日系海外進出企業が知っておくべき人材育成のポイントとは?

記事更新日:2019年05月10日 初回公開日:2017年09月27日

人事・労務お役立ち情報
少子高齢化が進み、2015年からはついに人口の減少を迎えている日本。国内での市場規模は各業界で限界に達し、海外進出にチャレンジする日系企業も少なくありません。しかしながら、商習慣や文化、労働観の異なる海外では日本国内でのやり方が通用しないこともあり、事前知識のない駐在員を派遣すると大問題に発展する事も。一方で、海外駐在はグローバル人材を育成する大きなチャンスでもあります。今回は日系海外進出企業がおさえておくべきグローバル人材育成のポイントを見ていきたいと思います。

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言葉の壁

英語力はもちろん不可欠

 日本と海外で働く上での最大の違いは何と言っても言葉になるでしょう。日本から派遣される駐在員は、着任早々複数の現地職員の部下の管理をいきなり任されることも多くあるかと思います。中国や韓国であれば日本語の堪能な現地職員ばかりが勤務する環境も考えられますが、ほとんどの場合は英語でのコミュニケーションが中心になるのではないでしょうか。

 派遣にあたっては最低限の英語力は必須になるでしょう。大手企業や銀行等で海外駐在員を選考する際の最低基準はおおよそTOEIC 730-800点程度のようです。社内で海外駐在の人気が高ければ明確な派遣基準を設けたり、そうでなければ候補の人材には事前に英語研修の機会を与えたりと、計画的な育成がカギとなります。

文化の壁

海外派遣前にその国の文化を理解させておくことが必要

 顧客や部下とのコミュニケーションで次にポイントとなるのが、異文化に対する理解力です。「阿吽の呼吸」「一を聞いて十を知る」といった表現もある通り、日本人は一般的に、常識や共通認識、相互理解を前提とするハイコンテクストなコミュニケーションを好みます。一方で、特にアメリカでは様々な文化的背景を持つ人々が生活しており、「自分の意見はきちんと表現しないと相手に伝わらない」というローコンテクストなコミュニケーションを取るのが前提となっています。

 このような違いをきちんと認識できないと、周囲から「自分の意見を言わず何を考えているか分からない」と思われたり、「反論されないから肯定されたと思ったら、否定的だったと後から知った」といった行き違いが多く発生する事になります。駐在先の文化については可能な限り派遣前に理解させる機会を与えることが重要です。ローコンテクストな文化に順応する為のトレーニングプログラムもあり、必要に応じて活用してみて下さい。

労務管理

労働者の権利・現地労働法を理解させておく

 上記の言葉、文化に加えて意識する必要があるのが、労働観の違いです。こちらは国や文化によってもかなり変わってくるものですが、「滅私奉公」という言葉にもある通り、一般的に日本人は会社や仕事を優先させることを美徳とする傾向にあります。一方で、外国人の仕事観が同様であるとは限りません。欧米では繁忙期であっても自分の業務が終われば残業はせず、家族やプライベートの予定を優先する事も珍しくありませんし、当然のごとく数週間単位の有給休暇を取得することもしばしばあります。

 海外では雇用契約や就業規則に規定された労働者の権利は当然行使するという傾向にありますので、「業務量が多いから残業、休日出勤は当たり前」と言った態度は受け入れられないものと考えてよいでしょう。さらには現地労働法に抵触するような指示・命令を出したりすると告発を受けるリスクもあり、訴訟などに発展すれば通常業務どころではなく、さらに会社のイメージを損ねることとなります。現地進出にあたっては現地の法律事務所等からきちんと情報を収集し、ハンドブック等にまとめ、駐在対象者には事前にきちんと読み込んでもらうのが良いでしょう。

 

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まとめ

 いかがでしたでしょうか。グローバル人材を育成し、海外進出を成功させるためには駐在員派遣前からの下準備が非常に重要となります。日本と海外の商習慣や文化、労働観の違いをしっかりと認識させるため、定期的な海外出張や、日本でのトレーニング・研修の受講の機会を意識的に与えると効果的です。この機会に社内制度の整備を是非検討してみてはいかがでしょうか。

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