2020年の派遣法改正で何が変わる?【変更点を分かりやすく解説】

記事更新日:2020年09月16日 初回公開日:2020年09月15日

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派遣という働き方は、専門的な人材の有効な募集方法としてとても一般的になりました。派遣社員としての勤務は様々な職種が体験でき、より柔軟に勤務時間を選んで働ける一方、待遇面で劣っていたり、自分の意志で働き続けづらく不安定な面もあります。均等な待遇を実現するために、公正なルールの確立が必要だと感じたこともあるのではないでしょうか。今回は、派遣労働者の均等待遇を目指す2020年4月施行の派遣法改正についてご紹介します。派遣法改正の歴史や、今回の改正で現時点でどのような状況になっているのかについてもまとめました。派遣法改正について知りたい方はぜひご覧ください。

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派遣法改正とは

派遣法とは

はじめに、今回改正された労働者派遣法とは、どのような法律なのでしょうか。正しくは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と言います。派遣法は立場が弱くなりがちな派遣社員の権利を守り、また、公正さを保ちつつ、適切な形で外部からの人材を確保し、労働力として活用する目的で整備されています。具体的な内容として、労働機関などの就業条件や、賃金などの待遇について規定を定めています。

派遣法の歴史

雇用主と実際の業務監督者が異なる「間接雇用」という働き方は、戦前から人材あっせん業として存在していました。しかし、労働環境の悪さから、戦後しばらくは労働者供給事業の禁止として許可されていませんでした。その後高度成長期に伴い、業務が多様化するとともに、専門的な知識や技術を有する人材が必要となり、外部からの人材確保のため派遣法が見直されたのです。1985年に整備された当初より、日本経済の成長に伴い改正が繰り返されています。

派遣法改正の歴史

派遣法は1985年の制定当時は13業務に限定されていました。その後1990年代初めのバブルの崩壊に伴い、企業側の人件費調整の必要から非正規雇用の活用が進み、対象業務が拡大しています。しかし、2008年のリーマンショックにより雇い止め等が社会問題化したため、2012年と2015年に2回の法改正が行われました。2012年は日雇い派遣の原則禁止、2015年は派遣期間の制限を上限3年に見直すなど、派遣労働者の保護を目的にされています。

2020年の法改正で変わったこと

上述のように、経済の変遷に応えるため改正を繰り返されてきた派遣法ですが、今回2020年の法改正にあたっては、政府が推進する経済政策「働き方改革」を背景としました。少子高齢化による労働人口の不足に対し、誰もが雇用形態にかかわらず、安心して能力を十分に活かして働ける環境整備を実現し、労働力を拡大することが改革の目的です。派遣労働者については、派遣先の従業員との不合理な待遇格差解消の実現を目指しています。

派遣法改正の目的「待遇差改善」

同一労働同一賃金

働き方改革の一つとして「同一労働同一賃金」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは女性や高齢者等の非正規雇用が増加している背景を踏まえ、職務内容が同じであればより均等な待遇を確保することにより、安定した雇用を実現しようとするものです。「同一労働同一賃金」を実現させるためには、非正規雇用者に対し公正な賃金の判断材料を設定する必要があり、今回2020年の改正により明確な方法が定められました。

待遇決定の方法

派遣先均等・均衡方式

では、派遣労働者の待遇は具体的にどのように決定されるのでしょうか。派遣元は「派遣先の労働者との均等・均衡待遇」「一定の要件を満たす労使協定による待遇」のいずれかの方式をとり、労働者の待遇を安定させることを義務化されました。派遣先の労働者と待遇を合わせる方式を取った場合、派遣先での待遇のバランスは確保することができる一方、派遣先が変わるたびに賃金が変動することとなります。よって、必ずしも業務内容に沿った賃金体系ではなくなる可能性があります。

労使協定方式

対して、労使協定による待遇決定の場合、同じような職種や業務内容の労働者と平均賃金を比較して賃金の決定を行うことができます。たとえ派遣先が変わっても賃金の水準を保つことができるでしょう。また、派遣先企業の賃金を基準にする必要がなく、派遣先企業の負担も軽減できます。ただし、同じような職種や業務内容と言っても当然経験に基づく職務難易度は考慮されます。また地域によっても平均賃金は異なるので、全て検討した上で平均賃金を定めなくてはなりません。

情報開示義務

上記で述べた「派遣先均等・均衡方式」を選択した場合、派遣先企業は派遣元に対し同一労働に従事している従業員の賃金などの待遇について開示する義務があります。その他の情報開示義務として、派遣元から派遣労働者に対しても、賃金の決定方法について、雇用関係を結ぶ際に説明しなければなりません。また、派遣元は「派遣先均等」「労使協定」どちらかの方式に沿って「対象労働者との差異の理由、内容」「労使協定の内容」などを派遣労働者に説明する義務があります。

通勤手当

これまでは派遣労働者の時給は交通費を含んだ額とみなされていたため、別途交通費の支給はないケースが一般的でした。今後は同一労働同一賃金の原則に基づいて、派遣労働者も正社員と同様、交通費を受け取れるようになります。1時間当たり一般通勤手当の72円以上で実際にかかった額、1か月の定期代のほうが額が低い場合はそちらが採用されます。交通費は非課税扱いになるため、労働者側にとっては毎月の手取り額が上がり、さらに働く場所の選択肢も広がることになりました。

退職金

同様に退職金についても、正社員と同じ職務であれば均等に支給することになります。派遣元の待遇決定の方式に沿って支給方法が異なり、まず「派遣先均等」であれば派遣先の退職金制度、「労使協定」ならば派遣会社の退職金制度を利用する方法。続いて退職金を毎月の賃金に上乗せして受け取る前払い制度。もしくは中小企業退職金共済制度に労働者自ら加入し、国から退職金をもらう方法の4つです。しかし派遣労働者は自分で方式を選ぶことができません。

派遣先の努力目標・義務

福利厚生

今回の改正では派遣元側に課される義務項目が多く追加されていますが、派遣先企業に対してもいくつかの項目が義務化されました。一般的に勤務先の待遇の満足度を左右するポイントである福利厚生も、その一つです。今回の改正により、企業内の食堂や休憩所などの施設に関して、同じように利用できることが義務付けられています。また、上記のような日常的な施設以外にも、保養所や運動場など、福利厚生の一環として設けられた施設に対しても配慮することを求めました。

教育訓練

2015年の派遣法改正により、キャリアアップ措置として、派遣労働者は派遣元より教育訓練を受けたり、専門家によるキャリアコンサルティングを受けられるようになっています。さらに、今回の法改正では、業務内容に直接関連する教育訓練を派遣先にて行うことが義務付けられました。派遣社員は、専門的なスキルを活かして働くとともに、業務を現場で体験しつつ身に着けるという、長期雇用のメリットも享受できるようになったということですね。

派遣法改正のデメリット

様々な人事コストの増加

直接支払う賃金

今回の派遣法改正についてのデメリットとして、まずは派遣先企業、派遣元ともに、今回の改正で人件費など直接支払う賃金が多くなることが予想されます。派遣先企業が「派遣先均等・均衡方式」を取れば、正社員と同等の賃金が求められますし、「労使協定方式」でも、その地域の平均賃金以上に賃金が引き上げられるためです。また、教育制度を整えたり、福利厚生施設の維持費用など間接的な人件費がかかることも考えられるでしょう。

制度の見直しなど

さらに、派遣先企業は派遣元に情報開示義務があるため、派遣労働者の関わる職務内容や人事制度について必然的に整備を求められることになります。待遇に関して客観的に評価できる基準が必要となるからです。また、派遣元との契約を結ぶ際、派遣社員の業務の責任の程度など記載が必要な項目が増えました。派遣労働者にとっては分かりやすくなりますが、派遣先企業側にはこれらの事務作業にかかる管理コストが増えることとなります。

2020年施行後の状況

大手派遣会社は労使協定方式を選択

今回の法改正において、派遣先企業の負担が増えることから、当初は派遣スタッフの需要が減るリスクが予測されていました。しかし改正後の状況をみると、スタッフサービスなどの大手派遣会社6社は現時点で「労使協定方式」を選択しています。したがって派遣先が負担する情報開示や人事制度の改正等のコストが減ったと予測できるでしょう。これにより、派遣法改正自体により求人が減るという事態は抑えられていると考えられています。

新型コロナウイルス対策における均等待遇

安易な契約解除の回避

「労使協定方式」の選択によりコストは抑えられましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、改正の実施と同時に経済に大きく影響が出始めました。派遣先企業、派遣労働者共に思わぬ雇用不安に対峙する幕開けとなったようです。これに対し厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」の中で以下のような労働者派遣に対する見解を公表しています。派遣先企業がコロナウイルスにより事業等が立ちゆかなくなっても、「新たな就業機会の確保」や「休業手当等の支払い」などの措置をとること。また安易な契約の解除を控えるように求めています。

派遣社員のテレワーク

コロナウイルス感染拡大防止の観点から、厚生労働省は派遣労働者にも積極的にテレワークの活用を求めています。「派遣労働者に係るテレワークに関するQ&A」では、派遣労働者であることのみを理由にテレワークを利用させないことは、同一賃金同一労働の趣旨に反するとしています。ただし労務管理や機器の整備等、課題に留意する必要はあるようです。現在は派遣社員のテレワークに対する対応は遅れがちですが、働き方改革の趣旨からも、ライフスタイルに合わせて働けるテレワークは今後広がっていくことが期待されます。

派遣法改正に関する情報

相談窓口

では、実際に派遣法改正に関連する困りごとがでてきたら、どこに相談すればよいでしょう。まずは厚生労働省管轄の労働局、商工会議所などが考えられます。その他、各自治体が設置している相談窓口を利用するのもよいでしょう。これらの相談窓口では労働について多様な内容を学ぶことのできるセミナーなども定期的に開催されています。派遣法改正に加えて人事労務関係、労働全般に関してなど、関連の深い分野も含めて探してみてください。

派遣法改正を知って安心して働ける環境づくりを

誰もがライフスタイルに合わせてそれぞれの能力を活かし、安心して働ける社会の実現には社会全体で環境を整える必要があります。そのためのコストは増加しますが、働きやすい社会になり労働者が増えることで少子高齢化社会に対応していくことができるのではないでしょうか。労働者派遣というシステムもそのために変化しています。今回は2020年の改正を中心にご紹介しましたが、今後も日本経済の変化に合わせてさらに変化していくことでしょう。派遣法改正の内容を知ってより働きやすい環境づくりをしていきましょう。

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