記事更新日:2024年08月16日 | 初回公開日:2024年08月08日
用語集 人事・労務お役立ち情報 グローバル経済 採用・求人のトレンド成長実感がある状態とは、自分が実際に成長しているのを感じながら行動できる状態のことを指します。成長実感を抱くことは簡単なことではありません。自分が成長しているということを客観的に理解することや自分の成長を積極的に肯定することは非常にハードルが高いためです。周囲からの評価などから客観的に自分の成長を実感できる場合もありますが、自分の成長を積極的に肯定することは、意識的に行わないと難しくあります。どちらも、自分が成長していることを肯定し、自信をつけていく過程の中で成長実感は育まれます。
成長実感のメリットとして、従業員満足度の向上があります。社員に成長実感を抱かせ、働きがいを感じてもらうことで、「この会社にいると充実感がある・楽しい・高いモチベーションを保てる」などの充実感を得ることができます。成長実感を増やすことによる従業員満足度の向上は、生産性の向上や、人材確保、顧客満足度の向上、従業員のモチベーション向上などにもつながります。このことからも、成長していることを実感しながら働く環境下というものは非常に大きなメリットを生むことにつながります。
離職率の低下も成長実感のメリットです。どれだけ職場の環境が整っていても、成長実感がないことを理由に離職する人は一定数います。時間外労働を削減したり、パワハラ撲滅に努めたりと職場改善に努めることは重要ですが、仕事の量的負担や関係負担を軽減するだけでは人材の流出を不gきることはできません。成長実感を得るためには仕事の質に対する負荷が高くなることが必要となります。適切な質的負荷をかけ、成長実感を増やすことが、離職率の低下につながります。
成長実感が持てない理由として、仕事に変化がないことが挙げられます。同じ仕事を繰り返す日々をすごしていると、自分の持つスキルだけで仕事が出来てしまい、新しい知識やスキルを覚えなくなるためです。また、仕事に変化が無いと、新しい刺激もないため、仕事がマンネリ化しモチベーション低下にも繋がります。同じ業務を繰り返すことで慣れが生じ、「このままでもいい」という気持ちが芽生える様にもなり、仕事での成長を実感しにくくなります。
周囲と比較して自分の成長を評価することも、成長実感が持てない要因となります。自分が成長している間にも、同僚も同時に成長していきます。そのため、仮に同じペースで成長しているとすると、比較しても追いつくことができず、自分も成長できていないと勘違いしてしまいかねません。成長を実感するためには、過去の自分と比較しましょう。過去の自分と比較することで、微量かもしれませんが、成長したという実感を得られるはずです。
目標が不明確なまま仕事に取り組んでいる場合にも、成長実感が持てなくなります。目標がないまま仕事に取り組んでいると、仕事で成果を残しても、その成果を振り返らなくなるためです。目標がある状態で仕事に取り組むと、目標達成が明確になり、成長したと実感できます。一報で、目標が無い状態だと、成果を見ることなく作業をこなしていくだけの感覚となってしまいます。ルーティンの様に仕事を行うこととなり、成長を実感できないまま日々を過ごしてしまいます。
自分に厳しいと、成長を認めることができず成長を実感しにくくなります。過小評価などにより、自分の能力や実績を正しく評価できていない可能性があります。10のうち、1つのことができていないだけで、否定するのではなく9つができていると認める様にしましょう。起きた結果に対する解釈を変えるだけで、自分に対する評価が高くなり、成長を実感しやすくなります。成長のために、自分を正しく認めてあげましょう。自分に厳しくしすぎると成長を妨げる原因となってしまいます。
他者からの評価に依存している場合にも、成長を実感しにくくなります。他者からの評価に任せてしまうと。自分では努力していても他者が必ず全て見ているとは限らないため、努力が伝わらず評価されない可能性があります。業務において、いつでもほめらるとは限りません。成長を実感するためには、自分なりの基準を持つことも大切です。自己評価と他者評価のバランスを取り、依存しすぎない様にすることで、成長も実感できる様になります。
社員や部下に成長実感を持たせるための方法として、新しい業務や難しい業務にチャレンジしてもらう方法があります。仕事に慣れてしまうことで、成長が緩やかになり惰性が生じ成長実感が感じられなくなります。そのため、新たなスキルや知識が身につくような業務に携わるのは、成長実感を高める要因になります。部下のスキルアップにつながる業務を与え、与えた業務が社員や部下のキャリアに今後どうつながっているかも丁寧に説明することが重要です。
社員に後輩の指導をさせることで、後輩への指導を通して部下が自分の過去の自分を振り返る機会になるため、部下の成長実感を高める効果が期待できます。思うようにこなせなかった業務や苦手だった業務など、今では当たり前にこなせる業務喪、数年前までは習得に苦労したこともあるでしょう。そのことを思い出せば、今の自分をより肯定的に認めることができます。教えることで自分の業務への理解をより深めるきっかけにもなるでしょう。
中間目標地点を設置することも成長実感を持たせることのできる方法です。人は目標に到達した際に成長を実感するため、遠いゴールを目指しているだけでは進捗が分かりにくく、社員が成長実感を持ちにくくなってしまいます。ゴールまでの道のりを細分化し中間目標地点を設けることで成長実感を持つタイミングを増やします。近い到達点ばかりでは、最終的な目標に近づいている実感を得づらく、遠い到達点ばかりでもやる気が育たないため、それぞれ設定し、適切な中間目標地点を設定しましょう。
意識的に自分の行動や言動を振り返る機会を設けることも成長実感を持つこととして効果的です。「何ができるようになっているか」「どのような視点を持てるようになっているか」といった気づきを得ることができます。経験から得た学びを抽出し、次の行動に活かすフレームワークのYWT法や問題を客観的課題の早期発見や強みの認識を見つけ出すフレームワークのKPT法などを活用して振り返ってみましょう。前向きなふりかえりによって、成長を実感することが大切です。
意識的に部下を評価したり褒めたりことも社員に成長実感を持たせられます。成長実感を持つタイミングは、何かをやり遂げた時や、習得したタイミングだけではなく、他人から評価されたときもあるためです。目にみえる結果が出ていなかったとしても、成果に至るまでのプロセスや行動、部下の仕事に対する姿勢などを見て、意識的に褒めましょう。誰であっても、同僚や上司などから褒められるのはうれしく感じます。社員に成長を実感させやる気を引きだすためにも、意識的に社員を褒めるようにしましょう。
成長実感を高めるためのセルフマネジメント法として、仕事に関する記録をつける方法があります。仕事の記録をつけて、日々を振り返ることで自分の変化に気付けるようになります。成長実感を高めるためには、自己洞察力が必要ですが、自分の変化を感じ取るのは難しくあります。そのため、記録を用いて過去の自分と比較し、評価される機会やスキルが身についていることに気づくことできれば、成長を実感できます。記録をつけるポイントとしては、自分の感想などは書かず、その日何が起きたか記録するようにしましょう。
目標を明確にして日々の業務に取り組むことも成長実感を高めるためのセルフマネジメント法としてあります。目標が不明確な状態だとゴールまでの距離を把握できていない状態が続くため、成長を実感しづらくなります。「いつまでに」「何を」「どれくらい」達成するのかに意識して、目標に対する曖昧さを徹底して無くしましょう。また、誰がその目標を見ても達成したかどうかの判断が明確となるような目標設定が必要です。明確な基準をもつことで、達成感を感じることや自分の実力を知ることができます。
自分の仕事に対するフィードバックを上司にもらうことも成長実感を高めることにつながります。自分は仕事をしっかりとこなせているか、以前と比べ成長しているかを聞いてみましょう。客観的な視点での評価を貰えるため、自分が知らなかった一面に気づくことができるかもしれません。また、フィードバックを受けることで、自分の仕事に対するパフォーマンスの改善点について理解できます。ミスをすぐ修正できるようになれば、より成長サイクルを促すことができ、成長実感を感じられやすくなります。
成長実感を高めるためにも自分のスキルを磨いてみましょう。スキルの1つとして、業種や職種に関係なく活かすことのできる「ポータブルスキル」というものがあります。ポータブルスキルは、論理的思考力やプレゼンスキル、問題解決能力などがあります。ポータブルスキルは業種や職種に依らないため、いつでもどこでも活かすことができ、自社のみならず働く自信をつけるきっかけとなります。業務の質をより高める効果も期待できる上に、自発的に学ぶことができるため、成長実感を高めることができます。
若手社員の成長実感を増やすことは、組織の長期的な成長にとっても必要不可欠な要素となります。成長実感が得られるような環境で働くことは、従業員満足度や離職率低下につながり、大きなメリットとなります。現段階で成長実感を持てていなくても、価値観や思考法の変化などによる心の成長に視点を当て、自己承認の重要性を理解し支援することで若手社員の成長実感を促進しましょう。また、管理職などの立場においても、心の成長を追求し、部下をサポートしながら共に成長する姿勢を示すことが重要です。
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