カスハラとは【クレームとの違いや対応策について解説します】

記事更新日:2022年09月02日 初回公開日:2022年08月30日

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近年、商品やサービスを提供する企業や商店などに対して、利用者や顧客から対応する従業員に対して悪質ないやがらせを受けるカスハラが増加しています。企業はカスハラによって対応する従業員が疲弊し、労働時間が浪費され、企業イメージを傷つけられることもあります。できるだけ早期に、円満に解決したい問題です。この記事ではカスハラの原因やクレームとの違い、企業がカスハラ対策として講じなければならない事柄などを具体的に解説していきます。カスハラへの対策を検討している企業の方はぜひ参考にしてみてください。

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カスハラ(カスタマーハラスメント)とは

取引先や顧客からの理不尽なクレームや著しく不当な要求のこと

カスハラとは、「カスタマーハラスメント」の略称です。顧客や取引先からのクレームのなかでも、特に過剰な要求や不当な言いがかりなどのことを指します。商品やサービスには関係ない要求や嫌がらせ、過度な値引き要請、恫喝や暴言、インターネット上の誹謗・中傷などの行為が当てはまります。カスハラに適切な対応をせずに放置すると企業運営に支障が出てしまう場合もあり、リスクやデメリットが生じる可能性があります。企業は適切な対応を講じることが必要です。

カスハラとクレームの違い

不当または過剰な要求があるかどうか

クレームとカスハラの判断基準は、利用者や顧客の指摘に不当または過剰な要求があるかどうかという点です。顧客は、企業から提供された商品やサービスが期待したものと異なる場合にクレームを出す場合があります。しかし全てのクレームがカスハラに当てはまるわけではありません。顧客からの要求内容が妥当性を欠くもので、まったくの言いがかりだという場合にはカスハラと判断されます。その場合、顧客が企業に伝える手段や態度は関係ありません。

カスハラの判断基準

顧客からの要求内容の妥当性

顧客からの要求内容が妥当性を欠くものとは、企業から提供された商品やサービスに過失が認められない場合や、要求内容が提供した商品やサービスとは無関係な内容の場合です。また顧客からの要求内容そのものは妥当性があったとしても、要求する手段や態度が悪質な場合には社会通念上不適当とされ、カスハラと判断される場合があります。企業が提供した商品やサービスに問題があった場合に商品交換や金銭保証を求められる場合や、土下座を除く謝罪を求めることはカスハラには当たりません。

労働者の就業環境が害されること

労働者の就業環境が害されるとは、労働者が顧客からのクレームによって身体的もしくは精神的苦痛を受け職場環境が不快になることです。業務を遂行することが難しくなるなど、就業上看過できないような支障が生じてしまうこともあります。クレーム問題を労働者一人の責任として抱え込ませてしまうことは、その労働者の就業環境が害されることにつながりますので、注意が必要です。一人一人の業務の透明化を図り、クレームを全体で共有するようにしましょう。

カスハラが起きてしまう要因

過剰にサービスに慣れてしまった

カスハラが起きてしまう要因のひとつに、過剰なサービスに慣れてすぎているということが挙げられます。顧客は料金を払えばいくらでもサービスを受けることができ、それが当たり前だと捉えがちです。本来は商品やサービスを提供する側と受ける側は対等であるはずなのに、顧客の立場が上と考え不当な要求をすることに疑問を感じません。自分さえ得をすれば良いという「言った者勝ち」という考え方も横行し、相手の立場を考えない傾向があります。

クレームを入れることを当然の権利だと思う意識があるため

顧客がクレームを入れることを当然の権利だと思う意識があるため、上から目線になりがちです。企業側の労働者に対して何をしても良いという感覚になりやすく、精神的、身体的な攻撃をしたり威圧的な言動に発展してしまう場合があります。また商品やサービス内容とは関係ない不当な要求や、個人的な不満のはけ口として優位に立てる顧客の立場を利用しての企業への八つ当たりなどが行われる場合もあります。それがクレームから逸脱する過剰な行為に及ぶこともあるのです。

企業がカスハラを放置するリスク

生産性や収益の低下

企業がカスハラを放置するリスクには、生産性や収益の低下が挙げられます。そのひとつが労働時間の浪費です。カスハラで顧客から不当なクレームを受けた場合、通常担当者である従業員がその対応をします。内容によっては電話での対応だけでなく、訪問しての謝罪や社内での対応方法の検討、弁護士への相談など多くの時間を要することになりかねません。企業は貴重な労働力をカスハラの対応に割くことになり、業務へのしわ寄せが出てきます。

従業員の休職や離職の増加

カスハラは従業員の休職や離職の増加を招くというリスクもあります。カスハラに対応しなければならない従業員は、心身ともに多大なストレスを抱えてしまいます。過重なストレスが重なると業務のパフォーマンスが低下し、睡眠不足や精神疾患などの健康被害にもつながるでしょう。また、企業がカスハラに対して適切な対応をしていないと従業員が感じる場合には、企業への不信感につながり退職するリスクがあります。担当従業員がカスハラに対応する時間が長くなると通常業務が滞ってしまうので、担当従業員だけでなく他の従業員の業務も増加してしまう可能性もあります。

企業の責任問題

カスハラを放置すると、企業の責任問題が問われることになってしまいます。たとえば従業員に対する企業の安全配慮義務違反はそのひとつです。企業は顧客からの著しい迷惑行為について労働者から相談があった場合に、その内容や状況に応じて適切に対応するための体制を整えなければなりません。具体的には相談先を定めて従業員に周知することや、相談を受けた人がその内容や状況に応じて適切に対応できる体制を整えるといった方法です。

カスハラに関する企業への義務や法律

厚生労働省の指針

適切に対応するために必要な体制の設備

企業はカスハラに適切に対応するために体制の設備が必要です。労働者の相談先を定めるだけでなく、相談を受けた人が状況に応じて適切に対処できるようにしましょう。また、担当従業員がカスハラの相談をすることでの解雇などの不利益がないことを周知して相談しやすい環境作りをすることも大切です。担当者一人がカスハラ問題を抱え込まないように複数で取り組む体制や業務を可視化するシステムの構築、メンタルヘルスの窓口設置なども必要でしょう。

被害者への配慮のための取り組み

企業は、カスハラ被害者への配慮のための取り組みも必要となります。担当従業員には大きなストレスがかかりますので、被害者のメンタルヘルス対応の担当者の確保や状況に応じた適切な対応の仕方を整備しましょう。また、カスハラに対しては複数人の従業員で対応するなどの対応マニュアルの構築、カスハラ対応の社内研修なども有効な手段です。企業はカスハラ被害を受けた従業員を守る義務があります。悩みを抱え込ませず、カスハラ被害の情報を職場で共有し、会社としての対策を考えるようにしましょう。

顧客からの著しい迷惑行為による被害を防止するための取り組み

企業は顧客からの著しい迷惑行為による被害を防止するための取り組みをしなければなりません。クレームとカスハラの判断が難しい場合や対応の仕方に悩む場合には、弁護士に相談することが有効です。日頃から顧問弁護士と連携して、対応の仕方について相談することをお薦めします。さらにカスハラを未然に防止するための顧客対応の構築や、社内研修の実施、カスハラが起こった場合の対応マニュアルの作成が求められます。カスハラ事例を十分に分析して、再発を防止することへの取り組みなども必要です。

安全配慮義務

労働契約法では、企業の従業員に対する安全配慮義務を定めています。安全配慮義務とは、企業には従業員が安全かつ健康に仕事をすることができるようにする義務があります。カスハラ被害を防止するための取り組み、カスハラ被害にあった従業員への配慮を怠った場合には、安全配慮義務違反として、従業員から損害賠償請求を受ける場合もあります。企業は労働者を守り、安全配慮義務違反を問われないようにするために、業種や業態、企業規模に応じて適切な対策を講じなければなりません。

カスハラの対応策

必要があれば謝罪を行い解決策を提案する

カスハラの対応として必要があれば謝罪を行って解決策を提案し、早期の円満解決をめざしましょう。長時間に渡るカスハラ対応は企業にとって時間の浪費ですから、まずは早期解決に向けてできることを行いましょう。それでも解決できない場合には一人の担当者がカスハラ対応を抱え込んで長引くことを避け、構築したマニュアルに沿って対応していくことになります。カスハラへの対応は早期解決をめざすことが最も重要です。社内で情報を共有し、早期解決に向けた最良の方法に取り組みましょう。

相談窓口を設置する

労働契約法により、企業は従業員に対する安全配慮義務があります。相談窓口を設置することによって、カスハラに対応する従業員が一人で問題を抱え込んでストレスが過重にかかることがないように配慮しなければなりません。カスハラは複数で担当するようにしましょう。また相談窓口は従業員からよくヒアリングすることが大切です。そして相談窓口の対応の仕方を明確にしておくことをお薦めします。企業は、社内全体でカスハラについての対応マニュアルを構築し、社内共有しておくようにしましょう。

事業者や産業医の力を借りてアフターフォローを行う

担当従業員がカスハラ対応で精神的な被害を受けた場合、事業者や産業医の力を借りてアフターフォローを行うことが大切です。事業者には被害を受けたことで従業員が不利益を被ることなどが無いことを発信してもらいましょう。また、被害を受けた従業員のメンタルの状態などを産業医に確認してもらい、必要であれば医療機関などにつなげることが大切です。カスハラ被害を受けた後の従業員に対するアフターフォローの担当や対応の仕方についても、明確にしておく必要があります。

被害を未然に防ぐためには

対応マニュアルの作成や社員の研修を行う

カスハラ被害を未然に防ぐために企業は対応マニュアルを作成し、社員に対して社内研修を行う必要があります。無理な要求を繰り返す顧客にはきっぱりと断る姿勢が大切です。すぐに返答できない場合でもその場しのぎの曖昧な発言は避けなければなりません。対応の仕方について日頃から、対応するスタッフがロールプレイングするなど何度も練習し、咄嗟の時に言えるようにしておきましょう。また、カスハラが発生した場合には一人ではなく複数の従業員がチームとなって対応できるようにしておきましょう。

通話を録音できるようにしておく

顧客対応を電話でしなければならない場合は、録音することをお薦めします。録音があれば、顧客の言葉を後から分析し、怒りの何が原因だったのかをしっかり分析することができます。また、カスハラの証拠になりますので、警察への通報や弁護士への相談の場合でも役立ちます。電話を受けた際に事前に録音する旨を伝えると、顧客側も理不尽な言い方や不当な要求をしづらくなり、カスハラの回避につながります。顧客が言った内容を確認できる、カスハラの証拠として残せるという点で、録音はとても有効な方法です。

場合によっては法的措置を行うことを明確にする

カスハラ被害を受けた時、場合によっては法的措置を行うことを明確にすることも重要です。カスハラを行う顧客に対しては対応従業員、現場管理職、法務担当部署が連携をとり、毅然とした態度を貫きましょう。対応は一人ではなく、記録を付ける人を含めて複数で当たることが大切です。安易に相手の要求をのまずに断固として拒否しなければなりません。明らかな脅しや攻撃があった場合には警察に助けを求め、解決に時間がかかる場合には裁判所に訴えることを示しましょう。

まとめ

事前の対策でカスハラの被害を最小限に抑えよう

カスハラ対応のポイントや対策などについて、お分かりいただけたでしょうか。利用者や顧客とは対等な立場で接することが大切です。企業側に非が無い場合や提供する商品やサービスとは関係のない要求をされた場合には、クレームを安易に受け入れてはいけません。毅然とした態度で断ることも重要です。日頃から社内全体で顧客対応やカスハラ対応に関する情報共有や、事例研究をするのも効果的でしょう。カスハラ対応のマニュアルの整備や対応従業員の相談窓口設置など、事前の対策によってカスハラの被害を最小限に抑えましょう。

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