成果主義とは【メリットやデメリット、導入ポイントについてお伝えします】

記事更新日:2023年03月03日 初回公開日:2023年03月03日

人事・労務お役立ち情報 用語集 グローバル用語解説
人が仕事でモチベーションを高める要素は、成果に基づいた評価と報酬です。従来は、仕事の成果よりも年齢や勤続期間を重視する傾向にありました。それにより、若手の活躍が評価に繋がりにくい環境が問題視されていました。そこで注目されているのが成果主義です。成果主義とは、仕事の成果や生産性に基づいて報酬や評価を決定する仕組みのことを指します。仕事の成果が良ければ、それに見合った報酬や評価を受け取ることができるという仕組みです。業績向上や生産性の向上を促進するために採用されることが多く、企業や組織において広く使用されています。今回は成果主義のメリットとデメリット、導入のポイントなどについて解説していきます。

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成果主義とは

仕事の成果に基づいて評価を行う制度

成果主義とは、仕事の成果に基づいて評価や報酬を与える制度のことです。成果主義では、個人またはチームが設定された目標を達成することで評価や報酬が与えられます。この制度によって報酬や評価が仕事の成果に基づいて決定されるため、個人が自分自身に対して高いモチベーションを持つことが出来ます。高いモチベーションにより、目標に向けた努力や生産性が向上することが期待されます。ただし成果主義には、成果に偏った評価や報酬、個人の成長やチームワークに対する評価が不十分などの問題もあるため注意が必要です。

年功序列制度に代わる評価制度となった

成果主義は、年功序列制度に代わる評価制度のひとつとして位置づけられています。年功序列制度は、勤続年数に応じた昇給や昇進を行う制度です。この制度により、帰属意識が高まり、長期的に働きやすい環境となります。また、社員が離職しにくい安定した経営ができるなどのメリットもあります。一方で能力不足や、成果の挙げられていない社員も勤続年数が長いだけで役職に就いたままになるなどのデメリットもあります。成果主義では、仕事の成果や生産性に基づいて評価や報酬が与えられるため、個人の能力や実績に応じた評価制度とされています。

成果主義が注目される背景

雇用形態が多様化している

成果主義が注目される背景の1つに、雇用形態が多様化していることが挙げられます。従来のような終身雇用が当たり前であった時代から、派遣社員や契約社員、フリーランスなど、様々な雇用形態が増えています。これによって従業員の雇用期間が短くなり、企業にとっても長期的な雇用保障を提供することが困難になってきています。このような状況下では、成果主義によって実力や成果に応じた評価や報酬を与えることで、従業員のモチベーションを高めることが重要になります。モチベーションが高まることで、生産性の向上や企業の目標達成を促進することに期待が出来ます。

さまざまな勤務体系が導入されている

成果主義が注目される背景には、さまざまな勤務体系が導入されていることもあります。従来のような定時制勤務から、フレックスタイム制やテレワークなど、柔軟な働き方が求められるようになってきています。このような勤務体系の導入によって、従業員が自己管理能力を高め、効率的に業務をこなすことが求められるようになりました。そのため、成果主義が注目されるようになり、実力や成果に基づいた評価や報酬が求められるようになっています。また、最近では、テレワークやオンライン会議が一般化しているので、同様に適正な評価基準が必要になります。

成果主義のメリット

社員のモチベーションが向上する

成果主義のメリットは、社員のモチベーションが向上することです。実力や成果に基づいた評価や報酬が行われるため、社員は自分自身の能力を活かし、目標を達成するために努力するようになります。その結果、仕事に対するやりがいや自己実現感が高まり、モチベーションが向上するという効果が期待できます。また、成果主義は、結果を重視するため生産性や業績の向上につながるとされています。目標を達成するために社員が積極的にアイデアを出し、業務を改善することが期待できます。その結果として、企業の競争力の向上につながるといえます。

優秀な人材の確保につながる

成果主義のメリットは他にも、優秀な人材の確保につながることが挙げられます。実力や成果に基づいた評価や報酬が行われるため、優秀な人材は自己実現感を高めることができ、自己成長を目指すことができます。そのため、自分自身の能力を最大限に発揮できる環境を求める優秀な人材にとって、成果主義の導入は魅力的な要素となります。さらに、成果主義は、公正性が高く、個人の能力や実績に応じた評価が行われます。公正な評価は、社員の不満や不信感を低減することができます。そのため、社員のモチベーションが高まり、定着率が向上するという効果も期待できます。

人件費の高騰を抑えられる

成果主義は、人件費の高騰を抑えることができるというメリットがあります。従来の年功序列制度では、勤続年数に応じた昇給が行われるため年数が経過するごとに給与が上がり、企業の人件費が高騰する傾向がありました。一方、成果主義では、個人の能力や成果に基づいた評価や報酬が行われるため、効率的に人材の評価や報酬を行うことができます。特に、成果主義においては、高い成果を上げた社員に対しては優遇措置がとられることがあります。そのため、社員は自らの能力を最大限に発揮し、企業の業績向上に貢献するようになります。

生産性の向上が期待できる

成果主義は、生産性の向上が期待できるというメリットもあります。成果主義では、個人の能力や成果に基づいた評価や報酬が行われるため、社員は自らの能力を最大限に発揮し高い成果を上げるようになります。その結果、企業全体の生産性が向上することが期待できます。また、成果主義によって、社員は自らの目標設定やタスク管理に意識を向けるようになります。自分自身の目標を達成することで、達成感や自己実現感を得ることができます。そのため、やりがいやモチベーションが高まり、生産性の向上につながることが期待されます。

成果主義のデメリット

チームワークが低下する恐れがある

成果主義のデメリットは、チームワークが低下する恐れがあるということです。成果主義を導入すると、個人の成果に基づいた評価や報酬が行われるため、チームワークが低下する可能性があります。特に、競争が激しい環境下では社員間の協力や情報共有が行いづらくなると考えられます。チームワークの良い企業や組織は横のつながりが強く、風通しが良いといった特徴があります。成果主義は、個人の成果を重視し、評価する制度であることから横のつながりが薄れる危険性があるのです。

短期的な目標を重視してしまう

成果主義には、短期的な目標を重視してしまうというデメリットがあります。成果主義では、個人やチームの能力や成果に基づいた評価や報酬が行われます。そのため、社員は短期的な目標やタスクに集中し、長期的な視点や組織全体の利益を見失ってしまうことがあります。また、成果主義では、報酬が目的となり報酬が低いと劣等感を感じ、不満を抱く社員が出てくることがあります。短期的な視点や報酬中心の行動、不公平感が生じるなどがないように、適切な評価基準や報酬制度を設計し、長期的な目標や組織全体の利益を重視することが求められます。

評価基準の設定が難しい

成果主義においては、評価基準の設定が難しいというデメリットがあります。成果主義では、社員の成果に基づいて評価を行うため、どのような成果を評価するかが重要となります。しかし、どのような成果を評価基準にするかは、組織や環境、業界によっても異なります。また、評価基準を設定するためには、社員の仕事内容や役割、目標設定、評価方法などを十分に考慮し、適切な評価基準を設定する必要があります。さらに、成果以外の要素が評価に影響を与える場合があります。そのため、評価基準を明確にすることが重要です。

成果主義の失敗例

人材育成が疎かになった

成果主義の失敗例は、人材育成が疎かになることです。成果に基づいて評価を行う制度であるため、結果を出すことが重視されます。そのため、短期的な目標や結果を重視する傾向があり、人材育成や長期的なキャリアプランの構築が疎かになる可能性があります。例えば、成果主義においては、チームや部署全体の成果よりも、個人の成果を追求する傾向があります。このような状況では、チームワークや協調性が犠牲になることがあります。このように、成果主義においては、短期的な成果を追求する傾向があるため、人材育成や長期的なキャリアプランの構築が疎かになることがあると言われています。

目標設定の基準が低すぎた

成果主義において、目標設定が低すぎると失敗する可能性があります。目標が低すぎると、社員は目標を達成することが容易になります。そのため、成果主義の評価が高くても実際の成果は十分でなく、企業の利益に貢献しない可能性があります。また、目標が低すぎると、社員のモチベーションも低くなります。目標が高いほど達成するために必要な努力も大きくなるとともに、達成感も高まります。目標が低すぎると社員は達成感を感じることができず、やる気を失うことがあります。

ノウハウの共有意識が弱まった

成果主義は、ノウハウの共有意識が低下することで失敗する場合があります。社員が自分の成果を追求するため、チーム全体でのノウハウの共有を怠ってしまう可能性があるでしょう。社員同士が情報を共有せずに顧客や商材を独自に活用してしまうことも考えられます。一部の社員が高い成果を挙げる一方で、チーム全体の成果が伸び悩んだ場合、チームの雰囲気が悪化する可能性があります。その結果、協調性やモチベーションが低下して個人の成果も低下する可能性があります。

成果主義の導入におけるポイント

評価基準を明確に設定する

成果主義は、評価基準を明確に設定することが導入のポイントです。評価基準が明確でないと、社員がどのような成果を目指して仕事をするべきかが分からなくなり、モチベーションの低下や不公平感が生じる恐れがあります。評価基準は、目標や役割、期待される成果、評価方法、評価時期などを具体的に明確にすることが必要です。適切な評価基準を設定することができれば、社員のモチベーションを高め、組織の生産性を向上させることができます。また、評価基準を定期的に見直し、改善することも重要です。

導入の目的を明確にする

成果主義を導入する場合、その目的を明確にすることが非常に重要です。目的が明確でない場合、適切な評価基準を設定することができず、目標の達成や効果的な評価ができなくなる可能性があります。成果主義を導入する目的には、社員のモチベーション向上・生産性の向上・優秀な人材の確保・人件費の削減などが挙げられます。例えば、モチベーションの向上であれば、自らの目標設定やタスク管理に意識を向けるようにします。自分自身の目標を達成することで、達成感や自己実現感を得ることができます。そのため、モチベーションが高まり、更には生産性の向上につながることが期待されます。

管理職への適切な指導も行う

成果主義の導入時には、管理職への適切な指導が重要となります。成果主義は従来の年功序列制度とは異なる評価制度であるため、管理職は新しい評価基準や評価方法について理解し、社員に正しく伝えることが必要です。まず、管理職は、目標設定や評価方法について社員に適切に伝えることができるように評価基準を理解しておく必要があります。次に目標の設定方法や目標として適切な内容を指導する必要があります。また、成果主義では、定期的なフィードバックが重要です。管理職はフィードバックの方法やタイミングを適切に指導し、社員が目標達成に向けて改善することができるようサポートする必要があります。

まとめ

成果主義によって社員のモチベーションを高めましょう

成果主義は、仕事の成果に基づいて評価を行う制度であり、個人の貢献度に応じて報酬や昇進などの評価が行われます。メリットとしては、社員のモチベーションが向上し、チーム内で競争意識が生まれることが挙げられます。一方で、目標を低く設定することや、短期的な成果を重視してしまうことがあります。その結果、チームワークの低下や、ノウハウの共有意識の弱まりなどのデメリットが存在します。導入時には、管理職への適切な指導が必要であり、評価基準を明確にすることや、目的を明確にすることが重要です。成果主義によって社員のモチベーションを高めましょう。

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