くるみん認定企業とは?【認定基準やメリットを分かりやすく解説します】

記事更新日:2021年06月11日 初回公開日:2021年01月15日

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近年、政府が「働き方改革」を重要政策の一つとして掲げたことで、女性の社会進出や育児休暇の取得率向上が進んでいます。またそれに伴い、育児に優しい企業への注目が高まってきました。このような仕事と育児の両立に取り組んでいる企業を後押しするために、国が実施している認定が「くるみん認定」です。子育てサポート企業の証ともいえる「くるみん認定」を受けるためには、いくつもの認定基準を満たす必要があります。本稿では、くるみん認定企業の基本的な説明から、その認定基準やメリットまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

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くるみん認定企業とは

子育て支援を積極的に行っていると国から認定された企業

くるみんとは、赤ちゃんの「おくるみ」と「職場ぐるみ」を掛け合わせた造語です。また、くるみん認定企業とは「育児に優しい企業として国からの認定を受けた企業」を指します。2003年に施行された次世代育成支援対策推進法に基づき、厚生労働省が認定を行ってきました。くるみん認定は、行動計画を策定する毎に申請でき、認定回数に応じてマークの星の数が増えます。また、より高い基準を満たした場合は、特例認定として「プラチナくるみん」マークを使用することが可能です。

くるみん認定数は年々増加

少子化対策と働き方改革の一貫として政府が始めたこの取組みは、企業にとってもメリットが多いため、急速に認定数が拡大し、認知度が向上しました。くるみん認定を取得する企業は年々増加しており、1年200〜300社のペースで増え続けています。2007年時点で428社だった「くるみん認定企業」は、2019年10月時点で約3,200社まで増加しました。こうした推移からも、子育て支援に対する注目の高まりを見て取れるでしょう。

くるみんの認定を受けるには

厚生労働省の許可が必要

くるみん認定は、「次世代育成支援対策推進法」という、次世代を担う子どもたちが健やかに育つように環境整備を図るという法律に基づいて、厚生労働省が実施しているものです。よって、くるみん認定を受けるには厚生労働省の許可が必須です。まず、企業は従業員の子育て支援に関する計画を策定し、厚生労働大臣に届け出を行います。その後、育児休業制度や時短勤務制度など、10の要件からなる「くるみん認定基準」を満たしていると判断されれば、無事くるみんに認定されます。

10の認定基準を満たす必要がある

10の認定基準とは以下の通りです。

1.雇用環境の整備に関して、行動計画策定指針に照らして適切な行動計画が策定されている。(行動計画の策定)

2.行動計画期間が2年以上5年以下である。(計画期間)

3.行動計画を実施し、計画に定めた目標が達成されている。(計画の実施と目標達成)

4.平成21年4月1日以降に策定した行動計画を公表し、労働者へ適切な周知を行っている。(計画の周知)

5.男性の育児休業等取得に関して次の①または②を満たしている。①配偶者が出産した男性労働者のうち、育児休業を取得した者の割合が7%以上である。②配偶者が出産した男性労働者のうち、育児休業及び育児休業に類似した企業独自の休暇制度を利用した者の割合が15%以上であり、なおかつ育児休業等をした者が1人以上いる。(男性従業員における育児休業や育児休暇の取得割合)

6.行動計画において、女性労働者の育児休業等の取得率が75%以上である。(女性従業員における育児休業などの取得割合)

7.3歳から小学校就業前の子を育てる労働者において、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、 所定労働時間の短縮措置又は始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じている。(労働時間の短縮や始業自家国の変更)

8.労働時間数において、以下の①と②の両方を満たしている。①フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満である。② 月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいない。

9.次の①〜③のいずれかを具体的な成果となる目標を定めた上で実施している。① 所定外労働の削減のための措置。② 年次有給休暇の取得の促進のための措置。③ 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置。(労働時間)

10.法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がない。(コンプライアンス遵守)

くるみん認定設立の背景

子育て支援が企業の義務に

厚生労働省がくるみん認定制度を用いてまで企業の子育て支援を進めている背景には、主に2つの理由があります。1つ目は、労働人口の減少です。近年、少子高齢化により労働人口が減少していることが問題となっています。そこで、「働き方改革」による女性の社会進出を促すとともに、出産後も子育てをしながら仕事を続けられる会社の環境が求められるようになりました。実際、女性社員が出産・育児で退職すれば代わりの人材を雇い教育する時間とコストがかかり、業務効率の面からもデメリットが大きいといえます。

出生率減少による「働き方改革」の推進

2つ目は、子育て支援が企業の義務となったことです。上記の項目で説明した「次世代育成支援対策推進法」により、従業員の数が100人を超える企業は、子育て支援に関する計画を策定・届け出することが義務となりました。罰則がないため実質的な強制力はないとも言えます。しかし、ワークライフバランスが重要視される現代において安定的な雇用を確保するためには、子育て支援の環境を作ることが企業にとって必要不可欠といえるでしょう。

くるみん認定企業のメリット

企業のイメージ向上

くるみん認定を受けた企業は、くるみんマークを会社案内や広報活動に使用することができます。自社製品や制服、ホームページ、求人広告や名刺といった印刷物にも掲載することができるため、影響力の大きいマークです。くるみんマークがあることで、社員を大切にするサポート体制の整った企業だというイメージを与えやすくなります。就職活動している人や取引先、お客様、地域社会に対して、企業イメージを向上させることができるでしょう。

より優秀な人材の確保や採用力の強化に繋がる

くるみん認定は「厚生労働省に子育て支援を行っている企業だと認可されている」ことの証明であり、就職活動中の学生や社会人の求職者への強力なアピールとなります。子育て支援体制が確立されることで、出産や育児での離職者が減少し、優柔な人材を確保できる上、長期的に社内で働く経験豊富な人材を育成することができるといえるでしょう。また、仕事と子育ての両立は入社を決める重要な基準であるため、採用率の向上が期待できます。

くるみん税制や優遇調達による優遇措置を受ける

3つ目のメリットとして、「くるみん税制」と呼ばれる減価償却の適用や公共調達での加点評価等の優遇措置が受けられることが挙げられます。具体的には、常時雇用する労働者が101人以上のくるみん認定企業の場合、認定を受けた1年間の事業年度に新築または増改築した建物・設備に対して24%、市車両・運搬及び器具に対して18%の減価償却が適用されます。このように、税制や公共調達において優遇措置を受けられることもくるみん認定の利点です。

プラチナくるみん認定企業とは

くるみん認定の中でも特例認定を受けた企業

プラチナくるみんとは、くるみん認定を取得した企業のうち、さらに高い基準を満たした企業が「特例認定」として取得することができる認定マークです。2015年に始まったプラチナくるみん認定マークは、くるみん認定と異なり12色のカラーが用意されており、企業のイメージに合わせて選ぶことができます。プラチナくるみんの認定数は、くるみん認定の伸び率を上回る4年で3倍強のスピードで増加しており、今後も伸びていくでしょう。

プラチナくるみん認定に必要な12の基準

プラチナくるみん認定を取得するには、くるみん認定の認定基準より2項目多い12項目も基準を満たす必要があります。12項目のうち8項目は、上記で説明したくるみん認定基準と同様です(1〜4、6〜8、10)。プラチナくるみん認定においては、他の2項目の基準が厳しくなっており、さらに2つの要件が追加されています。基準内容は以下の通りです。5.男性の育児休業等取得に関して次の①または②を満たしている。①配偶者が出産した男性労働者のうち、育児休業を取得した者の割合が13%以上である。②配偶者が出産した男性労働者のうち、育児休業及び育児休業に類似した企業独自の休暇制度を利用した者の割合が30%以上であり、なおかつ育児休業等をした者が1人以上いる。(男性従業員における育児休業や育児休暇の取得割合、%が増加)9.次の①〜③の全てに取組み、かつ、①と②のうち少なくとも1つは定量的な目標を定めて実施し、目標を達成している。① 所定外労働の削減のための措置。② 年次有給休暇の取得の促進のための措置。③ 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置。(労働時間、項目数の基準が厳しくなっている) 11.計画期間において次のいずれかを満たすこと。①子を出産した女性労働者のうち、子の1歳誕生日に在職(育休中を含む)している者の割合が90%以上。②子を出産した女性労働者および子を出産する予定であったが退職した女性労働者のうち、子の1歳誕生日に在職(育休中を含む)している者の割合が55%以上。12.育休休業等を取得し、または子育てをする女性労働者が休業を継続し活躍できるよう、能力向上やキャリア形成のための支援などの取組みを計画・実施していること。

プラチナくるみん認定企業例

アフラック生命保険株式会社

最後に、プラチナくるみん認定を受けた企業をいくつかご紹介します。まず、アフラック生命保険株式会社。保険業界は女性が多く活躍する職場だということもあり、女性の活躍推進や子育て支援制度が整っているというイメージを持たれている方も多いかもしれません。中でもアフラック生命保険会社は、厚生労働省主催のプラチナくるみん認定(2019年取得)や女性活躍推進法に基づく優良企業認定マーク「えるぼし」で最高評価の三段階目を獲得しただけでなく、経済産業省主催のダイバーシティ経営企業100選(2014年度)など、福利厚生の充実した職場環境に目を惹きます。

アビームコンサルティング株式会社

最後に、アビームコンサルティング株式会社です。日本発のグローバルコンサルティングファームとして、36カ国76拠点に拠点を持ち、日系企業のグローバル展開や欧米企業のアジア進出などを支援しています。幅広い業界から厚い信頼を寄せられる当社は、激務とされるコンサルティング業界の中でも、社員の健康をサポートする制度や子育て支援など、福利厚生が充実しています。中でも、子供が小学校6年生になるまで利用可能な、一日3時間までの短時間勤務制度は画期的で、女性が長く働ける環境が整っているといえるでしょう。

まとめ

くるみん認定は働きやすさの証

今回はくるみん認定について、その設立背景からメリット・認定企業例まで、多岐にわたる内容をご紹介しました。社会における女性活躍や育児と仕事の両立が推進されていく中で、企業の子育て支援制度も益々整備されていくと予想されます。くるみん認定は1つの指標に過ぎませんが、働きやすさの証であり、育児に優しい環境づくりを支える重要な制度です。くるみん認定企業に指定される課程で、社員がより働きやすい職場環境を創ることができるだけでなく、企業イメージの向上や税制優遇措置など、企業と社員の両者にメリットをもたらすでしょう。

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