研修の設計方法とは?【階層ごとの研修テーマや到達目標の決め方なども解説します】

記事更新日:2023年07月28日 初回公開日:2023年07月07日

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現在、日本では多くの企業が人材育成のため社員研修の制度を取り入れています。中には定期的に外部から講師を呼んで研修を行う会社も多く、研修制度は社員のスキルアップを図るという観点からも大きな意味を持っています。しかし、自分が研修を実施する側になると、なにを目的としてどんな風に設計していけば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。また、研修の内容が毎年マンネリ化していて、現状に適していないがどのように改善すれば良いか分からないという悩みを抱える方も少なくありません。今回はそんな研修の設計方法について、目的や多く用いられるテーマなども含めてご紹介していきます。

研修を行う目的とは

企業理念を浸透させるため

新卒入社の社員は社会に出てから日が浅く会社の理念や方針への理解も薄いため、多くの企業では新入社員研修を行います。これらの研修の大まかな目的は、自社の企業理念を社員に浸透させるというものです。企業理念の浸透を目的とした研修では社員と会社との間での認識を共有し理解を深めてもらうことで、目的意識と協調性を社員に持たせることを狙いとしています。そのため、研修内容としては主に各部署の紹介や事業内容説明などを行います。

スキルや知識を習得するため

研修は所属している社員のスキルや知識の習得を助ける目的を持って実施されることがあります。上記の目的を持った研修の内容は初心者向けのビジネスマナーから社内での衛生管理や専門知識習得など多岐に渡ります。また、管理職の社員が直々に講師を務める他に、外部から講師を招くケースも少なくありません。このように会社が独自に研修を設計しスキルアップを助けることで社員全体の基礎能力が上がるだけでなく、個々人のモチベーションの向上にも効果が期待できます。

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研修の設計方法

研修の目的を設定する

研修を設計するには、まずは前述した研修のターゲットと目的を明確にすることが大切です。ターゲットや目的をはっきりさせないまま先に計画を立ててしまうと方向性を見失ってしまいます。さらに、最終的に振り返りをした時に結果を評価しにくくなることも予想されるので、あらかじめ研修のゴールは何処にあるのかを考えておきましょう。また、目的を設定する際には受講者の理解度と意欲を高めるにも、具体的かつ達成可能で、評価が可能な事柄であることに留意して設定することも重要です。

現状を分析する

目的を設定した後は実際に職場の現状について分析し、目標達成に必要な要素を探します。このフェーズでは社内の問題点や社員のスキルレベルについて把握することが大切です。分析には様々な手法を用いられます。一部の例としては社内アンケートの実施や管理職から社員への評価を確認することなどが簡単な方法として挙げられるので参考にしてみましょう。また、定期的な研修の場合は前回の効果測定の結果を参考にして、改善点を分析するのも有効な手段です。

研修内容の検討を行う

研修内容の検討では、目的と分析から洗い出した情報を再確認し、課題クリアのために必要な解決方法を研修内容として盛り込んでいきます。例えば目的が社員全体にビジネスマナーを身に付けさせるというものだった場合、マナーに関する講座を受けさせる、ロープレでの訓練の取り入れるなどの手段が考えられます。また、課題が複数ある場合は優先順位の高いものをピックアップして内容を決めるのもおすすめです。研修内容の決定は設計の中でも特に重要な要素なので、出来るだけ多く案を出していきましょう。

研修の流れと受講者のマインド設計を行う

研修設計の作業の大部分を占めるのが研修の流れの設定です。研修の内容を決定した後はどの順番で何の講座を行うか、当日のタイムテーブルも含めて順番や時間割を考えていきます。設計の際は受講者が実際に講座を受けて何を感じどのようなことを考えるのか、事前に予想しながら研修の流れを考えましょう。受講者のマインド設計をしながら講座の順番を工夫し、実践的な動きを取り入れることで、集中力や意欲低下を防ぐことができます。

スケジュール調整をする

具体的な研修の設計が済ませた後は、研修のスケジュールを調整します。スケジュールの調整では研修の日程を決めるだけでなく研修会場や必要人員の確保などの作業が発生するので、早めに行動しておく必要があります。また、担当部署や仕事の都合によっては当日参加できない社員が出てくることも予想されます。そのため、日程を決める時はなるべくターゲット層の社員全員が参加できるよう何日間かに実施日を分け、当日まで余裕を持った日付での告知を心がけましょう。

研修を実施する

研修当日は、スムーズに研修を進められるように必要機材や資料の準備を行いましょう。講義の途中でトラブルが起きてしまうと、時間が超過して後々の予定が押してしまう事態になりかねません。そのため、講義にマイクやプロジェクターなどの機材を利用する場合は、準備したものが正常に稼働するかチェックしておく必要があります。また、オンライン研修など、ビデオ通話を利用した内容の場合は通信環境が快適かどうかも重要な確認事項です。

研修の振り返りを行う

研修はただ予定通り実施しただけでは目的の達成とは言えません。終了後は必ず受講者に内容を振り返ってもらうことが最も重要な部分です。そのため、研修終了後はチェックシート等を用意して必ず研修内容を振り返ってもらいましょう。また、運営側も当日の様子や上記の振り返りで収集した情報から振り返りを行います。この振り返りを通して設計した内容が効果的なものであったか評価し、改善点を出し合うことで次の研修の設計に活かすことができます。

階層ごとの研修テーマ

新入社員

ビジネスマナーなどの基礎についての研修を行う

就業経験の無い学生が会社員として働くにはスキルよりも先に会社のルールや一般的なマナーを学んでもらう必要があります。そのため、新入社員の研修では主にビジネスマナーなど、社会人として必要な基礎知識についての研修を行います。また、社員の態度や言葉遣いは企業イメージを大きく左右するものでもあります。入社時に上記の内容を学んでもらうことで電話対応やビジネスメールの書き方など、全体の対外的なやりとりや言葉遣いを統一し、一定のレベルを維持することも可能です。

若手社員 

業務を効率化するための研修を行う

入社数年の若手社員に向けた研修では、ITツールの応用的な知識など業務の効率化に関わる研修が取り入れられる場合が多く見られます。特に多数の企業で利用されているWordやExcelなどのマイクロソフト社の製品はツールの理解度に個人差があります。理解度に個人差があると同じ業務を行っていても、人によっては所要時間に差が出てしまいます。若手社員の研修では、改めて使用しているツール等の知識を共有することで社員全体のスキルの底上げが可能です。また、これを行うことで業務の効率化と同時に標準化にも効果が期待できます。

中堅社員

課題解決能力を強化する研修を行う

課題解決能力とは、問題が発生した際に原因を分析し解決まで導く能力のことを指す言葉です。企業の中堅社員ともなると部下や後輩が出来て、仕事内容が個人で行う業務だけでなく徐々に管理業務へと内容が移行していきます。それに伴い必要とされるのが課題解決能力です。そのため、中堅社員の研修では主に課題解決能力を強化する研修を行います。課題解決能力を高める研修では問題の原因を究明するための調査方法や解決案の策定の仕方などを学びます。また、学んだ内容は今回のテーマでもある研修の設計でも活かすことができます。

管理職社員

全般的なマネジメントスキルなどの研修を行う

管理職に就いている社員は部下の管理や教育に携わる立場にあり、部下を育てることが業務の大部分を占めているため、マネジメントスキルを高める研修を行います。上記の研修内容は部下への接し方や業務改善の方法などについて学ぶ講座など様々なものがあります。中にはハラスメント対策のためにアンガーマネジメントやメンタルヘルス関連の研修を管理職に受けさせる企業も存在します。管理職は一般の社員よりも上の立場にあり、中々問題提起できる人材が社内に居ないため、上記の研修は自分を見つめ直すという意味でも貴重な機会と言えるでしょう。

研修の到達目標の決め方

現場の課題から考える

研修を設計するにはまず到達目標を決める必要があります。具体的な到達目標を決めるには現場の理想の状態と現在の状態を比較し、理想の状態に到達するためには何が足りないのか、妨げになっている点を探ります。この妨げになっている点こそが現場の課題です。現場の課題は研修設計のプロセスの中でも、目的の設定と現状の分析までのフェーズで自ずと見えてくる場合が多いです。また、問題提起する課題が現状に即しているほど、受講者の関心や意欲が高まるので課題の選出は慎重に行いましょう。

目標設定の枠組みを「SMARTの法則」で考える

SMARTの法則のSMARTとは、目標設定をする際に用いられる5つの要素の頭文字を並べたものです。目標設定では誰にでも理解しやすい内容である必要があるため内容の具体性(Specific)と、測定可能(Measurable)な基準が求められます。更に、目標は達成できなければ意味が無いため、達成可能(Achievable)であることや、次の目標設定に活かせるよう上位目標との関連(Related)にも留意しなければなりません。また、目標をいつまでにクリアするか明確にするためにも期限(Time-bound)を設ける必要もあります。このように5つの要素を取り入れて考えることで、より現実的な目標設定が可能になります。

ゴール設定のNG例

部下指導の重要性に気付かせる

研修の設計を際には結果に繋がる形でゴールを作らなければありません。この事例では、ゴールの基準が具体性に欠けるだけでなく、目標が実践的な行動に繋がる形で設定されておらず曖昧です。また、重要性に気付かせて受講者の意識に変化が出ても、目に見える形で実際の行動に変化が見られなければ研修に意味があるとは言えません。そのため、研修のゴール設定の際には受講者がその後学んだ点を業務にどのように活かしていくのか、理想的な行動やモデル併せて考えていきましょう。

部下指導力のレベルアップを目指す

研修のゴール設計をする際には上記のSMARTの法則でも述べたように、達成基準に具体性が必要です。そのため、部下指導力のレベルアップとは具体的にスキルがどの程度の水準に達すればレベルアップと断定できるのか、基準を設ける必要があります。さらに、ゴールを説明する際には抽象的な表現は避け、誰にでも理解できるよう設定しなければなりません。このような理由から上記の事柄を研修のゴールとして設計する場合は、レベルアップの基準について具体的な説明を取り入れましょう。

まとめ

研修の設計を正しく行い効果的な研修にしよう

研修の設計方法はいくつかの段階に分かれていますが、各段階の中でも特に大切なのは研修の目的や目標を明確化させ、方向性を一貫化させることです。現場の課題や課題クリアのための目標が定まっていれば設計の途中で内容にブレが生じることもありません。また、研修は参加者が居なければ成立しません。そのため、設計する際には受講者の立場に立ってスケジュールや当日のタイムテーブルの設定を行うことも大切です。研修の設計は丁寧に行うことで内容をより効果的に社員に浸透させることができるので、入念なリサーチを心掛け、充実した内容の研修を実施しましょう。

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