ピーターの法則とは?【特徴や対策法についてお伝えします】

記事更新日:2022年10月03日 初回公開日:2022年09月20日

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「優秀と言われていた人が管理職などマネジメントを行う立場に昇進したら以前の様な活躍を耳にしなくなった。」という事象を耳にしたことはないでしょうか。営業現場では成績もよく、仕事が出来ると思われていた人が出世によって無能と呼ばれるようになってしまう現象を「ピーターの法則」と言います。ピーターの法則は階層社会においておこる現象です。今回はピーターの法則が起こってしまう原因や回避するためにはどうすればいいのかについて解説していきます。同じような現象が起き困っている担当の方は参考にしてみてください。

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ピーターの法則とは

従業員の昇進や昇進後におけるパフォーマンスについて述べた組織集団における法則

ピーターの法則とは従業員の昇進や昇進後におけるパフォーマンスについて述べた組織集団における法則のことを言います。能力主義の企業にいる従業員は自らの能力の最大限まで出世をしますが自分の能力の限界まで出世することにより、あるレベルまで到達するとそれ以上成長できず無能化してしまいます。実績を評価され昇進したとしても、昇進後の役職に必要とされるスキルを有していなかった場合はそこで成長が止まってしまいます。最終的には組織全体が無能な集団と化してしまうということです。

ピーターの法則の特徴

無能な人は今のポジションのままで留まる

ピーターの法則の特徴は、無能な人は今のポジションのまま留まる点です。無能だと判断されている人は昇進や昇格などにあまり縁がないため、今いるポジションを維持します。ビジネスにおいてはピーターの法則を逆手に取り昇進することを固辞してそのまま現在のポジションに留まるという従業員も居ます。現場で活躍したいと考えている人にとっては、意図的に無能として振る舞うことを選択することがありますがそのままでいるためには自分たちを無能として取り繕わなければなりません。

有能な人は昇進後の高いレベルの仕事に従事することで無能な人になる

有能な人は昇進後の高いレベルの仕事に従事することで無能な人になるのがピーターの法則の特徴です。能力がある人はどんどんと昇進する機会があります。しかしいくら有能であっても昇進し続けていればいつかは自分の能力の限界に達します。昇進する前のポジションで有能だったとしても、別の業務を担当した時にも能力を発揮できるとは限りません。昇進した後のポジションがその人にとって「適当ではなかった」場合、能力以上のことを求められることになり無能化してしまいます。

ピーターの法則が組織に及ぼすデメリット

生産性の低下

ピーターの法則が組織に及ぼすデメリットは生産性が低下することです。営業成績が優れている人を現場をまとめる管理職に昇進させた場合にそこには営業成績を上げているのだから部下をまとめる力も優れているだろうという思い込みが入っています。顧客のニーズをくみ取り担当者として売り上げを上げる力と部下をまとめる統率力は必要とされるスキルが異なります。マネージャーが「無能」になったことによりチーム全体の成果に影響し生産性が低下します。

優秀な人材の流出

優秀な人材の流出もピーターの法則が組織に及ぼすデメリットと言えます。ピーターの法則を提唱したピーター氏によると、組織の中で有能な人が有能であり続けるためには、昇進しないよう実力をセーブし続け「創造的無能」になり昇進を避ける方法があるとしています。無能化への対策として有効に見えますが、有能な人が出来ない振りをするということは能力が発揮できないため実力を評価されずストレスとして負荷がかかり現実的ではありません。評価されないことにより仕事へのモチベーション維持も難しくなるため、その会社に留まる選択肢が薄くなり人材流出に繋がります。

人事評価制度の無効化

ピーターの法則は人事評価制度を無効化してしまうデメリットがあります。無能化された人材が組織内の重要なポジションについてしまうと、部下をきちんと評価できない人達が上の職位を占めてしまうということが起こります。そうなればなるほど組織としての機能が失われてしまいかねません。人材をきちんと評価出来ない人達が評価者の位置にいることによって、有能な人を昇格させることが出来ないだけでなく職位にふさわしく無い人を昇格させる恐れもあり負のサイクルが出来上がります。

ピータの法則が生じてしまう原因

降格制度が用意されていない

ピーターの法則が生じてしまう原因として、降格制度が用意されていないことが考えられます。日本では企業内の「昇格」を決める制度に比べ「降格」を決める制度は十分に整備されているとは言い切れません。昇格した後に必要とされるスキルを持っていない場合はそのポジションで成果を上げることが難しくなります。そのような状態に陥った場合にはポストから外し適任にポストを任せるべきです。しかしポストの固定化をしている企業が多く一度昇進してしまうと余程の事象がない限りは降格しないようになっています。

役職ごとの用件定義がされていない

役職ごとに要件定義がされていないこともピーターの法則が生じてしまう原因です。評価を担当する上司の能力が低いだけでなく、評価制度や昇進基準が明確に定まっていないため、正当に評価ができていません。会社が「このポジションにつく人に必要な能力はどういったものか」という指針を決めていないが故にピーターの法則が発生します。昇進基準が決まっていないと評価者の判断任せとなり、全く能力に見合っていない人が役職者になる可能性があります。明確な基準無く役職者が選ばれている場合には昇進条件を見直す必要があります。

育成の機会が提供されていない

ピーターの法則は育成の機会が提供されていない職場で発生してしまう原因となります。優秀な人を昇格してスキル不足により無能化してしまったとしても、昇格した後に必要なスキルを身に付けることが出来る仕組みが出来ていれば、人材の無能化は防ぐことが可能です。人材の無能化が頻繁に起こっている企業には業務内容や昇進によってスキル育成の場が整っていないことが多い現状があります。昇格によってマネジメント力を求められる場合は、現場経験しかない人材を昇格させる場合事前に学ぶ機会を与えることが大切です。

ピーターの法則を回避するための方法

降格制度を設ける

ピーターの法則を回避するための方法は降格制度を設けることです。昇格後に教育制度を整備したとしても無能化が変わらず発生する場合にはそもそも企業の中に無能化してしまう人材が多い可能性があります。昇格後のポジションがその人のスキルに見合っていない場合は降格して元に戻すということも大切です。「降格」と言われるとマイナスなイメージを持っていますが、元のポジションに戻すことで優秀な人に戻るのであれば本人のキャリアに対してもプラスとなります。従業員のためにも降格制度を設けることは重要です。

役割ごとの人材要件を定義する

役割毎の人材要件を定義することも、ピーターの法則を回避する方法です。ピーターの法則は役職に求められるスキルの定義がしっかりとされていない為に、適切ではない人事評価が行われスキルに見合っていない人が昇進してしまいます。そう言った事態を防ぐためには、「部長に必要なスキル」「課長に欠かせないマインド」「昇格するために必要な実績」など明確に定義付をする必要があります。定義付を行い、上司の主観だけで昇進を判断しないことでピーターの法則を回避できます。

能力向上の機会を提供する

ピーターの法則は能力向上の機会を提供することで回避することが出来ます。現場で実績を残し昇格した従業員は現場の知識は豊富ですが、マネジメントの経験がなく管理能力が身についていない場合が多くあります。せっかく昇格させた人材を無能化しないようにするために、階層別の研修を行いましょう。昇進後本人任せにするのではなく、そのポジションにどういったスキルが必要なのかを明示しそのスキルを身に付ける機会を提供することも大切です。不足しているスキルを自覚してもらいギャップを埋める支援構築の仕組みづくりを行いましょう。

キャリアについて話し合う

キャリアについて話し合うのもピーターの法則を回避する方法です。会社に所属している従業員全員が管理職の昇進を目指しているわけではありません。管理職に向いていない従業員は、昇格ではなく別のキャリアを用意しましょう。管理職に進むキャリアパスしかなければそこに合わない人達が出てきてしまい、対策を行わないと仕事に対してのモチベーションも下がってしまいます。そうならない為にも管理職だけではなく、現場のスペシャリスト等多様性に合わせたキャリアを用意することが重要です。

ピーターの法則と関連する法則

ディルバートの法則

ピーターの法則をと関連している法則にディルバートの法則があります。ディルバートの法則とはピーターの法則が変化したもので、無能な人は害(製品の品質低下、顧客の機嫌を損ねる、他の従業員を不愉快にする)を及ぼさないように意図的に昇進させる方法です。生産的な業務の殆どを一般社員が担っており、無能な人がその階層にいると他社に迷惑がかかるため生産性の高い業務に携わらせないようにして組織運営を行っていきます。上層部にいる人達は生産性に関与せず、組織の損失を最小限に抑えるためにとられる方法です。

パーキンソンの法則

パーキンソンの法則もピーターの法則と関連があります。パーキンソンの法則は第一法則と第二法則に分かれており、第一法則は仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張すると述べられています。第二法則では支出の額は、収入の額に達するまで膨張すると記されています。納期までに時間的余裕がある場合に仕事に集中していないと〆切ギリギリまで時間を要してしまう、年収が上がったとしても貯金することが出来ないなどが例として挙げられます。生産性の向上やコスト削減などしたい場合にパーキンソンの法則を活用することが可能です。

ハロー効果

ピーターの法則はハロー効果にも関連しています。ハロー効果とは、従業員の評価を行う際に本来であれば評価に関係のない要素の影響を受けて適切な評価を行うことが出来ない心理現象のことを言います。人事評価の時に業務を行っている能力とは関係なく、経歴など従業員の情報に影響され先入観を持っている場合です。直接関係のないものに影響を受けないようにするためにも、人事評価担当は評価のポイントを明確にし先入観なく対象者の能力や成果に見合った評価を行わなければならなりません。

ピーターの法則について紹介している本

「階層社会学」が暴く会社に無能が溢れる理由

ピーターの法則について紹介している本に、『「階層社会学」が暴く会社に無能が溢れる理由』という本があります。提唱者であるピーター氏が法則を解説しています。この本では全ての人が遅かれ早かれ無能化してしまうということが述べられています。無能化してし評価されなくなると人は体調を崩し偏頭痛や眩暈などに襲われてしまうのです。ピーター氏は「終点到達症候群」と呼んでおり、症候群を発症しないようにするためには水平異動など対策が必要とされています。無能化させないためには階層社会の根本的な仕組み改善が必要です。

ピーターの法則 創造的無能のすすめ

『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』もピーターの法則について紹介しています。この本もピーター氏により書かれたもので、昇進した後に無能化してしまうのであれば昇進する一歩手前で踏み留まれば全員が有能でいられるということを解説しています。終身雇用制度が根付いていた時代には創造的無能になることは難しかったかもしれません。働き方に多様性が出てきた現代では昇進することを目的として会社に入っていない従業員もいるため、創造的無能まで行かずとも現在のポジションで満足している人に参考になる本です。

10年後、君に仕事はあるのか?ー未来を生きるための「雇われる力」

『10年後、君に仕事はあるのか?ー未来を生きるための「雇われる力」』もピーターの法則を紹介しています。ピーターの法則を打開し企業の中で安住することなく社会全体の視点から個人の能力を見つめ直すきっかけとなる本です。AI化が進み今存在している仕事の約50%がここ10-20年で消滅すると言われています。労働力の代替が可能になってきた時代において、今までと同様に終身雇用で安心できる世の中ではありません。そんな中生きていくにはどのような力を身に付ければいいのかについて解説しています。

まとめ

ピーターの法則を防いで組織全体のパフォーマンスを維持しよう

ピーターの法則が組織に及ぼすデメリットや回避方法などについて解説しました。ピーターの法則はどの企業でも起こりうる現象で、現場で活躍していた従業員を管理職に昇進させる時に発生しやすくなっています。しかし役職に必要なスキルを明確にしたり昇進後にはスキルを身に付ける機会を設定するなどすれば、「無能化」は防ぐことが出来ます。昇進の際にはマネジメントスキルを持っているのかを見極めなければなりません。ピーターの法則を防ぎ組織全体のパフォーマンスを維持していきましょう。

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