レジデンストラックとは【入国における手続きや現時点での運用状況について解説】

記事更新日:2021年09月27日 初回公開日:2021年09月22日

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新型感染症の影響で、これまで通りに業務を行うことが難しくなっている企業もあるのではないでしょうか。リモートワークの実施をはじめに、企業によって様々な対策を行っているというのが現状でしょう。中でも国内外への人の流れに関しては厳しく規制がかかっている場合も多く、海外に関係する業務には特に大きな影響を及ぼしています。レジデンストラックはビジネスを目的とした人の往来の規制を緩和するという仕組みで、2020年の6月から実施されています。対象となる国は限られていますが、今回の記事ではレジデンストラックの流れや注意点について解説しますのでぜひご一読ください。

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レジデンストラックとは

必要な防疫措置を条件に双方向の往来を再開するしくみ

レジデンストラックとは感染症対策に必要な防疫措置をとることを条件として、国内外の双方向への往来を許可するという仕組みのことです。もちろん対象とされるのは旅行や観光などといった目的で訪れる一般人ではなく、ビジネス上で必要とされる人材などに限られています。レジデンストラックを利用する際には様々な手続きが必要とされますが、業務をオンライン上で完結することが難しい場合には非常に役立つ制度といえるでしょう。

現在は11か国が対象

レジデンストラックの対象となっている国は中国や韓国、ベトナムなどアジアを中心とした11か国となっています。これらはビジネストラックの対象国とは異なりますので、使用する制度によって間違いのないように確認しておきましょう。さらに、入国や帰国の際に必要とされる書類や手続きも対象の国や地域によってさまざまな違いがあります。したがって、外務省のホームページから詳細について事前によく調べておく必要があるでしょう。

留学生や技能実習生も対象になる

留学で訪れる場合や、技能実習生もレジデンストラックの対象となります。留学生に関してはビジネスなどとは直接関係はありませんが、技能実習生の受け入れを行っている企業はレジデンストラックについて理解を深めておく必要があるでしょう。また、留学生や技能実習生は日本での業務経験がある外国人と比べると、日本語能力が低い場合がほとんどです。したがって、必要となる書面などは特にわかりやすくしておくことが重要となるでしょう。

レジデンストラックとビジネストラックの違い

ビジネストラックは短期滞在者向け

レジデンストラックとは別に、ビジネストラックというスキームもあります。レジデンストラックとビジネストラックにはいくつかの違いがありますが、そのひとつは想定されている滞在期間です。レジデンストラックは比較的長期間の滞在者を対象としていますが、ビジネストラックはおもに短期滞在者を対象としています。さらにレジデンストラックは入国後14日間の自宅待機が義務付けられていますが、ビジネストラックでは限定された範囲内であればビジネスを行うことができます。

レジデンストラックを使用する目的

就労または長期滞在のため

レジデンストラックを利用するおもな目的は、就労を目的とした長期滞在です。就労などの長期的な滞在を目的としてレジデンストラックを利用する場合は、査証申請書や旅券に加えて在留資格認定書などの書類が必要となります。長期滞在の場合は、対象となる在留資格が定められています。したがってレジデンストラックを利用して外国人を受け入れる場合には、自社の業務内容と対象者の在週資格についてしっかりと確認しておきましょう。

短期商用のため

短期商用を目的として、レジデンストラックが利用される場合もあります。基本的に必要な書類は長期滞在の場合と変わりませんが、短期商用目的の場合は招へい理由書や申請人の在職証明書などが必要とされています。短期商用で利用する具体的な例としては日本への出張や商談、さらに市場調査などのケースが考えられます。もちろん必要最低限の範囲内ですが、どうしても日本に直接受け入れる必要がある場合はレジデンストラックを利用しましょう。

レジデンストラックで日本に入国をする際の流れ

在外公館での査証発給申請

レジデンストラックを利用して日本に入国する際には、まず初めに在外公館で査証発給申請を行う必要があります。このとき対象者は受け入れ側の企業が作成した誓約書を提出しますが、もし誓約を違反した場合には企業名が公表される可能性もあります。したがって、企業はレジデンストラックの概要だけではなく詳しい部分までしっかりと理解しておくべきです。そして誓約書を作成する際には、対象者がその内容を十分に理解できるように丁寧な説明を行いましょう。

検査証明の取得

レジデンストラックによる出国前の対象者には、健康に関する調査が義務付けられています。まず出国前の14日間の間は、毎日検温を実施する必要があります。そして出発時刻の72時間以内には検査を受けて、その検査証明を取得しなければなりません。入国後にも検疫が行われますが、まずは出国前に対象者の体調に異変がないことを入念に調査することが目的とされています。検査やその証明の取得に不備があると、スケジュールが大幅にずれてしまう恐れがあるので注意しましょう。

空港での検疫及び入国

レジデンストラックの対象者に対して受け入れ先の国の空港では新型ウイルスに関する検査が実施され、その結果が出るまでは空港内に待機しておくことが原則とされています。空港での検疫の際には、対象者が機内で記入した質問票に加えて受け入れ企業が作成した誓約書を提出することになっています。そのほかにも検疫の際には検査証明の確認や接触確認アプリのインストールについても確認が行われますので、不備のないように確認しておきましょう。

行動範囲限定下での行動

レジデンストラックを利用して入国した場合には、入国から14日間の間は自宅もしくはホテルなどの宿泊施設での待機が義務付けられています。外部との接触を避けるために個室やトイレ、風呂の個別管理ができるというのが条件とされています。さらにこの期間は公共交通機関の使用も禁止されているので、対象者は基本的に、常に隔離されている状態です。したがってこの期間中企業は対象者に対して健康状態の確認と、位置情報の共有を行う必要があります。待機期間中の対象者に感染症の症状が出た場合には、速やかに接触者相談センターに連絡しましょう。

通常活動の開始

自宅もしくはホテルでの待機期間を無事に終了すると、ビジネスなどの通常行動を開始することができます。14日間というのは一人で待機し続けるのにはかなり長く、苦痛に感じるという人も多いでしょう。しかし、言うまでもありませんが待機期間が終了したからといって何の対策も無く自由に行動していいというわけではありません。マスクの着用や手指の消毒に加えて、体調の異常にすぐ気づけるように検温もこまめに行うなどの対策を実施しましょう。

レジデンストラックの注意点

出国前72時間以内の検査証明が必要

レジデンストラックを利用して出国する前の72時間以内に検査を受け、出国の際にはその証明書が必要となります。検査証明の様式は所定のフォーマットを使用することが原則とされており、外務省のホームページから確認することができます。もし現地の検査機関においてそのフォーマットに対応することができない場合は、任意の様式の提出も認められています。任意の様式で検査証明を作成する場合は、必要な情報を漏れなく記載するように注意しましょう。

日本に入国する14日以内に入国拒否の対象地域に滞在していないことが条件

日本へ入国する14日以内に入国拒否の対象地域に滞在していないことも、レジデンストラックを利用する際の条件とされています。入国拒否の対象地域はウイルスの変異株や流行状況によって指定されており、46の国と地域が対象となっています。これらの地域に滞在歴がある人間を受け入れてしまうと、感染症の拡大に拍車をかけてしまう可能性があるでしょう。滞在歴などは調査すればすぐに調べることができるので、決して滞在歴を偽るようなことはせず定められた期間を設けたうえで入国させましょう。

専用アプリのダウンロードが必要

レジデンストラックを利用する際には、専用のアプリをダウンロードすることが原則義務付けられています。対象者と連絡を取るための「LINE」に加え、感染者との接触情報を確認するためのアプリである「COCOA」をインストールします。それに加えて位置情報の共有も義務付けられているので、スマートフォンの設定しておく必要があるでしょう。これらがインストールされているかどうかは、空港での検疫や入国審査時に確認されます。

医療保険に加入しなければならない

レジデンストラックを利用して入国する外国人は、民間医療保険への加入が必須とされています。これは急な体調不良や事故によって、高額な医療費の負担が発生することを防ぐのを目的です。出国前に加入していることが望ましいですが、やむを得ない事情がある場合は入国直後に加入する必要があります。保険に未加入であったことが発覚した場合には受け入れ企業や団体が公表されることもありますので、保険への加入を証明するための保険証券なども準備しておきましょう。

入国する国によって手続きの手順や条件が異なる

国によって、レジデンストラックを利用する際に必要な手続きの手順や条件は異なります。具体的には検査証明の発行期間の条件や、検査の手法が国によって違うことなどがあげられます。書類の不備があると再度発行するのにさらに時間がかかってしまうため、企業側はそのようなことがないように注意する必要があります。提出書類の詳細などについては各国の大使館のホームページなどで確認することができるので、しっかりと確認しておくようにしましょう。

2021年9月時点では一時的に停止されている

2021年9月時点では、レジデンストラックおよびビジネストラックの運用は停止しています。すべての国や地域を対象に運用を停止していますので、当面の間利用することはできません。しかし今後の感染症拡大の状況に応じて、対象の地域などの条件を限定して再開されることがあるかもしれません。レジデンストラックに関する最新の情報については外務省のホームページで確認することができるため、今後レジデンストラックの利用を検討する際にはそちらをチェックしておくと良いでしょう。

まとめ

レジデンストラックの仕組みを正しく理解しましょう

レジデンストラックの流れや実施する際の注意点について、お分かりいただけたでしょうか。国を跨いだ移動が非常に困難になっているのが現状ですが、ビジネスにおいてどうしてもそれが必要な場合もあります。もちろん感染症対策について十分な注意が必要とされますが、レジデンストラックおよびビジネストラックは国際的な業務を支える有効な手段といえるでしょう。企業側は精度について十分に理解した上で、対象者を含む関係者全員が安心して業務に取り組めるように制度を利用しましょう。

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