逆ピラミッド型組織とは【メリットやデメリットなどを詳しく説明します】

記事更新日:2021年09月22日 初回公開日:2021年09月22日

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世の中の変化は激しく、顧客のニーズやマーケットが絶えず変化しています。また、働くことへの価値観も変化し、「義務感」から「やりがい」や「働きがい」「生きがい」を重視するようになりました。それに伴い、組織の在り方にも変化が求められています。そこで注目されているのが「逆ピラミッド型組織」です。そもそも逆ピラミッド型組織とは、従来のピラミッド型組織を反対にし、顧客を一番、経営陣を最後に考える組織のこと。この記事では、逆ピラミッド型組織を形成するメリットとデメリット、作成手順をお伝えします。

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逆ピラミッド型組織とは

顧客を第一に考える組織

逆ピラミッド型組織とは、顧客を第一に考える組織のこと。第二に社員を大事にし、社長や会社の経営陣の優先順位は最後にきます。従来では、社長や経営陣がトップに来るピラミッド型組織が一般的とされてきました。しかしながら、顧客に対して真の価値を提供できるのは、顧客と常に接している社員です。その場に居合わせている人間が意思決定を行い、マネジメント側がそういった環境を支えて要望に応えるのが、逆ピラミッド型組織です。マネジメント側が社員を支える側に回ることで、チーム全体の信頼を得ることができるでしょう。

逆ピラミッド型組織の目的

社員が働きやすい環境を作る

逆ピラミッド型組織には、社員が働きやすい職場を作るという目的があります。従来のピラミッド型組織では、社長や会社の経営陣が最上位として位置付けられていました。部下はリーダーのために仕事をし、意思決定のほとんどを社長などのトップが行っていたのではないでしょうか。ピラミッド型組織では、社員が自らの強い意思を持って行動することはあまりありません。ピラミッド型組織を反対にすることで、社員が自ら意見を出すようになり、働きがいを持って仕事に取り組むことができます。

逆ピラミッド型組織が求められる背景

求められるリーダーシップが変化している

逆ピラミッド型組織が必要とされている背景には、求められるリーダーシップが変化していることが挙げられます。従来型における組織のリーダーは、チームのトップとして強いリーダーシップでメンバーをまとめあげ、指示を出し業務を推進していくリーダーでした。支配型リーダーシップとも呼ばれ、チームの主役となっていました。しかしながら、顧客が求める商品やサービスは時代によって変わってきます。従来のように過去の知識や経験を活かせば成果が出る、というセオリーは通用しない時代となっているのです。

逆ピラミッド型組織におけるリーダーとは

サーバントリーダーシップを持つ人材

逆ピラミッド型組織におけるリーダーとは、サーバントリーダーシップを持つ人材のことです。支援型リーダーシップと呼ばれることもあります。従来における支配型リーダーシップではリーダーが主役であったのに対して、支援型リーダーシップではメンバーがチームの主役なのです。サーバントリーダーシップは、アメリカのロバート・グリーンリーフ博士が1970年に提唱しました。「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」としています。明確なビジョンを持ちながらもメンバーの主体性を大切にして、チーム全体で成果を上げていくことができるリーダーがサーバントリーダーなのです。

逆ピラミッド型組織を浸透させる方法

経営陣の意識を変える

逆ピラミッド型組織を会社内で浸透させるためには、まず経営陣の意識を変える必要があります。サーバントリーダーシップが1970年に提唱されたように、逆ピラミッド型組織の考えも最近生まれたものではないのです。しかしながら、逆ピラミッド型組織を作れている会社はまだまだ多いとはいえないでしょう。社長やマネジメント側の立場が上であり、決定権を持っているという考えが残っているのが、1つの理由かもしれません。支える立場であるということを経営陣が意識することで、逆ピラミッド型組織を会社内で浸透させることができるでしょう。

ミッションとビジョンを選定する

ミッションとビジョンを選定することも、逆ピラミッド型組織を会社内で浸透させる1つの方法です。ミッションとビジョンは、どちらも企業が掲げる目標のことをいいます。正確には、ミッションは目の前の目標、ビジョンは将来的な目標のことを指します。目の前の目標1つ1つを達成していくことで、将来的に壮大なビジョンを実現することが可能となるのです。社員がミッションとビジョンに共感すれば、おのずと目標達成のために行動することができます。ミッションとビジョンを達成するために、顧客を第一に考えることをメンバー全員が意識することが大切です。

事業内容に熱中できる人を採用する

事業内容に熱中できる人を採用することも、逆ピラミッド型組織を会社内で浸透させるための手段といえるでしょう。なぜなら事業内容に熱中できる人が集まれば、自然と組織の優先順位は顧客が一番上になるからです。一方で、「稼ぎたい」「一定レベルの困らない生活がしたい」という思いが強いと、優先順位は顧客が一番上にはならないでしょう。逆ピラミッド型組織を実現できる会社作りをするには、ミッションとビジョンと同様で、事業に熱中できる人を採用していくことが効果的なのです。

逆ピラミッド型組織のメリット

顧客満足度が向上する

逆ピラミッド型組織を形成すると、顧客満足度が向上することが期待されます。というのも、逆ピラミッド型組織では顧客の優先順位が一番上に来るからです。顧客の声を聴き、意見を大切にすることで、必然的に彼らが求める商品の提供やサービスを行うことができるようになるでしょう。顧客のニーズに合った商品やサービスの提供は、顧客満足度の向上に繋がります。企業への信頼を得ることができ、最終的に売り上げが向上することも期待できます。

社員の離職率を下げる

逆ピラミッド型組織では、従業員の離職率が低下する可能性も期待できます。顧客のニーズに合った商品やサービスの提供をするためには、顧客と常に接している社員の声を聞く必要があります。最前線で働いている社員のアイディアを経営陣がサポートすることで、顧客の価値創出へと繋がるのです。仕事に対して意見を述べ、自ら行動することができると、社員は働き甲斐を感じることができます。「この会社で長く働き続けたい」という気持ちが強くなり、結果として社員の離職率低下に繋がるでしょう。

社員の企業作りへの参加を促す

社員の企業作りへの参加を促すことができるのも、逆ピラミッド型組織を形成するメリットの1つです。先ほど言った通り、逆ピラミッド型組織では社員の声を聞くことが、顧客のニーズに応えることに繋がります。つまり、社員は現場での経験を活かして、取り入れるべきアイデアを考える必要があるのです。新たなアイデアがいくつか出たら、実際に取り入れていくために企業内でそのアイデアをシェアしていきましょう。経営陣は彼らをサポートする立場なので、結果として社員の企業作りへの参加を促すことができるのです。

逆ピラミッド型組織のデメリット

組織統一が難しい

企業内の組織を統一することが難しいのが、逆ピラミッド型組織におけるデメリットです。逆ピラミッド型組織では、社員一人一人が自律的に判断し、企業のメンバーで話し合いながら意思決定をしていきます。しかしながら、それぞれが持っている意見は異なります。つまり、1つの結論を出すのが難しいのです。逆に、ピラミッド型組織では上司の権限によって全てが決定するので、逆ピラミッド型組織よりも組織統一がしやすいでしょう。

プロジェクトの着地点が定まらない

プロジェクトの着地点が定まらないことも、逆ピラミッド型組織におけるデメリットの1つでしょう。従来型の組織では、商品を開発する際に精密な計画に沿ってその時点で満足する商品ができれば、プロジェクトは終了となりました。しかしながら、逆ピラミッド型組織では、顧客の意見やニーズを大切にします。求められるものは常に変化していくため、より良い商品提供のために改善を重ねていく必要があるでしょう。そのため、プロジェクトの着地点は中々定まりません。

逆ピラミッド型組織を導入している企業

HCLグループ

すでに逆ピラミッド型組織を形成している企業はいくつかあります。HCLグループはそのひとつです。HCLテクノロジーズでは、「従業員第一主義-EFCS(Employees First, Customers Second)」を経営理念として掲げています。実際に、バリューポータルとマッドジャムという意見を取り込む制度を導入しました。バリューポータルとは、顧客と社員がアイディアを交換できるポータルサイトのこと。マッドジャムとは、社員によるアイデアコンテストのこと。これら2つを取り入れたことで、顧客の価値創出へと繋がっているのです。

株式会社i-plug

株式会社i-plugも、逆ピラミッド型組織作りをしている企業のひとつです。株式会社i-plugでは、あえて優先順位をつけるとしたら、1位が顧客、1.1位が社員、10位以下が経営陣であるとしています。また、採用基準は自社のミッションとビジョンに共感してもらえる人を第一としています。組織作りをする際に、どれだけ事業に熱中できる人が集まるかをポイントとしているようです。逆ピラミッド型組織に必要なのは、ミッション・ビジョンに共感している仲間が集まり、みんなで考えながら進んでいくことなのです。

スターバックスコーヒー

逆ピラミッド型組織を形成している企業には、スターバックスコーヒーも含まれます。元社長ハワード・ビーハー氏は「”サーバントな文化”と“人を大切にする文化”を原動力に、スターバックスを世界的なコーヒーショップにした」と語りました。この精神から、スターバックスはストアマネージャーを対象にした「奉仕型リーダー育成セミナー」を行っています。また、顧客に最高の体験を提供できるよう社員の行動規範も定められています。その中のOUR VALUES(私たちの価値観)において、「私たちは、パートナー、コーヒー、お客様を中心とし、VALUESを日々体現します」と明記されているのです。

資生堂

資生堂も、逆ピラミッド型組織を形成している企業のひとつです。資生堂元社長の池田守男氏は、当時経営難であった資生堂を「会社を再建する」「新しく生まれ変わらせる」という使命の元、組織変革を行いました。「店頭基点」を念頭に置くことで、実際に現場で働いている社員を大切にする逆ピラミッド型組織の形成に繋がったのです。また、サーバントリーダーシップも根付かせ、池田氏自らビューティーコンサルタントや営業職の会議に顔を出し、現場スタッフの話に耳を傾けました。そうすることで、チーム全体に活気をもたらし、経営も上向きに転じたのです。

まとめ

逆ピラミッド型組織で組織変革をしよう

顧客のニーズやマーケットだけでなく、社員の働くことに対する価値観も絶えず変化しています。逆ピラミッド型組織では、顧客を第一に考えることで、顧客満足度が向上することが期待できます。また、社員が働きやすい職場を作ることができ、結果的に離職率を下げることもできるでしょう。一方で、逆ピラミッド型組織では組織統一を行うことが難しくなってしまいます。必要に応じて経営陣が決定を下すことで、より良い組織形成が可能となるでしょう。

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