成功へと導いてくれます。

採用活動の経過を記録できる

採用活動の経過が記録に残るということも、稟議書のメリットといえるでしょう。採用活動は提案から始まり、提案事項が会社にとって有効なものであることが示され募集に到ります。そして採用後の稟議書によって採用が決まった事実を報告し会社として正式な新規の採用が決定するという流れになります。段階的に採用稟議書を作成することで提案から採用に到るまでのプロセスが記録されるのは大きなメリットです。いつどのような状況で方向転換したのか、当初の方針が少しずつ変化した様子なども稟議書を見ることで細かく確認ができます。

採用関係者に書面で情報共有できる

採用稟議書は採用の意味や採用に到る経緯や費用対効果など、全てが関係部署にも記録として残ります。会議の議事録を兼ねるものでもあり、決定までの経過をいつでも見返すことができるのは大きなメリットといえます。また採用稟議書で関係部署が承認した事実が書面に残るので、情報が共有されるとともに案件については全く知らないなどという言い逃れができなくなるメリットもあります。関係部署に釘をさすことにもなり、その後の進捗においても有効な方法です。

採用稟議のデメリット

採用のスピード感が失われる

採用稟議書の大きなデメリットとされるのが、決定までに時間がかかるということです。会議における決裁では時間が限られることもあるため、時間内で提案事項が決裁されるように進行されます。しかし稟議書では一部の関係部署で不都合なことが生じた場合や、不都合だと判断された場合には関係部署の会議にかけられることもあります。通常は最も関連が少ない部署から回していき最後にトップの決裁となりますが、途中でストップしてしまうこともあるでしょう。最悪の場合には今どこに採用稟議書があるのかさえ分からなくなることもあり、会議に比べてスピード感に欠けるのは否めないことです。

責任の所在が曖昧になる恐れがある

採用稟議書では、責任の所在がどの部門にあるのか曖昧になるということが多くあります。採用稟議書の作成者は人事担当者などであるのが一般的ですが、起案者は採用を願い出た部門です。しかし稟議が否決される場合や採用案件が上手くいかなかったときには、稟議書を作成した人事部門に責任が限定されてしまいます。そのため採用稟議書は発案した部門が作成し人事部門が第一承認部署となることで、責任の所在をはっきりさせるのがよいでしょう。

採用稟議書の内容

募集活動を始める時

募集活動を始めるときに作成する採用稟議書の内容は、前述のように新規採用の意義と採用にかかる費用および予測される効果が中心となります。例えば海外からの新規採用であれば、採用による会社のメリットや採用までにかかる時間や費用などを具体的な数字で示さないと決裁が簡単におりません。まずは採用したい人物がどうしてその人なのかを納得させる文言と、それが会社の大きな利益になるということを書きましょう。加えて滞在にかかる費用や支援なども気になることですので、添付でもよいので書き足してください。

採用が決定した時

採用が決定した場合に作成する採用稟議書の内容は、採用者の名前と簡単な経歴などを一人ずつ書くようにします。所属する部署や担当するおもな仕事なども明記し、採用理由などが募集活動前に作成した稟議書と大きな相違がないことが重要です。採用の理由などに募集要項と整合性がとれていれば、あとは特に難しいことはありません。採用後の住居や採用期間および採用の更新などを記載するのも構いませんが、関連部署に大きく関わることでなければ口頭での説明でも問題はないでしょう。

採用稟議書におけるポイント

漏れと重複がないように作成する

採用稟議書は記録に残る書面のため、間違いや記載の漏れなどはもってのほかです。作成後に何度も見返して同僚や上司に確認してもらいましょう。また、会議などでは簡単に見過ごされることであっても、稟議書では関係部門の代表者が責任を持って承認印を押すので慎重になります。重複する事項や、記載されていない不足の事項などを指摘されないように十分に注意して下さい。なお指摘があった際には、あらためて稟議書を作成するか補足事項を追加してから次の部署に回るようにしましょう。

フォーマットを利用する

稟議書の多くは誰もがフォーマットを使用しており、特別な案件だからといって新しいフォーマットに変更したりすると抵抗を感じる人から指摘を受けることもあります。稟議を通したい場合には、最も社内で使われている稟議書のフォーマットを利用しましょう。また、フォーマットを使用することで必要事項や最低限書かなくてはいけない内容が把握できるとともに書き忘れることもなくなります。採用稟議書作成に慣れていない人も作成が簡単になりますので、ぜひ最適なフォーマットを使用して採用稟議書を書くことをおすすめします。

事前に口頭で情報を共有しておく

事前の口頭にて情報を共有するというのは、いわゆる「根回し」です。唐突に海外から人材を登用したいといっても、当社に本当に必要なのかと噛みつかれることさえあるでしょう。事前に新規人材採用の経緯や必要とされる部署などを説明しておくとスムーズな流れになります。いずれ稟議書にて皆さんにも承認を得たいと思っていることも伝えておき、部署をまたいだ意見を仰いでみるのも良いでしょう。自分がアドバイスした案件に反対する人は少ないので、この方法は非常におすすめです。

決裁者の視点で情報をまとめる

採用稟議書を作成したら、決裁者の視点で稟議書を見直してみることをおすすめします。それぞれの関係部署の責任者になったつもりで採用稟議書を見てみると、質問される事項や指摘される部分が見えてきます。これらの内容を全て稟議書に書く必要はありませんが、質問されたら解答できるように、事前に説明して稟議書を渡すのも一つの方法です。全ての細かい部分まで稟議書に詰め込んでしまうと途方もない文面になりますので、要点を上手くまとめて関係部門に必要なことは口頭で事前に説明するとスムーズに決裁までたどりつきます。

スケジュールに余裕を持った提出を行う

採用に到るまでには相手方のスケジュールもあるため、十分に余裕をもって早めに提出しましょう。ビザ取得などには思った以上の時間がかかることもあるため、それらも見越してスケジュールを立ててください。稟議書の承認は得たものの肝心の採用者が期日になっても来ないとなれば、稟議書を作成した人が責められることになります。これでは本末転倒となってしまいます。非常に大変な作業になりますが、関係各所に事前に確認して余裕を持ったスケジュールで稟議書を提出してください。

まとめ

採用稟議書を利用して効果的な採用活動に繋げよう

採用稟議書は人事担当者にとって大きな武器になります。会議などでは上層部だけの会話になりがちで、提案者が話に入れないことも多くあります。採用稟議書では作成する自分が主体となって、採用に関する提案を詳しく書き、伝えたいことを文書として残すことができます。稟議書による会社の意思決定方法は日本の古い会社の伝統ではありますが、使い方によっては非常に有効な決裁方法です。採用稟議書を活用してグローバルな有効な人材を登用し、効果的な採用活動に繋げましょう。

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