ミッショングレード制とは【デメリットや導入事例などについて詳しく解説します】

記事更新日:2022年07月20日 初回公開日:2022年07月05日

用語集 外国人採用・雇用 採用・求人のトレンド グローバル用語解説
近年のグローバル化の流れの中で、会社の形態は多様化してきています。日本では馴染みの深い等級制度として年功序列制度というものがありますが、今やその制度のみならず多くの等級制度が存在します。今回はその中の一つであるミッショングレード制を紹介します。役割によって等級や序列を決めるこの制度は、今の会社の等級制度で業績に伸び悩んでいる、年齢に関係なく能力のある人を雇用したいという人事担当の方におすすめの制度です。経営者の方や人事担当者の方は、是非ご一読下さい。

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ミッショングレード制とは

役割によって等級が決まる制度のこと

ミッショングレード制は、役割等級制度とも呼ばれます。役職やキャリア・年齢などに関わらず社員に役割を設定して、その役割の大きさに応じて等級や序列を決める等級制度を指します。つまり年功序列制度と相反するものと言えます。等級制度は、評価制度と報酬制度に並ぶ、人事制度を構成する3つの要素のうちの1つです。これを基準として社員の評価を行なって報酬へと反映させるため、人事制度の骨組みであるとも言えるでしょう。

ミッショングレード制と職能等級制度の違い

年功序列の考えがあるかどうかの違い

ミッショングレード制に似た制度として、職能資格制度が挙げられます。職能資格制度は、職能等級制度とも呼ばれ企業が社員に求める職務遂行能力を基準に社員の等級づけを行う制度です。社員の能力は実際の職務を通して蓄積されて習熟していくため、年功序列的な傾向が強いといえます。対してミッショングレード制は年齢を気にせずに役割を与えるため、その傾向は弱いと考えられます。後者はスタートアップ企業やベンチャー企業など、実力主義の傾向が強い企業においてよく採用されています。

ミッショングレード制とジョブ型の違い

職務内容が厳格的かどうかの違い

職務等級制度、いわゆるジョブ型制度もミッショングレード制に似た制度です。職務等級制度は職務の難易度や等級によって等級を決定する制度です。職務内容を厳密に定義することで、誰がその職務を担当しても同じ処遇になるという特徴があります。つまりミッショングレード制との違いとしては、ミッショングレードの方が職務に対して比較的柔軟に定義することが可能であるということです。役割をまっとうするための具体的なアクションを定義することができると言えるでしょう。

ミッショングレード制のメリット

個々の職務内容を詳細に示せる

ミッショングレード制のメリットのひとつとして、個々の職務内容を詳細に示せるということが挙げられます。ミッショングレード制では、給与テーブルの項目に従業員一人一人が会社の目標を達成するために何をするべきなのかが設定されます。定型化や細分化がされているものだけでなく、管理職などのポジションに応じて期待される内容の異なる非定型的な業務も含むことができます。つまり客観的かつ明確に目標が設定されるため、社員が仕事をしやすいというのが利点と言えるでしょう。

社員の主体性が伸びる

社員の主体性が伸びるという点も、ミッショングレード制におけるメリットのひとつです。会社の達成目標がそれぞれ給与テーブルで具体的に表示されるということは、会社が求めていることを社員がはっきりと認識できるということです。社員の目標理解によって職務を効率的に進めることができ、それに伴って社員の自主的な働きも促進されます。また自ら目標をもって業務にあたるため、社員自身のモチベーションが上がりやすいというメリットもあります。

適切な給与を支払える

適切な給与を支払えるという点も、ミッショングレード制のメリットと言えます。給与テーブルが明確に示されているため、それを基準とすればかなり厳密に社員の成果を評価をすることが可能です。したがって、成果に応じた適切な給与の支払いをすることができるでしょう。また、長い間給与テーブルが変わらない年功序列制度に対して、ミッショングレード制は目標に応じてタイムリーに給与テーブルが変更されます。つまり、人件費の無駄も減らすことができると言えます。

会社内で連携がしやすい

会社内で社員同士が連携を図りやすいという点も、ミッショングレード制におけるメリットと言えます。ミッショングレード制では社員それぞれが異なった役割を持ち、それが明確に給与テーブルに反映されて社内で自由に目標や業務内容を共有することができます。つまり各社員が他の社員と協力して業務をする場合により効率的に行なうことができます。また、部署や役職の引継ぐ場合においてもそれをスムーズに行なうことができるでしょう。

ミッショングレード制のデメリット

不満を持つ社員がでる

ミッショングレード制に不満を感じる人が一定数いることがデメリットとして挙げられます。具体的には、長年その会社で勤務してきた年配の社員です。この制度の性質上、職務内容の評価で給与が決まるため降給の可能性がどの社員に対しても存在します。今まで年功序列制度で昇給し続けてきた社員からすると、この制度には不満を持つことも当然と言えます。年功序列を期待して長年勤めてきた社員へ配慮してこの制度を採用しなければなりません。

運営が難しい

運営が難しいという点も、ミッショングレード制のデメリットのひとつです。この制度における給与テーブルの評価基準については公式の基準がなく、企業の裁量に任されます。会社の求める理想に合わせて独自に基準を設定する必要があり、さらにすべての従業員が納得するようなものでなければなりません。そのためには評価基準の作成にある程度のノウハウが蓄積されている必要があり、新たにこの制度を採用する会社にとっては運営が難しいと言えます。

評価基準が曖昧になるリスクがある

ミッショングレード制は、評価基準が曖昧になるリスクをはらんでいます。前述の通り、職務等級制度と比べて評価基準が抽象的であるために、社員が具体的な作業内容が分からなくなってしまう恐れがあります。社員を評価する側としても社員の業務を抽象的な基準をもって評価しなければならないので、評価に多くの時間を要するでしょう。同じ評価基準だとしても社員それぞれが異なるアプローチ方法で業務を進めるため、各々の独自性も考慮しなければならないという点も評価が難しくなる原因です。

意図しない降格が起きる

ミッショングレード制では、意図しない降格が起きるリスクがあります。この制度は役割によって等級が決まるため、配置換えや組織変更が生じた場合にはその人の能力にかかわらず役割や業務が変わる可能性があります。これは同時に等級が下がってしまうリスクがあることも意味し、社員のモチベーションの低下にもつながってしまうでしょう。等級が下がらないような仕組み作りや、社員のモチベーションのケアといった工夫が必要でしょう。

ミッショングレード制の導入方法

役割定義書を作る

ミッショングレード制を導入するにあたって、まずは役割定義書を作成します。このとき、役割同士の境界が重なり合ったり、役割の内容が曖昧になって制度が機能不全に陥ってしまうのを防ぐ必要があります。そのためには具体的かつ明瞭に役割を定義させるように作ることを心掛ける必要があります。運用上理解しやすい定義書を作成することで、マネージャーとメンバーのコミュニケーションがスムーズに伝わり、業務が円滑に進むでしょう。

評価基準を明確化する

定義した役割に基づいて、各役割において評価する項目とその基準を設ける必要があります。これも役割定義書と同様に具体的かつ客観的に設定しなければなりません。設定が明確でないと評価に対して不満が起こり、社員の業務の履行能力が下がる、またはモチベーションの低下につながるリスクがあります。適切に設定することで評価への納得感や役割の効果が高まり、生産力の向上につながります。また、役割定義書と評価基準だけでいかに業務内容ややりがいが社員に伝えられるかが重要となります。

社員の理解を得る

ひと通り制度を作成したら、最後にその制度への社員の理解を得ることが重要です。前述の通り、制度全体の内容が客観的かつ具体的になるように心掛けますが、最後には社員に直接理解を得てもらい、実装しましょう。具体的には、社員への周知のために説明会を開催したり、評価をするマネージャーのとレーニングを通して浸透させます。適切に社員へ理解を広めていくことで、制度改正への納得感の上昇や現場レベルのスムーズな運用が見込めます。

ミッショングレード制の導入事例

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社では、2005年の新人事制度の一環としてミッショングレード制が導入されました。これは一人一人の社員が志を高く持ちながら、いきいきと働くことのできる環境を目指してつくられました。これまで社内で多くの事業家や経営幹部を輩出してきた「ファーストトラック(最短で中核の人材を育成)」の概念に基づいています。実際に今まで以上に年齢などの条件に縛られない登用をしたことで、多くの優秀な人材の獲得に成功しています。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所で2020年より、事業のグローバル化に伴ってグローバル人材共通の人材マネジメント制度を導入しました。等級制度においてミッショングレード制を採用し、各職務の役割や職責を全世界統一的に行ってます。グローバルな基準で役割を作成したことで給与テーブルに多様性が生まれ、業務に柔軟に対応できるようになったという大きな成果が現れました。また、基準を世界基準とすることで日本で一般的に取得しづらいとされている有休や育休に関する規定が充実し、それらが取得しやすいというメリットがあります。

ソニー株式会社

ソニー株式会社でも同様に、事業がグローバル化していることから世界基準でミッショングレード制が採用されています。具体的には、役割をインディビジュアルコントリビューター等級群とマネジメント等級群に分け、その中で時々に応じて上下左右にシームレスに行き来できる体系となっています。また、何を達成すべきかを明確にした年間個人目標を各々が設定をして期中期末に上司が評価をすることで、社員のより高いモチベーションの維持につながっています。

まとめ

ミッショングレード制で会社を活気づけよう

ミッショングレード制はモチベーションや連携力の向上、業務の効率化など年功序列制度にはないメリットを多く秘めています。そしてそれは社内を活気づけるための要因となり、社内発展に大きく貢献してくれるでしょう。運営上ノウハウの蓄積が必要という難しさはありますが、これをサポートするコンサルタント会社も多く存在します。企業の業績に伸び悩みを感じている経営者の方がいましたら是非この機にミッショングレード制を新たに採用し、活気溢れる会社を目指してみてはいかがでしょうか。

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