在留資格「特定技能」1号・2号の特徴を徹底解説!【試験内容や職種】

記事更新日:2020年06月05日 初回公開日:2018年10月21日

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2018年10月12日法務省入国管理局は「新たな外国人材の受入れに関する在留資格『特定技能』の創設について」という資料を発表しました。2018年11月に閣議決定し、秋の臨時国会で出入国管理法改正が衆参両議院にて可決され、2019年4月に法施行されました。

この新しい在留資格「特定技能」は日本の外国人労働状況を大きく変えることが予想されます。本記事では「特定技能」について、「技能実習」との違いや既存の在留資格と比較しながら解説します。外国人雇用を考えている方、必見です。

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在留資格「特定技能」を創設する背景

有効求人倍率はバブル期を超え高水準を記録

有効求人倍率は47都道府県で1を超え、厚生労働省発表の2019年7月の有効求人倍率は全国で1.59倍となっています。完全失業者数は約156万人。前年同月に比べ16万人の減少しています。完全失業率は2.2%と低水準で推移しています。就職意欲のあるほとんどの人が就職をしている状態です。ここ数年の人手不足感が外国人労働者の受入れ、在留資格「特定技能」を創設を後押ししています。

中小企業をはじめとした人手不足の深刻化

特に中小・小規模事業者では人手不足が深刻化しており、求人数も増加しています。2019年7月発表の厚生労働省「一般職業紹介状況」によると29人以下の規模の企業の求人数は634,061件であり、対前年同月比では2.4倍の水準で、年々増加傾向です。

人手不足の分野へ外国人材の受け入れへ

このように深刻な人手不足を解消するために外国人材を受け入れることを2018年6月「経済財政運営と改革の基本方針 2018」いわゆる骨太の方針で発表されました。従来の「技術・人文知識・国際業務」を始めとした日本の就労ビザは専門性や技術力の高い外国人材の受入れに限定していましたが、一定の専門性や技能を有している外国人材を活用することにより、我が国の経済や社会基盤を持続させるために新たな在留資格「特定技能」が創設されました。

在留資格「特定技能」とはいったいどのような在留資格でしょうか?

特定技能ビザは14業種に限り単純労働への外国人労働者の受け入れが可能に

特定技能ビザの創設により、生産性の向上の取り組みや国内の人材確保の取り組みを行っても人手不足が深刻な業界に限って、単純労働への外国人材の受け入れが可能になりました。特定技能では単純労働者の受け入れといっても一定の専門性や試験を合格した外国人を即戦力として受け入れるものです。

在留資格「特定技能」では単純労働の就労が可能


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
単純労働可能可能不可能不可能可能可能

特定技能には特定技能1号と特定技能2号の2種類の在留資格があります。特定技能1号と2号の違いは後述しますが、いずれも「日本国内の少子化、高齢社会の進行による人手不足を補うための単純労働者(ブルーカラー労働者)数の確保」という目的のもと創設されました。

 今までの日本政府は、留学生のアルバイト(資格外活動許可)や日本での休暇を楽しみながら必要な金銭を稼ぐ(ワーキングホリデー)以外の外国人の単純労働を認めていませんでした。

 そのため、特定技能の最大の特徴はこの「単純労働が可能な在留資格」といえます。

特定技能は学歴要件、実務経験は必要ない


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
学歴要件無し無し無し有り(実務経験有りの場合は学歴要件無し)無し無し


 在留資格「特定技能」では学歴要件、実務経験の必要はありません。日本における就労できる代表的な在留資格である「専門的・技術的分野の資格(技術・人文知識・国際業務)」では原則学歴もしくは実務経験が求められますが、在留資格「特定技能」では必要ありません。一定以上の知識や技能レベルがあるかどうかは試験によって確認され、在留資格「特定技能」が許可されます。

在留資格「特定技能」は1号と2号があります

特定技能に該当する業種の考え方

 前述した通り、在留資格「特定技能」には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類に分かれます。1号、2号では業種、条件が変わります。ここでは特定技能1号、2号の違いについて解説します。

特定技能1号とは?

特定技能1号は知識や技能が一定レベルにある外国人

 特定技能1号は受入れ分野で即戦力として活動するために必要な知識又は経験を有することが条件となっており、所轄官庁が定める試験によってそのレベルを確認することとなっています。
 家族の帯同は認めず、最長通算で5年と定められています。日本語レベルは日常会話程度が求められます。「特定技能1号」の外国人の日本語レベルは試験によって確認されますが、「技能実習2号」を修了した外国人は日本語レベルの試験を免れることが出来ます。

特定技能1号は全14分野を対象を検討

 基本的な技能や知識を持つ「特定技能1号」は「建設」「宿泊」「農業」「介護」「造船・舶用工業」「ビルクリーニング」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」「素形材産業」「産業機械製造業」「電子・電気機器関連産業」「自動車整備業、航空業」の14業種が対象です。

特定技能2号とは?

特定技能2号は技能が熟練した外国人を対象


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
家族の帯同不可能可能不可能可能可能不可能


特定技能2号は技能が熟練した外国人を対象

 特定技能2号ではその受け入れ分野で熟練した技能を有することとされています。所轄省庁が定める一定の試験に合格する必要があります。特定技能1号である外国人が日本に滞在中に試験に合格することで特定技能2号を取得することが出来るようになります。
 特定技能2号は在留期限が無制限であり専門的・技術分野の在留資格(技術・人文知識・国際業務)の在留資格と同じく、家族を呼び寄せることも出来ます。

特定技能2号は2業種を対象

 特定技能1号から特定技能2号へと在留資格の変更を許可されている業種は特定技能14業種のうち「建設業」「造船・舶用工業」の2業種となっています。
 政府は当面の間はこの2業種のみでしか在留資格の変更を認めない意向です。特定技能1号のなかで2号への移行を検討していた「介護」は平成28年11月の入管法改正により「介護」として在留資格が新設され、平成29年9月から施行されるため特定技能2号として対象にはなりませんでした。

特定技能1号、2号とその他の在留資格の違い

特定技能は単純労働〇、技能実習は単純労働×

特定技能と技能実習は混同されがちですが大きな違いは外国人が単純労働に就けるか就けないかです。本来、技能実習制度は外国人が日本で報酬を得ながら技能実習や研修を受けられる制度です。技能実習制度では外国人を単に労働力としての受け入れている現状や劣悪な労働環境などが一部で顕在化し、問題視されています。

特定技能とその他の在留資格の条件や在留期間、学歴要件などの違いは?

特定技能と技能実習制度や留学生の資格外活動などの在留資格との違いを表にまとめました


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
単純労働可能可能不可能不可能可能可能
学歴要件無し無し無し有り
(実務経験有りの場合は
学歴要件無し)
無し無し
最大滞在可能期間5年制限なし3年制限無し制限無し半年または1年
労働時間所定労働時間と同等法定労働時間内法定労働時間内法定労働時間内1週間28時間以内法定労働時間内
家族の帯同不可能可能不可能可能可能不可能
技能試験有り有り無し無し無し無し
必須日本語能力日本語能力試験N4以上無し日本語能力試験N4以上無し無し無し
受け入れ国原則全ての国原則全ての国15か国全ての国全ての国20カ国
転職可能可能不可能可能可能可能
就労資格変更可能可能現在:不可能4月以降:可能(予定)可能可能可能
永住権取得不可能可能不可能可能不可能不可能
給与水準日本人と同等日本人と同等最低賃金以上日本人と同等最低賃金以上最低賃金以上
対象業種宿泊業、建設業、自動車整備業、
造船・舶用工業、航空業、介護、
ビルクリーニング、農業、漁業、
飲食料品製造業、外食業、素形材産業、
産業機械製造業、電気・電子情報関連産業
建設業、造船・舶用工業農業、漁業、建設、
食品製造、繊維・衣服、
機械・金属等
企画、営業、経理、
語学教師、通訳、翻訳、
デザイナー、技術者、
エンジニア等
制限無し制限無し
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 上の表は日本での就労を許可する在留資格を比較したものです。各在留資格の詳細は表の下部にリンクを掲載していますのでご確認ください。

在留資格「特定技能」に必要な特定技能評価試験とは?

業種ごとに課される能力を証明する試験


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
技能試験有り有り無し無し無し無し

 特定技能評価試験とは、特定技能の在留資格で従事することが可能な14業種のそれぞれの業種が課す技術試験です。この技術試験により、外国人が業種ごとに必要な技能水準に達しているか評価します。
 実施場所は各業種によって異なりますが、国内、国外の両方になる予定です。

特定技能評価試験の技能水準

 特定技能評価試験は、所轄官庁が技能水準を明確にし試験を作成します。特定技能1号の目安は、「特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準の技能を保有すること」と設定されています。
 特定技能2号の目安は、「上級技能者の試験である技能検定1級の合格水準と同等」と設定されています。いずれの試験も、「実務経験A年程度の者が受験した場合の合格率がB割程度」と明確化される見込みです。

特定技能評価試験の試験開始時期

 特定技能評価試験は、順次準備が整い次第開始されます。以下に、特定技能評価試験の試験開始時期の予定を掲載します。
業種試験開始時期
介護2019年4月
ビルクリーニング2019年秋以降
素形材産業2019年度以内
産業機械製造業2019年度以内
電子・電気機器関連産業2019年度以内
建設業2019年度以内
造船・船舶工業2019年度以内
自動車整備業2019年度以内
航空業2019年度以内
宿泊業2019年4月
農業2019年度以内
漁業2019年度以内
飲食料品製造業2019年10月
外食業2019年4月

 介護、外食業、宿泊業の特定技能評価試験は特定技能が施行される2019年4月に同時に実施される予定です。介護の特定技能評価試験実施場所は、ベトナム、フィリピン、外食業は日本、ベトナム、宿泊業は日本のみとなっています。

在留資格「特定技能」に必要な日本語レベルとは?

特定技能では日本語能力を証明する試験を受ける必要がある


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
必須日本語能力日本語能力試験N4以上無し日本語能力試験N4以上無し無し無し

 在留資格「特定技能」での外国人材の受け入れの要件としては日本語での日常会話がある程度できて、日常生活に支障がない程度の日本語能力があることが明記されています。この日本語能力はJLPTのN4レベル相当と言われています。(JLPTのレベルについてはこちらの「JLPTって何?何級なら日本語ができるの?」をご覧ください。)

 また、各業種に必要な語彙を確認する業種別日本語試験を課す業種もあるようです。

在留資格「特定技能」が取得できる国は?

特定技能を取得できる国

 日本の特定技能の資格に応募することができる国に制限はありません。しかし、前述した通り特定技術の資格を取得するには技術テストや日本語試験に受験して合格する必要があります。
 このテストの開催国が現時点(2019年3月)では9か国となっています。従って、特定技能の在留資格を取得できる外国人は原則以下の国の人になります。

特定技能を取得できる国
ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル

特定技能での雇用形態は?

特定技能の雇用形態は直接雇用のみ

 特定技能の雇用形態は原則直接雇用となっています。しかし、「農業」、「漁業」のみ派遣での雇用が認められています。
 農業や漁業は地域や季節によって繁忙期や閑散期が変化するため、雇用主のニーズが考慮されているためです。

「特定技能」と「技能実習」の違いは?

技能実習のあらまし

 技能実習制度は読んで字のごとく先進国である我が国の技術や知識を開発途上国への移転を目的に定められています。開発途上国への国際貢献なのです。技能実習生として日本に滞在できる期間は最長5年で、単純労働は認められていません。あくまでも技能実習は労働力ではなく、技能実習生として日本企業で技能を習得するために働かなければなりません。
 技能実習とは対照的に、今回創設される在留資格「特定技能」はまさしく「労働力」です。就労する分野の知識や技能が一定レベル超えていれば、外国人材を受け入れることが出来る在留資格です。

技能実習と比較すると特定技能では雇用プロセスがシンプル

 技能実習の在留資格を取得する際には、複数の機関がかかわってくるたけ雇用契約を結ぶ際に複雑なプロセスが発生します。
 それに対して特定技能では雇用主と外国人材の両者のみで契約を結ぶことができます。そのため、特定技能では比較的容易に在留資格を申請することができるでしょう。

特定技能では転職が許可されている


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
転職可能可能不可能可能可能可能

 技能実習の在留資格では転職は禁止されています。しかし、特定技能では、同一の業種であれば転職が認められています。つまり、介護の業務についていた外国人が別の会社で介護の業務に就くことは可能ですが、この外国人が建設業の業務に就くことは原則できないということです。
 しかし、前述した特定技能評価試験によって、任意の業種に必要な技能水準の共通性が確認されている場合、違う業種に転職することも可能です。

技能実習から特定技能への切り替えは可能?


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
就労資格変更可能可能現在:不可能4月以降:可能(予定)可能可能可能

 技能実習から特定技能への在留資格は、許可される見込みとなっています。税流資格の変更にあたって、整備が進んでいますが手続きなどに時間がかかることが想定されています。そのため、当面の間特定技能へ在留資格を移行する予定の外国人には「特定活動」の在留資格が付与されることになります。

想定される在留資格変更ルート

 先ほど述べたように、技能実習から特定技能1号に在留資格を移行するのは許可される見込みです。それに伴い上に掲載している図のような在留資格変更ルートが想定されます。技能実習1号から技能実習2号、その後、特定技能1号へと在留資格を変更した場合、日本に最大8年間滞在することができます。


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
永住権取得不可能可能不可能可能不可能不可能

 また、特定技能2号に在留資格を変更できた場合は、半永久的に日本に滞在することができ、永住権取得の権利も得ることができます。しかし、前に言及した通り、特定技能2号に変更できる業種は当分の間、建設業、造船・舶用工業であり、すべての業種が特定技能2号に在留資格を変更できるわけではないので注意が必要です。

外国人にとって特定技能ビザのメリットは?

日本に長期間滞在できる


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
最大滞在可能期間5年制限なし3年制限無し制限無し半年または1年

 前述したように、日本での単純労働は、特定技能、資格外活動許可、ワーキングホリデーのいずれかの在留資格を保有していれば行うことができます。日本での最大滞在可能期間は資格外活動許可では制限なし、ワーキングホリデーでは半年、または1年となっています。

 資格外活動許可の在留資格は、学生である限り保有できますが、学生としての活動を優先しなければなりません。そのため労働時間に制限がでてしまいます。またワーキングホリデーの在留資格では、日本に最長、半年または1年しか滞在することが許可されません。

 それに対して、特定技能1号の在留資格を保有していれば、日本での単純労働が最大5年許可されます。また、特定技能2号の資格を保有していれば、最大滞在期間の制限がありません。そのため、特定技能2号を保有している外国人は、半永久的に日本に滞在することができるのです。


長時間勤務ができる


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
労働時間所定労働時間と同等法定労働時間内法定労働時間内法定労働時間内1週間28時間以内法定労働時間内


 前項で少し言及しましたが、資格外活動許可の在留資格では、学業を最優先しなければなりません。そのため、政府によって1週間の最大労働時間が28時間以内と制限されています。

特定技能は外国人や雇用者にも大きな利益がある在留資格になっている

 上で述べたように、新しい在留資格である「特定技能」は学歴や職歴が必要ないため、日本で働きたい外国人にはハードルが低いものとなっています。
 また、単純労働が可能な資格と比較しても長期間勤務、長時間労働が可能であるため、外国人を雇用したい雇用者にもベネフィットがある在留資格となっています。
 このように特定技能は、労働力不足の日本を支えてくれる資格となっています。

外国人材を受け入れる機関に要求される条件は?

外国人労働者の報酬は日本人と同額以上が必要


特定技能1号特定技能2号技能実習専門的・技術的分野の在留資格資格外活動許可留学生ワーキングホリデー
給与水準日本人と同等日本人と同等最低賃金以上日本人と同等最低賃金以上最低賃金以上

 外国人への報酬額は日本人と同等以上にすることが義務付けられます。これは専門的・技術的分野(技術・人文知識・国際業務)の在留資格でも求められています。

特定技能の受入れ機関は日本人と同等以上の待遇が必要

 外国人材を特定技能として受け入れる機関(企業)は前述したとおり、日本人と同等以上に報酬を支払う以外に、社会保険や雇用保険の加入、労災保険の適用など雇用や労働に関するすべての法令遵守が日本人と同等に義務付けられます。
 ここでいう受入れ機関とは在留資格「特定技能」で外国人材を雇用する企業、法人にあたります。当然の事ですが、法人と外国人材の間で雇用契約を結ぶことが必要です。

特定技能は外国人材への支援も必要

 特定技能においては日本においての日常的な社会生活や職業生活のための支援も受け入れ機関に求められます。

(1)入国前の生活ガイダンスの提供
(2)外国人の住宅の確保
(3)在留中の生活オリエンテーションの実施
(4)生活のための日本語習得の支援
(5)外国人からの相談・苦情への対応
(6)各種行政手続についての情報提供
(7)非自発的離職時の転職支援
(8)その他

 以上の8項目において受け入れ機関での支援を行うことが明記されています。特定技能1号の外国人材に対しての支援は登録支援機関に委託することが出来ます。

登録支援機関の役割は?

登録支援機関は受入れ機関と連携して外国人材の支援を行います

 在留資格「特定技能」での外国人材を日本に受けれる際は登録支援機関という機関が存在します。登録支援機関は受け入れ機関と連携して、「特定技能」の外国人に対しての支援を行います。支援の範囲は職業生活上の支援の他に日常生活上の支援も行います。
 我が国に定着し、円滑に社会生活を行うための支援が登録支援機関の役割です。支援を外国人材に行うほか、悪質な仲介業者の排除にも積極的に関わる見通しです。

どのような機関が登録支援機関として認められるのか?

 登録支援機関はどのような機関が登録支援機関として認められるかは具体的な指針は発表されておりません。在留資格「特定技能」で外国人を受け入れる受入れ機関は、支援計画の実施を登録支援機関に委託することが出来ます。
 特定技能1号への外国人材に対しての支援を適正に実施することが求められます。想定される登録支援機関は行政書士や業界団体、民間企業などです。適正な支援を行える能力、体制があることとされています。

特定技能創設に対応するため入国在留管理庁を新設

入国管理局を格上げして入国在留管理庁へ

 法務省は現在の入国管理局を格上げする形で出入国在留管理庁を法務省の外局として新設しました。2019年4月1日より入国在留管理庁が発足しました。
 在留資格「特定技能」の新設による外国人労働者の受け入れ増加の他にも外国人観光客の増加によって入国管理局の業務が増加しているため出入国在留管理庁の発足に踏み切りました。

出入国在留管理庁の組織・役割は?

 出入国在留管理庁は入国管理局を拡大させる形で発足します。法務省外局として設置されます。出入国在留管理庁長官をトップに置き次長と審議官2名が任命されています。
 札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の都市に地方支分部局が設置されており、その配下に支局と出張所が全国に設定されています。

これまでの外国人材を受け入れる政府の方針

これまで外国人の単純労働は認めていなかった

これまで日本政府は単純労働への外国人材の受け入れは消極的でした。単純労働での外国人の就労は認めず、一定の学歴や技術、知識のある外国人の受け入れのみ認める方針でした。総労働人口に占める外国人労働者の割合は2%にしかすぎません。現状で日本で働いている外国人の内、単純労働に就いている外国人の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」といった就労が出来るビザではなく「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格の方です。こういった在留資格は「身分又は地位に基づく在留資格」と呼ばれています。もしくは外国人留学生の特定活動によるアルバイトです。

政府は2018年6月骨太の方針で外国人労働者の受け入れを表明

ここに来て政府は外国人労働者の受け入れを大転換させます。「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)」にて一定の知識や技能を持つ外国人材を幅広く受け入れるために新たな就労のための在留資格を創設することを発表したのです。それが「特定技能」です。骨太の方針では外国人材の受入れについて特定技能の創設以外にも外国人留学生の国内での円滑な就職の促進や在留外国人への支援にも言及しております。

今後政府は2025年までに外国人労働者を50万人超迎える見通し

特定技能の創設による外国人材の受入れ人数は?

業種 5年間の受入れ最大見込み数(人)
介護 60,000
ビルクリーニング 37,000
素形材産業 21,500
産業機械製造業 5,250
電気・電子情報関連産業 4,700
建設 40,000
造船・舶用工業 13,000
自動車整備 7,000
航空 2,200
宿泊 22,000
農業 36,500
漁業 9,000
飲食料品製造 34,000
外食業 53,000

 在留資格「特定技能」による外国人材の受入れ人数の目標は当初検討されていた「建設」「宿泊」「農業」「介護」「造船」の5分野におけるそれぞれの外国人材の受け入れ人数は介護職では毎年1万人、建設は2025年までに30万人以上、造船は2025年までに21,000人、農業は2023年までに最大103,000人、宿泊は2030年までに85,000人の外国人労働者の受け入れを目指す方針です。
 それに伴い、政府は上に掲載している、特定技能を開始する2019年の4月から5年間での受け入れ見込み人数を公表しています。

特定技能創設のこれまでとこれから

10/29:自民党法務部会が出入国管理法改正案を条件付きで了承

自民党法務部会は在留資格「特定技能」を創設するための出入国管理法改正案を条件付きで了承しました。特定技能2号の要件厳格化を政府に求める模様です。特定技能2号では無期限に在留期間を延長できることと家族の帯同を認め、実質の永住権であることから、特定技能2号の技能要件の厳格化が求められました。今後、自民党総務会で了承をし、政府として閣議決定を目指す方針です。

11/2:出入国管理法改正案を閣議決定

政府は出入国管理法改正案を閣議決定を閣議決定し、2019年4月に新たな在留資格「特定技能」が創設されます。これにより我が国は単純労働の外国人を受け入れることになります。改正した出入国管理法は法施工3年後の見直しを行う条項を盛り込みました。これは外国人労働者の受入れにあたり日本の社会環境の大幅な変化をもたらすため3年後に状況に応じて見直す予定です。

4/1:改正入管法が施行

平成30年4月1日より入国管理局は出入国在留管理庁へ格上げされました。新たな在留資格「特定技能」がスタートしました。8月現在、特定技能1号の試験合格者は約2,000名、日本に滞在中の外国人の在留資格変更申請者を合わせると約3,000名を超える外国人が日本で特定技能ビザとしての就労予定。

在留資格「特定技能」の創設で日本は移民を本格的に受け入れる事になるのか?

在留資格「特定技能」の創設で我が国が求められる事は?

このようにして本格的に外国人材を受けけるために整備される新たな在留資格が「特定技能」です。少子高齢社会を迎えた日本では経済、社会基盤を持続成長させ続けるには外国人材の受け入れは必要不可欠でしょう。しかし、国民全体で議論が深まっているとは言えません。外国人材の積極的な受け入れは外国人材を労働力として受け入れるだけではなく社会生活者として受け入れなければなりません。日本で働きたい外国人の多くは夢や希望を持ってより良い生活を送りたいがために日本に訪れるのです。また、外国人材として訪日し、日本で家族を作り、育てていく外国人も増えるでしょう。その際の子女への教育や社会の受け入れ態勢も整えなければなりません。

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