記事更新日:2021年09月22日 | 初回公開日:2021年09月21日
外国人採用・雇用 ビザ(在留資格)について 人事・労務お役立ち情報 グローバル経済 採用・求人のトレンド技能実習指導員とはその名のとおり、技能実習生を直接指導する人のことです。そもそも技能実習制度は開発途上国の人材が日本の企業や個人事業主と雇用契約を結び、母国で学ぶことが困難な技術や知識を習得してもらう制度のことです。技術や知識の習得を担保するために技能実習生の受け入れ先となる企業や実習実施機関では技能実習指導員を選任することが法律で決められています。技能実習指導員は技能実習生に現場で直接指導をして、仕事のサポートを行います。
技能実習指導員の目的はいくつかありますが、最も重要なのは技能実習制度を問題なく行うことです。先程もお話した通り、技能実習制度の目的は技能実習生が先進国の技術や知識を習得することです。しかし日本では技能実習生を低賃金且つ劣悪な労働環境で働かせるという問題も多く発生しています。その場合、技能実習生は単純な肉体労働のみをさせられることも多く、技術や知識がほとんど得られないことも珍しくありません。そのような事態を防ぐためにも技能実習指導員が計画通りに遂行されているかを定期的にチェックし、必要な指導を行います。特に安全衛生面には注意点をしっかりと指導することが事故を防ぐために求められます。
次に技能実習指導員になるための要件を順にご紹介します。まず1点目は技能実習生に直接指導する技能について5年以上の経験があることです。これは実習の内容を充実させて、技能実習生に対して充分な指導が出来るようにするために設けられているものです。技能実習生に対して習得させようとしている技能に関する5年以上の経験となるので、業界や職種によってその経験は様々です。ただし介護職種については5年以上の経験に加えて介護福祉士や看護師などのいずれかの資格を有する人でなければなりません。
次に2点目は、技能実習指導員が技能実習を行う現場に所属する必要があることです。基本的に技能実習指導員は技能実習生を直接指導しなければなりません。ですので、技能実習指導員は、技能実習を行う工場などの事業所に勤務している人材を選出するのが望ましいです。そのため技能実習指導員の要件にもあるとおり、実習生に的確に教えられるだけの経験と技能が必要になります。技能実習生の普段の生活に関しては生活指導員がサポートするので、技能実習指導員は現場に駐在しながら仕事面でサポートをすることが求められます。
反対にこれらの要件に当てはまる場合は、技能実習指導員になることが出来ません。1つ目は法第10条に該当することです。第10条には13もの項目があり、これらに一つでも当てはまると、その時点で欠格となります。例えば禁固以上の刑に処せられ、その執行が終了してから5年以上経過していない者、心身の故障により技能実習に関する業務を適正に出来ない者として主務省令で定める者などが当てはまります。その他に暴力団員等がその事業活動を支配する者なども含まれます。
2つ目は未成年の人です。他の条件を満たしていても2021年現在の成人年齢である20歳を超えていなければ指導員になることは出来ません。そもそも指導する技能に関して、5年以上の経験が必要となるのでその時点で欠格となることがほとんどです。ただし現在未成年の人も指導することになる技能について経験を積んでいくことで、技能実習指導員になることが可能です。まずは、キャリアを積んでいく中で様々なことを経験しながら、技能実習生に指導できるだけの知識や技能を身に付けることが大切です。
技能実習指導員を育成する方法として講習の実施が挙げられます。技能実習生を受け入れる事業所に必ず必要な技能実習指導員、そして生活指導員は養成講習を受講することは義務ではありません。しかしこれらの人に養成講習を受講させることが優良な監理団体と判断する一つの要件となっているため、受講が推奨されています。2019年度から技能実習指導員の講習時間は合計でおよそ5.5時間となっており、3年おきに受講することが望ましいとされています。内容もそれほど難しくはないので、技術実習指導員になる方は是非講習に参加をするようにしましょう。
技能実習指導員の講習を受講できる機関は厚生労働省のホームページに記載があります。それでは講習内容にはどのようなものがあるのでしょうか。まず1つ目は、実習に関する法律についての講習です。講習では、初めに技能実習の適正な実施や技能実習生の保護に関する法律について学びます。その後に技能実習制度に関連のある労働基準法や労働関係法令についても学んでいきます。どの法律も技能実習生を指導する上でとても重要なので、しっかりと理解することが大切です。
2つ目は、技能実習指導の行い方に関する講習です。技能実習指導の行い方についてはおよそ90分の講習があります。ここでは技術実習指導員としての具体的な指導方法について学んでいきます。もちろん職種などによって仕事内容は異なりますが、基本的な指導方法はそれほど変わりません。技能実習生は外国人ですので、指示や注意点などはその都度明確に示す必要があります。実際に指導するときに困ることがないように、しっかりと指導のポイントを押さえるようにしましょう。
3つ目は、技能実習生との向き合い方についての講習です。技能実習指導員として実際に指導する際は、技能実習生と密接にコミュニケーションを取る必要があります。しかし技能実習生は外国人ですので、言語や文化面からスムーズにやり取りをすることは容易ではありません。技能実習生に技能や知識を充分に習得してもらうためにも、実習生一人一人にしっかりと向き合うことが大切です。技術実習生との向き合い方についてはおよそ30分の講習内容になっています。
4つ目は、労働災害防止と労働災害時対応に関する講習です。残念なことに、毎年のように技能実習生が労働災害に遭うケースが多くあります。あるデータによると技能実習生の事故率は日本人の従業員の約2倍と言われています。そのため技術実習生を受け入れる企業は特に安全な労働環境づくりと技能実習指導員の適切な指導が求められます。ただしどんなに対策を徹底しても労働災害を完全に防ぐことは出来ません。万が一技能実習中に労働災害が発生した場合は、適切な処置とその後の対応を正しく、且つ迅速にすることが重要です。
すべての講習の終了後に理解度テストを行います。2018年度までは養成講習受講に係る経過措置期間との位置付けから、点数に関わらず受講証明書が発行されていました。しかし2019年から講習の内容ごとに合格点が設けられるようになりました。技能実習指導員の場合は70点が合格ラインとなっています。もし合格点に満たない場合、受講証明書は交付されません。そのため別日に講習をもう一度受講して、理解度テストで合格点以上の点数を出す必要があるのです。
注意点の1点目は、全ての職種に指導員が必要になることです。技能実習生の受け入れ先によっては複数の職種や作業を行うこともあるでしょう。その場合は一つの職種だけではなく、全ての職種に対して指導員が付く必要があります。ですので、一人の技能実習指導員が全ての職種を網羅出来ない場合は、職種や作業ごとに異なる指導員を配置しなければなりません。当然それぞれの職種に関連した経験を5年以上積む必要があるので、注意しましょう。
続いて2点目は、技能実習指導員が技能実習を行う現場に駐在する必要があることです。先程も記載したように、技能実習指導員は技能実習生を直接指導しなければなりません。そのため技術指導員は指導する現場に駐在し、技能実習生の指導やサポートなどを行います。技能実習の期間中に異動などが行われると直接指導できなくなる場合もあるので、注意が必要です。また近年は技能実習生の労働災害の発生件数も増加しているので、仕事の安全面には十分に配慮して指導を行いましょう。
3点目は介護職種の場合は固有要件があることです。近年は介護業界の労働者不足の影響により、介護職種として働く技能実習生が増加しています。技能実習指導員になるためには指導する技能に関する5年以上の経験が必要というお話をしましたが、介護職種の場合は追加の条件があります。それは3つのいずれかの条件に当てはまることです。1つ目は介護福祉士の資格を持っていることです。2つ目は看護師または准看護師の資格があることです。そして3つ目は実務者研修を修了していることです。ただし実務者研修修了者は8年以上の経験が必要となるので注意が必要です。
今回は技能実習生を直接指導する「技能実習指導員」について育成方法や要件、注意点など様々な面から解説をしてきました。この記事を読んで技能実習指導員についての理解を深めることが出来ましたでしょうか。今回ご紹介した技能実習指導員は、技能実習を行う現場には必要不可欠な人材です。また、技能実習制度の効果を上げるためにも技能実習指導員には一定の知識量や経験が求められます。これから高度な技能を持つ外国人材を増やすためにも自社の技能実習指導員の育成に力を入れましょう。
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