ポスドクとは【ポスドクのメリットや採用に適した業界についても解説します】

記事更新日:2024年08月08日 初回公開日:2024年08月08日

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博士研究員のことを指すポストドクター、通称ポスドクの採用は、企業の人材不足問題や専門知識・技術を持った人材確保による企業の技術問題を解決する可能性があります。さらに、ポスドク問題などの言葉も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。本記事では、ポスドクの概要や深刻化しているポスドク問題、ポスドクの採用ニーズなどについて詳しく解説します。企業でのポスドクの勤務内容や採用するメリットなども紹介するので、企業の専門知識を備えた人材としてポスドクを採用する際の参考にしてください。

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ポスドクとは

博士号取得後に研究職を続ける期限付きの研究者のこと

ポスドクとは、ポストドクターの略称で博士研究者のことです。博士号を取得した後に、大学や研究所で正規のポストに就くことなく研究職を期限つきで続ける研究者のことをポスドクと言います。「ポスドク研究員」や「博士研究員」などとも呼ばれます。一般的には、ポスドクは大学の研究室の所属し、研究を行います。任期が定められているポスドクには、任期満了後の地位や職の保証がありません。そのため、任期内に研究成果をどれくらい出せるか、人脈を広げられるかがキャリアを左右します。

ポスドクと助教の違い

業務内容が異なる

ポスドクと助教の違いは、業務内容の違いです。助教とは、大学などの教育機関における教員の一職種であり、将来、准教授や教授へつながるキャリアパスの一段階に位置付けられるものです。助教に就く者としては、大学院博士課程修了後、ポストドクターを経た者とされており、ポスドクに就いたあと教育機関に携わる者のことを助教と呼びます。そのため、ポスドクの業務は研究ですが、助教では、大学での研究以外に学生の講義も行います。

「ポスドク問題」とは

任期満了後に正規ポストに就くことができない問題のこと

ポスドク問題とは、ポスドクの任期満了後に正規ポストへ就くことのできないポスドクが多い現状を問題視して生まれた言葉です。ポスドクの任期満了後は、助教や准教授を経て教授になるのが順調なキャリアパスコースの1つですが、任期満了までの間に正規ポストを見つけられず、職が不安定な状況を抜け出せないポスドクが増加しています。さらに、ポスドクは非常勤勤務となるため、大学教員の中では立場が低く職を探しながら研究成果を上げなくてはいけない点もポスドク問題の原因とされています。

「ポスドク問題」の原因

研究員のキャリアパスが十分に整備されていないため

ポスドク問題の背景として、日本では欧米に比べポスドクなどの研究員のキャリアパスが十分に整備されていないことが挙げられます。博士課程修了者の数に対して、就職先となる大学や研究機関、民間企業の研究員が所属できるポスト数が少なく、正規ポストへの就職は狭き門となっています。そのため、就職先が見つからない博士課程修了者は進路としてポスドクを選択することがあり、その任期満了後もその状況が続いてしまう傾向にあります。

ポスドクになる方法

博士号を取得する

ポスドクになる方法として、まず、大学院の博士後期課程に進学し、博士号を取得する必要があります。文系の博士号については、標準修了年限で終了することが困難な場合も少なくなく、単位取得満期退学後にポスドクとなることもあります。また、大学教員を目指していたとしても、博士号の取得が求められるようになってきています。そのため、大学院博士後期課程に進学し、所定の単位や論文の審査を受け、博士号を取得する必要があります。

公募求人への応募

博士号取得後、ポスドクへの応募方法は大きく2種類に分けられますが、1つは公募求人に応募を行うことができます。ポスドクの求人は国立研究開発法人科学技術振興機構が運営するJREC-IN Portalや所属学会のホームページに掲載されていることが多いです。また、パーマネント職である大学教員の公募でも同様に求人が公開されています。求人情報を元に業績書類や推薦書類を用意し、応募するといった方法で公募求人に応募することができます。

指導教員からの紹介

もう1つの方法として、指導教員から紹介してもらう方法があります。指導教員の元には、ポスドクの適任者がいないか様々な研究期間や大学の先生方から連絡が来ることがあります。この紹介を元に、ポスドクとしての所属先を探すことができます。ポスドクを求める研究機関側も、ポスドクとして送り出す指導教員側も相手の状況がわかっていることが多いため、希望の所属先を見つけやすいという特徴があります。また、学会などでお世話になった先生の研究室でポスドクとして研究をするなど、公募によらないポスドクの採用方法があります。

ポスドクの勤務先や勤務内容

大学や研究機関

ポスドクの勤務先として、大学や研究機関があります。大学や研究期間で働いている例として、研究活動を主に行なっている大学教員や、大学が独自にポスドク研究員制度を設けているケース、PDと呼ばれる日本学術振興会の特別研究員で働く例などがあります。採用条件によって範囲は異なりますが、自身の研究をある程度自由に行える場合もあります。しかし、大学教育活動に多く従事する必要がある場合には、取り組む研究が決まっている場合などもあり、多様な例があります。

プロジェクトの一員としての研究や論文執筆

ポスドクの勤務先としてプロジェクトの一員としての勤務で研究や論文執筆に携わる形での勤務もあります。大型研究費をもつ研究所や研究室では、研究費を利用しポスドクを雇用することが可能であり、研究費によってポスドクとして雇用される場合があります。この場合、雇用されたプロジェクトの一員として、研究の推進や成果の取りまとめを行います。プロジェクト推進のために雇用されることも多いため、基本的にプロジェクト内容に沿った研究を行います。

卓越研究員精度

ポスドクの勤務として、卓越研究員制度というものもあります。卓越研究員制度は、短い任期で不安定な雇用が問題となっている若手研究員に、自立して研究を推進できる環境を整備医することをもう的に実施されている制度です。実際には、文部科学省や日本学術振興会が、研究期間や企業からの採用を取りまとめ、若手研究者に対して卓越研究員という形で公募を行います。文部科学省などの機関が研究機関と若手研究者のマッチングを行なっている制度ともいえます。

ポスドクを採用するメリット

即戦力人材を確保できる

ポスドクを採用するメリットとして、即戦力人材を確保できる点があります。ポスドクは、大学でケンキュプロジェクトを遂行するために様々なアカデミックスキルを身につけています。例えば、論理的思考力や、情報収集・分析力、発想力、教育能力などが挙げられます。このようなアカデミックスキルは、企業においても通用します。人材を採用し、研修によってこれらのスキルを身につけてもらおうとすると、多大な教育コストがかかりますが、ポスドクは研究プロジェクトを遂行するにあたって身に付くスキルであるため、即戦力となります。

新規の知識・経験を取り入れられる

ポスドクの採用には、新規の知識や経験を取り入れられる点もメリットです。ポスドクを採用すると、すでに持っている知識や経験を企業の研究に取り入れることができます。企業の研究者は企業内にいるため、視野が狭くなりがちですが、アカデミアの研究者であるポスドクとの交流は、企業の研究者にとっても刺激になります。外部のアカデミアで研究してきたポスドクの視点から見ると、企業内部からでは気づくことのできなかった研究課題が見えることもあります。発見された課題の解決が研究の効率化につながり、企業の研究成果や新たな開発などにも結びつきます。

ポスドクの採用に適した業界

IT業界

IT業界では、専門知識が豊富なポスドクが活躍できる場が多くあります。AIやIoTなどのIT業界で進歩が予想される分野を担う人材の不足はIT業界にとって深刻な問題となります。特に、AI技術を具体的な製品やサービスにするためには、高度な専門知識や技術が欠かせません。また、人間の知性について構造的な観察やモデリングの研究を行ってきた経験のある人材は必要です。このような背景から、IT業界では、ポスドクの採用ニーズが高まっています。採用事例としては、研究をより深めるために、企業の研究所で企業の持つビックデータを活用した研究を行う採用枠を設けた事例があります。

コンサルティング業界

コンサルティング業界にもポスドクの採用は適しています。専門知識を活かすことのできる業界でデータの分析を行い、コンサルティングをとして業務に携わる方法があります。論理的思考力や教育能力を持っており、議論をする力があるポスドクはコンサルティング業界に適しています。また、データサイエンティストと呼ばれる職種では、企業の新しい商品やサービスの創出、業務プロセス革新のため、ビックデータ分析やさまざまなデータ解析を行います。企業はデータ解析で得た情報をもとに、競争力・生産性向上、課題解決などに取り組むことができます。

製薬業界

製薬業界もポスドクの採用に適しています。ポスドクは研究者としてすでに経験を積んできているため、製薬業界では即戦力として活躍が期待できます。現在は、薬学や医学、科学に関する専門性が求められる職種にも注目が集まっています。メディカルサイエンスリエゾンやメディカルアフェアーズなどと呼ばれる職種があり、これらの職種は製品開発に関するエビデンスの構築や臨床研究、論文投稿への支援、専門医への情報提供などに関わる職種です。これらの職種では、ライフサイエンス関連のハイレベルな専門知識が必須となるため、未経験であっても積極的にポスドクを採用する企業が増えています。

ポスドクの採用方法

選考にポスドク採用枠を設置する

ポスドクの採用方法として、専攻にポスドク採用枠を設ける方法があります。ポスドクの採用枠を設けることで、積極的にポスドクの採用を行うことができます。自社のホームページに掲載したり、求人サイトに「ポスドク歓迎」などの求人広告を出したりするで、ポスドクの採用を促すことができます。事例としては、医療機器などの研究開発を行っている企業が科学・物理・電気・情報系のポスドク専門採用枠を設けている場合や、ポスドクを対象とした企業研究者との共同研究制度を設けた求人採用などがあります。

ダイレクトリクルーティングを導入する

ダイレクトリクルーティングもポスドクの採用方法です。ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者や潜在的な転職希望層に対して直接コンタクトを取り採用を行う方法です。ダイレクトソーシングとも呼ばれます。ダイレクトリクルーティングの場合、認知度の低い企業でも、採用コストを抑えながら必要なスキルや経験を持つ人材を採用することができます。また、普段は求人票やkっ友人サイトを見ない転職潜在層にもアプローチが可能となります。そのため、ポスドクのように就職先を見つけなければいけないにも関わらず積極的な就職活動が行えない状況の人へのアプローチに適しています。

まとめ

ポスドクについて理解し専門性の高い採用で企業の競争力を高めよう

ポスドクの採用は、専門的で高度な知識と技術を持ち合わせているだけでなく、企業でも即戦力となるアカデミックスキルを備えた優秀な人材です。任期が定められているという不安定な就職事情があるため、転職活動層でもあると考えられます。そのため、ポスドク採用枠などの積極的な採用を行うことで、即戦力となる優秀な人材を確保し、採用問題の解決につながるかもしれません。また、ダイレクトリクルーティングなどによる採用も、求める技術を持つ人材に直接コンタクトが取れるため、有効になるでしょう。ポスドクについて理解し、専門性の高い人材を手に入れることで、企業の技術向上に繋げましょう。

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