記事更新日:2020年09月04日 | 初回公開日:2020年08月24日
ビザ(在留資格) 人事・労務お役立ち情報 外国人採用・雇用 採用・求人のトレンド 外国人留学生の採用特定活動とは、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動、と入管法では定められています。在留資格は入管法において日本での活動内容が定められていて、それに基づいて在留資格が与えられるものです。しかし、特定活動は「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」などの在留資格のように、予め法律でその活動が定められていません。他の在留資格と違い、法で定められた以外の活動について外国人の個々の活動が個々の事由によって、法務大臣が許可するものです。
在留期間は5年、3年、1年、6月、3月又は、法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)となっています。最長で5年ですが、活動内容に応じて期間が決定されます。例えば「ワーキングホリデー」については、1年を超えない期間と定められています。在留期間が短ければ、その都度、その都度更新申請しなければなりません。特定活動の場合は、活動内容によって在留資格を与えられるため、場合によっては在留資格更新申請ではなく、在留資格変更申請が必要です。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、本国の帰国が困難な外国人については柔軟な対応がなされています。技能実習、留学等で在留している外国人に対して、特定活動として在留資格を6か月許可されました。これは就労不可の資格でも、就労を希望する場合は制限はあるものの就労を許可するものです。また、在留期間の満了日が3月〜7月にあたる在留外国人については、3ヶ月間延長されました。在留資格変更許可申請、更新許可申請の受領期間も、3ヶ月に延長されています。
法定特定活動は、法で定められた活動のことで、特定研究等活動、特定情報処理活動及びその家族滞在活動にあたります。特定研究等活動、特定情報処理活動は、どちらも法務大臣が指定する国内の公私の機関に所属しなければなりません。国公立大学、私立大学又は、IT企業などがそれらに該当します。ただし、現在は入管法の改正で高度専門職という在留資格が創設され、これらの在留資格は、高度専門職に新しく分類されました。
入管法では活動等が示されていない特定活動ですが、法務大臣があらかじめ告示をもって定める活動があります。それが告示特定活動です。家事使用人。ワーキングホリデー。アマチュアスポーツ選手。国際文化交流。医療滞在。観光保養等を目的とする長期滞在者(ロングステイ)。二国間の経済連携協定の適用を受ける人材受け入れも告示特定活動です。インドネシア、フィリピン、ベトナムの看護師、介護福祉士等がそれにあたります。
告示外特定活動とは、告示には定められていないものの、法務大臣が個々の事情により特に指定した活動です。他の在留資格に該当しない、告示特定活動にも該当しない活動です。そのため、告示外特定活動は在留資格証明書の交付の対象ではありません。つまり入国前に在留は許可されませんので、短期滞在等で入国し、そのご在留資格変更申請する必要があります。代表的なものに、就職活動中、出国準備中、連れ親・連れ子の扶養、難民認定申請者などがあります。たとえ先例がなくても事情によっては告示外特定活動として認められるかもしれません。
申請人は日本への在留を希望している外国人になります。特定活動についての申請方法は多岐にわたります。告示特定活動であれば、在留資格認定証明書が交付されますが、告示外特定活動では在留資格証明書が交付されません。ですので、告示特定活動は他の在留資格同様に入国前に申請できますが、告示外特定活動は入国後に変更申請しなければなりません。在留資格の変更申請については、留学生が引き続き日本で就職するための就職活動、内定も同じ取り扱いになります。
入国前に特定活動の在留許可を得るには、在留資格認定証明書を入国前に入手しなければなりません。他の在留資格においても同様ですが、在留資格認定証明書は発効日から3ヶ月を過ぎると無効となります。地方出入国管理局での審査期間は10日から40日かかりますし、在外公館でのビザ申請も2から5営業日を要します。必要書類の準備も含めて、申請から入国までの手続きを計画的に進めなくてはなりません。渡航の期限がある場合は、渡航予定日から逆算して手続きを始める必要があります。
必要書類が準備できたら、申請書を作成し、代理人等を通して地方出入国在留管理官に提出します。審査後、代理人等が在留資格認定証明書を受領し、申請人に送付してもらいます。在留資格認定証明書をもって、在外公館にてビザを申請して、ビザの受領後入国しますが、在留資格認定証明書の期限に注意しましょう。入国して在留カードを受け取りますが、ここまでは他の在留資格と同じ流れになります。特定活動については、指定書というものが交付されます。
特定活動は法務大臣が個々に指定した活動ですので、在留カードを見ても活動内容について把握できません。ですので、特定活動については、指定書に特定活動の活動内容の詳細が記載されています。指定書はパスポートに添付されますので、契約等で在留カードの提示を求められたら、パスポートの指定書も同時に提示しなければなりません。例えば留学から特定活動に変更して就職活動を行う場合は、「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動」と記載されます。
在留資格として、特定活動とひとくくりにされていますが、滞在理由や期間は人によってことなります。特定活動では就労について特に注意しなければなりません。特定活動そのものが就労不可となるものではありませんが、指定された活動以外の活動として就労すると不法就労となります。家事使用人はその活動自体が雇用を前提としますが、就職活動自体に就労は認められていません。このように特定活動では指定書で指定された活動をよく確認する必要があります。
留学ビザの人は卒業後に6ヶ月の就職活動が可能です。この場合、就職活動を目的とする留学から特定活動への在留資格変更となります。ただし、大学、専門学校を卒業していなければなりません。大学には、短大も大学院も含まれます。専門学校の場合は、専門学校での修得内容と技術・人文知識・国際業務、又は就労に係る在留資格との関連がなければなりません。また、卒業した大学、大学院、専門学校からの推薦状が必要になります。
在留期間は6ヶ月に定められていますが、それでも決まらない場合は1年まで延長することが可能です。この期間は卒業から1年ですので、更新については残余の期間に応じて、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月のいずれかの在留期間が決定されます。もしも卒業してから3ヶ月以上経過していたとしても、就職活動目的特定活動については、在留資格は取り消されることはありません。その場合は、上の更新手続きと同様の取り扱いとなります。
特定活動から就労への変更方法は、他の変更申請と同じですが、就職が決まったからといって、無条件で許可されるわけではありません。就労に係る在留資格の条件を満たす必要があります。例えば技術・人文知識・国際業務の在留資格のうち、技術類型に関しては、必ず理科系の大学等を卒業していなければなりません。文化系の大学等を卒業したからとって、技術類型の技術・人文知識・国際業務の在留資格は該当にはなりません。
技術・人文知識・国際業務の在留資格の技術・人文知識の活動とは、「理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務」です。ですので、これに必要な技術または知識を修得していなければなりません。4年生の大学等を卒業していることが条件になる場合がありますが、この4年生の大学等とは、大学、大学院、そして短大も含まれます。専門学校については、国内の専門学校であれば該当しますが、外国の専門学校は該当しません。大学や専門学校を卒業していなくても、10年以上の実務経験があれば、これに該当します。
また、国際業務は「翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務」です。これらの関連する業務についての実務が3年以上ある場合に該当します。ただし、大学を卒業していれば、翻訳、通訳又は語学の指導については、3年以上の実務は必要ありません。この時の専門学校の取り扱いについては、専門学校での修得内容が翻訳、通訳、語学の指導の業務に関連すると認められれば、該当します。また、技術・人文知識・国際業務の在留資格の基準には、日本人が従事するのと同等額以上の報酬が条件になりますので注意しましょう。
就職活動目的特定活動については、就労は認められていません。しかし、資格外活動許可申請を行った場合は、留学の在留資格と同様に、生活費のために週28時間の労働が許可されます。この場合雇用契約先、業務内容等が未定の場合であっても、許可を受けることができます。週28時間とは1週について28時間以内になりますので、どの週においても28時間以内でなければなりません。給料の支払いが月単位であるため、ある週で34時間、他の週で20時間、トータルで週28時間以内という意味ではありません。
28時間以上労働をすると外国人と雇用者に罰則があります。外国人には不法就労として罰則があるのは当然といえます。しかし、雇用者にも罰則があるのはおかしいと思われるかもしれません。不法就労外国人の雇用者は不法就労と知らなかった場合でも不法就労助長罪になるものです。在留カードで容易に就労の可否を確認できるにもかかわらず、それを怠ったとして、処罰の対象となります。もちろん在留カードの偽造など、雇用者に過失がない場合は処罰されません。
就職先が決定したら、在留資格を特定活動から就労に係る在留資格へ変更申請を行います。すぐに採用されるようであれば、直ちに就労に係る在留資格へ変更申請することができます。しかし、就職先の内定ということで、採用は数ヶ月先という場合は注意しなければなりません。この場合、採用までの間は就職内定者特定活動許可となります。これは特定活動から特定活動への在留資格変更申請になります。ただし、内定後1年以内であって卒業後1年6ヶ月以内でなければなりません。
就職先が決定しても、就労に係る在留資格がないと、就職先で働くことはできません。一在留一在留資格原則があります。同時に複数の在留資格を有したり、終期の異なる数個の在留期間を有したりすることはできません。ですので、特定活動の在留資格から就労に係る在留資格の変更の許可が必要です。在留資格変更申請は、通常20から25日を要します。採用担当者が知らないこともあるため、採用担当者とよく相談して、変更申請に必要な日数を把握しておきましょう。
在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して国内に残留することは不法残留にあたります。不法滞在者として罰則が設けられています。退去強制事由にも該当するため、出国命令という最悪の事態になりかねません。特定活動に限らず、在留資格の内容と整合性、在留期間の終了日までの日数は、注意していなければなりません。在留資格の更新又は変更には2ヶ月間の特例期間が設けられてはいるものの、早めに申請しましょう。
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