ミッションステートメントって何?どうやって導入するの?【導入ポイントや導入企業を紹介】

記事更新日:2020年12月15日 初回公開日:2020年11月16日

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多様化が進み企業間の競争が激しい現代では、目の前の利益に囚われてしまい、企業価値観が曖昧になってしまうことも少なくありませんよね。そのような状態だと、社員の士気が下がるだけではなく、企業の外部へのイメージも悪くなる一方です。これを打破するために、昨今多くの企業が導入しているのがミッションステートメント。今回は企業のHR担当者様向けに、4ステップでできる作成方法を提示してみました。実際の効果が知りたい導入している企業を把握したいなど、具体的な部分に関しても紹介していますので、ぜひご覧ください。

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ミッションステートメントとは

企業が実現したい価値観を文章化した行動指針

ミッションステートメントとは、企業が実現したい価値観である経営理念を具体的に落とし込み文章化した行動指針です。企業のイメージアップや利益拡大に繋がるとして現代の日本社会において注目されています。より明確で分かりやすい行動指針を企業側が社員に示すことで、社内のモチベーション向上を促進。また自社の強みと目指す価値観が明記されてあるミッションステートメントを、外部に発信することで他社との差別化を測ることもできます。

企業だけではなく個人にも応用可能

ここでは企業内におけるミッションステートメントを紹介していきますが、個人に対しても応用可能です。スティーブン・R・コヴィー博士著書、全世界で3000万部売り上げた「7つの習慣」というビジネス書で紹介され話題になりましたよね。個人におけるミッションステートメントは、人それぞれの生活や行動に対する憲法のようなもの。自身の価値観を明らかにしたり、自分の進んでいる道が正確であるかどうかを把握したりと、充実した人生を送るための指針になるとして個人でも活用されています。

ミッションステートメントと経営理念の違い

経営理念とは企業の価値観を示した抽象的な指針

経営理念とは、企業の価値観を示した抽象的な指針です。同意語として、企業理念や経営哲学などと呼ばれることもありますよね。通常、経営理念は経営者や創業者によって作成・制定されていることが一般的。企業創設者の価値観や理念を強く反映しているといわれており、行動指針というよりも企業の社会における役割について示しています。社外に向けて作成されたものではないため、その表現としては非常に抽象的な場合が多いようです。

経営理念をより具体的に示した行動指針

一方でミッションステートメントとは、経営理念をより具体的に示した行動指針のことを指しています。それ故、社員がミッションステートメントに明記されてある項目に基づき行動することで、自動的に経営理念に基づいた行動をしていることになるのです。特に老舗企業では、グローバル化に伴い社会が変動する中で、創設時に制定された経営理念だけでは、社内外に自社の価値観を伝えることが困難に。その対策として新たにミッションステートメントを導入する企業が増えています。

ミッションステートメントの効果

意思決定時の判断基準になる

効果1つ目は、意思決定の判断基準になる点です。管理職または一般社員であっても営業職であれば、一度は必ず訪れる意思決定の機会。特に社会情勢が日々変化し、それに伴い企業の業績も変化する現代では、経営判断の軸が揺れ動いてしまい適切な判断が出来ないケースが多いとされています。そのような決断を迫られた際に、ミッションステートメントはその基準として有効的。目指すべき明確な行動指針と照らし合わせて検討ができるので、企業理念に沿った判断かどうかを適切に考えられます。

社員のモチベーション維持

効果2つ目は、社員の業務へのモチベーションを維持できる点です。一般的に離職率が高い組織では、明確な目標が設定されておらず、社員の組織への信頼度や愛着度が低下しがち。その改善方法としてもミッションステートメントは効果的。企業理念や価値観をより具体的に行動指針として落とし込んでいるため、理解しやすく社員への浸透率が高いと言われています。その明確な行動指針により社内の統率がとられ、結果として社員のモチベーションを維持できます。

広報の手段として有効

効果3つ目は、広報の手段として有効な点です。ミッションステートメントでは経営理念をより噛み砕きわかりやすく表現している故、その会社の特色や個性を取引先や顧客に対し比較的容易に示すことが可能。そのためその特性が共感および評価された場合には、同業他社と比べて優位に立つことができます。また新卒採用においても、制定しているミッションステートメントに共感した企業のファンのような人材を採用できる可能性が浮上。企業と就活生のミスマッチを防ぐことにも繋がるでしょう。

株主へのアピールになる

効果4つ目は、株主へのアピールになるという点です。上場している企業の経営活動の存続や発展にとって、非常に重要な株主。企業は株主から会社経営を任せられている存在で、利益を生み出さなければなりません。それ故、毎年株主総会にて1年間の営業利益や来期に向けた展望などを詳細に説明する義務があります。その際にミッションステートメントを株主へ提示する事で、より具体的な目標を示すことができ理解を得やすくなります。

ミッションステートメントの作成方法

作成時に必要な9つの要素を理解する

実際に作成する場合は、4つのステップを踏み組み立てる必要があります。そのステップ1つ目として、作成に取り掛かる前に必要な9つの要素を理解しましょう。まず企業の経済活動で重要になる「顧客」と「製品・サービス」。そしてそのターゲットとなる「市場」と企業が保有している「技術」および「企業の強み」は欠かすことのできない要素。またその経済活動をするにおいて中心にある「企業理念」やステークホルダーが重視する「企業の成長性」と「財政の健全性」は、当然重要な要素としてカウントされます。さらに昨今注目されている「社会的責任・自然環境への配慮」と「社員に対する姿勢」も作成する上で必要な要素ですので忘れないようにしましょう。

作成専門チームを作る

ステップ2つ目として、作成のための専門チームを作りましょう。企業の行動指針となっていくミッションステートメント。それ故、人事部や広報部だけではなく、企業全体に確実に定着させる必要があります。チームメンバーは社員全員を対象とし募集していきましょう。役職や職種にかかわらず出来るだけ異なる部署の社員を参加させると、より多様な意見やアイディアを取り集めることが可能に。またコンプライアンスへの配慮が求められるため、臨機に弁護士など専門家を加えると良いとされています。

9つの要素を具体的に落とし込む

ステップ3つ目として、ステップ1で紹介した9つの要素を具体的に落とし込んでいきましょう。専門チームができたら次は、それぞれの要素に基づいた具体的な意見とアイディア出しの議論に移ります。ここでは組織の企業価値に沿った具体的なアイディアが求められます。発言の質よりも量を優先し、チームメンバー全員の意見を全て書き出し把握していくことがポイント。メンバー数人の意見では不十分といえるため、全員に発言を促していきます。また議論する際は、企業存続の鍵となる顧客と社会的責任・自然環境への配慮、企業理念、そして社員に対する姿勢には時間を割きましょう。

意見やアイディアを文章化する

ステップ4つ目として、議論して出た意見やアイディアを皆が理解・納得する形で文章化していきましょう。ミッションステートメントは社内に対してもそうですが、社外の株主や取引先、顧客に対しても積極的にPRしていくものになります。その意識を持ち文章化していくと、社内外問わず多くの人に理解してもらいやすくなるのでオススメ。また企業の強みや社会貢献、コミュニティーなどを理解や共感を得やすいとされるワードを所々に盛り込んでも良いでしょう。

ミッションステートメントの注意点

チームメンバー全員が納得した内容にする

ミッションステートメントを作成するにあたり注意したいのは、チームメンバー全員が納得した内容にするという点です。例えば、全メンバーから賛同が得られていないのにもかかわらず無理に作成すると、十分な効果を得られないだけではなく、現場に混乱を招く要因にもなりかねません。そのため、先に項目を作成する上での4つのステップを紹介しましたが、作成専門チーム全員が納得・理解を促すためにもこの手順を踏むことは必須条件。全員でアイデアや意見を出し合い、作成していくプロセスが要になります。

ミッションステートメントを導入している企業

川崎重工グループ

2006年に創業110年を迎えた川崎重工グループ。翌年より、創業時の経営の基本理念を元に、21世紀に合う指針としてミッションステートメントを制定しています。グループミッションとして「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献するGlobal Kawasaki」を中心軸に設定。それに基づき、経営判断時に有効である重きをおく価値観である「カワサキバリュー」と「グループ経営指針」を確立。さらに社員の日々の業務遂行においてとるべき行動の指針として「グループ行動指針」を6項目設けています。これらの構成により、経営陣から一般社員までの統率を図っています。

サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、21世紀を代表する会社というビジョンを社員が目指すための基本的な行動指針として、ミッションステートメントを導入。「チーム・サイバーエージェントの意識を忘れない」や「世界に適用するインターネットサービスを開発し、グローバル企業になる」など企業成長に向けた全15項目を設定。「法令遵守を徹底したモラルの高い会社に」というコンプライアンスに関する項目もあります。社内へ倫理観を持った行動を促すだけではなく、社外のステークホルダーへクリーンな会社であるというアピールにも繋がっています。

トヨタ自動車

世界的企業であるトヨタ自動車では、経営理念であるトヨタ基本理念に基づき、「トヨタ行動指針」と「トヨタウェイ」を制定しています。全世界で働く社員が共有するべき価値観や手法をわかりやすくまとめたトヨタウェイ。そして日常業務や社会生活において具体的に行動する上での規範であるトヨタ行動指針。世界中に多くの従業員を抱えているトヨタ自動車ですが、この2つの明確なミッションステートメントにより、社員への価値観の浸透に成功。グローバル化が進む中でも、高いブランド力を維持しています。

まとめ

トヨタ自動車

ミッションステートメントを導入することで、企業の価値観をより具体的な行動指針として示すことができ、社内の統率を図れるだけではなく、社外への自社PRに繋がります。そして作成する際は、作成専用チームメンバーを設け議論していくことが必須。その中でも全チームメンバーの意見を把握し、反映していくことが重要です。今回は4つの効果を始め、実際に導入している企業について紹介させていただきました。ミッションステートメントを新たに制定し、企業の社内外へのイメージ向上を図ってみてはいかがでしょうか。

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